現代パロな多重クロス世界だと思ったらゴジュウジャーな仮面ライダーの世界でもあった件   作:名無しのモンスター

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初めての読者参加型小説です。

あけましておめでとうございます‼︎ 今年もよろしくお願いします‼︎




転生してからしばらく経ち……

 

 まるでチェス盤のような白黒の市松模様の床が広がり、壁も天井も無いように見える薄暗い空間。その空間の中央にて、俺はいつの間にか立っていた。

 何故俺はこんなところにいるというのか。そう疑問に感じ首を傾げながら辺りを見渡していると。

 

 ───少年よ、本気で叶えたい願いはあるか?

 

 エコーのかかった低い声が、俺の耳に伝わってきた。誰だ? と思いながらそれを口にしようとするが、不思議と言葉が出なかった。まるで会話の中での静寂を求められているかのように。

 

 ───無ければ見つけよ。そして叶えるために試練を乗り越えよ。

 

 何故叶えたい願いを見つけ、その願いのために何かに挑まなければいけないのか。そんな疑念を感じている中……何処からか、朱色の光が黒い空間を照らし。

 

 ───願いを叶えようとする意志が、世界に平和を取り戻す事だろう。

 

 その光が放たれている方向から、1匹の巨大な鳥獣のシルエットが見えた───

 

 

 

 

 

 

「………………またあの夢(・・・・・)、か」

 

 気がついた時には、俺はとあるシェアルームのベッドの上だった。

 鮮明に、何かに声を掛けられ、デカい鳥のシルエットの見える朱い光を浴びた……そんな夢の中での記憶が、俺の脳内に不思議かつはっきりと刻まれていた。

 しかもこれ、今日で7日連続……つまり1週間も同じ内容を見ている事になる。何とも不気味で、その夢の中にいつまでも囚われているかのような気がした。

 

「……転生してから何も起きてないせいか(・・・・・・・・・・・・・・・・)、変な現象を無意識に想像してたのか? 我ながら嫌な現象だぜ……」

 

 突然話は変わるが、俺は今の言葉の通り転生者だ。

 火災に巻き込まれて死んだら、いつの間にか赤ちゃんになってたんだよ。しかもその頃から記憶と意識があるもんだから、母乳のために母親の乳首を吸うのに結構抵抗があった……

 その時の記憶も、忘れたいのに今でも鮮明に覚えてます。小さい頃の自分の記憶力を舐めてたわ。つらたん。

 転生した世界は、前世と同じ現代世界だった。結局記憶を保持したまま別の赤ちゃんになっただけ? 異世界転生ではない? って思ってショックを受けたな。そこも今だも覚えている。あーもぉう……

 けど、そう思っていたのは、今では昔の話。あの憂鬱だった記憶は、高校に入ってからはそんなに酷ではなくなっていった。何故なら……

 

「起きろ浩司‼︎ 朝飯できてるってよ‼︎」

「……あぁ。おはようシャロット(・・・・・)。今行くからちょっと待っててくれ」

「いっけね、挨拶忘れてた。おはよう、だな‼︎」

「おはよう浩司。朝ご飯できてるから、着替えたら座って待ってて」

「おはよう立香(・・)。悪いな、結構な頻度で朝飯作ってもらって。食堂もあるのに」

「いいって、趣味でやってるんだから」

 

 頭頂部に後ろ髪数本の太いスパイクが逆立ち、額の中央から1本太く右側に斜めに流れている前髪、そして鋭い碧眼を持つ少年・ドラゴンボールレジェンズのシャロット。

 

 少々外ハネ気味の黒い短髪で、海や青空を思わせる青い瞳を持つ少年・Fate/GrandOrderの藤丸立香。

 

 彼等みたいな漫画・アニメ・ゲームのキャラ達と一緒に、高校生活を満喫できる。それを理解した事で、これまでの憂鬱だった出来事が全て吹っ飛んだんだ。

 全員現代パロに合わせているし、シャロットなんか公式というかドラゴンボールの世界でほぼ全員が名字を公開されてないのに、『サダラ』という名字が付いて現代人っぽくなってるしで、『これのようでこれじゃない感』はあるっちゃあるけど……

