数日後、提督に呼ばれ執務室へと行くとそこには4人の見知らぬ艦娘がいた。
『ヤマト君、紹介しよう…彼女達こそ新しく君の指揮下に入る艦娘…右から龍驤、矢矧、雷、電だ』
『あれ…提督の指揮下に入るんとちゃうんか?』
『それに大和って…あなたが?』
『色々疑問もあるだろうが、それはヤマト本人から聞いてくれ…私にはまだ、仕事があるからね』
ヤマトは説明責任を提督から押し付けられると仕方がないので自分の生い立ちや南二号作戦、第一独立遊撃艦隊について事細かに説明した。
『……と言うわけだ。つまり、この俺が君たちの提督代わりということになる』
『つまり貴方は"大和"ではないのですか?提督?』
『大日本帝国の大和とは少し違うが、その記憶を持っているのも事実だ…それと提督はよせ…ヤマトでいい』
『わかった…ヤマト。よろしく』
『あのっ!とりあえず、よろしくね!(なのです!)』
雷と電…2人の笑顔はとても眩しかった…。
『ところで君たちの訓練は済んでいるのか』
ヤマトが4人に尋ねる。
『もちろん、訓練では皆好成績を残している』
『そうやで!訓練を受けてないあんたとは違うっちゅうわけやな』
『そこまでいうなら、相当自信があるのだろう…1230からの実戦、楽しみにしている』
『私は認めとうないけどな!訓練もろくに受けてない艦息が提督代わりなんて』
そういうと龍驤は去っていった。
『ちょっ、待て!…はぁ…あの方向は…』
龍驤は執務室へと向かったようだ。
『今は確か鈴谷がいたはず…何も起こらなければいいが…』
『提督、なんで艦息が提督なんて…』
『彼は指揮官としても優秀だよ』
『だとしても認めとうない!提督は正規の士官課程を修めたわけでもない…何処の馬の骨ともわからんものの命令を信じろというんか!』
『だが…』
提督が"上の意向だ"という前に、鈴谷が飛び出した。
『さっきから聞いていれば…聞き捨てならないじゃん?』
『龍驤…だっけ?言いたいことはわかるけど、ヤマトのこと何にも知らないくせに勝手に判断しないで欲しいねぇ』
『それでもなぁ!…命を預けるに値するとは思えんのや!』
一触即発の状況…何かが起こる前に提督が動いた。
『それじゃあ一回一緒に戦ってみればいい…いやでも彼の凄さがわかるだろう…それでも嫌なら別の艦娘と入れ替えられるように私が努力するから、今は納得してくれないか?』
『…わかった』
どうやら一旦は龍驤も納得してくれたようだ。
『提督…甘過ぎじゃん』
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1230 出撃ドック
『さて…今日は南二号作戦へ向けて、我が第一独立遊撃艦隊が新たなる一歩を踏みだす門出の日だ!資源の獲得のため敵の勢力圏内で作戦行動を行うことは知っているな?各員、気を引き締めて作戦に臨んでほしい』
『了解!』
『よし!全艦抜錨、第一独立遊撃艦隊…出撃!』
艦隊は新たなメンバーを伴い出撃した。
『飛ばすぞ!途中台湾やフィリピンの前線基地で補給を受けるから燃料について心配はしなくていい』
そういうと艦隊は30ノットで巡航をはじめた。
翌日1300に艦隊は台湾に到着すると深夜には出発、レイテ湾に到着すると補給を受け、休息をとった。
流石に長距離航海は艦娘といえど堪えるのだ。
『いやぁ…流石に疲れたじゃん…駆逐艦の子達はもう寝てるし』
明日の作戦に向けて準備を進める鈴谷の前に矢矧が現れる。
『鈴谷は眠くないのか?』
『私はね…そんな眠くないし、それにヤマトがまだ仕事してるじゃん?』
『なるほど…秘書艦の勤めというわけか』
