現代パロな多重クロス世界だと思ったらゴジュウジャーな仮面ライダーの世界でもあった件   作:名無しのモンスター

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なんか……『バイトに向かおうとしたら友人達も同行した件』からここまでの間、テレビ番組1話分のやりとりとしてはかなり長めだったような……2話分も作ってたかな?


デシアゴーレムにされた者へのアフターケア

 

 ひとりが仮面ライダーミスレアとなった事で形成逆転した、ギターをモチーフにしたドミネイト型のデシアゴーレムとの闘いは終わった。けどそのあとすぐにパトカーのサイレンが鳴ったから、警察の人達が来るまで大人しくする事にした。

 同じディスク所持者(レガシーライダー)の話によると、同じレガシーライダーが警察のところにもいるらしいため、その人が来て場を宥めてくれるんじゃないかなって思ってね……

 少し時が経ち、飛鳥が先程までデシアゴーレムに憑依された女性を安静にさせ、シャロットが彼女が背負っているギターを置いていると、2台のパトカーが到着し道中の隅に停められたのが見えた。

 

「なんだ? もう事が終わったところなのか?」

「ふむ……遅くはあったが、どうやら一応、終息はしたようだな」

 

 そのパトカーからそれぞれ出てきたのは、服装がそれぞれ違う2人の男性。

 1人は、左頬に縫い目があり、両耳に黒いピアスを付け、黒いオーバーコートを羽織っている金髪ツーブロックの男性──『チェンソーマン』の岸辺。

 もう1人は、白い長袖ボタン付きの旧日本軍風コートを着た、短めの藍色で前髪を含めて襟口まで伸ばした五分分けのストレート髪の男性──『アカツキ電光戦記』のアカツキ。

 うん。岸辺さんは色んな参加者との邂逅時に名前だけ聞いたから知っているけど、まさかMUGENの方でよく動画で見かけるアカツキさんも来るとは思わなかったわ。もしや彼も争奪戦の参加者……?

 

「あー……えっと」

「ちょっと待て。お前は確か……そうか、玄堂(マスター)が言っていた新人参加者の立向居、だったか」

「えっあっそうです。あの、警察の方がその言葉を口にするって事は、貴方はもしかして……?」

「……あぁ。俺も同じ参加者で、刑事をやっている岸辺だ」

 

 何処からどう説明すれば良いのかと悩んでいたら、岸辺さんに自分の事を当てられ、俺の念のための問いかけに応じる形で自己紹介してくれた。やっぱりこの人が岸辺さんか。

 

「そうか……お前が岸辺の言っていた立向居 浩司か」

「貴方は……?」

「申し遅れた。自分はアカツキ、同じあの闘いの参加者で、超常犯罪対策課と呼ばれる立場で警察官をやっている」

 

 うわ、同行している人はやっぱりアカツキって名前の人だった。しかもこの古風な感じの喋り方からして、やっぱりあの動画達とも同じアカツキって感じだ。

 

「というか、超常犯罪対策課って事は、デシアゴーレムやデセオ・ウォーズについて色々と調べたりしているって事ですか? じゃあそこでは岸辺さんの他にも……?」

「いや、岸辺だけは違うな。この者は基本、我々超常犯罪対策課と別件で共に行動している時か、近くでそれら関連の事件が起きたら独自に急行する時に協力する、という形になっている。なんでも家族の事を優先したいらしいからな」

「あっそっすか……」

「おいアカツキ、余計な事を言うな」

 

 いや、別に家族の方を優先するのは良い事なんですけどね。人によって何が1番大事なのかってのが違いますからね。

 ってな事を考えていたら、岸辺さんが安静に寝かしつけている女性を見ながら、俺に問いかけてきた。

 

「んで? あの嬢ちゃんが寝かしている奴……あいつがデシアゴーレムに変わってしまった奴か?」

「あっはい。無理矢理変えられた、と思われますが……」

「そうか」

 

 溜息をつき、煙草を軽く1本吸い始めた。

 ちょっ俺の近くでやめてください、煙草は嫌いなんで受動喫煙もしたくないんすよ。

 

「あの女の調子がある程度よかったらその場で、それか病院まで同行しながら事情聴取する。デシアゴーレムになった奴が、いつ・どこで・どのようにしてそうなったのかを聞き出す必要があるからな」

 

 なんか徹底してそうな行動っすね。

 

「デシアゴーレムになった者の中には、『気がついたら』や『無理矢理押し付けられて』などといった被害者らしい典型的な理由でなってしまった者や、己の欲望に忠実になりたいが為に敢えて乗り気でなった者もいる。前者はともかく後者は好き勝手した事による被害もあるため、再びそうならぬよう自分達が補導しなければならぬのだ」

