現代パロな多重クロス世界だと思ったらゴジュウジャーな仮面ライダーの世界でもあった件 作:名無しのモンスター
小説ストックが途中執筆のヤツ1つしかないのに、訳あってめちゃ(?)早く投稿しました。とある欲が出たからね……
俺の恋人・後藤ひとりが学生寮暮らしになった事を知った翌日。
その日は休みであったため、これを機に俺は前日にひとりをデートに誘ってみた。そしたらOKが出たとの事で、この多重奏町内を一緒に回る事になった。
その時のデートの衣装だが、ひとりが母親からの仕送りで貰ったという、ピンクのもこもこファーコートと白い水玉模様付きの青白いロングスカートといった、かわいい×かわいいの冬コーデで着てくれた。ホントにかわいいし冬にぴったり。
恋人のために恥ずかしくも頑張って着たって言ってたから、それにキュンッとジーンッの2つの感情が同時に起きて感無量だったよ。俺、こいつの恋人になってよかった……‼︎
そして、俺達は今何をしているのかというと……
「しゅっ、集中……集中……集中……‼︎」
「えらく真剣にタイミング見計らってるな……」
「こっこれ、初めてやるので、中々に緊張しちゃいそうでして……‼︎」
ゲームセンターにて、ひとりが切羽詰まった感じにぬいぐるみのクレーンゲームに挑戦していた。
始まりは俺がちいかわのデカいぬいぐるみを見た事で『やってみないか』と薦めた事によるものだけど、まさか目を見開きながらというガチさを見せるとは……
ひとりの意外な一面を見れる事ができたなんて、これが恋人特権って奴? って、我ながら喧しいな。
「い、一応これをやる時が来ると思っていたので、攻略法とかはネットで確認しておきました───ア ゙ッ ゙」
「あっ」
そんな事を考えていたら、後もうちょっとで手に入るってところで、ハチワレのデカいぬいぐるみのゲットに失敗したひとり。しかもクレーンが届かない位置での落下だから、気まずい空気が流れてしまった。
「ご、ごごごごご、ごめんなさい……‼︎ わ、私……」
失敗した事による余計な責任を感じてしまったのか、ひとりが本家みたいに顔が溶けそうな感じ……ってか身体が溶けかけてね⁉︎ いくら陰キャだからって緊張でそうはならんやろ‼︎ 今なっとるけど‼︎
「だ、大丈夫だって‼︎ まだ1回目だし‼︎ ほら、こういう時はスタッフの人に元の場所に戻してもらえないか聞けばいいから‼︎ そんな怯えるなって‼︎ なっ⁉︎」
「は、はいっ……」
なんとか落ち着かせた事で元に戻ってくれたひとり。そして俺の言った通り、スタッフの人にぬいぐるみの位置を元に戻してもらう頼んだ事で、改めて再挑戦する事に。
今度は俺がやろうかと問いかけるも、彼女はできれば自分だけの力でやりたいと言ってきたため、彼女の思いを尊重する事に。えらく真剣に取り組んでいるな、ひとり……
そして、2回目の挑戦。たった2回目の挑戦にて。
「や、やった……‼︎ 取れましたよ、浩司君‼︎」
「マジで2回目で取れたか……」
ひとり、ハチワレのデカいぬいぐるみを獲得。ホントにクレーンゲームの事を色々と調べたから、たったの2回で手に入れられたのか? だとしたらよく研究できたな。マジでスゲェよ……
「うーん……いざとなったら俺が挑戦しようかと思ったけど、この機体ではその必要なかったか……」
「そ、そんな事ないです‼︎」
ちょっと自虐っぽい事を呟いてたら、ひとりがそれを否定して迫めてくるかのように詰め寄ってきた。そして顔を赤らめながら上目遣いとなり、モジモジとしながらも口を開く。
「こ、浩司君が応援してくれたから……わっ私、初めてだし緊張したんですけど、それでも頑張って取れたので……」
「えっ……お、おうっ。そうか……」
こ、こいつ……‼︎ やっぱり根はコミュ症なだけで、頑張ればあざとさ無しに俺をときめかせる言葉や仕草をしてくれる……‼︎ ホント恋人になってよかった……‼︎
「そっそこまで言うなら、俺も別の機体で挑戦しよっかなー‼︎ お前の応援で‼︎」
「にゅえっ⁉︎ わ、私なんかの応援でいいんですか……?」
「いやそこで内気にならんくても……ないより数倍嬉しいから」
