現代パロな多重クロス世界だと思ったらゴジュウジャーな仮面ライダーの世界でもあった件 作:名無しのモンスター
「ウァアアアァ……ワタシノ、ギターノオトヲ、キケ……」
えーみなさん、緊急事態発生です。
ライブハウス『STARRY』にて、化け物──デシアゴーレムが出現しました。しかもそれに合わせてか、ギタリストがモチーフの奴です。
でもヘッドの部分からして、なんか何処かチェン○ーマンにも見えるんだが……どう見てもデカいギターヘッドの形だけど。
つーかなんでバイト先に、それも友人達や恋人がいる時に現れるんだよこいつは……‼︎ 少しは空気読めこの野郎‼︎
「か、怪物だー‼︎」
「逃げ……どうやって逃げるんだ⁉︎」
「怪物達が入り口前に立っているんだけど⁉︎」
「出られないー‼︎」
「なんでライブハウスでこんなの来るんだよ⁉︎」
「いやさすがにコスプレ……あ、口動いてる⁉︎ モノホン⁉︎」
「もうダメだ……おしまいだぁ……」
「何を寝言言っている‼︎ 不貞腐れてる暇があったら闘え‼︎」
「いや死ぬから普通にやめろよ」
そして観客は皆、突然の怪人の出現に動揺しまくっている様子だ。
先程まで結束バンドの演奏で盛り上がっていたのに、突然の騒音からのこれだから、動揺するのも同然か。
「皆さん押さずにこちらへ避難してください‼︎ ったく、なんであんな訳の分からない奴がSTARRYで暴れてくるんだ……‼︎」
店長がPAさん達の協力を得て、どうにかして観客達をSTARRYの奥地へと避難誘導させているのが見えた。普通ならあり得ない出来事に対する不満を愚痴りながら。
まぁそうですよね。普通ならあんな姿の奴をコスプレだと思い、適当に流せばいいと思うでしょうな。けど地響きがする程のドデカイ音を発してたから、『適当に流したら取り返しのつかない事になる』って思っちゃいますよね。
あーなんかそう考えると、デシアゴーレムはマジで許すまじ。結束バンドのライブが盛り上がっているって時に、それを台無しにするような真似しやがって……‼︎
とりあえず、今は……
「みんなも早くここから避難するんだ‼︎ 結束バンドのみんなも………………えっと、ひとり? 立てるか?」
「うえっあっ、足が竦んじゃって、動こうにも動けません……」
「竦んだというかパズルみたいに崩れてない⁉︎ こんな時に限ってぼっちちゃんのいつもの発作が⁉︎」
うわ。ひとりの奴、こんな時に限ってノスタルジーのキャパオーバーした時みたいな現象を起こしちゃってるよ……いや、あんな場面に遭遇したらビビるのは分かるけども。
「と、とにかく……ぼっちちゃんは俺達が運ぶから、みんなは早く避難しよ」
「うおっ、いつの間にハイヤーを持ってきたんだ。時雨やるね」
「こっちこっち‼︎ みんな急いで‼︎」
「あの怪物もボォーッとしているぞ、今の内に来い‼︎」
「ありがとう、心愛ちゃんにトシキ君‼︎」
ここで友人や先輩達が、結束バンドのみんなを連れていこうと色々買って出てくれた。自分達が襲われる可能性だってあったはずなのに、友達・先輩・後輩のためにそこまでして……
護りたい、この勇気のある者達。
「浩司‼︎ 大抵の奴はみんな奥へと避難しているぞ‼︎」
「後はもう、私達の出番だよね‼︎」
「……あぁ、そうだな‼︎」
『うむ‼︎ 早く倒して演奏の続きを楽しむぞ‼︎』
しんみりしていたら、シャロットと飛鳥がこちらへと駆けつけ、俺達がこの後に何をすべきを真剣な目で伝えてきた。