「えっと……つまりそれらを基に、一般人がデシアゴーレムになってしまう事の再発防止の役に立てたい……って事ですか?」

「平たく言えばそうなる」

 

 う、うーん……再発防止は、難しいんじゃないかな。特撮の悪の組織は神出鬼没ってイメージがあるし、彼等が行っている対策をさらに対策してドミネイト型のデシアゴーレムを生み出すだろうし……

 けど、決して無駄ではないとも言える。寧ろ上手く言えば、再発防止とまではいかなくとも遅延行為になる。そうすれば厄介な敵の相手をする事はしばらくなくなり、それ以外の敵を減らす事ができるからな。

 ……とは言っても、デシアゴーレムは何体でも生み出せそうだから、確実に減らす事ができるのはレガシーライダーぐらいしかいないけど。まぁそいつらは私利私欲のためにどんな悪行でもやる感じの奴だったら、減るというか全員いなくなってほしいけどな。

 

「後は……そいつに家族とかがいたら、身内に何があったのかを()()()()話す必要があるな」

()()()()? もしかして、その身内がデシアゴーレムになってしまった件も隠さず話すんですか? 『身内が怪物になってしまった時期があった』って話、誰も信じないんじゃ……」

「そうでもない。デシアゴーレムが出現したという話は、酷く公にされていないだけで、匙加減な感じにニュースで度々取り上げられるようになっている。だから大抵はそれほど時間をかけずとも、皆がデシアゴーレムが世に存在するという点は理解してくれるのだ」

 

 えぇ……? そういうものなん……? ってかなんで騒動になる程のニュースになってないんだよ……確かにそういうニュースがあったら、あの時デシアゴーレムに出会う前から『怪人が何回か出現している』って情報を得られたのに……

 ま、ないもの強請(ねだ)りしても仕方ないか。そうなる程に広まっていたら、今頃というかもっと前から世界は大混乱していただろうからな。

 

「………………うっ。ッ……ア、アレ? ここは……?」

 

 あ、ここでデシアゴーレムにされた女性が意識を取り戻したか。

 それに気づいたのか、2人がその女性の元へと近づき、岸辺さんが彼女に声を掛けた。

 

「おい、大丈夫か? 意識、はっきりとしているか? 名前、言えるか?」

「えっあっ、はい……美咲、です……」

「なら、今はっきりとしている事だけ答えてくれ。この時までにお前自身が何をしていたのか、覚えているか?」

「こ、この時まで……? えっと……ッ⁉︎」

 

 岸辺さんに問いかけられ、女性──美咲さんがそれにどうにか答えようとした途端、彼女は頭を抱え苦しみだした。無理矢理デシアゴーレムに変えられた事による副作用でも発生したのか……? 心配だ。

 

「だ、大丈夫ですか⁉︎」

「………………‼︎ そ、そうだ。思い出した……‼︎ でも、信じてもらえるかな……」

 

 どうやらデシアゴーレムになる前までか、デシアゴーレムになっていた時かのどちらかの記憶を思い出したようだ。前者の方が当て嵌まりやすいとは思うが……

 当然というべきか、普通の人が(・・・・・)信じてくれるかどうか不安に思っているらしく、言い淀んでいたようだが。

 

「あっあの、信じられないかもしれないですけど……私、何やら怪物になってしまった、というよりは怪物にされてしまったんです。それも、言葉通りの……」

「知っている。状況が状況で、似たような事実が何件かあったからな」

「………………えええっ⁉︎」

 

 いざ腹を括ってカミングアウトした結果がこれ。まさかデシアゴーレムになってしまったのが自分だけではなかったとは思わなかったよね、驚くのも仕方ないよね。

 

「ほ、他にも私と同じ被害者が……⁉︎」

「あぁ。それもお前と同じであろう、姿を無理矢理変えられたって件ばかりだ。合っているよな?」

「は、はい……私と同じ怪人化の被害に遭っている人がいるって何? 怖っ……」

 

 どうにか落ち着いて質問に答えるも、自分の他にも非常識な出来事で酷い目に遭っている人がいるという事実に、内心戸惑いを隠せずにいる様子だ。

 すみません、たまたま小声聞いちゃいました。

 

「あぁなる前までは何があったのか、今それを覚えているか? 何なら後で安静にして無理して言わなくても良いが……」

「いっいえ、大丈夫です。それくらい問題なくできるかと思います。それに……ここまでの事は、私の心が弱いせいでこうなった事ですから」

 

 この後、美咲さんの話から聞くに、彼女はバンドを組んでステージに立つ事を夢見ていたが、その夢を叶えようとする勇気がなく燻っていたらしい。

 そこをフードを被った謎の男性に目をつけられたのか、『夢を叶えるために自分自身を変えないか』と促され、少しだけとはいえ乗ってしまった事でデシアゴーレムになってしまったらしい。ディスクを押し込もうとした時点でもうやめようとはしていたようだが。

