現代パロな多重クロス世界だと思ったらゴジュウジャーな仮面ライダーの世界でもあった件 作:名無しのモンスター
ウィックスの……仮面ライダーとしての力に慣れるために、クラスメイトで同じ転生者の優一に鍛えてもらっていたら、デシアゴーレムが乱入してきた件。
しかもそいつの喋り方と性格が癪に触ったのか、優一が内心ブチキレてます。クールなあいつがキレるとか、なんだか珍しいな……
『中途半端にキレるってのは、どう評価すればいいのか分からないものだな……』
「別に評価しなくていいぞ」
というかどのタイミングで俺も加勢すればいいんだよ。優一の奴、結構他人に動かれないようにする感じに暴れているんだよなぁ……割り込んだら巻き込まれそうだ……
そう思っている間にも、優一ことヴァルバラドはあのデシアゴーレムに向けてヴァルバラッシャーを振るっていた。
だがそれらはデシアゴーレムの背後にある数枚の小型鏡によって防がれ、巨大化した鏡に至っては当てずに止めて引っ込むのを待っている様子だ。リズムゲームでよくあるパターンか?
「ハッハッハ‼︎ どうしたのかな? さっきからミーのミラーを
「その鼻につく喋り方やめろ、なんだか癪に触るから。ムカつくから」
これ……仮面越しでも表情でも表に出してないだけであって、絶対内面では静かにブチギレてるよな? 当てたor当てようとした剣に宿っている黒い炎が、身丈よりも大きく見えているし……
冷静さを失っている証拠……ではなさそうだな。デシアゴーレムが攻撃を反射させるのに使っている鏡に当たりそうになった時に、最悪でも寸前で停止していたし……
「そーらっ‼︎ そらそらァッ‼︎」
「クッ……‼︎」
けど、俺を鍛えてくれていた時よりは余裕ではない事は確かだった。
ヴァルバラドが攻撃を行うタイミングを見極めている間に、デシアゴーレムが次々と小型鏡を投げ飛ばし、彼に咄嗟のヴァルバラッシャーでの防御を余儀なくさせていた。
迫り来る小型鏡の束を、武器の柄を盾代わりにして防いだり、振るって弾いたりしていくが……その隙を狙ったデシアゴーレムが、自身の持つガラスの鉤爪を振り上げ、ヴァルバラッシャーを弾き飛ばした。
これで今のヴァルバラドは武器を手放してしまい、素手の状態だ。だけど、ヴァルバラドの能力なら……
「もーらい───」
『ヴァルバラッシャー!!』
「甘い‼︎」
「ギエェッ⁉︎」
刹那。ヴァルバラドの左手から発生した黒い炎が変形していき、それはなんと、もう1本のヴァルバラッシャーと化したではないか。
ヴァルバラドはそれを即座に掴んで振り下ろし、デシアゴーレムの鏡と鏡の間に見える胴体を右斜め下に斬りつけた。その衝撃でデシアゴーレムは吹っ飛ばされ、仰向けに倒れ込む。
「あっ、今がチャンスだ‼︎」
「ちょっウェイ───ギャアッ‼︎」
それに気づいた俺はフォールディングモードのウィックスガンソードの銃口を向け、光の熱弾を発射。見事胴体に着弾し、火花を散らした。
「……今の、ただの初心者の援護じゃん。何やってんだ俺」
「いや、一瞬の隙を見逃さなかったのは良い事だ。助かるぞ」
「えっあっ、うん……」
闘いの中では良い事だけど、平和のために闘う仮面ライダーとしてはどうか思うけどね……あんな闘い方をするライダーなんているぅ? いねェよなぁ?
「………………ふぅん、グッドじゃん。ミラーとミラーの間をスラッシュしたり、すぐウェイクしようとしたところにショットしたり……ユー達、余程バトルにフォーマル……つまり慣れているんだね」
「俺、闘うの2回目なんだが……」
なんか勝手に闘いの猛者指定されたんだけど。偶々正義の仮面ライダーらしからぬ事をしてただけなんだけど。倒れている奴に追い討ちやぞ? 仮面ライダーのゲームにオイウチコウゲキってのがあるけど、それとは違って陰湿で卑怯な感じの……
そんな事を考えていたら、デシアゴーレムが小型鏡の1枚を拡大・縦長の長方形へと変形させていたのが見えた。
防御態勢を整えているようには見えないし、そもそも今の俺達は攻撃しようともしてない……あれはどういう事だ?