「そっそうですか……えへへっ」
照れを少しでも隠すため、わざとらしい感じを出してから他のクレーンゲームのところへと移動した俺氏。あまりデレデレしすぎたのを表に出しても……ね? 嘘っぽさが出てしまう事もあるし、本心をある程度誤魔化すのも大事……かもしれないと思う。
ちなみにこの後、8台ものクレーンゲームに挑戦してみたんだが。
「まさかのどれも一発ゲット……⁉︎ いや、あの、嘘だろ……⁉︎」
「そ、そんなに驚きます……?」
「いや俺もその場でスマホから得たコツをやってみたんだけど、即ぶっつけ本番かつノーミスでこれっておまっ……」
実力によるものなのか運がすごく良かったのか、その判断ができず8つの景品を抱えながら困惑する事になるとは思わなんだ……
♢
この後はリズムゲームでひとりが高得点を出したり、太鼓の達人で俺が僅差で勝ったりと……ゲームセンターを楽しんでから、何処かで昼食を摂る事にした。
とはいったものの、ゲームセンターから1番近い食事の場であるショッピングモールでは、フードコートすら満席のところが多いものだから、そこに行くべきかどうか悩んでるんだけどね……
どうするべきか悩みながら、近くの公園を通り過ぎようとしたところで。
「……ん?」
俺はふと見つけたのだ。白と青を基調としたメタリック塗装で、車体側面には流線型の翼のようなデカールが描かれ、屋根部分に小さなアンテナ風の装飾が付いている……キッチンカーを。
そしてメニューの看板には『Freedom Kitchen』……これ、絶対ガンダムシリーズのアレやん。アレを意識してるん?
でも、キッチンカーを見つける事ができたのは実にラッキーだ。おまけにテーブルも用意されていて、他にも客いるけど充分空いている。行かなきゃ損するかも。
「これは運が良いかもな。あそこに行ってみるか? きっと当たりモンが食えるかもしれないぞ」
「いいですね、行ってみましょう」
ひとりも賛成してくれたとの事で、早速そのキッチンカーに行ってみる事に。
さて、メニューにはどんな料理が……
・デュエルステーキ対決
2種類のソースで対決するステーキ料理。赤身の牛ステーキをグリルし、一方にスパイシーなチリソース、もう一方にマイルドなクリームソースをかけて提供。味のコントラストが『決闘』のような緊張感を生む。
・バスタークラッシュポテト
『破壊者』を連想させる、砕いたポテトのクランチーな料理。じゃがいもを茹でて軽く潰し、チーズとベーコンを混ぜてオーブンで焼く。外側がカリカリに『破壊』された食感が楽しい。
・ブリッツスパイシータコス
『電撃戦』の速さと鋭さをイメージした、素早く作れる辛いタコス。挽肉を唐辛子で炒め、トルティーヤに挟んでレタスとサルサをトッピング。食べると一気に『ブリッツ』級の刺激が来る。
・イージスシーフードシールド
『盾』の防御を思わせる、貝殻で守られたシーフードグラタン。ホタテやエビをクリームソースで煮込み、チーズを乗せて焼く。外側のチーズが『盾』のように固く、中身が柔らか。
・ストライクパンチカレー
『打撃』のインパクトを活かした、強烈なスパイスのカレー。鶏肉と野菜をココナッツミルクで煮込み、ガーリックとジンジャーで『ストライク』級のパンチを加える。
・カラミティホットチリビーンズ
『災厄』の混沌をイメージした、激辛のチリビーンズ。豆と挽肉をトマトベースで煮込み、ハバネロで『災厄』級の辛さを演出。食べると汗が出るほどのインパクト。
・プロヴィデンスヘブンズサラダ
『神の摂理』の恵みを連想させる、新鮮野菜のフルーツサラダ。りんごやベリーをヨーグルトドレッシングで和え、天からの贈り物のような爽やかさ。
・ジャスティスバランスプレート
『正義』の公平さをイメージした、野菜・肉・穀物のバランス定食。グリルチキン・玄米・ブロッコリーを一皿に盛り、味の調和が『正義』のように完璧。
「………………出張版のコラボカフェか何かか?」
なんか……説明文がどうしてもあのアニメを連想させるんだけど。
『破壊』された食感が楽しいとか、『盾』のように固くとか、『災厄』級の辛さを演出とか……なんでこのワードをチョイスした?