『あと…明日はヤマトと別行動になるし、私がしっかり作戦内容を把握しておかなきゃだしね』
『しかし…もう寝た方がいいのでは?それで明日の作戦行動に支障が出たら本末転倒よ?』
『確かに…後少し煮詰めたら寝るよ』
『それじゃあ、私は先に寝るよ…おやすみ、鈴谷…明日はよろしく頼む』
『ありがとう…おやすみ、矢矧』
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『アナライザー、精神結晶だが仮に軍艦のエレメントの結晶なのだとしてどこにあると思う?』
『クワシイコトハワカリマセンガ、シズンダグンカンヲサガセバナニカワカルノデハ?』
『そうだな…墓荒らしになってしまうが…明日は海底を探してみるか』
そしてヤマトは席を立つと明日のことを伝えに艦隊のみんなのもとへと向かった。
『もう遅いし流石にもうみんな寝たか…あいつ、無理しやがって』
机に突っ伏している鈴谷にコートを掛けるとヤマトも眠りについた。
翌朝、0800
『今日はここフィリピン周辺の精神結晶を採集するため、俺は潜航し海底へと行くことになる…みんなは現地守備隊に加わり待機となるが何かあった時は必ず俺に連絡してくれ』
『何か質問のあるものはいるか?』
どうやら質問のあるものはいなさそうだ。
『それでは解散!』
『鈴谷、今日は頼んだよ』
『みんなのことは任せてよ!ヤマトも頑張ってね!』
『あぁ、任せておけ!』
『それじゃあいってらっしゃい』
『あぁ、行ってくる』
かくしてヤマトは精神結晶を回収しに動いたのだった。
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『さて、潜るとしようかな』
ヤマトは潜水艦行動で航行を開始すると、潜航する。
『そろそろ海底が見えてくる頃合いのはず…なんだあれは!』
そこにあったのは戦艦『武蔵』の残骸とそれにこびりつく無数の結晶だった。
『これが…艦娘の素というわけか』
いくつかの精神結晶を回収すると武蔵のもとを離れる。
『コレハ…マチガイナクエレメントノケッショウデス…イスカンダルデミタモノトデータガイッチシマス』
アナライザーの分析結果からも精神結晶の出所がイスカンダル…あるいはそれ以上の高度文明のものである可能性が高いとわかった。
そこから艦娘が生まれるということは…
『とにかくこれで精神結晶…いや、在りし日の海軍艦艇…そのエレメントを集めることはできたか。
しばらく周辺海域を探索すると結晶に覆われた艦の残骸を何度も目の当たりにする。
『これは…どういうことなんだろうか』
海底のどこかに艦をエレメント化するものでもあるのか…あるいは深海棲艦がそうなのか…。
しばらく考えつつヤマトは採集を続けた。
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その頃、しばらく何も無かったので矢矧と龍驤は昼食をとっていた。
『どう?上官としてのヤマトは認められそう?』
『まだ半信半疑やな…悪い人ではないんやろうけど…深海棲艦と戦ったわけでもないし…』
『私は最初から信じてるけどね…仮にも『ヤマト』の名を冠する艦なわけだし』
『艦だった時の記憶?』
『そうね…あの人からも、あの"大和"と同じものを感じる気がするのよね』
『だからあなたも、我らが上官を信じてみたら?訓練を受けたからって必ずしも良い上官になるというわけではないと思うのよ』
『せやなぁ…』
しかし龍驤が口を開く前に状況は一変する。
『敵襲!敵襲!第一独立遊撃艦隊は出撃せよ!』
ヤマト艦隊は全艦艤装を展開するとすぐさま敵艦隊へ相対する。
