現代パロな多重クロス世界だと思ったらゴジュウジャーな仮面ライダーの世界でもあった件 作:名無しのモンスター
やっと変身したよ
とある公園の、とあるキッチンカーの近くにて。1人の仮面やライダースーツを纏った戦士と、1体の岩石を纏った怪人らしき者がぶつかり合っていた。
戦士は綺羅が変身する仮面ライダーガッチャード。謎のアイテム──ウィッシュディスクと呼ばれるものの1つであるレガシーディスクから変身したその戦士は、人々を守るため、そしてとある目的のために闘っていた。
怪人らしき者はデシアゴーレム・ロック。そのウィッシュディスクを狙っており、自身を生み出した組織と己の願いのために、ディスクの強奪を狙っていたのだ。
「はぁっ‼︎」
「むぅんっ‼︎」
そして今も尚、彼等はそれぞれの目的のためにその拳を振るっている。
ガッチャードが腹部に目掛けてストレートをかければ、ロックが岩石でできた左腕を盾にして防ぐ。
次にロックが岩石によって太くなっている右脚を振り上げれば、ガッチャードが後退して回避した……のと同時に右脚を振り返し、ロックの胴体を蹴り飛ばした。
「クッ……‼︎ 舐めるなァ‼︎」
「おっと‼︎」
すかさず反撃するロック。右腕を振り回し巨腕による拳をガッチャードにぶつけようとするが、ガッチャードはしゃがんで回避し、腹部に四連続ストレートパンチを与えていった。
「しつこい‼︎ フンッ‼︎」
「うあっ⁉︎」
今度は踏ん張って留まったロックが、両手を組んだ腕を振り下ろし、ガッチャードの背中に叩きつける。ガッチャードは連続回避ができず、そのままうつ伏せに地面に叩きつけられてしまった。
続けてロックが踏みつけようとしたが、ガッチャードはその場で横に転がりながら移動する事で回避し、振り回された左腕を避けながら立ち上がった。
「貰った‼︎」
「ぬおっ⁉︎ チィッ‼︎」
すかさず地面を削るように右脚を振り回したガッチャード。それによってロックの足元を掬い、その場で仰向けに転倒させる。
それでもロックは引けを取らず、その場で右腕を振り下ろすが、ガッチャードは前転してそれを回避。その隙をついてロックは立ち上がって態勢を整え直した。
「クソッ……これがレガシーライダーの力、といったところか。思ったよりもしぶといな……いい加減くたばってもらいたいところだぜ」
「しつこくてしぶといのはお互い様じゃないか。意外と頑丈だね」
「面倒だな……早くくたばらせて、とっととお前の持つディスクを奪ってやりたいところだ……むんっ‼︎」
ロックが両手の拳を合わせれば、彼の背後に巨大な岩石が次々と浮かび出てきた。ロックが両腕をガッチャードに向けて突き出せば、それらは発射されるようにガッチャードへと飛ばされていった。
「だったらこれだ‼︎」
『アントレスラー!!』
何か考えがあったのか、ガッチャードが変身する瞬間に行った手のポーズを取った途端……彼の身体は群青色の光に一瞬包まれ、その光が弾けたのと同時に、振るった両腕や頭突きで次々と岩石を砕いていった。
その時ガッチャードは、群青を基調としたボディに金色のアクセントが輝く鎧が、黒いスーツの上に装着されている姿となっていた。
頭部はバッタから蟻のアンテナを思わせる突起となり、右腕の銀色ガントレットが顎状のクランプを備えており、胸元に炎のような橙の模様が燃えていた。
その姿は、正に名前の通り、力強い蟻のレスラーであった。
「フォ、フォームチェンジしただと⁉︎ そこまでできる程に使い慣れてるのか‼︎」
「君以外にも、僕にディスク目的で絡んでくる人達も結構多かったからね。本当は闘いは避けたかったけど、闘っていく内にここまでいけたんだ」
