現代パロな多重クロス世界だと思ったらゴジュウジャーな仮面ライダーの世界でもあった件 作:名無しのモンスター
放課後。突然カフェ『G』のマスターの方から電話が入り、来れる人達も一緒に連れて来てくれと言われた俺達。
普通、喫茶店の方から客が呼ばれる事なんてないと思ったから、何事かと思い、ひとりと善逸を連れてカフェを訪れる事となった。
ちなみに優一・斑鳩・シャロット・飛鳥は部活で来れなかったようだ。デセオ・ウォーズ関連の緊急事態じゃない場合の、学校の行事なら仕方ないね。
そしてカフェ内にて、マスターから聞かされたとある件について、俺は思わず復唱した。
「オリジンディスク持ちの仮面ライダーを、2人とも見つけた……ですか?」
「まぁね。暁美ちゃんが偶然その場面に遭遇したようだ。こっそりと映像も撮っていたみたいでね、その証拠映像もある」
暁美……暁美 ほむらの事か。そういや彼女もデセオ・ウォーズの参加者だったっけ。中学生なのに欲望まみれなリアルファイトを闘い抜いているなんて、結構大変そうだけど偉いなあの子。俺達高校生よりも立派だったりしてな。
そんな事を考えていると、マスターが「ちょっと待っててね」と言いながら、カウンターの奥から何かをキャリーで運ぶように……というかキャリー付きのデカい机に乗せて持ってきた。
それは、高さが約140cm × 80cmもありそうな液晶型テレビだった。
……偶然発見したのを撮影したのを映すだけだよね? なんでデカいテレビで? 後、個人的にブラウン管を持ってくると思ってた……この店が昔っぽい雰囲気があるし、マスターも結構長生きみたいだし。
「暁美ちゃんが昨日、スマホで撮影したのをSDカードとかDVDとか、それとビデオとかにダビングして持ってきてくれたんだよね。連絡手段となるスマホを、そのまま渡すわけにはいかないという配慮云々もあってね。だからせっかくなら、なるべく高画質大画面で観せたいって思ってね」
あーなる。『そもそも何故テレビを?』とも思っていたけど、スマホを直接渡せないから、様々な手段で観れるように色々なものにダビングしたからなんだな。
「じゃあ、いつもは昔のテレビを───」
「いや、いつもは40V型(約102cm)ので観てる。今の時代、ブラウン管とかで観れるのは限られてくるでしょ」
「………………そっすか」
貴方の事を『レトロをこよなく愛する男』と勘違いしていたようです。申し訳ありませんでした。
ってか今気づいたんだけど、何故ほむらはこの令和と同じ時代に、DVDならまだしもビデオテープなんか持っていたんだ?
しかもビデオテープなんて、どう考えても30年前ぐらいまでしかないはずだろ。10代どころか20代が手に入れられるわけ……
そんなどうでもいい(かもしれない)事を考えている中、マスターはそのテレビにSDカードを差し込み、そこに入っていた動画のデータだという映像を見せてきた。
そこに映し出されていたのは、とある廃工場らしき場所にて、深緑色の蛙を彷彿とした弓矢使いの仮面ライダーと、水色の海豚をモチーフにした仮面ライダーの2人組が、青と橙色の配色となっている女性型ライダー──ジャンヌと、黄土色と焦げ茶の複雑な迷彩模様をしたライダー──ベイクを圧倒している場面だった。
………………は? いや待って。ちょっと待って。ホントに待って。ジャンヌとベイクはともかく、もう片方の2人組の仮面ライダーは全然知らないんだけど。
というか、あの2人のモチーフって、海豚と……蛙か? 何気にどれも本家シリーズでは誰もモチーフにしてないよね? 前世でしれっとAIに『仮面ライダーシリーズでモチーフにされていない動物が何か』を聞いたからね、さすがに分かるよ。
よく見たらドライバーの色も、ジャンヌとベイクが持つレガシーライダーバックルと全然違うな。それぞれのドライバーが、それぞれのイメージカラーに合わせているって事は……
「これがオリジンライダーって奴か? この緑の奴と水色の奴」
「確かにレガシーライダーなどと呼ばれている私達とは違う点がありますね」
「うおっ⁉︎」
