現代パロな多重クロス世界だと思ったらゴジュウジャーな仮面ライダーの世界でもあった件   作:名無しのモンスター

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前々回までのあらすじ


斑鳩「様々なデシアゴーレムと闘っていて忘れてましたが、優一さんが同盟関係になったという浩司さんの友人さんも仮面ライダーになったみたいですね。楽しみです」

(拝見時)

斑鳩「本物の恋人認定されてるー⁉︎」ヒエー
 


女同士の闘いだが醜くない。あくまで模擬戦だし。

 

 ひとりが仮面ライダー同士の闘いに慣れるようにと、優一の友人(で彼に好意を寄せている女性)・斑鳩が、実戦形式でひとりを鍛えてくれる事になった。

 だが経験の差がものを言っているのか、どちらが優勢かは明確だった。

 

 ひとりことミスレアがギターケースを模した大剣またはハンマー──ミスレアティックギター・ケースモードを振るえば、斑鳩ことサソードが蠍の尾や毒針を連想させる中長刀を彷彿とさせる剣──サソードヤイバーで受け止め、大きさを諸共せず軽くいなす。

 そして掬い上げるようにサソードヤイバーを下から振るい、ミスレアティックギターを弾くサソード。それによって怯んだのか、動きが鈍くなったミスレアの胴体を横薙ぎに振るって切り裂き、すぐさまそこに蹴りも入れ彼女を横転させた。

 

「キャアッ⁉︎」

「……なるほど。聞いた話では、貴方の変身するライダーのスーツに付いてある鱗の模様がある程度の攻撃を遮断するようですが……その鱗のない箇所もあり、そこへは普通にダメージが通るようですね」

 

 ミスレアが立ち上がろうとしている間に、サソードが彼女のライダーとしての性能を分析し始めた。

 しかも事前に得た情報もあったとはいえ、あの短時間から何故今のような状況になったのか、高い可能性を想定できるとは……実際に初戦闘で怯まなかったミスレアことひとりが横転していたから、サソードこと斑鳩の分析は合っていたし。

 そこにミスレアが立ち上がったのを確認してか、サソードが彼女の向けて助言していく。

 

「先程のように、攻撃を防がれたり何かしらの妨害をされたりして、思い通りの動きが出来ずにいる場合があり、敵がそこを狙って攻撃をしてくる時だってあります。そのような事態を含め、様々な瞬時の出来事を想定して咄嗟の判断を行い、どのような対処を取れば自分が不利な状況に追い込まれないようにしましょう」

「………………ん?」

 

 ここでミスレア、疑問に感じたのか呆気に取られたような声を漏らした。どうやら何処か思っていたアドバイスと違った点に気づいたようだ。

 

「えっと……つ、つまり……?」

「半分勘、ぶっつけ本番。貴方にはこの闘い方が得意そうで最適かと思われますが、不服だったでしょうか?」

「えぇ……?」

『そんなんでいいの……?』

 

 もう少し明確な闘い方を教えるんじゃなかったの? みたいな感じに、ひとりとミスレアは戸惑っているようだ。

 まぁ俺も優一との特訓の時、彼に『相手の動きをよく見ろ』とか『次の行動はどうするべきかを考えろ』とか言われたのに、その後すぐに『深く考えず自然体中心に動け』と、少しだけ矛盾しているようなアドバイスを受けたからな。その気持ちは分かる。

 けど、ひとりは斑鳩のアドバイスに納得いってなさそうだから、ここで俺なりの助言をしてみるかな。

 

「ひとり‼︎ 初ライブの時と文化祭ライブの時を思い出せ‼︎ あの時だって咄嗟の判断で、ライブでの気まずい空気や非常事態も乗り越えてきたんだろ⁉︎ だったら逆に考えるんだ、『その時その時で自分がすべきだと思った行動で闘えばいい』ってな‼︎」

「……‼︎」

 

