現代パロな多重クロス世界だと思ったらゴジュウジャーな仮面ライダーの世界でもあった件 作:名無しのモンスター
浩司や優一、ひとりや斑鳩が模擬戦という名のトレーニングをした事のある、とある森の奥地。
とはいえど、彼等がそこを専用の特訓場所にしているかといえばそんな事はなく、独占しているわけでもない。独占などしていたら怪しまれたりするため、デメリットが大きい事だろう。
そのため、今のように何事もなく、彼等が模擬戦のために使用していた場所にて、1人の少年が木刀を振るっていた。
ぱっつんを重ねたような金色の短髪に、眉尻が二股に割れた太い垂れ眉、クマのある目元が陰鬱な印象を与えている、とある学校指定だろう赤いジャージ姿をした少年。その少年が木刀を振るうその姿は……何処か侍に似た太刀をしていた。
「せいっ‼︎ ふっ‼︎ ほっ‼︎ はっ‼︎」
木刀が弧を描く。
水平に薙ぎ払う一閃は、風を裂く鋭い音を立て、朝露を散らした竹の葉を震わせた。体全体が連動し、腰の回転が肩を、肩が腕を、腕が刀身を加速させていく。
続けて反転し、今度は斜め上方から袈裟懸けの一撃。木刀の重みが全身の芯を通り、足の裏から大地の力を吸い上げた。
汗が額を伝い、滴り落ちるその一瞬。視線は一点も揺らいでなどいなかった。まるで己の魂を刀に宿らせ、過去の戦場を今ここに呼び寄せているかのように。
ここで静止。呼吸は深く、整然と。少年木刀を下段に構え、微かに震える刀身が夕陽を反射して光っていた
「ハァッ……ハァッ……フゥッ、今日はこんなところでいいか」
特訓の区切りをつける事にしたのか、少年は杖代わりにしながら首に掛けているタオルで顔の汗を拭いた。
「あーもう、今日はいつもよりも疲れたなぁ……
何やら不謹慎……というよりは聞き捨てならずただの呟きでは済まされないような発言を余所に、少年は1人でに愚痴を零す。分かっている事は、この少年が少なくとも兄と祖父と暮らしており、美化委員でもある事だけのようだ。
「……ハァ、これ以上愚痴っても仕方ないよな。そろそろ帰ろ」
愚痴を零した自分が虚しく感じたのか、溜息をつき帰りの支度を整えようとする。必要以上の特訓は返って身体に悪影響を及ぼす判断しての切り上げだろう。
近くの岩場に置いてある鞄に、タオルと木刀をしまったところで……
「おいテメェ、ちょっと待てよ」
「ん……?」
ふと掛けられた声に、少年は思わずピクリと反応した。こんなところに誰か来ていたのだろうか、そう疑問に感じながらも振り向けば……
そこにいたのは、一言で纏めれば“異形"。
頭頂に銀色の小さく細長い角が5本生えており、低く唸るような青い電流が流れている。
ボディは黒いゴムライクの上に銀色の格子アーマー。胸部には巨大な電気プラグらしきものが6基埋め込まれている。
背中には蛇腹状のひだが付いた三角錐の棒状の機械があり、先端の角から青い電流が火花を散らしていた。
右手には巨大な鋼鉄のハンマー、左手には導線を思わせる鞭らしき武器を手に取っており、それぞれからも青い電流を迸らせている。
足元には小型の接地スパイクが嵌め込まれており、ザクッザクッといった、まるで雪の中を歩いているかのような斬新な足音が聞こえてきていた。
まるで電撃を操る鋼鉄の怪人を彷彿させるような、ある意味不気味な姿をしていた。
そのあまりにも人間からかけ離れたその介入者の姿を見て、少年は思わず動きが固まり……
「ギャァアァアァアァアァアァアッ⁉︎」
目が飛び出す勢いで伸び血走り、汗が噴き出し髪でも逆立つという、常識的にあり得ないギャグ漫画らしい驚愕の表情を露わにした。どうなっているんだこの少年の顔は。
「何⁉︎
残像が見えるレベルで手足を高速回転させる、エビ反りのような体勢から両手を地面に叩きつける、などといった多少の常人外れした行動を取りながら、これまで溜めてきた鬱憤を晴らすかのように淡々と不満を爆発させる少年。
あまりにも奇行すぎる反応に、その怪人──デシアゴーレム・ボルテックスは一時唖然とするも、正気に戻ったのかニヒルな笑みを浮かべた(何故かその表情から常時変わってないが)。
「なんだなんだ? テメェ、もしかして意図せずデセオ・ウォーズに巻き込まれた身なのか? だったらディスクを全て渡しゃあ、巻き込まれる確率はグンッと下がるぜ? 嫌だろ? これ以上闘うの」