笠寺先輩と雪泉先輩、カフェでの久々の再会。けど笠寺先輩、突然背後に現れて突然話しかけてくるのやめてくれません? 心臓がバクバクしたんですが。
「笠寺先輩、部活はどうしたんですか? もしかして、珍しくサボっているとか?」
「メンツが少ないからってズル休み扱いやめてくれるか? 部活は休みなの。だからここに来ているってわけ」
「私も空手部なので、同じく」
「そっそうですか……」
あっ(察し)。そういえば笠寺先輩、部活も勉強もやると決めた事は全力で取り組む性分なんだっけ。そんな先輩がズル休みとかサボりとかするわけないもんね。先輩すみませんでした……
というか、同じ部活にいて真面目な雪泉先輩がいる時点で、ズル休みしている可能性がめっちゃ低いじゃん。なんで雪泉先輩がいるというのに、笠寺先輩がズル休みしていると思い込んでしまったんだろうか……ちょっと恥ずい。
「それよりも笠寺先輩……だったっけ? どうしてこの2人のライダーがオリジンだって分かったんですか? 俺は見た事ある奴等だったので見分けがついてますが」
「あっそういやお前、実際にオリジンライダーに出会った事があるって言ってたんだったっけ。それがこいつらなのか?」
「うん。間違いない」
まぁこいつらも色合い的に目立っているからな。オリジンっぽいって思えるのも無理もないかも。
「どうして分かったのかって……そりゃあ、こいつらの腰に巻いてるレガシーライダーバックルの色だよ。一般のは銀色なのに、この2人のは緑だったり水色だったりしていた」
「あっ先輩もそこで判断しているんですね」
「逆にそれ以外に見分けがつかないと思うな、映像だけだと」
あながち間違ってはない。ベルトの音声を含めないで考えると、仮面ライダーって様々な見た目をしてみんな目立っているから、仮面ライダーを知らない奴からしたらドライバーで判断しないと『どれが特殊なライダーなのか』って判断するのが難しそうだよな。
しかしまぁ、オリジンライダーって、よくドライバーでレガシーライダーとの判断の区別を付けれるようにしたな。というかそれを作ったヤツは結構頭が良い……って認識でいればいいのかな? これが親切設定ってヤツか?
と、そんな事を考えていたら、深緑色の仮面ライダーと水色の仮面ライダーが、必殺技らしきモーションでジャンヌとベイクを撃破している映像が流れてきた。
そして2人の変身が解除され、2人の仮面ライダーは、様々な頭部にて跳ねている茶混じりの髪を持つ緑色のパーカーを着た男性と、腰まで届く深い紫色のロングヘアを赤いリボンでポニーテールで纏めたスタイル抜群の女性へと、それぞれ戻っていった。
うーん……1人は『Fate/』シリーズのアーチャーの1人であるロビンフッドなのは分かったけど、もう1人は誰だ? 多分二次元のキャラなのは確かなんだろうけど……
「まぁ女性の方はともかく、男性の方は結構イケメンだな。アウトロー・ワイルド・シニカルって感じがして」
「周りもそうだけど、お前も大概イケメン顔してるんだけどな」
「えっそうか? みんなの方が顔のビジュが良いと思ってたんだけど。もちろんお前も」
「無自覚で正直なのが一番腹立つ……俺の事も正直に高評価なのは百歩譲っていいけどさ……」
なんか善逸に目の敵にされたんだけど、俺の顔ってそんなにイケメンなのか? 二次元キャラに比べたら、全然そんな事はないとは思ってたんだけどなぁ……別に顔つきに対してそんなに努力とかしてないと思うし……
いや、努力はしてたわ。見た目の醜態さで友達がいなくなったりするのが嫌だったから、少なくとも顔がブサイクになったりデブになったりしないようにと、『ブサイクにならない方法』とちょっとした筋トレしていたわ。後者は仮面ライダーだからって事でより本気になっているけど。
「……なぁ、ひとり」
「えっあっはい……?」
「正直に言って、さすがに俺は他の男性よりはイケメンじゃないよな? 少なくとも笠寺先輩よりは」
「なんで俺と比較したんだ?」
優一みたいにモテモテだからですよ。飛鳥・雪泉先輩・入華先輩の3人に好意を持たれている事を知っている癖に、何貴方まで自己評価が高くないんですか?
