人類滅亡まであと365日…   作:ムジカ

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第7話 南二号作戦

 艦隊が帰還すると鎮守府はいつもよりも賑やかだった。

というのも作戦の成功を祝い、大本営から酒や砂糖などさまざまななものが送られたのである。

 そして、『これはお祝いのパーティーするしかないじゃん!』

という鈴谷の提案により、今日は飲んで飲まれて無礼講の宴となったのだった。

 

艦隊の全員が集まると提督が前に出て話を始めた。

『みんな、今日はありがとう!君達全員の頑張りのおかげで深海棲艦からフィリピンを解放できた。私もすごく誇らしい気持ちでいっぱいだ。まぁなんだ、長ったるい話は後にして、まずは勝ったこと、生き残ったことの喜びをみんなで分かち合おう!』

提督がグラスを掲げると同時に艦隊全員がグラスを掲げる。

 

『勝利を祝して、乾杯!』

 

『乾杯!!!』

皆の声と共に宴は幕を開けた。

 

そしてヤマトはというと…

『よくやった!』

 

『すごかった!』

 

『ははは…みんな、ありがとう…』

 

『これには流石に艦隊のアイドルも顔負けかな?』

 

『那珂ちゃんも華の二水戦なんだから!活躍したんだからね!』

 

周りに人がいすぎて困っていた。

 

『ほら!飲みなよ!今日のMVP!』

 

『やっぱり酒はウォッカだよ…』

 

『夜はながいよぉ!もっと飲まなきゃ!』

やーせーん あそっれ やーせーん

 

『これがアルハラというやつか…』気づくと、ヤマトの意識は暗闇へと消えていた。

 

『あれ、気絶しちゃったね』

 

『まぁいっか!』

そして周りから艦娘達は去っていった。

 

 

 

 

『じょぶ……大丈夫?』

 

『うわっ!』

ヤマトは鈴谷のドアップに、思わず驚いてしまった。

 

『うわっ!…急に起きないでよ、びっくりするじゃん』

 

『はぁ、今何時だ…うっぷ』

 

『ほら水!』

ヤマトが吐きかけると鈴谷は水を渡した。

ゴクッゴクッゴクッ

 

『ふぅ…鈴谷、ありがとう』

 

『しかしいくらなんでも飲ませ過ぎだよねぇ』

そういうと鈴谷はヤマトに肩をかす。

『本当だよ…なんだか気分も悪いし…本当に色々とありがとうな』

 

『最初に出会った時、見ず知らずの俺のこと…信じてくれたし、無茶な作戦にも文句も言わずについてきてくれた』

 

『急にどうしたの?やっぱ酔ってる?』

 

『そうかもしれないな…』

 

『まぁ、初めて会った時は利害が一致したのもあるというか…半分賭けだったけどねぇ』

『それにあの作戦、一番文句を言いたかったのはヤマトでしょ?』

 

『なぜそう思う?』

 

『あの日…作戦説明の日…ヤマトすごく機嫌悪かったじゃん、だからあの後提督に何があったか聞きにいったんだ。

 鈴谷も最初にきいた時にはなんて無茶な作戦だって…ヤマトがあんなに怒るのも頷けるなって思ったわけ』

『でも作戦説明の後、ヤマトは何事もなかったかのように作戦に向けて準備してたじゃん?だから私が文句を言っちゃダメだなって、思ったんだ』

 

『そうか…鈴谷は優しいんだな、ありがとう』

 

『そうかな…』

 そんなこと面と向かって言われると恥ずかしいじゃん…と思う鈴谷だった。

 

『さぁ、着いたよ…体に障ると悪いし、今日は無理せず休んだ方がいいと思う』

ヤマトの部屋に着くと、鈴谷は言った。

『そうだな…ありがとう…それじゃあまた明日』

 

『うん…また明日』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 翌朝、新聞を読むとそこには作戦の成功をでかでかと取り扱った見出しがあった。

 

『何々…"沖田元帥に突撃インタビュー"だって!?』

ヤマトはその内容に驚くも、読み進める。

 

 ……今回の勝利は連合艦隊とヤマトの勝利と言えます。

ヤマト率いる別働隊が陽動として敵艦隊をおびき出したこと、制空権をとっていたこと。あげればキリがないですが、彼の活躍がなければ今回の勝利はあり得なかったと言えます。レイテ湾突入後、四面楚歌の中よくぞやってくれたと思います。さらに赤城や加賀からなる機動部隊の活躍も非常に重要だったと思います。しかしですね、その機動部隊の活躍もヤマト無しではあり得なかったわけですよ。彼はまさに英雄、人類の希望だと思います。あとは………

 