今なら誰も巻き込まれなくて済む。となれば……だな‼︎
そう確信した俺達は、早速と言わんばかりにオリジンディスク・レガシーディスクをそれぞれ取り出し、それぞれスイッチを押して変身の態勢を整える。
『オリジン・ウィックス・ディスク!!』
『レガシー・ストロンガー・ディスク!!』
『レガシー・シノビ・ディスク!!』
一斉に、俺達の腰にそれぞれのドライバーが装着される。そしてそれぞれのドライバーの凹凸の部分に、ディスクを素早く差し込んだ。
『セッティング・オーケー!! ウィックスオリジンドライバー、アクティベート!!』
『『セッティング・オーケー!! レガシーライダーバックル、アクティベート!!』』
『『『ローディング……オーケー!! トランス・プリパレーション!!』』』
変身しようとしている俺達に気づいたトルーパーの3体が、こちらへと走り迫ってきていたが、俺達のドライバーから投影された立体映像によって弾かれた。
それに気づいた別のトルーパーの4体が、ピストルやライフルのようなもので光の弾丸を放つも、それらも次々と立体映像に弾かれていく。
どうやら少なくとも、俺達の持つドライバーには変身キャンセルを阻止する機能が備わっているようだな。絶対変身を妨害してくる空気を読まないが戦略的な奴がいるだろうなとは思っているけど、これならある程度は安心だ。
「「「変身‼︎」」」
ホッと一安心しながらも、2人が変身する瞬間のポーズを取っていたため、俺もそれに合わせて同時に叫んだ。そしてすかさずドライバーを押し込み、ドヤった。いや我ながら何してんの。
『トランス・オーケー!! 仮面ライダーウィックス!! レディ・ゴー!!』
『デセオ・ウォーズ、スタート!! レッツ・ファイト!!』
『トランス・オーケー!! 仮面ライダーストロンガー!! レディ・ゴー!!』
『キュピーン!!』
『トランス・オーケー!! 仮面ライダーシノビ!! レディ・ゴー!!』
『誰じゃ? 俺じゃ? 忍者!! ニンジャ~!! シノービ!! 見参!!』
活気ある音声に合わせ、それぞれ展開されていた立体映像が俺達と重なり合い、変身を遂げさせた。
ウィックス、ストロンガー、シノビ。俺を含め3人の仮面ライダーが、デシアゴーレム達を見据えた。
『ウィックスガンソード!! バサッ!!』
「よし、いくぞみんな‼︎ まずはSTARRYへの被害を防ぐために、こいつらを外へ追い出すぞ‼︎」
「おうよ‼︎」
「わかった‼︎」
『全速前進だ‼︎』
スプレードモードのウィックスガンソードを呼び出しながら、俺は今すべき事の指示を2人に出した。我ながら何故新参者が指示してんだって話だけど、2人とも同意見だったし効率的だからまぁ良しとしよう。
そう思いながら、俺達は一斉に駆け出した。デシアゴーレム達を、まずはSTARRYから追い出すために。
「店で問題を起こす方はお帰りくださーい‼︎」
勢いよく叫びながら、俺は跳躍・降下しながらの回し斬りをかましてトルーパーを4体吹っ飛ばす。他のトルーパー達は危機を察知したのか即座に後退し、二次被害を回避していた。
「お前ら全員出禁だ‼︎ 電気マグネット‼︎」
次に腕を電磁石の状態に変化させたストロンガーが、吹っ飛ばされたトルーパーの背後に立つように跳躍してから彼等を引き寄せ、そのまま投げ飛ばす。それによって6体ものトルーパーも巻き込まれ、同じく吹っ飛ばされる。