 

「なるほど、やはり本心を狙われた事でデシアゴーレムになってしまったってわけか」

「はい……『騙された』と言えば済むかもしれないですけど、それでも私のせいで、周りに迷惑をかけてしまったどころか被害が出た事には変わりないと思っています。私の心の弱さが、下手すれば人の命を奪ってしまうような事態を生み出してしまったので……私が、あの夢の事を考えなければ……」

 

 美咲さんは弱い自分を、そしてそんな自分を作る過程を持ってしまった自分を呪っている様子だ。

 それもそうか。いくら騙され半ば強制って感じとはいえ、デシアゴーレムとなってしまって俺達に襲い掛かってしまったのだから。実際傷害未遂となってしまったし。

 ……困ったな。俺、人を襲う事を本心としていない者へのアフターケアなんて初めてだぞ。……どう声を掛けていいのか分からない、そんな自分が憎いな。

 これが、正義の仮面ライダーと同じであろう立場ってヤツか……

 

「あ、あの……ちょっといいでしょうか?」

「えっ?」

 

 と、ここで自分を責め立てている美咲さんに、ひとりが声を掛けた。多少後ろめたさはあるようだが、それでも勇気を出そうとしている感じだ。

 1つ深呼吸をしてから、ひとりは再び口を開いた。

 

「話を聞かせてもらったのですが……貴方のその気持ち、私にもすごくよく分かる……と思います」

「えっ……貴方も?」

「はい。実は私も、どうしても叶えたい夢があったんです。けど、頑張ってもなかなか前へと進む事ができなかった時期が結構あって『本当に叶うんだろうか』『失敗したらどうしよう』って不安で押しつぶされそうな時期があったんです。だから、一歩を踏み出すのがどれほど怖いか、痛いほど伝わってきていると思います」

「……なんでちょいちょい不安気味なの?」

「か、解釈違いかもしれないので……」

「そ、そんな事はないと思うけど……」

 

 そういえばひとりも、自分の叶えたい夢で四苦八苦した時期があったんだっけ。友達を作る事、バンドを組む事……それらが結束バンドと出会うまで、全然上手くいかなくて押し潰されそうな感じだったとか。

 そんな彼女の思いが不意にも感じ取ったのか、美咲さんが見せていた暗い雰囲気は、無意識にも薄れているような感じを見せていた。かつてのひとりと同じく不安や自責で押し潰されている自分が、ひとりなりの必死な想いと優しさで包まれているかのように。

 

「貴方は今、周りに迷惑をかけてしまったと言って、かなり自分の事を責めているみたいですけど……それは貴方がその夢を適当に考えているからじゃなくて、それだけ真剣で大切に想っているからこそ、身動きが取れなくなってしまったんじゃないって、私は思うんです。『夢の事なんて考えない方がよかったのかな』って思っているのかもしれないですけれど、貴方の中に生まれたその大切な想い自体は、絶対に間違いじゃないですし、無かったことにしなくていいんじゃないかって思います」

「……‼︎」

「今は無理に勇気を出して進もうとしなくていいです。立ち止まったままでもいいから、『夢を持った自分』を責めるのだけは、少しお休みしてみませんか?」

 

 俺は目の前で、彼女の柔らかな笑顔を美咲さんに見せている姿をじっと見つめていた。

 彼女がこんなに優しい言葉を、迷わず口にできるなんて、きっと昔の内気で奥手な彼女なら絶対にできなかったのだろう。それだけ美咲さんの痛みを本気で受け止めてたんだんだな。

 ……すごいな、彼女は。俺が出来てない事を、自分の意思で自分なりに本気で伝えているのだから。

 

「………………ねェ、それってさ……」

「……?」

「私はまだ、夢を持っていていいって事? その夢を目指して、頑張ってもいいって事なの?」

 

 美咲さんの瞳に、今にも泣きそうなくらいの涙が溜まり始めてきた。今まで真剣に、自分の夢の事を考えてくれる人がいなかったからこそ、それによる感情が込み上がってきたのだろう。

 そんな彼女からの問いに、ひとりは優しく答えた。

 

「……はい、もちろんです。それに、かつての私も今の貴方みたいな感じだったと思うので……たとえ時間がかかったとしても、いつかきっと叶いますよ。だから……諦めず、自分を隠さなくてもいいですよ」

「……‼︎」

 

 そして、流れ出した涙が美咲さんの頰を伝った。彼女は軽くそれを拭おうとするが、涙は1つだけに(おさ)まらず何滴か流れていた。

 それは悔しさや自己嫌悪の涙ではなく、『夢を持った自分』を許された瞬間、心の底から溢れてきた、ほのかな希望の雫だと、俺はそう感じた。彼女の言葉が、ずっと暗かった道に一筋の朝日を差し込んでくれたように感じたのだろう。