でも……それが逆に『食べてみたい』って思わせてくる気がするんだよな……味が気になるし。
「……あっ。どのメニューも『ドタバタ!シードウォーズ(笑)』に合わせてる」
「えっ? ひとり、お前このメニューの元ネタ知ってるのか? 俺知らないんだが……」
「あっはい。アニメ2期が近づいてきて話題になっているんです。私も喜多ちゃんや飛鳥ちゃん達に薦められて、サブスクリプションで観ました。あっこういうアニメだそうです」
ひとりはそう説明しながら、スマホに出てきたアニメのポスターらしきイラストを俺に見せてきた。
ポップなピンクと黄色の宇宙背景に爆発花火エフェクトが満載。そこに中央にハート目で吹き出しつきのデフォルメされた巨大ロボット、コントローラー持ちのびっくり顔の青髪の少年、ハートブレイクなカッコつけの赤髪の少年が描かれていた。
さらにタイトル上部『ドタバタ!シードウォーズ(笑)』にDNA螺旋、下部タグライン『チート vs ノーマル! ドタバタ爆発コメディ!』でユーモア全開だった。
そしてこのイラストの下の、アニメのあらすじらしき文には。
『宇宙で遺伝子チート人間とノーマル人間がケンカしまくり!中立の街に住む普通の少年タクトが、突然地球軍の超カッコいいメカに拉致られて戦場デビュー。親友のモリジマとは敵同士で「え、君も戦ってるの⁉︎」みたいなドラマチック展開。結局みんな爆発しまくって、戦争ってバカらしいよね~って感じのドタバタSFコメディ(風)』
と書かれていた。
「……あぁ、タイトル通りのコメディ感マシマシなんだ」
前世の世界とは違って、『ジャスティス』や『イージス』などのワードが1つに入ったアニメはコメディものになっていたんだな。だから宇宙で喧嘩しまくって『爆発オチなんてサイテー‼︎』みたいな事をして……的な説明文が……
グゥ〜〜〜ッ
気がついたら、俺の腹の虫が鳴ってきた。料理名や説明文の意味を理解した事で、食べたくなってきた事による空腹が起きたのだろう。
「………………ウプッ。ンンフフッ……」
「無理に笑いを堪えなくていいから」
隣でひとりが笑わないようにしようと、顔が真っ青になり顔のパーツが溶けて落ちそうな程に口を押さえていた。それやめて? 笑われるよりも結構なレベルで精神的ダメージを受けるから。
「……ここで飯にするか? お前さえ良ければ」
「フゥッ……はい、是非そうしましょう」
俺が問いかければ、ひとりは笑わなくていいと判断し落ち着いたのか、ゆっくり深呼吸をすれば顔のパーツが元に戻っていった。どういう体質なのそれ?