 ひとりはこれまでにも『このままじゃダメだ』って思った時の、とんでもないアドリブ力で、ライブの失敗を大きくカバーしてきたんだ。

 ならライダーバトルはライブとは全くの別物だから、とんでもないアドリブ力を発揮できないのか? 答えは否。『この場をなんとかしてみせる』という想いでの真価の発揮に、細かい条件なんてない。

 仮面ライダーの闘いだってそうだ。『負けたくない』理由があるからこそ、咄嗟の対応や出来事になるべく適合し、挫折などがあっても最終的には勝利するものだ。ひとりはきっと、そういうタイプだ。

 だからこそ、俺は信じる。ひとりがライブの時のように、ライダーバトルにも絶対屈しない戦士になる事を。……『屈しない』とは言ったけど、様々なフラグは想定してないからな? 想定した奴はボコす。

 

「……そっか……私はそうやって、ライブを無事に終わらせたんだっけ」

 

 あのライブの時を思い出したのか、ひとりが徐に呟いたのを俺は聞き流さなかった。そうさひとり。お前は意外と本番には適合する内に滅茶苦茶上手くなるんだ、自分に自信を持て。

 そんな俺の想いが届いたのか、彼女は自分の両頬を強く叩いた。気合いを入れ直したのだろう。

 

「ごめんなさい斑鳩さん‼︎ 私、先程言われたような闘い方をやってみたいと思います‼︎ 続きをお願いします‼︎」

「……フフッ。分かりました。それでは行きますよ‼︎」

 

 ひとりが改めて決心したのを見たからなのか、斑鳩が微笑んでいたかのような小声を出していたような気がした。指南役として、教えの対象が自分の指導通りに動こうとしたり決意したりしてくれた……それに嬉しく感じたのだろう。

 そんな中で、ひとりことミスレアが再びケースモードのミスレアティックギターを持って構え、駆け出した。それに対して斑鳩ことサソードがサソードヤイバーを構え、振り下ろされたミスレアティックギターを強く受け止めた。

 

「今だっ‼︎」

「なっ───ガハッ⁉︎」

 

 何を思ったのか、ミスレアが鍔迫り合いしていたミスレアティックギターをサソードヤイバーから離し、その一瞬の内にサソードの胴体を蹴り飛ばした。

 

レッツ・パフォーマンス!!

 

 そしてすかさず、ケースのギター側面のボディとなるミスレアティックギターの部分に触れたかと思えば、一瞬にしてピンクのツチノコをイメージしたギター──ミスレアティックギター・ライブモードへと変形した。

 ウィックスガンソードよりも変形がハイテクすぎない? ウィックスは泣いてもいい。

 

『何故私があの武器の事で泣かなければならないのだ? 性能なぞライダーそれぞれなのだから、それを一々気にする必要はないと思うのだが』

「人の心の中を読むな」

 

 そんな中、ミスレアはギターヘッドの部分に取り付けられている、水色と黄色の二分に配色されたピックを手に取り、それで弦を弾いた。

 そこから高い弦の響く音が発生したのと同時に、ピンク色の衝撃波が、見える大きな音波と空気砲が混ざったかのように放たれた。

 一瞬の怯みを見せたサソードは判断に遅れ、咄嗟にサソードヤイバーを盾代わりにしてダメージなどを減少させようとしたが、それを行う間もなく直撃し、仰向けに倒れてしまった。

 

「ッ……良い攻撃をしましたね。少し良くなってきましたよ」

「えっあっ、ありがとうございます……」

『ぼっちちゃん照れちゃってー。集中だよ集中ー』

 

 起き上がりながら褒めてきたサソードこと斑鳩に思わず返事し返したミスレアことひとり、可愛い。これが模擬戦じゃなかったらそんな事言ってる場合じゃないけどな。

 それを理解・体現しているかのように、ミスレアは再び行動する。駆け上がりながら弦を数回連続で弾き、衝撃波も連続で発射させると共にサソードとの間合いを詰めていく。

 サソードは次々に迫り来る衝撃波を、冷静かつ優雅に振るいまくったサソードヤイバーで掻き消すように斬りまくっていったが……

 

「ていっ‼︎」

「うぐっ⁉︎」

プット・ザ・ケース!!