 それでも、その二次元のキャラ達が容姿・声質・性格どれも本家と同じだと分かるだけで、『こいつ二次元のキャラじゃん‼︎』『二次元のキャラと同じ学校に通えるとかラッキー‼︎』ってなるよなマジで‼︎ 初めてそういう奴と会った時もそんな感じだったし‼︎

 

「……? どうかした? 急にニコニコとして」

「あっすまん、別に大した事じゃないんだ」

「そうか? まぁいいや、とにかく食って学校行こうぜ‼︎」

「そうだな。特に立香は、同級生なのに先輩呼びで愛を向けられてる恋人を待たせるわけにはいかないしな」

「ちょっ⁉︎ お、俺とマシュは別にそういう関係じゃ……」

 

 そんなこんなで、俺は二次元のキャラ達がいる高大一貫校──東京都立多重奏高大一貫学園に通える事に満足しています。やっぱり異世界転生はサイコー‼︎

 

 

 

 

 

 

 東京都立多重奏高大一貫学園。

 

 通ってる生徒も働いてる教師もみんな変わり者ばかりなもので、多重奏高大一貫学園の生徒と名乗るだけで、周囲の普通の人間ならば十メートルほど彼らから距離を置くだろう。彼らの人間性を理解できるまでは、の話だが。

 多重奏高大一貫学園の人間性を知ってしまえば最後、その高大一貫校への入学を試みる者達が殺到してくる。

 そのため多重奏高大一貫学園は、それなりに立派なマンションのような多くの学生寮が建てられる程、とんでもないマンモス校となっている。毎年多数の入学希望者が出る一つの理由としては、その話題性だろう。

 

 何故マンション並の学生寮も建てる事ができる程に広いのか? それはその土地が元々空港滑走路として使うはずの土地だったからだ。

 しかし、その土地を滑走路にしようとした航空会社が、十数年前の大火災によって大きな被害を受け倒産。その後はとある大企業が土地を購入した事により、その財政の力も相まって、現在に至るというわけだ。

 

 偏差値は……まぁ、高大一貫校の学園だから当然低くはないが、かといって高くもない……思ったよりも中間って感じだった。だから俺も受かったってわけだ。

 ……でも転生者である俺も受かったとなると、この世界で本来受かるはずの奴の合格を奪ったって事になるよな……? なんか申し訳なくなってきた。名も知らぬ受験生よ、マジですまぬ……

 だが、決まってしまったものは仕方ないと割り切ろう。落ちてしまったその人の分まで学園生活をより良いものにするって決めているしな。

 

「(って、1人で何この学校の事を簡潔に振り返ってんだ俺)」

「「(みたいな顔してるのは気のせいか[な]……? というかなんで学校の事を振り返って……?)」」

 

 と、そんな事を考えていると。とある人影が見えたので俺はそいつに向かって声を掛ける事にした。

 

後藤(・・)……じゃなくてひとり(・・・)、おはよう」

「あっ、立向居君……あっいや、浩司君、だった。おはようございます……あっ後、サダラ君と藤丸君も……」

「おう、おはよう」

「おはよう後藤さん」

 

 腰まで伸びた淡いピンク色のストレートロングヘアを、青と黄色の2個構成なキューブ状のヘアピンで少し纏め、女子の皆が制服を着ている中で1人だけ上だけピンク色のジャージを着ている少女(あ、他にもスカートの下に赤いジャージを着ている人もいたような……まいっか)。

 

 彼女は後藤ひとり。ぼっち・ざ・ろっく!の主人公。あだ名は『ぼっち』『ぼっちちゃん』。

 主に売れ線の楽曲を扱うカバー動画投稿者『ギターヒーロー』として高評価を得ている子で、今は『結束バンド』というバンドでギター担当を務めている。

 彼女、ソロでのギターの腕前はかなり良きもので、今ではバンドでの演奏もだんだんと上手くなってきている。

 それもあってか、入学当初は彼女自身の対人恐怖症レベルのコミュ症も相まって影が薄いって感じだったのが、最近注目を浴びてきている成長した子となったのだ。良い方向にも悪い方向にも……だけど。

 

 ちなみに俺と彼女の馴れ初めは、同じ学校にいた喜多さんこと喜多郁代が結束バンドに加入(というか再加入)した翌日、教室でギターを背負っている彼女を見かけてつい声を掛けたのが始まりだったな。なんであの1ヶ月弱も彼女の存在に気づかなかったんだって話だけど……

