終末世界の転生傭兵は、かつての愛機と再会して無双する。 作:Yura0628
『こちらベータリーダー。レーダーコンタクト、敵の本命は〈イーグル〉だ』
『了解。イオタ、シエナ両チームは艦隊前方30km地点にて待機。アルファ及びシグマは一度帰還し武装換装後再出撃』
司令部とベータリーダーの通信を聞きながら、俺は送られて来た情報に目を通す。
ベータチームが捕捉した機影は極超音速で艦隊に接近しており、その過程で俺達の居る空域を通過するらしい。嫌な予感が当たったな。
『おいおいマジかよ』
『とうとう出てきたか、クリム連邦の〈ネームド〉、
イーグル…クリム連邦が擁する
しかし、今回は違ったようだ。
「俺がイーグルの相手をする。ガンマチームは出来るだけ離れてろ」
『あぁ、そうさせてもらう。流石にネームドを相手に出来る程俺達は強くねぇしな』
「それで良い、自分の力量を正確に把握できるやつは長生きするぜ?」
『……偶に俺はハルが18って事を忘れそうになるんだが』
そりゃ、前世込みで30年以上生きてるし…何にせよ、俺がイーグルを止めないと艦隊が危ない。ただ問題は、向こうはワンオフ機なのに対しこっちは量産機な事だ。
有象無象を相手にするだけならこの〈アンタレス〉でも十分だが、ネームド相手は負けはせずとも撃墜は無理だろう。
エースは機体を選ばない、何て話もあるが、結局そんなもの場合によるとしか言えない。ただ分かるのは、俺はこれから機体性能というハンデを背負った上で同格の相手と戦わなければならないという事。
…苦戦は必至だ。
『アンリアル、敵との距離50、もう来るぞ』
「何処までやれるかなっと…」
一応こっちとしてはイーグルに艦隊攻撃を諦めさせ撤退させれば勝ち。つまり撃墜する必要はなく、一定以上の損傷を与えれば良い。幾らネームドでも手負いの状態で挑めるほどタイタン艦隊は弱くないからな…っと、来たか。
「…
———アンリアルより司令部、本機正面、距離5000、方位0-0-0。同高度に敵影確認。色は深緑、背部にロングライフルらしきものをマウントしている。
…瞬間、俺の目の前が真っ白になる。双方のビームセイバーが反発し合いスパーク、眩い閃光を発したためだ。
しかし…この程度で俺が退く事は無い。
『俺を止めるか』
「止めなきゃならんのでね」
オープンチャンネルで話しかけてくるイーグル。低い男の声…そこまで驚きはないが、相手のパイロットの情報が知れたのは予想外ではある。
同時に、機体の関節部から金属が軋む音が鳴り始めた。
(クソ、パワーの差で徐々に押し込まれてる…だが機動性で勝てるとも思えん。どうするか)
早速機体性能の差で押され始めた。イーグルの機体は機動性に振っているためまだ抵抗出来てるが、それでもアンタレスより膂力は強いらしい。ビームセイバーの出力は負けてない以上、下手に抵抗すると機体のフレームに影響が出る。
『そのエンブレム、アンリアルだな。なら俺に相対してくるのも納得だ』
「へぇ、俺のこと知ってるのか」
応えながら俺はこれ以上の鍔迫り合いは不利と判断し、バックブーストで距離を取る。対してイーグルはその場に留まり、その黄色いバイザーをこちらに向けてきた。
『タイタン艦隊の守護者。専属機がない貧乏人。量産機で凄まじい戦果を上げるイカれ野郎…他にも色々言われてるぞ。こんだけ噂になってりゃ嫌でも耳に入るさ』
「……」
1番最初良かったのに、後二つで台無しだ。特に二つ目の貧乏人って何だよ、これでもそれなりに稼いでんだぞ。
「…まぁ、良い。何て言われようが俺は俺の役目を果たすだけだ」
『そうか…ではお手並み拝見といこう』
刹那、俺の前からイーグルの姿がかき消える。同時に後部警戒アラートが鳴り響き、俺は反射的にシールドで後方を薙ぐ。
するとシールドをマウントする左腕を衝撃が襲い視線を向ける…俺の予想通り、イーグルのビームセイバーをシールドが防ぎ止めていた。
『防いだか』
「流石にな…ハァッ!」
右手に持たせたビームセイバーで動きが止まったイーグルを斬りつける。だがイーグルは機体を翻して剣閃を躱し、ビームライフルを撃ち放ちつつ下降。大推力に物を言わせ、下から切り掛かってくる。
冷静にタイミングを見極めてビームセイバーで再び攻撃を防ぐが…ッ、機体の反応が…!
『一瞬反応が遅れたな。その機体では当然か』
「…だからなんだ」
言いながらペダルを踏み込み、鍔迫り合いの状態から脱する。そして急上昇からの撃ち下ろし射撃で牽制すると共に、艦隊へ通信を入れた。
「アンリアルよりスカイホルン、敵ネームドは未だ押さえてる、早く通常戦力を片付けて援護に来てくれ」
『行きたいのはヤマヤマだが増援が来やがったせいでこっちも手一杯だ!もう少し耐えろ!』
マジかよ。ここに来て増援はマズイ。
本命は間違いなく目の前のコイツだろうが、イーグルが抑えられた時に備えて2つ目の本命まで用意してたのか?
(こっからどうするか…グッ!?)
衝撃。
咄嗟に機体を捻ったが、ビームを左肩に被弾してしまう。致命傷では無いものの、左腕の動きは阻害されてしまうだろう。
『どうした、動きの鋭さが落ちたぞ』
「チィッ」
受けた損傷は仕方ない。それよりもここから巻き返すにはどうすれば良いか考えろ…!
『他人の事を気にする余裕があるとは、余程自信があるようだな』
「うるせぇ…なッ!」
叫びながら、再び接近してきたイーグルへビームセイバーを振るう…だが当然の如く躱され、反撃の回し蹴りを胴体に受けてしまう。
シールドを間に挟んで衝撃は緩和したが、これのせいで高度不利に陥ってしまった。
「ヤバいッ!」
無論イーグルはこのタイミングを見逃さず、重力の助けを借りて高速で突撃してくる。その勢いのまま上段から大振りに行われる攻撃…咄嗟に防ぎ止めたが、凄まじい衝撃が俺を襲う。
また機体の駆動系にエラーが生じ、視界の端で関節から火花が散ったのを俺は見逃さなかった。
『諦めろ、腕が同じ程度なら機体性能が勝敗を分ける。むしろ量産機でここまでやれるのは貴様の腕故だろう』
言いながら左手にもビームセイバーを持たせて切り掛かってくるイーグル。何とか左腕の攻撃は防ぎ止めたが、右腕の攻撃は頭部を掠め—————左肩口から先を切断した。
「クソッタレ…!」