「はあっ‼︎」

「キャアッ⁉︎」

 

 距離を詰めようとしてきた事への警戒もする必要があったはずだ。そうしたくてもする余裕は無さそうだったが。

 距離を詰めたミスレアが体当たり──ショルダータックルをかましてサソードを怯ませ、その隙に一瞬にしてケースモードへと変形させたミスレアティックギターを突きつけ、サソードを横転させた。

 そこからすぐにミスレアティックギターを振り下ろして追撃……しようとしたが。

 

「ッ……クロックアップ‼︎」

クロックアップ

 

 一瞬にして、サソードの姿は掻き消された。まるで音速による高速移動でもしたかのように。

 否、実際に高速移動したのだ。サソードにとっては周りが遅くなっただけであって。

 

「えっ? い、一体何処に───キャアッ⁉︎」

『ぼっちちゃん‼︎』

 

 突然の出来事にミスレアが戸惑っている間に、高速のスピードを得たサソードが素早くミスレアの元へと接近し、すれ違い様に鱗のない胴体部分を斬り裂いた。

 あれがサソード……仮面ライダーカブト系統のライダー全てに備わっている能力『クロックアップ』だ。

 人間の目では追えないほどの超高速で移動でき、全身を駆け巡るタキオン粒子により時間流を自在に活動できるようだ。

 ちなみにタキオン粒子とは、『特殊相対性理論に矛盾することなく光の速度より速く動く仮想的な粒子』の事を指す。その粒子が超高速の能力を得られるらしい。タキオンッドラゴンッ‼︎

 そして、サソードがそのクロックアップを使ってきたという事は……彼女がミスレアの事を認め始めていき、本気で闘うようになった可能性があるという事だ。

 

「斑鳩……思ったよりも早くクロックアップを使ってきたか。つまり、ここで実戦を想定した闘いをする事になった……というわけか」

「つまり、本気でディスクを狙う仮面ライダーになりきり始めたって事だな。ひとりの奴、あの超スピードに勝てるか……?」

 

 クロックアップの対処法は、同等なくらいのスピードで追いつくぐらいしか思いつかないのだけど……ひとりはどう対処するというんだ? 超スピードという点から焦りと戸惑いを見せていそうな気はするが……

 

レッツ・パフォーマンス!!

 

 そんな不安を感じている中、ひとりことミスレアは、最初はクロックアップの異常な速さに案の定戸惑っていたが、何を思ったのかゆっくりと深呼吸をし……

 地面に向かって、ライブモードへと変形させたミスレアティックギターの弦を強く弾き巨大な衝撃波を発生させた。

 

 ジャーン!!

 

 激しいエレキギターの音が発生したのと同時に、衝撃波の当たった地面を中心に、一瞬だけ周囲が大きく揺れた。それと同時に、何かが盛大に倒れたような音が聞こえた。

 

クロックオーバー

「ウゥッ……ま、まさかこのような対抗策を出してきたとは……‼︎」

「う、上手くいった……‼︎」

『すごい‼︎ あの超スピードをあっさりと封じた‼︎』

 

 ふとミスレアの背後を見れば、そこにはうつ伏せになって倒れているサソードの姿が。これは予想外だったと続けて言わんばかりに悔しがりながらも、サソードヤイバーを杖代わりにしながらゆっくりと立ち上がる。

 

「なるほど……クロックアップは高速で移動するには、大地を駆け抜けるのがベストとなっている。だが大地が震動して安定しなくなった事で、態勢を崩されて転倒し、それに合わせてクロックアップも解除されたようだな」

「速くなってもそれを活かせる状況じゃなければ、『陸に上がった河童』になってしまう……ってわけか」

「浩司……一体何処で覚えたんだそのことわざ」

「偶々ネットで知った」

 

 すごいなひとりは……見たばかりの能力の対策を、たったの数秒で思いついて即座に実行・成果を出すだなんてな。

 やっぱりひとりはアドリブに強い、これではっきり分かったぜ。まるであの時のライブを行っているかのようだったな。本人はそう思っていないだろうけど、ひとりにとってはライダーとしての闘いはライブみたいなものだろうな。