まるで誘導するように、まるで闘う事に消極的な者に寄り添っているかのように、少年にディスクをこちらに明け渡すようにと促す……というよりは唆すデシアゴーレム・ボルテックス。
だがそれを聞いた少年の方は、何を思ったのか突然として奇行を止め、眉間に皺を寄せ、デシアゴーレム・ボルテックスを憐れむように軽く睨みながら見つめ始めた。
「は? 何を勝手な事言ってくれちゃってんの? こっちだって本気で叶えたい願いがあるんだよ。巻き込まれたのは事実だけど色々あって色々と覚悟を持って動く事にしてんだよ。さっきの愚痴も『ほぼ毎日の頻度で来るのやめろ』って意味で言ってるだけであって『もう闘いたくない』なんて一言も言ってないんだけど? 勝手な解釈やめてくれない? どっちかというとそっちがディスクの事を諦めてくれた方がめっちゃ嬉しいんだけど」
ボルテックスの的外れな同情や決めつけに対し、心底呆れたような冷たさを表す低音で、途中からさらに一段と低く力強いトーンになりながら淡々と語り始めた。
途中から少年の芯の強さや覚悟が声に滲み出ている部分も出ており、自分の意図を捻じ曲げられた事への不満から、少し早口でまくしたてるような口調になり、最後に挑発的な言葉で呆れの中に混じった煽りをも見せていた。
うわぁ、いきなり落ち着くな。さっきまでの興奮しながらの怒りは何処いった。そう思いながらまたもや唖然とするボルテックスだったが、再び正気を、先程の調子を取り戻す。
「ハッ、こりゃ勘違いだったわ。テメェもテメェでディスクを譲らない想いが強ェってわけだ」
そう嗤うように、ボルテックスは拍手の代わりに自身の持つ武器をぶつけ合わせ……
「じゃあ、こっちが手段を選ばなくてもいいってわけだな?」
表情が変わってないものの、見た目通りのニヒルな笑みを浮かべているかのように、不吉な笑い声を上げながらそう語る。
するとそれを合図にしたかのように、ボルテックスの後ろから2人の人物が姿を見せる。それも、2人とも怪人ではなく、れっきとした人間だった。
1人は3枚の出っ歯と顔の角に生えた髭、まっすぐ揃えた前髪に顎まで伸ばした長髪を内巻きにした髪形が特徴的で、ピンクと紫の中間に近い奇抜な色のスーツを着用し、靴ひも付きの靴を履いているスレンダーな男性──『おそ松くん』や『おそ松さん』に登場するイヤミ。
もう1人は短い紫がかった銀髪に糸目、黒い袴の上に、背中に『三』の漢数字と金盞花の紋が描かれ、胸ポケットにオレンジ色の菊の花のブローチを身につけている青年──『BLEACH』に登場する市丸 ギン。
怪人でもなんでもないはずの2人の人間が今……怪人──デシアゴーレムであるボルテックスの隣に並び立ったのだ。
「………………は? ちょっ……えっ? な、なんで? なんで怪人の隣に人が並んでるの? 普通逃げたり近づいたりしない場面だよね? ってか、こういう場であんな怪物を怖がってないって事は、もしかして……?」
少年は信じられない光景を目にしたかのように、目を見開き動揺していた。先程の過剰な反応が嘘だったかのような、唖然と動揺の混じった静かな驚きを見せていた。
何故怪人であるデシアゴーレムの隣に人間が立っているのか。何故並び立っているのか。そんな疑問を感じている中、怪人が近くにいる状況での2人の様子を見て、少年はとある可能性を見出していた。
それらを察したのか、ギンは口角を上げた不敵で胡散臭い笑みを浮かべ、続けてそれを表現するかの如く低い笑い声も漏らした。
「君、思ったよりも勘が結構良いみたいやね。僕、今時っ子なのに頭の回転がすごく良い子も好きなんよ」
「やっぱりこの争奪戦の参加者だったのか……‼︎ けど、何故デシアゴーレムのところにいるんだ? そいつとその同種もアンタらの敵だろ?」
「ノンノン‼︎ 今のミー達は他の参加者とは違うザンス‼︎」
争奪戦──デセオ・ウォーズの現状を語る少年を否定するように、イヤミがチッチッチと指を振り、格好つけているかのような不敵な笑み……というよりドヤ顔で語り出した。
「理解したのに共通点は忘れたでザンスか? ミー達はたくさんのディスクを狙う敵同士でもあり、同じ目的を持つ者同士でもあるザンス。そんなミー達が手を組めば、チミ達のような単体で動いている者からディスクを奪い取れる確率がアップするものザンス‼︎ つまりチミのようなソロをミー達が格好の餌としてコケコケにしてやる事ができるって事ザンス‼︎」