どうやらレガシーライダーと呼ばれる仮面ライダーは、使い方に慣れれば、ただポーズを取るだけでなりたい
闘いの中で成長していく、という言葉があるように、ガッチャードも闘いを続けていく事で、念じてのフォームチェンジができるようになったようだ。
「チッ。部外者共が、余計な事を……‼︎ これじゃあ奴を倒すのが困難になっちまったじゃねェか……‼︎」
無論、それを良く思わない者も目の前に1人いる。ロックはこれまでガッチャードと闘ってきた者達への苛立ちを覚え、舌打ちや不満を漏らしたりした。
しかし何を思ったのか、今度は不敵な笑い声を漏らしてきた。
「フッフフッ……」
「……? 何がおかしい」
「そう余裕ぶっていられるのも今のうちだぜ? お前が仲間にお願いして避難させている奴ら……無事でいられるとは限らないんだからな」
何故楽澄達の事を。そう問いかけようとする前に、ガッチャードは察してしまった。ロックが……否、ロック達が自分の相手をしているその裏で、何をしているのかを。
「まさか……‼︎ ッ‼︎」
「逃すかよッ‼︎」
「うわぁっ⁉︎」
すぐさま楽澄達の元へと向かおうとするが、ロックが瞬時に呼び出し投げ飛ばした岩石に衝突してしまい、ガッチャードはその場で吹っ飛ばされてしまった。
腹部に強い衝撃を受けてしまったためか、受け身を取る余裕を取れず壁に背中を強く打ち、その場でもたれかかり尻餅をついてしまったガッチャード。そんな彼を見下ろしながら、ロックは再び語りだす。
「そこで大人しくしてろ。もうすぐ俺の仲間が人質を連れてくるからよ」
「ひ、卑怯な……‼︎」
ロックの狙い。それは、彼の仲間となるデシアゴーレムに、楽澄が避難誘導させている人々の誰かを攫わせ、人質にしてガッチャードに半ば強制的にディスクの取引をする事であった。
してやられた。なんて卑劣な。ガッチャードは仮面越しにロックを睨むが、頭上より上の位置の壁に巨腕を突きつけられているため、迂闊に動けない状態となっている。
このまま時間の問題か。ガッチャードはどうにか打開策を講じようとするが……その考察は無意味と化す。
人質が連れて来られたからではない。遠方からの男性らしき悲鳴と、ロックを軽く押し飛ばす程の熱波が、同時に発生したからだ。
「うおっあっつっ⁉︎ ってかあっぶねっ⁉︎ 何なんだ今の熱波は⁉︎ 一瞬吹っ飛ばされるかと思ったぞ⁉︎ というか、今スパイダーの悲鳴が……?」
どうやらこの熱波はデシアゴーレムが起こしたものではなく、悲鳴もデシアゴーレムが人々を襲った事によるものではなかったらしい。それ故に、予想しなかった事態にロックは困惑しているようだ。
そんな彼を余所に、ガッチャードはとある違和感に気づいた。自身がベルトとして巻いている装置──レガシーライダーバックルに挿入されているレガシーディスクが、青く発光している事に。
「(レガシーディスクが強く反応している? これは一体……)」
この時、レガシーディスクの違和感に疑問を感じていたガッチャードはまだ気づかなかった。
自分の知らない場所にて、今後の闘いの希望となる存在が誕生した事に……
♢
「俺達は……ウィックス」
「『仮面ライダーウィックスだ‼︎」』
意思を持ったウィッシュディスク──オリジンディスクであるウィックスと共に、彼の名前を宣言した俺は、デシアゴーレム・スパイダーと向き合うように臨戦態勢を整えた。
するとスパイダーの心臓部のディスクが麦色に輝けば、そこから次々と人型が投影され、禍々しい騎士のようなナニカが次々と実体化していく。アレが戦闘員枠だろうか……仮面ライダーシリーズにしては珍しい見た目の戦闘員だな。