 そんな事を考えている中、サソードが立ち上がり息を整え、ひとりことミスレアに語りかける。

 

「お見事です後藤さん。自由に動けない瞬間を作ってクロックアップを中断させるとは、これは一本取られました。やはり貴方は……いえ、私の思った以上に、仮面ライダーとしての素質があるのでしょうね」

「そ、そうですか? えへへっ……」

『また褒められて喜んでるー。一応実戦を想定しているんだよね?』

 

 敵に素直に褒められ、素直に喜ぶ。なんだこの光景は。

 仮面ライダーの闘いだけに限らず、敵に褒められたからって油断している場合じゃないと思うのだが。特に仲の良い存在じゃなかったり、勝ちに執念のある様子の敵が相手の時には。

 

「ですが……一度実現させた闘い方を相手が理解した場合は、上手くいっても失敗しても、無闇に何度も行おうとしないようにしてください。貴方みたいに、この短時間で対抗策を思いつく可能性だってあるのですから。2度目以降を行うのでしたら、『本当にこのタイミングであの方法を行えばいいのか』というのを判断してから行動に移す事をおすすめします」

「な、なるほど……」

 

 まぁそれもそうか。『同じ手は2度も喰らわないぞ』を体現させる猛者だっているにはいるからな。経験を積んできた仮面ライダーもそういうタイプが多いし、それこそ油断は禁物だな。

 

「……ん? アレ? じゃ、じゃあ斑鳩さんは、さっきの戦法の対策も思いついちゃっていたりしますか……?」

 

 あっよく考えてみれば怪しいな。地面を揺らして走らせないようにする方法を、斑鳩はどのようにして対処するというんだ? 頭の回転が早い奴なら、さすがにこの時間帯で思いついていそうだけど……

 

「でしたら、確かめてみてください。クロックアップ」

クロックアップ

「えっいきなり⁉︎」

『強く行動に出たねあの子……』

 

 その目で確かめろと言わんばかりに、即座にクロックアップを発動したサソード。瞬く間にまたもや高速で移動し始め、本当にクロックアップをもう一度使ってきたのかと戸惑うミスレア。

 咄嗟にミスレアティックギターを構えるミスレアだったが、急に行動を躊躇っている様子を見せた。本当にサソードの言う通り、先程彼女が行ったクロックアップ対策をもう一度使っていいのか……それに戸惑いを感じているのだろう。

 だがそれと同時に、どのようにしてクロックアップ中断対策を取るのかというのが気になっている模様。何やら物欲しそうに、素早く動き回っているサソードをチラチラと見ているのが分かる。

 そして……ミスレアは決心した。

 

「よし‼︎」

 

 ジャーン!!

 

 サソードの誘い言葉に、買って出る事にしたようだ。どうしても気になって仕方ないって感じのようだ。分からなくもないけど、実戦ではそんな事しないように。

 そんな事を考えている中で、ミスレアはギターの弦を強く鳴らし衝撃波を放ち、大地を揺らす。先程よりも大きな音を鳴らし、先程よりも大きさも威力も高くなったため、揺れも激しくなった気がする。

 この後サソードは、一体どうやってこのクロックアップの中断法を潜り抜けるとでもいうのだろうか……と思っていると、何らか視界に大木並みの高さの位置に何かがいる事に気づき、目を擦りながらそれわ凝視してみた。するとそこには……

 

 ただ単純に、その場で跳躍しながらサソードヤイバーを振り下ろそうとしているサソードの姿が見えた。

 

「えっ───わわわっ⁉︎」

 

 それに気づいたミスレアがサソードに向けても衝撃波を放とうとするが、咄嗟にミスレアティックギターを盾代わりにして前に突き出し、振り下ろされたサソードヤイバーを防いだ。本能で『攻撃が間に合わない』と判断し、即座に切り替えたのだろう。

 そして揺れが収まった大地へと着地した瞬間、続け様にミスレアの鱗の部分のない懐を狙って横薙ぎにサソードヤイバーを振るい、そこから火花を散らさせた。

 