 しばらく涙を指で拭った後、美咲さんは暗さの全くない微笑みをひとりに向けた。

 

「……ありがとう、夢を持っていいって言ってくれて。やっぱり……貴方は私の憧れである、結束バンドの後藤ひとりさんなんだね」

 

 ひとりの体が、ピクリと硬直したような様子が見てとれた。

 

「………………えっ? い、今なんて……?」

「貴方、結束バンドの後藤ひとりさんだよね? 貴方や結束バンドの人達が出ている動画を見て、やっぱり私もバンドをやりたいなって、思ったんだよ」

「えっ………………ええええええっ⁉︎」

 

 まさかの衝撃の事実を聞いたと言わんばかりに(実際そうだけど)、ひとりは(某麦わら海賊団が活躍する漫画キャラのような)過度な驚き顔を見せた。鼻水は出てない。美少女にそんなもん出させんな。

 

「けっ結束バンドの皆さんはともかく、私の事も見て、バンドを始めようと……⁉︎ と、というか、私達の事を知ってくれて……⁉︎」

「うん、SNSで多重奏高大一貫学園の文化祭の動画を観たからね。特にソロパートのところ、すごく良かったよ。アドリブだったんだろうけど、すごく心に響いたんだ」

「えっえっと……あっありがとう、ございます……?」

 

 思わずお礼言っちゃったよこの子。まぁ無理もないか、自分達が演奏している動画が本当にSNSに挙げられていたなんて思いもしなかっただろうし。

 と思っていたら、美咲さんがひとりの両手を包むように強く握りしめ、まっすぐ見ながら再び口を開いた。

 

「本当にありがとう、後藤さん。私……どんなに時間を掛けても、どんなに挫折を味わっても、夢を諦めないから。貴方みたいに……いや、貴方達みたいに立派なバンドを組んで、みんなの心を響かせる演奏をしてみせるから‼︎」

 

 それは、今後の誓い。直接勇気を分けてくれた者への、せめてもの恩返しのつもりだろう。

 

「……はい。お互い頑張りましょう」

 

 そんな美咲さんに対し、ひとりは微笑み返した。美咲さんが新たな一歩を踏み出せるように願っての、些細な願掛けとなる事だろうな。

 

「……今のこいつなら、この後も大丈夫だろうな」

「うむ、立ち直りそうでよかったな」

 

 警察のおふたりも、ひとりのこの対応は良い事だと思ってくれたようだ。多分、彼等だけだと美咲さんのケアは難しいと思っていたんだろうな。

 そう考えると、やっぱりすごいよひとりは……

 

 

 

 

 

 

 あの後、美咲さんは岸辺さん達に連れて行ってもらう形で病院に行く事になった。救急車を呼ばなかったのは、そうなる程に美咲さんの身体などに異常がないと判断されたからだろう。

 美咲さんはこの後、身体検査やリハビリなどしてもらい、身体に何も問題が無ければ退院する事になるようだ。

 そんな彼女達が乗っているパトカーを見送りながら、ひとりはスカートの裾を握りしめながら、何やら決心したような表情を見せていた。

 

「私、決めました‼︎ 私と仲の良い人達だけじゃない……みんなが後悔したり自分の意志を押し殺したりもしない、平和な世の中を作る……その願いを持ってして、今後の闘いにも挑みたいです‼︎ そうすれば、苦しむ人達が少なくなると思うので……‼︎」

 

 ひとり……内気ながらもやっぱり他人の事をよく想い、その人達の為に何かしたいって考えてくれているんだな。そういうのも正義の仮面ライダーによくあるから、彼女ならきっと良い結果を作ってくれるだろうな……

 なら、俺がこの誓いに対する答えはただ1つ。

 

「なら、俺も全力でお前の願いをサポートするぜ。叶えような、その願い」

「はい‼︎」

 

 デシアゴーレムだか私利私欲なレガシーライダーだかなんだか知らないが、平和を望む俺達の邪魔はさせないぜ‼︎ 必ず手にしてみせるぞ、この世界の真の平穏を‼︎

 

 

 

 

 

 数年後、美咲さんが組んだバンドメンバーが日本で人気の存在になる事を、俺達はまだ知る由もない……

 




採用キャラを簡潔に紹介


アカツキ(誰だお前って言われる奴さん)
『アカツキ電光戦記』の方。超常犯罪対策課所属。新しい物好きなモダン。激しい運動をすると急激な空腹に襲われるらしく、ざる蕎麦を十枚平らげて店主を驚かせる程の腹ペコ
 
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