『全艦、砲雷激戦用意!龍驤は航空隊を発艦!』
鈴谷の命令に従い、全艦攻撃を開始する。
『爆撃機は、そこの駆逐艦に…雷撃機はそこの戦艦に…味方に直掩機もつけて…』
初の戦闘だったが龍驤の采配は完璧だった。
航空隊の援護もあり、水雷戦隊はなんとか敵艦隊へと切り込む。
『龍驤やるのです!』
『私たちも負けてられない!』
『そうね!』
『はらしょー!』
『ではやろう…全艦魚雷発射!』
水雷戦隊は矢矧の号令と共に魚雷を流す。
『全艦、回避!』
敵艦隊の旗艦が命ずるも魚雷は命中、敵の水雷戦隊は壊滅した。
しかし敵の攻撃は激しさを増す。
魚雷を撃ち尽くした今前線にいた水雷戦隊では敵の主力に対し劣勢を強いられていた。
『まずい、第二次攻撃隊発艦や!』
この時龍驤は航空隊の指揮に夢中で前に出過ぎていることに…敵の水雷戦隊の置き土産が迫っていることに気づいていなかった。
『危ない!』
鈴谷が助けに入るも少し動くのが遅かったのか、鈴谷に魚雷が命中する。
『鈴谷!大丈夫なんか?ごめん!うちのせいで…』
『いいから…今航空隊の援護がなくなったら前に出てる水雷戦隊が危ないじゃん?だから早く下がって!』
『了解!』
『さて…ここは敵艦隊の真ん前、速力は低下したけど機関はなんとか動いている、魚雷も捨てたから誘爆の心配はない…が』
目の前に迫るレ級相手に既になす術がなかった。
『ここまでかぁ、ごめん熊野…もう会えないかも』
レ級の主砲が火を吹くと鈴谷は死を覚悟した。
瞬間、その砲身を青い光が貫くと、鈴谷にレ級の攻撃が当たることはなかった。
天空より舞い降りる艦…その名は…
『ヤマト!どうしてここに』
『話は後だ…援護する、鈴谷は急いで下がるんだ!』
『わかった…』
するとヤマトはショックカノン、ミサイル、パルスレーザーの一斉射撃を行う。
そのどれもが敵艦を正確に貫くも撃沈に至らぬ艦も複数あった。
パルスレーザーでは威力不足だったのだろう。
それでも敵艦隊の注意を逸らすのには十分だった。
『今だ!水雷戦隊は鈴谷と合流、陣形を立て直せ!撃てるものから順次攻撃を開始せよ!』
ヤマト艦隊は再びまとまりを見せると敵艦隊を撃破、なんとか難を逃れることができた。
『鈴谷が大破、その他の艦も損害を出している…これ以上の作戦継続は不可能と判断するため、これより帰投する』
こうしてヤマト艦隊の初戦闘は幕を下ろしたのだった。
『まだ俺のことは認められないか?』
ヤマトは龍驤に言った。
『そんなことないで…さっきのあんたの指揮は凄かった…それとさっきはほんまごめんな…うちが何も考えずに前に出たせいで鈴谷が…』
『そんなの気にしてないし、落ち込むことはないじゃん?』
『最初はみんなそんなもんだ、落ち込むことはないさ…それに航空隊の扱いは完璧といっていいほどだったし初陣であることを考えれば大したものだ…これからもよろしくな』
『ヤマトさん…鈴谷さん…うちあんたらに一生ついてくわ!』
龍驤からキラキラした目で見られるヤマトと鈴谷だった。
『そういえば、ヤマトさっきは海底にいたはずじゃん、連絡もなしになんで来れたの?』
『水中爆発音が聞こえたのでな…念の為駆けつけたわけだが…』
そこで矢矧が疑問を口にする
『あれ?フィリピン本土からはかなり離れていたはずじゃ』
『たしかに…外洋で戦ってた』
『地獄耳だねぇ…』
『ちょっと怖いのです』
『やっぱついてくのやめとくわ…』
『誤解だ…俺は盗み聞きのような真似はしない!』
ヤマトは弁明するも時既に遅し…全員からジト目で見られていた。
何はともあれ新たなメンバーとも打ち解け、第一独立遊撃艦隊…通称"ヤマト艦隊"は母港である呉へと向かうのだった。