「キャアッ⁉︎」

 

 さらにと言わんばかりに、そこから往復するように、2回も先程刃が当たった箇所を斬りつけ、その場で左に一回転しながらもう一度斬りつけミスレアを吹き飛ばし横転させた。

 

クロックオーバー

 

 それと同時にクロックアップの終了を知らせる音声が再び鳴り、高速で動いていたサソードの動きが普通のスピードに戻っていったのだった。

 しかし、ジャンプして震動によるクロックアップの中断法を回避するなんてな……確かに空中にいれば揺れを受ける心配はないし、空中に飛んでもクロックアップは適用され続ける……はず。考えたな。

 

「ウゥッ……ま、まさか本当に、私の対策を対策し返すなんて……」

「上手くいくかどうかは半信半疑ではありましたけどね」

 

 あ、半分当てずっぽうでやっていたのか。まぁあの対策はタイミングが重要な感じだったから、そう思うのも分からなくもないか。ジャンプするタイミングが遅れるかもしれない可能性とか……な。

 

「ですが、先程も申し上げたように、一度実現できたものは何度も成功するとは限りません。ですので……それが上手くいったら、別の対策法を練るかその必要がなくて済むような闘い方をするか……そのどちらかを行う事を意識してください」

「む、難しい……」

『一度に全部覚えるの大変だね……』

「これも先程申し上げた事ですが、後藤さんはその場での咄嗟の判断での闘い方がお上手です。なので流れに合わせて、即座に判断し行動するのが良いですよ」

「は、はぁ……」

 

 要は『考えるな、感じろ』ってヤツだな。やっぱりアドリブ力の高いひとりには、その闘い方が似合うのだろうな。実際に彼女が行ったクロックアップ対策も、その場で考えて編み出したし。

 

「ですので、それを実際にやっていただくために……クロックアップ」

クロックアップ

「えっまたっ⁉︎」

 

 そう、まただ。今度はもう1つのアドリブでの対策を期待しての、敢えてのって感じのクロックアップだ。

 っていうか……1回のバトルで、同じライダーが3回もクロックアップを使うのって初めて見たかも。滅多に見られないってだけで、二次元では実際に行った奴もいるかもしれないけど。

 そんな事を考えている中、サソードは三度高速で移動しひとりことミスレアを翻弄し始める。

 

「えっと……えっと……」

 

 さて……ひとりは一体、次にどう対策するというんだ?

 また震動させての対策を攻略されたら意味ないし、かといって素早い行動から来る攻撃を上手く予測できるとも限らない。となれば、他の対策の一手が限られてくるだろうが……

 

 せめて、彼女自身が予測できる行動へと、相手を誘導する事ができるといいが………………

 

 ん? 俺、今いい考えを思いついたような……?

 これをひとりに伝えるべきか? っていうか伝えてもいいのか? でも伝えたら、彼女が自分で考えながら闘うという魂胆を俺が潰してしまって、彼女が闘いの経験を積む事への妨げにならないか?

 そうなると……なんだか申し訳ないな。仕方ない、彼女が上手く対策できる事を祈るしかないか……

 

「……これで……‼︎」

 

 ジャーン!!

 

 と思っていたら、三度ギターの音と衝撃波による震動が発生した。どうやらひとりことミスレアが、先程攻略されたクロックアップ対策法をまた使ったのようだ。

 

プット・ザ・ケース!!

 

 が、その後の行動は明らかに違っていた。衝撃波を放った直後にミスレアティックギターをケースモードに変形させ、その場で横一回転しながら盛大に振り回した。

 すると、彼女の行動が明らかに正しかったとでも言っているかのような結果が生まれた。

 

「キャアッ⁉︎ カハッ……‼︎

 

 ミスレアが一回転した瞬間に、高速移動していたはずのサソードがミスレアティックギターに直撃したのが見え、彼女はそのまま近くの大木へと吹っ飛ばされ背中を打っていた。

 その瞬間、サソードはまるで口内に溜められた濁った息を溢したかのような声を漏らし、痛みと先程の衝撃による立ち眩みでその場にもたれかかった。

 