「例のディスクの所有者はまだ見当たらないな……もう少し様子を見るか」
♢
早速俺はストライクパンチカレー、ひとりはイージスシーフードシールド、そして2人で食べる用としてプロヴィデンスヘブンズサラダを注文した結果。
「………………美味いな、このストライクパンチカレーもプロヴィデンスヘブンズサラダも」
「こ、このイージスシーフードシールドもすごく美味しいです……」
「これは、当たりだな」
予想的中。どれも当たりレベルの美味さだったぜ。スパイスの効いたカレーをココナッツミルクの味変で程よくしてくれるし、サラダも酸味の効いたフルーツによってスイーツ感を出してるしで、もう文句なしってわけ。
「気に入ってくれたかな? ここの料理を」
「あっはい、おかげさまで」
関心していたら、目の前でタコスらしき料理を作っている、このキッチンカーの店長らしき人物に話しかけられたので、俺は思わず反射的に返事した。
毛先をハサミで削ぐように間引いて細くした黒に近い茶髪に、紫色の瞳が特徴の柔和な雰囲気がある男性。首に掛けているネームホルダーには『
名前は違うけどこの世界のキラ・ヤマトそのものじゃねェか。
ふと車内の奥を見れば、腰まで伸ばした桃色の髪を纏め、水色の瞳を持つ色白の美少女が、機嫌良く料理を作っているのが見えた。
チラッと見えたネームホルダーには『倉井
この2人……コロニーとかモビルスーツとかのガンダム要素のないこの世界で、どういった経緯で2人で過ごしてきたんだ? 後、ラクスは元ネタでは歌姫もやってるから、アイドルとか歌手をやってると思ったんだが……
っていうか2人とも日本人って設定かい。シャロットでも名前は元ネタそのままだってのに。
「よかった……僕達はね、こうやって旅をしていきながらキッチンカーを経営していく事で、様々な人達やその場所での環境に触れ合いながら、僕達の料理を振る舞って、みんなを笑顔にしたい……そう思って今までやって来たからね。喜んでくれたら嬉しいよ」
なるほど……この世界の彼等なりに思うところがあるからこそ、自分達が少しでも世界のためにできる事をしていこうと思ったわけか。元ネタの世界みたいな感じに上の立場や贅沢っぽい事とかがないのに、立派なもんだな……
「その目標、達成できるといいですね」
「お、応援してます……‼︎」
「ありがとう。これからも頑張るよ」
これはもう素直に賞賛してあげる他ないでしょ。配信とかの一定の位置からならともかく、実際に日本中を巡ってで各地に笑顔を作るってさぁ、普通みんなそう簡単にやろうと思ってやれるわけじゃないんだよ。
どんなに大変だろうと、みんなのためにたくさん遠出して、溜まったところで店開いて、飯作ってみんなに広めて……強い精神でないとやれないと思う。キラ……いや、綺羅さん……アンタはすごい人だよ。
「ウフフッ……よかったですわね綺羅、貴方の夢を実際に応援しててくれる人がいてくれて」
「いいや。これは君の夢でもあるはずだよ、楽澄。君に共感し惹かれたからこそ、こうやって一緒にやってきているじゃないか」
「アラ……それはそうでしたね」
ちょっと、いきなりリア充爆発しろほのぼのオーラを展開しないで? 俺は基本カプ厨だからいいけど、特定の他の人達からしたら忌々しく見えちゃうから。
それと。
「あば、あば、あばばばばばば……‼︎ さ、爽やかな陽キャオーラを放つリア充の存在感が眩しすぎて直視できない……‼︎」
ひとり、急にバグで画面が乱れているかのような状態になりかけるのやめて? ってか実際そうなろうとしてるんだけど。怖すぎるんだけどマジで。
「落ち着けひとり。爽やかさがあるかどうか分からんが、少なくとも俺達もリア充だから」
「………………………………えっあっ。そ、そうでしたね……はい……」