「さすがに2vs1はフェアじゃないから……こうするとしようかな。イッツ・ミラー・マジカル‼︎ イリュージョン‼︎」
「イリュージョン……? まさか⁉︎」
気がついた時にはもう遅かった。変形した小型鏡の中から、既に何かがぬっと這い出てきたからだ。
それは、呼び出した本人と見た目が完全に一致したデシアゴーレムだった。これは所謂、分身って奴か? 龍騎に出てくるミラーモンスターみたいに増えやがって……‼︎ 1体だけだったのがまだ救いか。
「ミーのマジカルにサプライズド‼︎ だったかな? さぁ、ラウンド2といこうじゃないか‼︎」
「ユー達のディスク、ゲットさせてもらうよ‼︎」
本体の方のデシアゴーレムがそう告げるのと同時に、分身の方が勝利宣言し、2体とも鉤爪を光らせながら構え、俺達を見据えてくる。本格的に潰す気だな、こいつら。
「くるぞ浩司。出てきた奴の相手はお前に任せる。分かっているだろうとは思うが……」
「分身の性能も本体とまるっきり同じである可能性が高い、だろ? そんぐらい想定済みさ」
「ならいい。いくぞ‼︎」
「おう‼︎」
『ウィックスガンソード!! バサッ!!』
お互いの役割が決まったところで、早速戦闘開始って事で俺と優一は同時に駆け出した。優一は本体の方に、俺は分身の方に目掛けて。
優一ことヴァルバラドが分身の放つ小型鏡を弾いているのを尻目に、俺は本体に向かってスプレードモードのウィックスガンソードを振り下ろそうと……
「おっと」
しようとしたら、その前に小型鏡の1枚が万華鏡として巨大化し、攻撃を反射しようと佇んだ。そのため俺はすぐさま動きを止め、万華鏡が当たらない範囲へと回り込んだ。
「オラァッ‼︎」
「グハァッ⁉︎」
すかさずウィックスガンソードを振り上げ、分身の胴体を斬りつけた。小型鏡の何枚を弾いたり割ったりできたらという程度で振るったんだけど、奴に直接命中したのならモーマンタイだ。
そしてすぐさま斬撃によって火花が発生した箇所に向けて、俺は回し蹴りを浴びせた。これも小型鏡が出てくる前に即座に行った事のため、上手く命中した。
デシアゴーレムは吹っ飛ばされ空中に浮いたが、その中で態勢を整えていたためか、すぐにその場で回転して着地した。
「フゥッ……君もノーバッドなムーブをしてくれたね。ミーのミラーを掻い潜ってのアタックを2回もラッシュだなんて、さすがにサプライズドだよ」
「その褒め言葉は、正義を目指すライダーとしては嬉しい言葉だよ」
倒れ込んでいたところへの攻撃をした時と比べたら、悪徳な仮面ライダーらしき卑怯っぽさが出なくて良かったって思っているよ。
ってかどうでもいいけど、『掻い潜って』って言葉はさすがに英語に言い換えないんだな……
「だったらこれならどうかな? ユーの事を
カ、カウアー……? えっなんて? すまん、その言葉はさすがに俺でも分からん。意味教えて意味。そこ翻訳して?
俺がそう戸惑っている中、デシアゴーレムの胴体の鏡──心臓部のディスクが麦色に輝き、そこから次々と人型が合計で4体も投影され、実体化していく。
「な、なんだこー───うおおおっ⁉︎」
突如出現してきたデシアゴーレム・トルーパー──主に俺の背後に出現してきた奴に動揺してしまったせいで、そいつに羽交い締めされてしまった。
俺は即座に振り払おうとしたが、それよりも行動が早かったもう1体のトルーパーによる腹パンを受けてしまい、その行動は強制的にキャンセルされてしまった。
「グハッ……‼︎ 腹パン、やっぱイテェ……‼︎」
これが武器による突き刺しとかじゃなかっただけ、まだ数倍マシと言えるけど……それを腹パンに置き換えられたとしても、やっぱり痛いもんは痛いじゃねェかよチクショウめがよォ……‼︎
「オーケーオーケー‼︎ 上出来な
「オイ‼︎ 何処にトリック要素があるんだよ‼︎ 敵の背後に部下を呼び出して卑怯な事をさせてるだけじゃねェか‼︎」
「そうするように
「……えっあっ、指示って意味で言っていたのか……ってか離せこの野郎‼︎」
とにかく現状を打開すべく、俺に羽交い締めしているトルーパーの腹部に肘打ちを決めた。その攻撃に怯んだトルーパーの腕の力が緩んだのを機に、俺はウィックスガンソードを回し蹴りならぬ回し斬りした。