『沖田艦長…』

 新聞の一面に広がるヤマト推しの文章に、ヤマトは嬉しい反面、小っ恥ずかしかった。

 

『それ新刊?』

鈴谷が言うと続々と人が集まってくる。

『そうだ、昨日の作戦について大々的に取り扱われている』

 

『どれどれぇ…おっ、これで私たちも一躍有名人じゃん!』

 

『あれだけ大変な思いしたんだから、当然よね!』

 

『はらしょー!!』

 

『ほとんどヤマト君のことしか書いてないがな』

 

『提督、それは言わない約束だよ…』

 響がツッコむ

すると提督は思い出したように言った。

『そうそうヤマト君、また君に話さなければならないことがある。丁度いい、鈴谷、暁、響にも関係あることだし、ここで話してしまおう。』

 

『南二号作戦については聞いたかな?』

 

『いや、初耳だ…それで、南二号作戦とは?』

 

『南方の資源及び新物質"精神結晶"の獲得に向けた作戦だ』

 

『しかし今の我が軍は本土とフィリピンの防衛で手一杯でとてもそんなことを行える状態ではない…そこで白羽の矢が立ったのが君とその艦隊だよ』

 

提督が言うには先の是号作戦で見せた単独での作戦遂行能力の高さ、そして沖田元帥からの推薦もあるという。

元帥曰く、『彼ほどエレメントに精通している人物は今の地球にいないから、"精神結晶"とやらの調査にはうってつけだろう』ということらしい。

 

 『エレメントとやらがなんなのか私には点でわからないが、君にはそれが何かわかるのだろう?ヤマト君』

 

『分かるという程でもないが…大本営は俺に何を望んでいる?』

 

『詳しいことは知らないがおそらく大本営は艦娘を使って大東亜戦争をやり直す気なのだろう…そのためにも艦娘戦力で少しでもアメリカを上回りたいんだろうよ』

 

『それに、そもそもこの戦争に勝つためにはもっと多くの種類の艦の精神結晶が必要だ』

 

 一度使うと光を失う精神結晶の特性のため、艦娘の数を増やすのにも限界があるのだ…。艤装は改良できるが、艦娘の建造プロセスは謎のオーパーツに頼り切っているため改良しようもないのだという。

そのため精神結晶の数がそのまま艦娘の数となるのだ。

 

『とにかくだ、南二号作戦のために君達に新たな艦娘が与えられる』

 

『これは異例中の異例だが、大本営から独立した沖田元帥直属の艦隊となるらしい…』

 

 

第一独立遊撃艦隊と書かれた書類には新たに4人の新造艦娘を加えた艦隊について書かれていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    第一独立遊撃艦隊

旗艦  戦艦ヤマト

秘書艦 重巡鈴谷

 

    軽巡矢矧 (新造艦)

    空母龍驤 (新造艦)

    駆逐艦暁

       響

       雷 (新造艦)

       電 (新造艦)

 

 以上の艦隊を沖田一三元帥直属の艦隊とする。

 指揮権が大本営から独立しているため、旗艦が提督を兼任する。

 そのため旗艦補佐として秘書艦を必要とする。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『4人の新造艦娘…これですでに見つかっている精神結晶は全て使い果たした。君たちは大本営の…いや人類の勝利のための最後の希望だ…頼んだよ』

提督はカッコつけて言った。

『提督、探しましたよ!仕事抜け出して何してるんですか!』

 

『まぁなんだ、ちょっと気晴らしというか…それに仕事と関係ないわけでもなかったし…』

 

『問答無用です!南二号作戦…それに向けて終わらせなきゃいけない執務が沢山あるんですから…行きますよ、提督!』

提督は秘書艦である霧島に見つかると執務室へと連行されていった。

 

『提督せっかくかっこいいこと言ってたのに…これじゃあ台無しだね…はらしょー』

 

『そう?仕事抜け出してきてたんだし自業自得よ』

 

『暁は厳しいねぇ』

 

『当たり前よ!一人前のレディとしてエレファントさに欠ける行動は看過できないわ!』

 

 

 

 

『なぁ暁、それエレファントじゃなくてエレガントじゃないか…』

ヤマトがツッコミを入れる。

 

『そうとも言うわね!』

 

『そうとしか言わないと思うけどねぇ』

 

『なに鈴谷、私に喧嘩売ってるの?』

 

『へぇ、重巡が、駆逐艦ごときに、喧嘩をねぇ』

 

『そこまでだ!喧嘩は良くない!』

 

『だって鈴谷/暁が!』

 

『今回に関してはどっちも悪い!全く、同じ艦隊の仲間なんだから…喧嘩もほどほどにしてくれよ?』

 

 今でさえこんなにも大変なのに、4人も増えたらどうなるのだろうと今後を憂うヤマトだった。

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