自分達もリア充である事を理解するまでの時間がかかり、それが完了した途端、真っ赤になった顔を俯かせ、湯気が出る幻覚を見せるひとり。
なんだこの生き物可愛すぎるかよ。一体誰が飼い主なんだよ。あっ俺か。実際飼い主じゃなくて恋人なんだけど☆(マウント)
「リア充、か……今の彼等なら、僕達よりも相思相愛になっていそうで良いね」
「フフッ。なんだか羨ましいですわね」
おっと。俺達まだ付き合って3・4ヶ月ほどですが、おふたりの目に余る光景を作れたのならば幸いですわ。
どうだ皆の衆。俺とひとりのカップルは今、前世でも今世でも人気(?)のカップリングに高評価を貰ったぞ。実際に爆発しろ、なんて言われても無駄だからな───
と思っていたのと同時に、このキッチンカーの近くにて、実際に爆発した音が発生。それによる突風が俺達に襲い掛かった。
「「「うわぁああああああっ⁉︎」」」
「「「キャアァアアアアアアッ⁉︎」」」
「ぬおおおっ⁉︎ な、なんだァグェェェッ⁉︎」
「ぶわっぷ⁉︎ ……あっ⁉︎ ご、ごめんなさい……」
このキッチンカーの料理を食べに来ていた他の客も吹き飛ばれそうになる中、俺がひとりもそうなりそうになる事を止めようとするが、逆に一緒に吹っ飛ばされてひとりの下敷きになってしまった。
って、ふおおおおおおっ⁉︎ む、胸ッ……‼︎ 胸が顔に当たるギリギリのところでよかった……いや、この時点で男としてはアウトだが。
というか、
「これはまさか……楽澄‼︎ 早くみんなを……‼︎」
「えぇ‼︎ 皆さん、落ち着いてわたくしの後をついて来てください‼︎ わたくしが安全な場所へと避難させます‼︎」
何かを察したのか、綺羅さんが楽澄さんに俺達をこの場から離れてもらうよう誘導しようと指示し、同じく何かを察していた彼女も率先して俺達に避難誘導をしてきた。
「い、一体なんだってんだ……⁉︎」
「あ、あのっ……店長さんはあの場から離れようとしないみたいですけど、大丈夫なんですか……?」
「大丈夫ですよ、綺羅を信じてください」
1人だけこの場から離れようとしない綺羅さんを見て、ひとりが彼を心配するような言葉をかけるものの、楽澄さんがそれは無用だと語る。
そんな言葉をつい信じてしまったのか、俺達はそのまま楽澄さんに誘導される事になった。
一体、何が起きるとでもいうんだ……?
♢
「……行ったみたいだね」
後ろを振り向きながら、客の全員が楽澄に誘導されていったのを確認した綺羅は、安堵したのか不意に微笑んだ。彼等が被害に遭う事はない事を喜んだようだ。
そして爆発が発生した位置のする前方へと向き直せば、彼のその視線の先には……複数もの人影が見えていた。それも、普通の人間の姿をしていない者ばかりだった。
それは先頭に立っている1体を除いて、ところどころに棘らしき部分が見えており、胸部には2本角の山羊の顔に近い悪魔の顔があしらわれていた、灰色の西洋の甲冑を着けていたナニカであった。
彼の先頭に立っていたのは、細身をした真っ黒な身体の上に、巨大な岩石を鎧として着ているかのような存在。その姿は、正にゴーレム。心臓部にはディスクらしきものが着けられていた。
そのゴーレムは周囲を見渡したかと思えば、自身の視線の先にいる人物が綺羅だけだと察したのか、彼の方に鋭い視線を向ける。
「なるほど……俺達の存在に気づいた事で、俺達がお前の目の前に現れる前に、関係のない奴らを避難させ、戦える場面を作った……そういう事か」
「お客さんであろうともなかろうとも、この戦いで戦えない人達を巻き込ませたくないからね」
綺羅はそう言ってゴーレムの問いかけに答えれば、制服のポケットから何かを取り出した。