「ッ……まっまさかこの私が、敵の予想通りの攻撃を誘導されるとは……大地を蹴って僅かに足が浮いた瞬間、貴方の間合いと懐に入り、そこで鱗に当たらないよう攻撃を仕掛けようとしたのですが……まさかそうしてくると読んで……?」

 

 強い衝撃を受けダメージを負っているのであろう、その身体を起き上がらせながら、サソードはミスレアに問いかける。

 が、本人はそれを否定するかのように首を振った。って事はただの勘で……?

 

「あっいえ……どのように回避して攻撃してくるかまでは読んでいないのですが、さすがに何処かで絶対攻撃してくるだろうなとは思ったので、いっその事そうしてくる状況でも作った方がいいかなって……」

 

 あっなるほど。だからわざわざ1回攻略された対策法をもう1回行って、そこから攻撃してくるだろうタイミングを見極めて……って感じでやっていたのか。

 相手のもう1つのクロックアップ対策回避法も面白かったけど、その後の事を想定しての半分(?)勘による行動の仕方も、中々に面白いものだな。

 と、多少のしどろもどろを見せながら答えたミスレアを見ていたからなのか、サソードはふとフフフッと可愛げのある笑い声を漏らした。

 

「一か八か、ってヤツですか。私が想像していたのとは違っていたようですが、中々に面白い……やっぱり貴方も、仮面ライダーとしての才能はあるようですね。まるでギターを弾いている時の貴方みたいです」

「へっ……? それはどういう───」

「隠れた天才、って事だな」

「てっ天才⁉︎ い、いやぁそれほどでもぉ……」

 

 サソードこと斑鳩の評価に優一が後付けすれば、それを理解したミスレアことひとりは嬉しさのあまり、液体にでもなったかのように身体をくねくねさせた。ミスレアの隠された能力かもしれないから、ひとりの特殊体質であぁなったのかどうかが分からないな今のは……

 

「これは、もし敵になったとすれば、相当骨が折れる相手となりますね『prprprprpr……』ん? ちょっと失礼」

 

 ここで突然、斑鳩が持っていたであろうスマホの着信音が鳴り響いてきた。それに気づいた彼女は俺達に断りを入れ、変身を解除してからスマホを取り出し電話に出た。

 

「はい、もしもし?」

『あ、斑鳩かい? 今どこにいるのかな? ボク達もう既にあのカフェに着いているんだけど』

「あのカフェ? ………………あぁっ⁉︎ すみません、今そちらに向かいますね‼︎」

『えっ? もしかして忘れてたの? 君にしては珍し───』

 

 なんか焦りを見せているようだったけど、何かあったのか? あのカフェ、とか言ってたけど……もしかして、友達の集まりとかの約束を忘れてたん?

 

「すみません‼︎ 私、これから友人達とカフェで待ち合わせしていたのを忘れてました‼︎ すぐにあちらへと向かいますので、今回の模擬戦はこれでおしまいにさせてください‼︎ それでは‼︎ 優一さんも浩司さんもまた明日お会いしましょう‼︎」

「えっちょっ───」

 

 早口で何があったのかを説明してから、斑鳩はそそくさと急いでこの場を走り去っていってしまった。

 

「えっ、えぇっ……」

『なんか……仕方ない事とはいえ、釈然としないね……』

「ま、まぁ女との約束はすっぽかすと後が大変だから、無理もないか……うん」

「俺もあいつが用事あったのを忘れていた……次からは気をつけないとな」

 

 こうして、ひとりと斑鳩の模擬戦は、呆気ない締めで突然終わったのだった。約束事を守ったりそれと他の用事の掛け持ちは程々にしたりと、色々と考えなきゃいけないって勉強にはなったけどな……

 




本当はデシアゴーレムかレガシーライダーを乱入しようかと思ったけど、浩司と優一の模擬戦でもデシアゴーレムを乱入させたなと考えると、なんだかありきたりな気がして……どう思う?
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