 その時から、彼女のコンディションやペースに合わせて会話したり、彼女が緊張しすぎないように褒めちぎりを慎重に行ったりしてたなー。それから仲良くなっていって……

 そういえば、結束バンドの集合写真を撮ってからは、うっかりパンツを見せてしまった事を気にしているという理由で下もジャージにするはずなんだけど、今日までそうしてなかったな彼女は。俺が『見られるのは良くないけど無価値じゃない』って言ったからか? 別にどっちでもいいけど。

 

「今日はいつもより着くのが早いな。電車、いつもよりも1本早く乗ったのか?」

「えっ? あっ……そ、その……実は……」

 

 ふと気づいた事を聞けば、ひとりは突然頬を赤らめ、しどろもどろな感じになりながらも上目遣いになった。ちょっ待っやめて? その反応は可愛すぎるって。こっちまで結構ドキドキするって。

 と思っていたら。

 

「その事なんだけど、いいかな?」

「ひゅえっ⁉︎」

 

 いつの間にか俺とひとりの間に、1人の少女が音や気配も感じさせない内に姿を現した。

 黒い短髪のポニーテールをし、首に赤いスカーフを掛けた琥珀色の少女・閃乱カグラの飛鳥である。

 伝説の忍である服部 半蔵の子孫であるためか、本家レベルには遠いが忍者らしい身体能力や忍術が使えるようだ。リアルファイトで使えるレベルでは無さそうだが。

 

「飛鳥、お前どっから湧いてきた」

「えへへ、ちょっと2人を驚かせたくてつい」

「もう、飛鳥は相変わらず早いんだから。あっ。立向居君、サダラ君に藤丸君もおはよう‼︎」

 

 ここでひとりの背後からまた1人、こちらへと駆け寄ってきた者が。

 目元が輝いている鮮やかな黄色い瞳を持ち、右側に短いサイドポニーテールがある赤いストレートヘアーの少女。

 彼女こそが喜多郁代。ひとりに救われ、彼女を支えられるギターボーカルを目指している結束バンドの1人だ。

 ちなみに喜多さんと飛鳥、学生寮でのルームメイト同士である。だから2人で同時に登校する事がよくあるんだ。……俺達3人もルームメイトだから、藤丸側に予定がなかったら教室入るまでこんな感じだけど。

 

「喜多さんも来たのか。おはよう。ってかひとりとも一緒に登校してるなんて珍しいな」

「えぇ。それにもちょっとワケがあるの」

「ワケ?」

 

 ちょっとしたワケって何? しかもそれ『も』って、もしかしてひとりが早く登校した理由とも繋がっているとでもいうのか? 一体どんな繋がりが?

 

「実はひとりちゃん……」

「学生寮で私と同じ部屋に住む事になりましたー‼︎」

「………………へっ?」

「あ、あははははっ……そ、そうなりました……」

 

 えっ、あっ、そっか……ひとり、学生寮に引っ越したのか。

 何気に俺が知ってる二次創作のキャラで、この学校に通っていて学生寮暮らしじゃない奴って1人も見かけなかったんだよな。その子が学生寮暮らしに変わるって、それはそれでいいかも……

 

「実家暮らしから学生寮になった、か……それならこれまで片道2時間、だっけか? 実家から電車でここまで来るまで時間の余裕ができそうだな。ってか、そんな話ちっとも聞いてなかったぞ俺?」

「みんなが浩司を驚かせたいから内緒にする事にしたんだって」

「藤丸……お前も知ってたのか」

「あっヤバッ」

 

 どうやらみんな、俺へのサプライズとして今日までずっと黙っていたようだ。それをうっかり口に出してしまった様子の藤丸は思わず口を塞いだ様子だ。

 ふとシャロットの方を見れば、一瞬目を逸らしたのが見えた。お前もグルだったのかよ。なんとなく予想してたけど。

 そしてひとりの方は……苦笑いしながらもバツが悪そうに視線を逸らしていた。この表情を見るに、どうやら少なくとも彼女だけは乗り気でなかったようだ。バラした後が怖いと思ったんだろうな。

