終末世界の転生傭兵は、かつての愛機と再会して無双する。   作:Yura0628

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凱旋と問い

 

 

 

『…何だと』

 

短く呟き、ビームセイバーを構えたまま停止したイーグル。油断を誘う行為か、はたまた予想外の事態が起こったか。

 

どちらにせよ、俺はただ前へ前へと機動する。

 

《ッ、マスター!》

 

「何ッ」

 

しかし振り下ろしたビームブレードは空を斬り、代わりにビーム粒子の雨がこちらへと降り注ぐ。それは一条にあらず、まさしく散弾銃の様に。

 

(ショットモードか…)

 

機体の損傷は軽微。だが完全に無視する事は出来ない。

 

《装甲損壊率は12%、修復開始します》

 

淡い燐光が装甲から立ち昇る。ナノマシンによる修復は高速戦闘下でも十分効力を発揮するが、やはり()()()()()()()のが難点だ。

 

「最も、この程度なら問題ないか」

 

言ってペダルを踏み込む…スラスター全開。

 

ソニックブームと共にイーグルへと肉薄し、左腕に内蔵された腕部ビーム砲〈タリスマン〉を撃ち放つ。

 

『……』

 

「…何故反撃しない」

 

だが先の攻撃と違いイーグルは反撃する素振りもなくただ回避に専念。こちらから距離を離し、その手に持つ武器を納めた。

 

『……時間らしい。いつか再び剣を交わらせる事を期待する』

 

「は?おい待て—————」

 

俺の発言を聞き終える事なく、イーグルは背を向けてこの場から離脱する。俺達が呆気に取られている内に他のTFも撤収を始め、数十秒後には戦闘の後の静けさだけが漂っていた。

 

《敵部隊、本機のレーダー範囲外から離脱しました》

 

「何だってんだ?」

 

あれだけの気迫をもって戦っていた相手にいきなり退がられると、どうにも落ち着かないと言うか、肩透かしを食らった気分というか。

 

でも一旦はタイタン艦隊を守れたから良い…だろう。うん。

 

『あー…こちらスカイホルン。敵部隊は完全に撤収した模様。よって戦闘状況の終了を宣言する。航空隊は順次帰還し、各艦はダメージコントロールを継続しつつ損傷が大きい艦の救援に当たれ』

 

スカイホルンの言葉で、バラバラになっていた艦隊全体が一斉に動き始める。

 

戦闘艦は周囲の警戒並びにTFの収容。居住船及び救難艦はクレイオス他、損傷の大きい艦からの人員受け入れを行う。

 

《マスター、友軍部隊が探知範囲内に》

 

視線を向けた先、夕暮れの水平線を背負った無数の人型がこちらへ接近して来ていた。

 

遠征派遣団…1ヶ月に一回編成されるTF数百機による探索部隊。今回はタイタン艦隊の資源補給地の発見が目的で編成され、これの帰還途上にタイタン艦隊が襲撃を受けた。一旦は彼らに大至急帰還する様指示した様だが、結局彼等が辿り着く前に戦闘は終結した…と、こんなものか。

 

ただ、俺とすれ違うTFの殆どのスラスターは焦げつき、大急ぎで戻ってきた事は分かる。

 

『こちらオメガリーダー。遠征派遣団全機帰還した。間に合わなくてすまない』

 

『構わない、結果として俺たちは生きている』

 

全体通信で行われるやり取りに耳を傾けながら、俺はディスプレイに示された帰還指示に従い、オーケアノスの甲板へと向かう。

 

《ガイドビーコン捕捉。着艦態勢に入ります》

 

俺が飛び立った時は無傷で整然としていた甲板は、戦闘の影響で至る所が損壊し一部では甲板そのものが捲れている箇所も存在した。また損傷したTFが乱雑に並べられ、着艦スポットと2本のカタパルト上を除く殆どが埋め尽くされている。

 

全長600mを超える航空母艦の甲板が、だ。

 

…どれだけ激しい戦闘だったのか、想像に難くない。

 

「こちらアンリアル。着艦許可を」

 

『許可する。任務ご苦労だった』

 

センチネルのIDを自身のIDと同調させ俺は着艦スポットに降り立つと、固定アームごと艦内格納庫へと運ばれていく。

 

そしてやはりと言うべきか、オーケアノスの乗組員からかなりの視線を集めている。いきなり見知らぬ人型が着艦してきたのだから当然だ。

 

若干の居心地の悪さを感じながら俺は自身の駐機スポットに運搬され、機体のメインシステムを落とす。やがて、動力炉の音が消えたのを聞き届けた俺はコックピットハッチを開けた。

 

またこの際、俺の首元にはセンチネルとのリンクデバイスが装着され機体とパイロットが離れてもお互いの状況を把握することが出来る…が、いまはどうでも良い。

 

機体から降りた俺を待ち受けていたのは、ワッという歓声だった。

 

「流石はアンリアルだ!」

 

「やったな!」

 

「またお前に救われちまった」

 

ちょちょちょ、めっちゃ揉みくちゃにされるんですけど。むさ苦しい男共に囲まれても嬉しくねぇッての!

 

-マスターの交友関係が良好な様で安心しました-

 

そしてテメェは誰目線だよ!?

 

 

 

 

 

 

「以上が俺がイーグルに撃墜された後の出来事だ」

 

「…俄には信じがたいが、まぁお前が言うなら本当なんだろうな」

 

あれから何とか囲みを突破した俺は、オーケアノスの司令室で尋問…という体をした軽い質問を受けていた。

 

主題はもちろんセンチネルの事だ。

 

流石に転生云々は信じてもらえる訳がないため、墜落してからセンチネルを発見し、偶々俺とセンチネルが適合するパイロットだったため乗ることが出来た、ってな感じの事を言ったんだが…やっぱ日頃の行いって大切だな。

 

だが俺が呑気に思っているのと対照的に、タイタン艦隊の幹部陣はやや難しい顔をしていた。

 

「うーむ、貴官の話を信じるなら、あのTFは古代兵器って事になる。無論傭兵である君が発見し、機体に適合するのが貴官だけな以上我々が何か言う事はないが、他勢力からしたら詳細不明の古代兵器は喉から手が出るほど欲しい存在のはずだ。今後センチネルを狙って襲撃が行われる可能性はゼロでは無い」

 

「それは確かに…」

 

言われて俺は、イーグルに十連の導星の話をしたのは迂闊だったと内省する。そも、兵器の生産能力を保有する勢力自体多く無いため、もしイーグルからセンチネルの事が他勢力にも広がればかなり面倒な事になるだろう。

 

それに、俺がアンタレスに乗ってたのは()()()()()()()()()()()()()って説明出来なかったし。

 

「まぁ起こってしまった事は仕方ないと割り切ろう。一先ず司令部としては君の処遇について変えるつもりはない。今後も君を雇わせてもらおう。これからもよろしく頼む」

 

「こちらこそ」

 

そう言って俺は()()()()()()()()()()と握手を交わし、自分の席へ座る。

 

「…では、2つ目の話に入ろうか」

 

俺の着席を確認した司令長官は一気にその雰囲気を鋭くさせ、威厳のある声で告げた。

 

「遠征派遣団が発見した太古の資源プラットフォーム。我が艦隊の次の補給地になる可能性がある場についてだ」

 

 

 

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