終末世界の転生傭兵は、かつての愛機と再会して無双する。   作:Yura0628

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被撃墜、そして再会

 

 

 

シールドを左腕と共に失った俺は、刹那の判断でスラスターを吹かせイーグルから急速離脱、間髪入れずに急接近を行い、ビームセイバーを構えてすれ違いざまに振り抜く。

 

しかし…

 

『シールドを失った今、射撃を受けたら不利になる。そう考えて突っ込んできたんだろうが…如何せん機体の動きが遅い』

 

読み合い以前に反応が間に合ってしまうぞ。と、イーグルは言いながら余裕を持って俺の攻撃を受け止める。だが奴はそこで動きを止め、もう片方の腕を動かす素振りすらしない。

 

「俺を殺るには片腕で充分ってか」

 

『別にそのような事は思っていないが…』

 

「どうだかッ」

 

ビームセイバーを弾き、閃光と共に急降下。腕部に内蔵された小型ビームガンを連射しながら俺は再び敵機へと接近。

 

武器の持ち替えすらままならない今、イーグルの射撃に晒されっぱなしでは勝ち目はゼロだ。

 

勝ち筋があるとしたら、極至近距離での格闘戦闘—————!!

 

 

ビームセイバーを、振るう。だが、

 

 

「…あぁ、テメェはそうするよなッ!」

 

俺の攻撃に付き合わず、イーグルはバックブースト。冷静にライフルを構え正確無比な射撃を撃ち放ってくる。

 

どうにか射撃を掻い潜り接近しようとするが、機動性で負けているため追いつく事が出来ない。

 

(クソが…!)

 

『もう良い。貴様程の腕のパイロットに相応の機体を与えず、あまつさえ単独で俺の相手をさせるタイタン艦隊は俺が殲滅する。エースへの冒涜を償わせてやる』

 

「何ィ…?んな事させる訳ねぇだろ…!」

 

『貴様はボロボロ、俺は無傷。この事実が全てを示している。本当は分かってるんだろう?今のお前は俺に触れられない…対等な勝負で、貴様と相見えたかった』

 

 

言ってスラスターを全開にするイーグル。

 

ライフルを腰にマウントして両腕にビームセイバーを握らせ、真正面に俺へと突っ込んでくる。

 

…決める気か。

 

可能性は一瞬。0.1秒のズレなく奴へ斬撃を叩き込むしかない!

 

 

『往くぞ、蒼穹の番兵(センチネル)……!!』

 

 

一瞬で彼我の距離が縮まる。そして双方ノーガードで剣を振るい…

 

『———ッ!!!』

 

「クッ———」

 

…俺の剣は奴の脇腹へ斬撃痕を残し、奴の剣は俺の胴体を()()()()()()()()

 

「ダメか…!」

 

計器の殆どが赤表示に変わり、重大な損傷を受けた事を知らせるアラートが容赦なく俺の耳に叩き込まれる。

 

また脊椎フレームにまで達した傷は機体の右半身の操作を不可能にさせ、通常の機体制御すらままならなくなった。

 

(慣性制御はまだ生きてる、だが右半身が死んでる現状では出力が…!)

 

『貴様は良くやった。幸いこの下は島が点在している、もし貴様がこの後生き延びたなら、相応の機体を以て再び相見える事を期待する』

 

それだけ言い残し、イーグルは機体を反転させタイタン艦隊へスラスターの軌跡を残しながら去っていった。

 

完全な敗北。機体のせいと言い訳することも出来るが、そんな事をしても無意味に他ならない。

 

ただ言えるのは、俺が敗れたことでほぼ無傷のイーグルをタイタン艦隊へ向かわせてしまったことと、墜落同然の状態に陥っている事。それだけだ。

 

「アンリアルより司令部ッ!当機は現在戦闘不能、イーグルは依然健在!襲撃に備えられたし!」

 

通信を開き、俺はマイクに向けて怒鳴り声を上げる。

 

返答はない、だが聞こえてはいるはずだ。奴が艦隊に辿り着くまでどれだけ掛かるかは分からないが…少しでも備えられればマシになるだろう。

 

また同時に、せめてもう少し損傷を与えられれば…など思いが巡るが、後悔したところで現状が変わる訳じゃない。今するべきなのは—————

 

その瞬間だ。俺の通信機から雑音に塗れた機械音声が聞こえてきたのは。

 

『…より………当方の…導に…』

 

発信源を探ると、真下の無人島から電波が発されている事が分かった。それにここは、タイタン艦隊が目指していた座標か。いつの間に移動して来ていたのだろう。

 

『繰…返…す…方の誘…に…い、指……標……陸……く…さい』

 

再び聞こえてくる機械音声。

 

一体何者が、とか普通は考えるのだろう。しかし俺は不思議とその声に吸い寄せられるよう機体を降下させ、何とか熱帯林の中へ着陸に成功する。

 

(慣性制御が生きていて幸いだった)

 

ハッチを開け、自衛用のハンドビームガンを取り出して俺は機体から飛び降りる。

 

周囲は青々とした植物の世界が広がり、思わずこの世界が終末世界だという事を忘れそうだ。

 

…ってちょっと待て、降りてから気づいた。もしこれがヴォイドの誘き寄せる罠だったりしたら俺は最悪の選択をした事になる。

 

TFに乗ってる時なら余程の奴じゃない限り怖くは無いが、生身の今襲われたらたまったもんじゃ無い。

 

(どうかヴォイドじゃありませんように…)

 

思いながら、俺は通信の発信源と思われる場所へ歩みを進める。そうしてしばらく進むと、森林の中に突然巨大な建造物が現れた。

 

俺の前世でよく見た格納庫(ハンガー)のような建造物は、天井が崩落し一部の骨組みが剥き出しになっていて、更に蔦が巻き付きその状態のまま長い間放置されていたらしい。

 

まさか旧時代の遺跡か、と思うと同時に、俺はこの建造物に見覚えがあるような気がした。

 

(それこそ、俺が()()()と別れたあの場所に、ここは似てる)

 

確信も根拠もない。あくまでそんな気がするというだけだが、どうにも俺は目の前の建造物から目が離せない。

 

「…入ってみるか」

 

幸い入り口はすぐに見つかった。ただ長年の放置でドアは錆び付き、開けるのも一苦労だ。

 

…そして入った格納庫の中は、鋼鉄の巨人の墓場だった。

 

「やっぱり、な」

 

ビームガンを構えつつ俺は格納庫を歩いていく。

 

両脇には駐機スポットが連続して配置され所々空きはあるものの、その殆どに傷付いたロボット——前世の呼び名は〈OF〉(オペレーションフレーム)だったか、が、コックピットを晒したまま佇んでいた。

 

あの戦争の末期、機体だけが生産されパイロットの供給が追い付かなくなった名残だ。

 

かつての面影しか残っていない寂寥な光景に、俺はやるせなさを覚えながら歩みを進めていく。

 

そして格納庫の最奥部…ボロボロになりながらも膝立ちの姿勢のまま佇む()()()()()()の前で、俺は足を止めた。

 

———TOF-007BW〈センチネル〉

 

「まさかと思ったが、本当にお前が居るとは。……久しぶりだな、相棒」

 

『…お久しぶりです、マスター』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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