電気マグネットは、鉄を含んだ物体を吸い付ける能力がある(前世でピクシブ百科事典を参照して知った)。そしてトルーパーは騎士のような甲冑の姿をしている。だから電気マグネットに引き寄せられたんだろうな、きっと。
「みんなに迷惑をかける盛り上がりはNGだよ‼︎」
『メガトン忍法!!』
そこにすかさずシノビがシノビブレードを振るい、そこから発生した紫色の竜巻を発生させる。それに先程吹き飛ばされたのと加え、さらに8体ものトルーパーが巻き込まれ、その風力によってSTARRYの外へと放り込まれてしまった。
「ウァウゥ……バンドナカマガ、イナイ……」
トルーパー達が外へと放り込まれた事を良くないと思ったのか、デシアゴーレムは彼等を探しに行くかのようにSTARRYから出て行った。
「よっしゃ‼︎ 全員外へ行ったな‼︎」
「後はそこで全員倒すだけだね‼︎」
「おう、そうだな‼︎」
今が好機だと言わんばかりに、俺達も続けてSTARRYの外へと向かう事にした。倒すべき敵として目の前で出た方が、STARRYが被害に遭う確率が減るしな‼︎
「えっ……何? なんであの3人が、特撮ヒーローみたいな姿になっているの……?」
「と、とんでもない光景を目の当たりにしましたね……」
「「「えぇ……」」」
「(うわぁ……私以外全員が、一昨日の私みたいに、信じられない光景を見たような顔になっている……)」
俺達の変身に呆然としている人達もいたけど、俺達はそんな事を気にしている場合ではなかったため、割愛とさせていただきます。
♢
外とSTARRYを繋ぐ階段から出た途端、先程吹っ飛ばされていた個体のトルーパーの何体かが、剣や槍を持って俺達に攻撃を仕掛けて来た。
それに気づいた俺は、胴体を軽く捻らせてから突き出されていた槍を掴み、そのままトルーパーごと放り飛ばす。そして振るわれた剣を無意識に回避し、ウィックスガンソードで胴体を斬り裂いた。
その隣でストロンガーが、次々と迫り来るトルーパーの鎧に、ひび割れを起こす程の威力を持つ電チョップを当てる。
そしてそこから少し距離のある地点にて、シノビがシノビブレードを使った忍法キリステで、6体のトルーパーの横腹を素早く斬りつけた。
「やっぱり数が多いな……ここは一気に決めるか‼︎」
『セイヴィング、オーケー!!』
『おっ、ウィックスガンソードでの必殺技だな‼︎』
とある行動に出た俺は、ドライバーのレバーにある左側のボタンを押し、ドライバーからウィックスのディスクを抜き取った。こうしないと、別のライダーへの変身以外でディスクを抜いた時に強制的に変身解除されちゃうらしいんだ。ある意味助かるけど、ある意味では難儀なものだねェ……
そしてそのディスクをウィックスガンソードの翼の装飾となる部分にある、ディスクの差し込み口に挿入した。
『エクストラアタック、オーケー!!』
『ライダースラッシュ・ウィックス!!』
即座に読み込んでくれたのと同時に、翼の装飾を中心にウィックスガンソードに炎が纏われた。それも翼の装飾の部分には、それと同じ形状で巨大な炎がさらに燃え上がっていた。
そのまま横に一回転すれば、俺の周りを囲んでいた14体ものトルーパーが、剣から発生されてからさらに増大した炎に飲み込まれ、即座に爆発を起こした。
「よーし‼︎ いくよ、シャロット君‼︎」
『ウォーター忍法!!』
ちょっと待て。本家でも使用していなかったどころか、DXシノビドライバーにも搭載されてない音声が聞こえてきたんだけど。本家がゲスト出演したどっかの作品で新しく使用した忍法か何かですかね?