 

「怒ってないから。だからお前は気にするな。他の奴はこの後の行動次第だけどな」

「「「えっ」」」

「………………」

「ほ、ほどほどにお願いします……」

 

 あ、ちょっと警戒させちまったか。具体的に次何か良からぬ事したらどうするか、なんて考えた事なかったからさらに気まずいなこれ。

 

「思ったんだが、ひとりもよく学生寮に引っ越そうなんて思ったな。もしかしてアレか? もっとコミュ障を治す努力をしようと思ってか?」

「えっあっ。え、えっと……そ、それもあるん、ですけど……そ、その、ですね……」

 

 否定しているわけではないようだが、どうやら他にも理由があって学生寮暮らしに切り替わる事にしたようだ。これ言っていいのかって感じに言い淀んでいるのがそう思わせている。

 ってか、また突然頬を赤らめ、しどろもどろな感じになりながらも上目遣いに……だからそれやめて? めっちゃ可愛すぎて上手くお前の顔をまっすぐ見れないから……

 

「こ、浩司君と、その……もっと、早く長く会ったり、近くでお話しできる時間が増えたらなぁって、思いまして……」

「……ッ」

 

 んああああああっ……‼︎ ちょっと待って、ホント待って、マジで待ってくれマジで。そんな理由で引っ越しを決意したとなったらさぁ、好意がなくてもそう勘違いしちまうってェ……‼︎あぁもう、可愛いかよこいつゥッ……‼︎

 

「あ、あはははっ……立向居君、ぼっちちゃんに惚れてる感が丸わかりな顔してるね」

「悶えている表情がはっきりと出ている……」

「ひとりちゃんも立向居君の事でそういう顔する時あるし、やっぱり2人はお似合いね‼︎」

「そりゃそうじゃないのか? 何せ2人は付き合っているんだし」

「えっあっそっそのっ……‼︎」

「シャロット……デリカシー考えろお前」

「ちょっヘッドロックはやめグエエエッギブギブー‼︎」

 

 えぇ……たった今シャロットにバラされましたが、実は俺とひとり、交際しております。

 きっかけは結束バンド結成後の2度目のライブ──文化祭最終日の事だった。

 俺が『ちゃんと見てるからお前の思うバンドへの想いを見せつけてやれ』みたいな事で激励したり、ライブ後に賞賛したりしてたら……ひとりの方から告白してきたんだ。本人はうっかり口を滑らせたって感じだったみたいで慌てふためいてたけど。

 けど、誰かに好意を持って告白してくれたってのがすごく嬉しかったし、正直言って前世では推しの1人だったからな。一旦お互いその場で冷静になってから、『こんな俺で良ければ』みたいな感じに交際する事になったってわけ。その時のひとりの嬉しそうな顔、さらに可愛かったなー。

 

 って、そんな事を考えていたら。

 

「ギャーギャーギャーギャー喧しいんだよ。ペット禁止の建物前のワンちゃんの集団ですかこのヤロー」

「えっあっ、すみません先生……」

 

 後ろから気怠な声で注意してくる声が聞こえてきて、それが誰なのか知っているため、俺がすぐさまシャロットを離し謝罪すれば、ひとり達もそれぞれその人に挨拶した。

 その人は、水色がかった銀髪の天然パーマに死んだ魚のような目をした男性教師。くたびれた白衣、そして口元に咥えている煙草。といった奇妙な出で立ちをしている。

 外見からして無気力・脱力感が感じられ、見た目からして教師の常識から逸脱しているのが、俺達の学園の国語系担当で、銀魂のスピンオフ作品となる3年Z組銀八先生の主人公・坂田銀八先生である。

 

「お前ら別にはしゃぐのはいいんだけどよ、ここ校門前よ? 他の生徒達も通うんだから、人様の迷惑ってもんを考えてはしゃげよ?」

「「「「「「す、すみません……」」」」」」

「それはホントにそうですね、大変失礼しました」

 

 そういえばここ、確かにまだ門の前だったな。はしゃぎすぎたら皆の迷惑だし、次から気をつけよ。

 

「後、もうすぐ予鈴鳴るぞ予鈴。急がないと遅刻するぞ」

 