「そっそんな事はないです。恋人よりもカッコ良い人がいるとは思えませんので……」
「いや評価されるのは嬉しいんだけど、感覚麻痺させているようで複雑なんだが……」
「むぅ……そう言われるとこちらも複雑なのですが……」
「なんで雪泉先輩も不機嫌になるんですか」
ひとりが俺を評価したのはともかく、そのせいで雪泉先輩が笠寺先輩を否定されてしまったと思い込んでしまったんだが。ひとり本人にその気はないんだが、それもそれで……
「ところで、この映像をマスターに提供した本人は一体どこに行ったのかな? 中学生でも帰宅部なら、この時間帯にカフェに来ていると思うんだけど」
ここで善逸、話題転換をしてくれた。嫌味込みなんだろうけど助かったよマジで……
「暁美ちゃんなら、本来は17時にここに来る予定で、いつも約束した・彼女から伝えた時間通りに来るはずなんだけど……これはアレだね、
「
「穏健派の1人である彼女なら当たり前の事だよ。人助けをしているのか、悪いレガシーライダーかデシアゴーレムからディスクを守っているかのどちらか、ね」
あぁなるほど、所謂イレギュラー絡みってヤツか。人助けを率先して行っているという印象は薄くはないんだけど、どちらかというと後者である可能性が高いな……レガシーライダーだからってのもあるけど。
「えっと……どうにかして助けに向かいに行ったりとか、しなくていいんですか……?」
「もし本当にその必要があるのなら、彼女の方から連絡してくるさ」
「彼女も仮面ライダーだ。当然強いに決まってる」
♢
その頃、とある街路にて。
団体をくんで群がっているデシアゴーレム・トルーパーを、次々と激しい火花を散らしながら、斬撃で吹っ飛ばしている者がいた。まるで優雅な女騎士のように。まるで魔法使いのように。
動く度に漆黒のコートを思わせるマント丈のローブを翻しながら、顔を覆っているルビーの如く煌めく深紅の宝石と、その上に嵌め込まれている銀の指輪を模した流麗な装飾、黒いスーツの胸元や肩にも嵌め込まれている赤い結晶で、その場を紅く輝かせていた。
「突然襲い掛かろうとしたものだから、思わず変身して飛び出したのだけど……」
その宝石の戦士──仮面ライダーウィザードに変身している少女・暁美 ほむらは、徐に現在に至るまでの経緯を呟きながらも、柄の部分に『銀の手』の意匠が据えられている銀色の剣──ウィザーソードガンを振るい、2体のトルーパーの鎧を斬りつけ吹っ飛ばす。
「相手がトルーパーだけなら好都合ね。特殊個体よりも早めに倒せるし、何より弱い。その方がたとえ何体いようと、誰かに対しての被害が減る。だから……さっさと終わらせてもらうわよ」
現状を早めに鎮圧できる事を内心確信しながら、ほむらことウィザードは右手に嵌めている、空間の魔法陣らしき模様となっている輪から手が突き出している意匠が描かれている指輪を抜き取り、新たに眩く光を放っている電球の意匠が描かれている指輪を嵌め込んだ。
するとその指輪が一瞬だけ白く光ったかと思えば……
『ライト!! プリーズ!!』
その指輪から発されているかのような音声が流れていき、今度はその光が眩いものへと変わって広範囲に広がり、トルーパー達の視界に入りその瞳を思わず手や腕で塞がせる状況を作った。
その気を逃さんと、ウィザードは新たに指輪を付け替えた。今度は外側へ広がる波紋と大きく開かれた掌の意匠が描かれている指輪だった。
『ビッグ!! プリーズ!!』
そしてウィザーソードガンを持たせたその右手を突き出したかと思えば、同時に中央にウィザードの仮面に似た意匠が描かれている魔法陣らしきものが紅く展開され……ウィザーソードガンとその持ち手が、彼女の身長と同じ大きさへと変化した。
同時にトルーパーの3体の鎧が刃に当たり、火花を散らされながら態勢を崩される。さらにもう1体の胴体に刃の先端が突きつけられ、火花を激しく散らされやがて爆発していった。
さらにそのウィザーソードガンが持ち手ごと横薙ぎに振るわれれば、その弧の範囲内にいた7体ものトルーパーに強力な斬撃を喰らわせ、次々と爆発させていく。
効果の継続時間は一瞬だったのか、巨大化したウィザーソードガンと持ち手は元の大きさへと戻り、ウィザードはフゥッと軽く息を吐いた。
「さてと、残るは……」
そう呟きながら、ウィザードは背後へと振り返る。そこにいたのは14体ものトルーパー。だが長く闘いウィザードが有利に闘ってきたからなのか、疲弊していたり鎧に斬りつけられた跡や銃痕が付けられていた。