まるで自分が交渉の提案をしたかのように、ドヤ顔でそう締め括れば、ギンが左端で笑いを堪えてきた。まるで馬鹿げた光景を見て、少しでも空気を読む事にしたかのように。
「デシアゴーレムの組織に媚を売ったのに、よく威張れるなァあんさん。逆に感心するわ」
「んなっ⁉︎ 市丸の旦那、それは言わないお約束ザンスよ⁉︎」
慌てふためくイヤミ。どうやら図星のようだ。そして一瞬の唖然とした少年の顔を見てか、その会話を誤魔化すかのように咳払いした。
「あー、コホンッ……とにかく、ミー達は利害が一致している者同士って事ザンス。チミには申し訳ないけど、こちらは2人と1た……じゃなくて3人で相手させてもらうザンスよ」
「そういう事。だから悪い思わんでよ?」
「ヘッヘッヘ……運が悪かったなァ、デセオ・ウォーズ参加者とデシアゴーレムの同盟の相手をする事になってしまってよォ‼︎」
形は違えどそれぞれが不敵な笑みで少年を見据える。そしてボルテックスの言葉を皮切りに、イヤミとギンがそれぞれの持つレガシーディスクを取り出し、スイッチを押した。
『レガシー・グリドン・ディスク!!』
『レガシー・レイ・ディスク!!』
『『セッティング・オーケー!! レガシーライダーバックル、アクティベート!!』』
スイッチの起動に連動し、そのエネルギーを通してそれぞれにレガシーライダーバックルが出現・装着され、それぞれがそのドライバーの凹凸部分にディスクを差し込んだ。
『『ローディング……オーケー!! トランス・プリパレーション!!』』
すると2人の周りを、それぞれのライダーの全身や写真の立体映像が、複数に分かれて映し出される。
そしてイヤミが左手を右手を添えながら前に突き出し、キリッとした表情をしながらカッコ良くしたつもりのポーズを取る。一方のギンは、ボールを掴むような手の形を作った右腕を軽く伸ばすだけという、最小限のポーズを取って。
「変身」「変身、ザンス‼︎」
デセオ・ウォーズ参加者──レガシーライダー特有の宣言と共に、それぞれがドライバーの両側にあるレバーを力強く押し込んだ。
『トランス・オーケー!! 仮面ライダーグリドン!! レディ・ゴー!!』
『ドングリアームズ!! ネバーギブアップ!!』
『トランス・オーケー!! 仮面ライダーレイ!! レディ・ゴー!!』
『変身!!』
活気ある音声が、左右から2回連続で発生する。それに合わせるかのように、投影された映像全てが、イヤミとギン、それぞれの身体と重なり合い一瞬の眩い光を発生させた。
1人は、全体的にドングリを思わせる茶色を基調とし、巨大なドングリの殻をすっぽりと被ったような丸みを帯びた形状の兜、その殻の網目模様をあしらった肩や胸部のアーマーを着けた、左右非対称のような独特なバイザーを持つ戦士──仮面ライダーグリドン。
もう1人は、額に緑色の宝石が嵌め込まれている、日本の古い兜のパーツである半首を思わせる頭部。金に光る鋭い大型の爪がついた両肩。両腕に巻き付く太い鎖。雪男を思わせる体毛と鎧を纏った逞しい姿の戦士──仮面ライダーレイ。
古代ギリシャの重装歩兵を思わせる木の実の鎧をした不屈の仮面ライダーに、吹雪の中で最凶最悪の魔族が変身し従順としている王を復活させるために裏切り行為を含め暗躍する仮面ライダー……立場が相反する2人の仮面ライダーが、怪人と共に並んだ瞬間である。
「ッ……‼︎」
こうなってしまった以上、闘う事から避けられない。そう悟った少年は即座に鞄のポケットから……橙色の戦士が描かれ、銀色の星の模様と共に橙色に縁取られた、中心に少し小さめの金色の丸いスイッチ付きのレガシーディスク──オリジンディスクを取り出した。
「おい
『んがっ?』
すぐさまオリジンディスクに呼びかけながら、少年がデシアゴーレム達の方へと向き直せば、雷虎と呼ばれたオリジンディスクが、先程まで寝ていたかのような呆けた人のような音声を発した。
『……あぁ、バトってもいいんだ? オッケー、いこうぜ
ディスクから承諾を得たかのような返事を受けたのに合わせ、少年──善逸はディスクのスイッチを押した。
『オリジン・雷虎・ディスク!!』
ディスクから嬉々とした音声が流れ込んできたのと同時に、善逸の腰周りにVRらしき赤色の光が発生。そこからホログラムを実態化させたかのように、ドライバーが展開される。
『セッティング・オーケー!! 雷虎オリジンドライバー、アクティベート!!』