 えっマジで? と思っていたら、ちょうど良いタイミングなのか学校のチャイムが鳴ったのが聞こえてきた。うっわマジか⁉︎ ホントに予鈴鳴ってるじゃん⁉︎

 

「3学期早々遅刻とか洒落になんねェじゃん⁉︎ 急ぐぞひとり‼︎」

「えっあっ……⁉︎」

 

 即座にひとりの手を掴み、急いで学校へと向かった俺。一応校門に入った時点で登校扱いとなるが、だからといってその後はのんびりっていうだらしない感じになるのはごめんだ‼︎ チャイムが鳴る前に教室にインしてやる‼︎

 

「あ、2人とも待ってよー‼︎」

「ふふっ、立向居君ったら相変わらずすごく真面目ね」

「俺もマシュを待たせるわけにはいかないし、早く校内に入らないと」

「ちょっ俺まだ入って……チクショー待てー‼︎」

「ったく……俺も行くか」

 

 余談だが、教室に入った途端クラスメイトのほぼ全員に、俺がひとりの手を掴んでいるところを見られてしまい、2人揃って顔を真っ赤にし羞恥心を覚えてしまった。せめて教室に入る前に一旦離すべきだった……

 

 

 

 

 

 この時、俺はまだ知らなかった。

 

『……共鳴反応は彼にあるのか。彼ならきっと、私の力を……』

 

 謎の赤い仮面の戦士(・・・・・・・)に、遠くから見据えられていた事に。

 

 そして、世界を揺るがす騒動に巻き込まれていく事に……

 

 

 

 

 

 

 とある施設の、薄暗い地下室。そこの空気は黒く、重く淀んでいた。そして壁際に並ぶガラス管が淡く青い光を放ち、中で渦巻く霧のような物質が時折不気味に唸っていた。

 その部屋の中央には、黒いコートを纏った1人の長身の男性が立っていた。彼の目は赤く鋭く輝き、唇には薄い笑みが浮かんでいる。

 

「あぁ……伝わってくる、伝わってくるぞ。我等と同じように、願いを求め胎動する生命が、この中に」

 

 笑みを浮かべながら、男性は右手に持っていたとあるものを天井に掲げ、それを見つめる。

 手にしているそれは、銀色の星の模様と共に藍色に縁取られた、中心に少し小さめの青く丸いスイッチらしきものが出来ている、円盤状の物体。3本指で掴める程度の大きさではあるが、刻まれている複雑な紋章らしき絵が、それの大小関係美しく施されている事が伝わってくる。

 

「この生命に秘めている願い……果たして何だろうな? 期待が高まってきて仕方がない」

 

 男性がそう語ると部屋の奥からハイヒールで地面を鳴らす音が聞こえてきて、もう1人の影が男性の元へと近づいてきた。

 女性だ。灰色の長い髪を後ろで束ね、豊満な身体を黒いドレスで身を包んでいる。彼女の表情は冷たく無表情、しかしどこか興奮を抑えきれない様子だった。

 

「首魁。多重奏町にて新たな反応を捉えました。ウィッシュディスクの気配です」

「……ほう、そうか。ご苦労」

 

 この時を待ち望んでいたと言わんばかりに、首魁と呼ばれた男性は静かに口角を上げた。そして懐から青紫色の菱形をした装置を取り出し、右手に持つ円盤状の物体をゆっくりと天に掲げた。

 

「彼等も各々の願いを求めている。だが、我々の方が一歩先を行く。我々の願い──欲望を力へと変え、人々の負の感情を糧とし、それが望む願いを叶えるための道標となるのだ」

 

 そう語りながら、首魁は円盤状の物体のスイッチらしきもの──否、スイッチを押した。

 

デシア・ロック・ディスク

 

 低い電子音声が流れ終われば、円盤状の物体を菱形の装置の中心にある丸い凸に嵌め込んだ。すると互いが共鳴したかのように、物体とその周囲を囲む菱形の模様が麦色に輝き始めた。

 

ローディング……オーケー、サモン

 

 するとそこから解き放たれた麦色の光が、彼等の目の前にて投影される。そしてそこから人型の影が見えてきたかと思えば、着色されていくのと同時に実体化していく。

 やがて生み出されたのは、細身をした真っ黒な身体の上に、巨大な岩石を鎧として着ているかのような存在。その姿は、正にゴーレム。心臓部には、先程装置に嵌め込まれていたはずのディスクが付けられていた。