そんな事を考えながらも、シノビが両手を地面につけたかと思えば、そこを中心に、トルーパーの足元に水面が広がった。湖などと水場と異なる点は、水面に立っても足元だけが浸水するというところだろうか。
するとその水面から、巨大な津波が発生。それは街灯並みの高さとなっており、残っていたトルーパー全てを押し出し流していく。
あのギターなデシアゴーレムは、水面が広がった時点で危機感を察知したからなのか、即座に水面外のゴミ箱へと跳躍して避難しており、津波に巻き込まれる事を回避していた。
「おっそう来たか‼︎ エレクトロファイヤー‼︎」
そしてストロンガーが水面に両腕を突っ込めば、そこから発生した電流が水面の全方位に走らせていき、次々とそこに足を突っ込んでいるトルーパーに感電していく。
エレクトロファイヤーは本来、地上では牽制のために使用される技。何回か使用しない限り威力も上がらず、この技だけで敵を倒すのは簡単ではないはず。
だが、水面下で使用すれば、その威力はトレーニング無しでも格段に跳ね上がる。本家も大幹部をあの技で撃破できたんだからな。
「よっしゃあ‼︎ ザコ敵撃破ァッ‼︎」
その証拠として、水によって感電した電流が巨大な火柱が立つレベルの爆発へと変わり映えし、それが全てのトルーパーを巻き込んで消滅させた。
やっぱり昭和ライダーの能力もスゲー……
「後はあのデシアゴーレムだけだね‼︎」
「あぁ……ん?」
「? どうしたシャロット?」
デシアゴーレムを見据えたストロンガーことシャロットが、何かに気づいたのか目を凝らしているかのような反応を見せていた。一体あのデシアゴーレムから何に気づいたとでもいうんだ?
「なんかよぉ……まだトルーパーの奴が残ってねェか? しかもなんか楽器まで持っているみたいだし」
「えっ?」
うせやろ? あんな連携攻撃を受けたり俺の剣での必殺技を受けたりして、まだしぶとく生き残っている奴がいるとでもいうのか?
確かにあいつらは、歴代仮面ライダーの戦闘員の中では、カッシーンに近いレベルで強い部類に入るけどさ(非公式)……あんな連携攻撃や俺とウィックスの必殺技を喰らっても、それをなんとか耐えれる奴っている……?
疑念に感じながらも、俺はデシアゴーレムの背後ら辺を目を凝らして確認した。何はともあれ、万が一あそこから攻撃を仕掛けられたら大変だからな。
ってか、アレ? シャロットが言うには、何やら楽器を持っているとか言っていたけど───
「うわ、目みたいなのが見えた。怖っ」
ふと見えた何かを発見した途端、俺は思わずそう呟いてしまった。
それは、シャロットの言う通り、ギター・ベースギター・ドラム・電子ピアノをそれぞれ手に取っていた、4体のトルーパーだった。
だが彼等は他のトルーパーと異なり、兜の隙間となる部分から二筋の光を灯していた。しかも人間でいう目の位置にて、赤・青・黄色・緑と、各々が1つの色だけを2つだ。やっぱり目である事を意識してるじゃねェか。
「目の色がついて、いつもと違う武器を持ったトルーパー……これって」
「あぁ……クソッ、
「
一体何を警戒しているのかと首を傾げていると、黄色い眼光のトルーパーが動いた。ドラムを叩き始めたかと思えば、そのドラムからボール並みの大きさとなる黄色い光の弾丸が3発も放たれた。
「ハァッ⁉︎ 戦闘員がとんでもない攻撃してきたんだが⁉︎」
『パタンッ!!』
リーダーのデシアゴーレムがやりそうな攻撃に驚きながらも、俺はウィックスガンソードをフォールディングモードへと変形させ、即座に赤い光の弾丸を連発する。そして次々と弾丸がぶつかり合い、それぞれがその場で爆発を起こしていく。
爆煙が発生する中、その中で次に動いたのが、緑色の眼光を持つトルーパー。
電子ピアノを愉快に弾き始めたかと思えば、それに付いているキャスターで動かしながら、電子ピアノの側面に交互で出し入れしている刃で襲い掛かってきた。
「いやホント、どんな攻撃してんだよこいつら⁉︎」
『バサッ!!』
激しくツッコミながらも、俺はウィックスガンソードをスプレードモードへと変形させ、横向きにして盾代わりで前に出す事で電子ピアノの刃を受け止める。
これで自動的に出し入れしてくる刃にも、ある程度は対応できるだろ。後は押し返せば……
「悪いな浩司‼︎ 今その膠着状態から解放させてやる‼︎ 電アッパー‼︎」
と、ここでストロンガーが俺を援護するために動いた。電流を纏った拳で下から電子ピアノを殴り飛ばし、その持ち主であるトルーパーを蹴り飛ばした。
電アッパーって、ピクシブ百科事典でも載ってない技名だな……シャロットが編み出したオリジナル技か?