それによってさっき俺を羽交い締めした奴含め、それを機に攻撃しようとしてきた3体のトルーパーの急所にも当たったのか、合計4体をも爆発を起こして撃破させた。
「そぉれっ‼︎」
「うあっ⁉︎」
その爆発から出てきたデシアゴーレムが、小型鏡の数枚を飛ばしてきて俺に被弾させ、鉤爪で胴体を切り裂いて火花を散らしてきた。さらにその胴体を蹴り飛ばし、俺を吹っ飛ばし横転させてきた。
そして意趣返しだとでも言っているのか、倒れ込んだ俺に向かってさらに小型鏡を飛ばしてきたため、俺は咄嗟に横への転がりながらの移動して回避した。
『パタンッ!!』
「こんのっ‼︎」
そこから俺はすぐさま起き上がり、フォールディングモードに変形させたウィックスガンソードの銃口から光の熱弾を連続で発射させ、迫ってきた4枚の小型鏡を弾いた。
そこに距離を詰め、鉤爪を振り下ろしてきたデシアゴーレムの姿が目の前に見えたので、俺は即座に後転して回避した。
それによって地面に突き刺さった鉤爪を抜き取ったデシアゴーレムは、何を思ったのか溜息をついてきた。オイ、なんで溜息してんだお前は。なんかそれもそれでムカつくんだが。
「ユー、バトルの中でアフォード……余裕がない
「ス、スケアリー……?」
なんかよく分からんけど、俺の事を良く評価してないって事なのかな? それはなんだか確かな気がする。
「ミーはね、
「は? リタイアだって? 冗談抜かすんじゃねェぞ……‼︎」
ふざけんなよマジで。少なくとも俺には、ウィックスの叶えたい願いのためにも、ここにも降りるわけにはいかないんだよ‼︎ じゃないとアイツと約束した意味がなくなっちまうじゃねェか‼︎
「いや
大抵の者がそうであるかどうかなんて、そんなの分かるわけがない。けど、他のデセオ・ウォーズ参加者と違って、俺は自分自身が叶えたい願いなんてものを持っていないって事は確かだ。
俺がこの闘いに参加した理由は、半分が成り行きによるもの。もう半分は人々を守る覚悟を決めた事によるもの。願いを叶えるためとか、そういう私利私欲なんかのために仮面ライダーになったわけじゃない。
というか大抵が私利私欲で闘っている訳がない。初期か終盤前に葛藤している状態の2・3号ライダーならともかく、主役ライダーはそんな感じのはずだ。多分。
「つまり……アレでしょ? 自分の叶えたい
「ッ……‼︎」
ただ普通に、みんなを守るためだけに仮面ライダーとして闘っている。自分の願いを他人の願いで置き換えている。そんなのはデセオ・ウォーズの参加者とは言えない。
……そんな事、そんな事は……
「自分でもそれはどうなんだって事ぐらい、分かってんだよッ‼︎」
「うあっ⁉︎」
嘆きながらウィックスガンソードのトリガーを数発引けば、デシアゴーレムの小型鏡は次々と撃ち落とされていき、やがて3発の光の熱弾がデシアゴーレムの胴体に着弾して火花を散らしまくった。
どんなに仮面ライダーの事で綺麗事を並べようとも、デセオ・ウォーズの参加者は皆が皆、自分自身が叶えたい願いのために奮闘しているのだという事実に変わりはない。卑怯な手を使う奴だってそれなりに必死なはず。
なのに俺はなんだ? ウィックスと『自分の叶えたい願いを見つけるまでは平和を願う程でいく』と約束したとはいえ、この闘いに参加するためのきっかけとなる己自身の願いがない。
ただ願いを叶えたいがためにディスクを狙っている者達から、無関係な人々を守るために闘っていっていたとしても、『願いを持っていない』という時点で場違いだと思われる可能性は充分に高い。
その願いのためなら誰かを蹴落とす……なんて事はしたくないし、そんなのは正義の仮面ライダーとは言えないけど、デセオ・ウォーズに参加するのに相応しくないと言われても仕方ない事だろう。
けど……
「願いを持っていない⁉︎ 叶えたいと思っている願いがない⁉︎ そんなものなんか、闘っていく内に見つければ良いだけの話だろ‼︎ 大体なぁ‼︎」
『バサッ!!』
「ぐおっ⁉︎」
淡々と不満をぶつけるようにベラベラと喋っている中で、俺は気づかぬ間にデシアゴーレムに次々とストレートパンチをかましたり、スプレードモードに変形させたウィックスガンソードを振るって小型鏡を弾きながら胴体を斬りつけたりしていた。
別に愚痴を言いながら攻撃したいと思っているわけじゃない。けど、体がいつの間にか動いていた。自分でも何を言っているのか分からんけどな。