それは、水色の戦士が描かれた、白い色の星の模様と共に金色に縁取られた、中心に少し小さめの赤く丸いスイッチらしきものが出来ている、円盤状の物体だった。
それを見たゴーレムは、まるで目当てとなるものを見つけた事による喜びを表しているかのように、フフッとした嘲笑の声を呟いた。
「まぁいい。俺達の目的は貴様……いや、貴様の持つそのディスクだけだからな。できたらそいつを手に入れるための人質もほしいところなんだが……贅沢はしないぜ。探す時間が省けただけでも、良い戦果となるのだからな」
どうやらゴーレムは綺羅の持つディスクの強奪を目的としていたらしい。やはりかと感じたのか、綺羅は溜息をついた。
「仕方ない。本当は戦わずなるべく穏便に済ませたかったんだけど……君達のようなのだったら、手加減する必要はないよね」
綺羅がそう呟けば、ゴーレムを睨みつけ、そのまま円盤状の物体──ディスクの中央にあるスイッチを押した。それと同時に、ディスクから嬉々とした音声が流れ込んできた。
『レガシー・ガッチャード・ディスク!!』
それと同時に、綺羅の腰周りにVRらしき銀色の光が発生。そしてそれはどういう原理でか実体化する。銀色の装甲のような長方形をした、鋼鉄の装置としてベルトのように装着されていた。
『セッティング・オーケー!! レガシーライダーバックル、アクティベート!!』
さすればその装置からも、嬉々とした音声が発生した。
すると綺羅はその装置の上部──横向きのそれにある凹凸部分に、ディスクを差し込んだ。
『ローディング……オーケー!! トランス・プリパレーション!!』
刹那。装置から何かが投影され、周囲の木の葉や小石などの小物を吹き飛ばしながら綺羅の周囲を旋回する。
投影されたのは、1つの姿をした様々なポーズを取っている複数の戦士と、彼が映っている複数もの映像。前者が綺羅の前を、後者が背後を中心に映し出されていた。
その状況の中で、綺羅は両手で円を描き、重ねた手を反転させた後矢印の先端を形作って正面に突き出し、叫んだ。
「
それを合図に、装置の両端となる銀色のレバー状のパーツを力強く押し込んだ。
『トランス・オーケー!! 仮面ライダーガッチャード‼︎ レディ・ゴー!!』
『スチームホッパー!!』
発生する2種類の活気ある音声。それに合わせるかのように、投影された映像全てが綺羅と重なり合い、光が弾け飛んだ。
こうして、綺羅は1人の戦士へと姿を変えた。その姿は、蒸気機関車とバッタが融合したような異形の戦士だった。
メタリックな青い装甲が月光を浴びて輝き、頭部の向き合っている矢印状の複眼が朱く光り、長く伸びた触角が微かに震える。口元は硬質な蒸気機関車の前端をイメージさせ、肩からは白銀のマフラーが優雅にはためく。
胸に赤い炎の意匠を刻み、黒いボディスーツに青い装甲を重ね、バッタの跳躍力を思わせる脚部はスチームの爆発的な推進力を秘めていた。
列車の重厚さと昆虫の敏捷さを併せ持つ、機械的で有機的なシルエット。それが、人と錬金術による人工生命体が一緒に自由に生きられる未来を目指す戦士──仮面ライダーガッチャード、スチームホッパーの姿だった。
「それじゃあ、いくよ」
この世界には存在するはずのない、人々と平和を守るために闘う戦士──仮面ライダー。
その1人が今、ディスクと呼ばれるものと人々を守るため、戦いのための構えを取った。
簡潔なキャラ紹介
大和
キッチンカー『Freedom Kitchen』の店長。自分の料理で人々を笑顔にしていく事を目標にしている。謎のディスクでガッチャードに変身したが、果たして何者……?
倉井
キッチンカー『Freedom Kitchen』の福店長で、綺羅の恋人(もうすぐ結婚する)。綺羅がガッチャードに変身する事を知っているようだが……?