というか……
「なんだよアレ⁉︎ なんでトルーパーがあんな独特な攻撃できるんだよ⁉︎」
飛ばされた弾みで落ちてくる電子ピアノをキャッチするトルーパーを余所に、俺は思わず愚痴を吐いた。
元ネタとなりそうなゴジュウジャーの戦闘員・アーイーでも、強い奴でもスペックが強いだけだと思う。
けど、なんでリーダーとなる怪人──デシアゴーレムの特徴に合わせた武器を持てたり、それに合わせた強い攻撃ができたりするんだよ。これならあのトルーパー達も立派な怪人の姿になれよもう。
「気をつけろ浩司。あぁいう特殊なトルーパーを連れているデシアゴーレム……あいつはドミネイト型だ」
「ドミネイト型?」
何そのカッコいいネーミングの種類は。なんかターミネーターっぽい言い方だな。それか遊戯王OCGでいう
「ドミネイトは『支配』って意味。あのデシアゴーレムに胸のところにあるディスク……アレ、人間にも付ける事ができるの。言語力や戦闘以外での思考力は落ちるみたいだけど、逆に人の意思を乗っ取る事で、人の力無しの時よりも強くなるみたい。しかもあのように、自分の力を他の一部のトルーパーにも反映させる事ができる……つまり強化も可能って事」
「ハァッ⁉︎ って事は、あのデシアゴーレムって……」
「あぁ、おそらく一般人がデシアゴーレムになっちまったかもな」
マジか……デシアゴーレムには、独立して動く奴と人間を乗っ取って行動する奴の、2つのタイプに分かれているのか。後者は新メギドっぽいけど、自我のない感じはアナザービルドみたいなものか。なんて厄介な……
「……乗っ取られた人を助ける方法は? 無いとは言わせないぞ。巻き込まれた人を殺すのヤダ」
「ヤダって、そんな可愛いげな感じに言うなよ……」
喧しい。人殺しなんて絶対したくないんだよ。だから無事に助けられる方法を教えろマジで。
「ディスクのところに強い攻撃を当てれば、空洞が出来る。そこから乗っ取られた人を引っこ抜けば、そのデシアゴーレムは独立状態へと弱体化するよ」
「それに空洞が出来れば、乗っ取られた奴の意識もちょっとぐらいは取り戻せる。そいつに手を掴むよう言えば、後はもう楽なもんだ」
「そうか……それを聞いて安心したぜ」
ならいっその事、早くその強い攻撃を奴に思いっきりぶつけて、乗っ取られた人を助けてやらないとな。ずっと苦しませるままだと後味すっきりしないから。
そんな事を考えていたら、次のトルーパーが行動に出た。
ギターを持った赤い眼光のトルーパーが、激しく弦を弾きながら歩き出し、ベースギターを持つ青い眼光のトルーパーが、静かに弦から音を鳴らしながらその後をついて行く。
あの行動は一体何をしているとでもいうんだ? 特にベースギターの奴は弾いたりせずただ仲間の後をついて行くという、親の後を追いかけるペンギンの子供みたいな感じになっているし……
と思ったら、赤い眼光のトルーパーの全身が、薄い膜のような青い光に包まれたかと思えば……
「ぐおっ⁉︎」
瞬きする間もなく、ストロンガーのいる位置へと素早く移動し、彼をそれによる体当たりで吹っ飛ばしていた。
って、ハァッ⁉︎ 何今の⁉︎ なんで急にあんなスピードを出せたんだよ⁉︎
「どうやらベースギターを持っているトルーパーの能力によるものだね」
シノビの言葉に反応するように、咄嗟に青い眼光のトルーパーの方を見た。奴が弾いているベースギターに、青い光の瘴気が放たれているのが見える。
もしかしてこいつ、放っている瘴気を光の膜を張らせた奴のスピードを上げれるのか? つまりバフ付与……?