それでも、デシアゴーレムに反射用の万華鏡を呼び出す間も与えずに攻撃できているだけ、まだマシだと思っている。いつの間にか反撃の一手喰らってしまった、なんて事態は嫌だったからな。
いや、それよりも。
「自分の願いを叶えるためとかいう私利私欲のためじゃなくて、大切な者達を命をかけてでも守るために闘う……それが、仮面ライダーになった大半が本来あるべき理由なんだよ‼︎ そのためだけに変身して何が悪い‼︎ そのためだけにお前らと闘って何が悪い‼︎」
よく考えてみれば、自分の願いのために闘っているライダーなんて、思想や無関係な者への対応によっては、『こいつ本当は私利私欲のためにライダーの力を振るっているから、俺達の想像している仮面ライダーのイメージとは離れてるくね?』みたいなものだ。
ヒーローというのは、多くのものを守るために変身するためにあるものだ。願いを叶えるためとかいう建前はいるか? それ以外は必要ないか? そんなのは否だ。何かを守る覚悟がない奴が仮面ライダーとして闘っていけるはずがない。
その覚悟を持っているが故に、俺は叶えたい願いを持つ前に仮面ライダーになったんだ。願いがどうのこうの言って気にしてくる奴なんかに、俺が負けるかってんだよ。
「……自分の願いを見つけるよりも、大切な者達を命をかけてでも守るために闘う……か」
俺の嘆きを耳にしたからか、デシアゴーレムの本体と闘っていた優一ことヴァルバラドが、何かを思ったかのような、感慨深く考えているかのような雰囲気を出していた。
するとヴァルバラドはヴァルバラッシャーでデシアゴーレム本体の胴体を斬りつけ、デシアゴーレムが怯んだのを機に、懐から何かを取り出してきたのが見えた。
「浩司‼︎ こいつを使え‼︎」
そう言って、取り出したそれを投げてきたため、俺はそれを反射的にキャッチした。
俺の手元に収まったのは……なんと1枚のレガシーディスク。それも
「おい、これって……」
「言ったはずだ。お前が俺を納得させる事のできる闘いができたのなら……俺が持っているレガシーディスクを1つ、お前にプレゼントしてやるってな。今がその約束の果たし時だ」
あ、そっか。そういえばそう約束をしていたんだったな。それをちゃんと守ってくれるなんてな……
というかこのタイミングでそれを果たしてくれてるとか、しかも渡してきたディスクがこれって……何か意図を感じるような……いや、気のせいだろうな。きっとそうだ、きっとそうに違いない。
「ありがとうな、優一‼︎ ありがたく使わせてもらうぜ‼︎」
何はともあれ、俺のためにこのディスクを渡してくれたのなら、使わなければ無作法というもの。これを上手く使いこなし、彼の期待に応えてやらないとな‼︎
『レガシー・ゼロワン・ディスク!!』
そう決意しながら、俺はそのディスクのスイッチを押した。ウィックスオリジンドライバーを巻いている状態だから、優一達みたいにレガシーライダーバックルとやらは出ないけど、特に問題ないはずだ。
「いくぜウィックス‼︎ 初めてのフォームチェンジだ‼︎」
『うむ‼︎ この力、存分に発揮させようではないか‼︎』
『ローディング……オーケー!! トランス・プリパレーション!!』
ウィックスのオリジンディスクを抜き取り、即座にそのディスクを入れていた凹凸のところに、先程受け取ったレガシーディスク──ゼロワンレガシーディスクを差し込んだ。
するとの周りを、ウィックスとは姿が全く異なる1人の戦士の映像が、複数に分かれて様々なポーズで投影された。そしてそれぞれの背後にはその戦士が映し出されているいくつかの映像が。
それに合わせるかのように、俺はドライバーのレバーを両方とも力強く押し込んだ。
『トランス・オーケー!! 仮面ライダーゼロワン!! レディ・ゴー!!』
『飛び上がライズ!! ライジングホッパー!!』
音声に合わせ、全ての映像が俺と重なり合い、光が弾け飛んだ。
『"A jump to the sky turns to a rider kick."』
「お前を倒すのは、優一と……俺だ‼︎」
令和の原初の仮面ライダーと共に、新たな成長を遂げる事ができた……無意識にも、俺はそう感じた。
次回、ウィックスのフォームの全貌が明らかに‼︎ けどレガシーライダーとは異なる点があるようで……?