「これなら、もうすぐこの闘いも終わらせれるわね。さぁ、フィナーレよ」
勝負の終焉を確信しながら、ウィザードはドライバーにあるボタンを両方とも同時に押した。
『スペシャルアタック、プリパレーション!!』
そして彼女の周囲に現れる、様々なポーズを取っているウィザードの立体映像と様々な場面を映し出している映像。
それらが旋回している中、ウィザードは両方のレバーを、力強くも優雅に押し込んだ。
『スペシャルアタック、オーケー!!』
『チョーイイネ!! キックストライク!! サイコー!!』
全ての映像がウィザードと重なったのに合わせて、彼女はゆっくりと右脚を前に出した。すると彼女の足元に、再び巨大な赤い魔法陣が浮かび上がる。だが今度のは、円周に赤い炎が立ち昇っていた。
そしてほんの軽くだけ跳躍したかと思えば、そのままロンダート── 側方倒立回転跳び4分の1ひねり後向き──を行い、そしてさらに身軽に空高く高く飛び上がり、空中でアクロバティックな宙返りをした。
するとその上空にて、ウィザードの斜め下前方に、またもや巨大な赤い魔法陣が展開されていく。そんな中で、ウィザードは右足を前方へと突き出し、一気に急降下。通過していく魔法陣に秘めた炎や魔力を、その足に収束させていく。
「はぁぁぁぁぁぁっ‼︎」
ウィザードが叫べば、降下していくスピードはさらに加速。数列ながらも縦に長く隊列を作っているトルーパー達に目掛けて、一気に降下しながらその勢いで炎の威力を強めていく。
そのキックの危険性を察知したトルーパー達が、剣や槍・ハンマーなどを振るおうとしたり、拳銃やライフルで撃ち落としたりしようとするが、時既に遅し。行動しようとした時には、ウィザードの勢いのある降下──キックが、次々と貫通していったのだ。
全てのトルーパーを通過し、静かに地面に着地するウィザード。そして背中越しにローブを翻せば、トルーパー達の背後に巨大な魔法陣が浮かび上がり……やがて魔法陣を中心に大爆発が発生した。
「……ふぅ」
全てのトルーパーを撃破した事を確信し、脱力するウィザード。変身を解除し、変身者である元のほむらへと戻っていく。
「……あっ。そういえば遅れる事を伝えるの忘れてたわね」
ふと、自分が本来この日の今ある時間帯ですべきであった事が何なのかを思い出し、それでも尚冷静にスマホを取り出す。
本来ならば、彼女はあのままカフェ『G』へ赴き、昨日見かけたという2人のオリジンライダーについてを、他のライダー達へと報告していたはずだった。
だが、その道中にてトルーパー達が街を襲撃していたのを目撃し、咄嗟に人々を守るために即座に闘いへと赴いたのだ。襲撃さえなければ遅れる事はなく、周りから余計な心配をかけずに済んだはずである。
……事前に連絡しないなら尚更だが。
「あっもしもしマスター? はい、暁美 ほむらです。実はさっき、デシアゴーレム・トルーパーの集団が街を襲っていたので、その対処で遅れています。……はい、いつもの事といえばいつもの事ですね。すみません、すぐにそちらに向かいますので。……闘った後なんだからゆっくり? いえ、大した事ではないので───」
マスター・玄堂と通話をしている中、ほむらは道中を歩くとある人物に気づき、そこへと視線を向けた。
それは、水色のロングヘアーで眼鏡を掛けている女性……の隣にいる、紫のメッシュを入れた白銀の長髪に、縁無しの眼鏡の下に碧眼を持つ、細身の美青年だった。
「(あの男、確か……いやしかし、何故女性……というか他の人を連れて行動を? 大した事でもなさそうだけど……)」
どうやら彼女は、過去にもその男性と出会った事があるようだ。だが、それは親しい関係とかそういう和みのあるものではなく、何やら不穏な空気を流している感覚であった。
そして何を思ったのか、ほむらはその男性を睨みつける。まるで何やら良からぬ事を企んでいるのではないかと思っているかのように、鋭く。
「……すみません、やっぱりまだ遅れます。失礼します」
玄堂に断りの電話を入れてから通話を切り、彼女は2人組の後を追っていく。怪しまれぬよう、気づかれぬよう、ゆっくりと歩きながら。
「(一体、あの男は……いいえ、あの2人は何をしようとしているとでもいうの……?)」
不穏な気配に敏感である少女は、不吉な予感を察知しながら、その歩を進めていく。
まどか絡みじゃないのに、ほむらは何故クールになっているのか、それは今後の物語で知る事になるだろう……