「味方を素早くさせる能力は厄介だから、真っ先にあのトルーパーを倒す‼︎」
『フレイム忍法!!』
優先順位を決めたシノビが忍の印を結んだかと思えば、口の部分から放出したかのように赤い炎を放った。それは青い眼光のトルーパーに迫っていき、やがて奴を飲み込んだ……かと思われたが。
いつの間にか青い眼光のトルーパーを包み込んでいた、
「キャアッ⁉︎」
「うおおおっ⁉︎ クッ‼︎」
シノビが受け身の体勢を取りながら、その場で1回転して着地したのに対し、俺は地面にスプレードモードのウィックスガンソードを突き刺し、それにしがみつく事で耐える事に成功した。
っていうか、あの光の色からして……
「あいつも味方にバフ付与させる事ができるのかよ……‼︎ 演奏のアシストというより、メインともなり得る楽器を使っている癖に……‼︎」
『うむ……このトルーパー達、やはりこれまでのよりも強いな……』
「これって、ギターとベースギターが一心同体でもあるって事を示唆しているのかな……」
「正にバンド同士の助け合いって事か……」
誰が上手い事を言えと言ったねんコラ。確かにバンドは持つ楽器が違う中でも、一緒に演奏し、誰かのミスをみんなでカバーするってイメージがあるだろうけどさ。
「ウァアアア……セイイッパイノ、エンソウハ、コバムトソン……」
「ヤベッ、本命の敵の事を忘れてたってうおおおっ⁉︎」
「うひゃあっ⁉︎ な、何これ⁉︎」
「ぬあっ⁉︎ は、離せこのっ‼︎」
ここでトルーパー達の1番後ろにいたデシアゴーレムが、ボディのワイヤーや腰のチェーンを伸ばし、俺達の両腕を縛りつけた。
それによって俺達が無防備になったのを確認してか、デシアゴーレムがギターを激しく弾き始めた。そこから大きな音と同時に何故か見える巨大な音波が発生し、俺達に襲い掛かる。
「ギャアアアアアアッ⁉︎」
「う、うるせェ……‼︎」
「み、耳が……‼︎」
鼓膜に強いダメージを受けているだけに見えるだろうけど、周囲はそれだけに終わらなかった。全ての建物が地震でも発生したかのように揺れており、中にはガラスが割られているところもあった。被害が思ったよりもデカいなこれ……
と思っていたら、すかさず無慈悲な連続攻撃が発生した。キーボーディストなトルーパーが演奏しながら刃を次々とぶつけ、ギタリストやベーシストなトルーパーがお互いのデバフを付与し合ってから衝撃波や超スピードの攻撃を仕掛けたりし、俺達を盛大に吹っ飛ばし横転させた。
「ぐぁあああっ‼︎」
「キャアアアッ‼︎」
「ぬおおおおっ‼︎」
3人とも変身解除とまでいかなかったのが不幸中の幸いだったけど、これはヤバいな……
人間の身体を乗っ取った事で強化されたデシアゴーレムだけでなく、そいつに影響されて強くなった4体のトルーパーがいる……こんなの無理ゲーではないけどヤバゲーじゃね?
クソッ、なんとか作戦を考えないとな。じゃないと力と数の同時併用による暴力で俺達が不利に……
ん? アレ? ちょっと待って? さっきの連続攻撃からふと気づいたんだけど……
「チクショウ、やっぱりドミネイト型のデシアゴーレムとそのトルーパーは厄介だ……ん? おい、浩司?」
「どうしたの浩司君?」
「もう1人のトルーパー、何処行ったんだ……?」
「「えっ?」」
突然この場にいなくなった、ドラマーのトルーパー、一体何処に……?
最後のところで何やら嫌な予感が……?