 謎のディスクと装置によって生み出されたその生物に向けて、首魁は早速と言わんばかりに指示を出す。

 

「ゆけ、デシアゴーレム・ロック。多重奏町にて新たに出現したウィッシュディスクの所有者を突き止め、奪い取り、己の願いを叶えるための源とするのだ」

「───了解‼︎ 全ては主の願いのために‼︎」

「主ではなく、首魁……とだけでいい」

 

 即座に首魁の指示を聞き入れ、右膝をつけ彼に敬意を示すゴーレム──デシアゴーレム・ロック。そしてすぐさま立ち上がり、主人の野望のために足を踏み入れ……ようとする前に、再び首魁の方へと振り返った。

 

「……僭越ながら我が首魁。1つ、ご検討願いたい事が」

「なんだね? 我が耳元にて申してみろ」

 

 首魁が右耳に指を当てるジェスチャーをすれば、デシアゴーレム・ロックへと近寄り、軽く会釈してから耳打ちをし始めた。その光景を見て、女性は冷たい視線をデシアゴーレム・ロックに送りながらも頬を膨らませていた。

 

「……なるほど、良い案だ。分かった。出来次第、届けさせながら連絡する。楽しみに待っているがいい」

「感謝します‼︎ では‼︎」

 

 首魁への申請が通ったのを確認し、再び振り向きようやく歩み始めるデシアゴーレム・ロック。すると心臓部のディスクが麦色に輝けば、そこから次々と人型が投影され、実体化していく。

 それらは全て、灰色の西洋の甲冑を着けていた。しかし、それはところどころに棘らしき部分が見えており、胸部には2本角の山羊の顔に近い悪魔の顔があしらわれていた。

 騎士というには禍々しい存在の……謂わば戦闘員である。

 それらが数10体も生み出されたかと思えば、デシアゴーレム・ロックが高らかな声を上げた。

 

「デシアゴーレム・トルーパーの野郎ども‼︎ 早速首魁からの指示が出たぞ‼︎ ついて来い‼︎」

「「「「「「ははっ‼︎ 全ては我々の首魁の願いのため‼︎」」」」」」」

 

 威勢のある声と共に、異形達はロックを先頭に次々と地下室を後にしていった。

 彼等を見送っていた首魁は静かに不敵な笑みを浮かべながら立ち上がり、彼等とは反対の方向へと歩きながら口を開く。

 

「我は新たなデシアゴーレムのディスク作りを行う。お前は持ち場に戻れ」

「かしこまりました……全ては我々、シンジケートの名の下に」

 

 2つの影が、闇の中へと消えていく。

 彼等が動き出した事により、とある闘いの火蓋が切られた事を、シンジケートと呼ばれる組織の者ではない人類は、まだ知る由もなかった……

 




簡潔なキャラ紹介


立向居 浩司
今作の主人公で転生者。色々あってひとりと交際している。つまり本編開始時から既にリア充。今は一応普通の男子高校生ではあるが、近い日にとある運命に絡む事になる事を、彼はまだ知らない……

後藤 ひとり
今作のヒロイン。ぼっち・ざ・ろっく!の主人公。浩司の恋人。大体本家通り結束バンドとして活躍している。彼女も浩司同様とある運命に……?

シャロット・サダラ
ドラゴンボールレジェンズの主人公。本家は名字などないが、現代世界なので付け足された。原作通り運動神経抜群でかなりの食欲旺盛だが、本家みたいな超人ではない

藤丸 立香
Fate/GrandOrderの主人公、作者がぐだ男派なので男性。マシュと良く一緒にいる。彼女と同級生だが何故か先輩呼びされている

喜多 郁代
ぼっち・ざ・ろっく!のメインキャラの1人。大体原作通り結束バンドのボーカルギターとして活躍中。親友のひとりが浩司と交際している事に歓喜している

飛鳥
閃乱カグラの主人公。伝説の忍である服部 半蔵の子孫であるためか、本家レベルには遠いが忍者らしい身体能力や忍術が使える。友好的で無自覚にみんなを揶揄っている
 
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