それは、虎の戦士への変身を表す色合いとなっていた。銀色の鋼板の上に、橙と黒の虎縞が奔る装甲を着けたような長方形をした、鋼鉄の装置。それが変身ベルトとして善逸の腰に装着され、その中にある凹凸にディスクが差し込まれた。
『ローディング……オーケー!! トランス・プリパレーション!!』
刹那。その変身ベルト──雷虎オリジンドライバーから、1人の戦士の全身や写真の立体映像が、複数に分かれて映し出されていた。まるで彼等が闘ってきた歴史を映し出しているかのように。
そして、善逸が目を閉じ集中力を高め、深く深呼吸しながらゆっくりと両側のレバーに手を掛け……静かに宣言した。
「変身」
そしてレバーが力強く、されども静かに押し込まれた。
『トランス・オーケー!! 仮面ライダー雷虎!! レディ・ゴー!!』
『デセオ・ウォーズ、スタート!! レッツ・ファイト!!』
活気ある音声が、2回連続で発生する。それに合わせるかのように、投影された映像全てが善逸の身体と重なり合い、眩い光を発しながら雷鳴がすぐ近くで轟いたかのような音声が発生した。
こうして善逸は、1人の戦士へと姿を変えた。雷鳴を操り、力強くも一直線に敵を斬りつける、武士の心得を手にした虎を表す戦士──仮面ライダー雷虎として。
「さっさと終わらせたいからな……あの強盗犯の時は、変身前な上にディスクから直接だったから変身者相手には失敗だったけど、今は違う」
『雷虎ノ日輪!!抜刀!!』
善逸こと雷虎が、橙色の縁に覆われた黒い鞘を取り出し、そこから大剣──雷虎ノ日輪を引き抜いた。鞘がホログラムとなって消滅したのに合わせ、ドライバーのレバーにある左側のボタンを押してからディスクを引き抜いた。
『セイヴィング、オーケー!!』
そして雷虎ノ日輪の鍔……その裏側中央にあるディスクの嵌め口に差し込み……雷虎としての力を発揮させる。
『エクストラアタック、オーケー!!』
『雷神ノ威光!!』
「こちらが有利に進められるようにさせてもらうよ」
刹那。雷虎を中心に、振動波らしきものの如く稲妻の波が地面を迸り、3人(正確には2人と1体)へと迫っていく。
このまま稲妻の波が3人に直撃すれば、大きなダメージを与えられる上に、感電により動きを封じる事ができるだろう。3人に直撃すれば、の話だが。
「ヘッ。甘いんだよバーカ‼︎」
ボルテックスがグリドンとレイの前に立ち、両腕を上へと広げたかと思えば……
頭頂の角と背中の三角錐の機械から、バチバチと激しく電撃の火花が飛び始めたかと思えば、稲妻の波は全てそれらに吸収されていってしまった。
「………………はっ?」
あまりにも予想していなかった結果だったためか、その光景を見た雷虎は思わず呆けた声を発してしまった。
「残念だったなぁ? 俺の身体にはなぁ、
「なっ……⁉︎」
避雷針。高い建物に落雷した際の電気を安全に大地へ逃がし、建物や人命、内部機器を保護する装置の事である。
落雷ではなかったものの、先程の稲妻の波が吸い寄せられていったのも、ボルテックスの身体に備わっている角や機械にそのような能力が備わっていたからなのだ。
「つまり、君の技は彼が全て吸収できるってわけや」
「ミー達は強力な盾を得たも同然ザンス‼︎」
「さぁどうすんだ? 強者感を漂わせてきた、雷使いの虎の仮面ライダーさんよぉ?」
またもや揃って不敵な笑みを見せる3人(内1体は表情があまりというか全く変わらない気がするが)。
技の対策をされていた上に、敵の人数は2人多い。そんな状況の中で、雷虎は徐に呟いた。
「どうするんだって、そんなの俺が聞きたいよ……」
仮面ライダー雷虎、絶体絶命。
雷虎ディスクの補足
基本的に気怠で無口だが、必要だと感じた時ははっきりと喋る
採用キャラを簡潔に紹介
イヤミ(kitto-氏)
「ミー」「〜ザンス」「〜してチョ」という外国かぶれの口調や、飛び出た三枚の出っ歯、L字にはねた髭が特徴
「おフランス帰り」を自称している
性格は名前の通り「いやみ」な男性だが根っからの性悪というわけでもなく、むしろボケに対してツッコミを入れる常識人ポジにつく事もしばしば
シンジケートに媚を売って漁夫の利を得ようとしている
市丸 ギン(kitto-氏)
殺し屋で自らシンジケートに売り込んだ男性
基本的に命令に従うが、忠誠心は見受けられず、目的も不明確であり、組織に荷担した動機が不明