「テメェ……‼︎ さっきまで人質だった癖に、オリジンディスクで仮面ライダーになるなんて生意気な……‼︎ テメェのディスク、絶対に奪ってやるぜ‼︎ トルーパーども、やっちまいな‼︎」
スパイダーがそう指示すれば、トルーパーと呼ばれる禍々しい騎士の戦闘員達が、次々と俺達に向かって駆け出してきた。
「ひとり。みんなと一緒に下がっててくれ」
「は、はい‼︎」
すぐにひとりに頼み事をし、彼女達を俺のいる位置から離れさせてもらった。もちろん、スパイダーの拘束から解放された楽澄さんもだ。
人々が次々と俺達から距離を取ろうとしていっている中、俺はトルーパー達を迎え撃つ。関係ない人達を巻き込みたくないからな。
「喰らえッ‼︎」
「ぐえっ⁉︎」
そう考えながら、俺は軽く右ストレートをトルーパーの1体の顔面にぶつけた。この姿に慣れるためのトレーニングを兼ねての、軽いフットワークだぜ。
そしたらそのトルーパーは吹っ飛ばされ、後ろにいた他のトルーパーを6体も巻き込んでぶっ飛んでいった。
「………………えっ?」
予想だにしない光景に、俺も他のトルーパー達もその場で留まり茫然としてしまった。
軽く……軽く殴っただけだぞ? それも初変身で、この身体に慣れるための練習みたいな感じで。なのにたったの軽い1発で、巻き添え含めて計7体も吹っ飛ばせたなんて……
「……ウィックスのスペック、思ったよりも高い?」
思わずこの姿が、初期形態ではなく強化形態ではないかと思い込んでしまった。初変身でこんなにも強いって事あるか? 他のフォームが最終形態しかない龍騎・カブト・ディケイドならまだしも、見知らぬ仮面ライダーでこれって……
あ、これ多分アレだ。主役ライダーじゃないからこそ許させるスペックかもしれん。そうじゃなきゃ、練習がてらでの軽いパンチ1発だけであれ程の火力なんて出ないって。うん。
「って、ボォーッとしてる場合じゃねェよな……ハァッ‼︎」
「「ギャアッ⁉︎」」
そう呟きながら、俺はその場で回し蹴りをする。そこで反応に遅れたトルーパーの2体を蹴飛ばし、今度は他9体も巻き込んで吹っ飛ばした。
これによって正気を取り戻したトルーパー達が、次々と俺に向かって襲い掛かってきた。剣を振り下ろす奴もいれば、槍を突き出してきた奴もいた。
危ない、と思いながらも、身体が咄嗟の反応を起こしたかのように、その場でしゃがんだり後退したり、腕を盾代わりにして武器の刃の威力を殺しながらいなしたりしていった。
そしてすかさず反撃へと転じ、1体ずつストレートパンチで殴り飛ばしたり蹴り上げたりと、次々とトルーパー達を吹っ飛ばしていった。まるで数の暴力を諸共しないかのように。
「スゲェ……‼︎ 初めての変身なのに、まるで本能で動いているかのようだ……‼︎」
『当たり前だ。何せ私と一緒に闘っているのだからな、私の意思が君の意思と共有されているようなものだ』
俺とウィックスの意思が共有し合っているんだって? という事は……
「つまり……必要となるお前の思考が俺にも伝わってきて、俺が無意識にこの場で必要な思考を取り入れている、って事になるのか?」
『あぁ、要するにそういう事になるな』
なるほど……上手くウィックスの思考を理解し、その上でその考え方・やり方でいくかどうかを、咄嗟の判断と無意識による行動で上手く行っていく必要がある……って事か。
俺、咄嗟の行動での複雑な事をするっての、苦手なんだよな……だけど、慣れていく必要があるな。頑張ろ。
「……にしても、こいつら思ったよりもしつこいな」
後ろの気配に気づいて即座にしゃがみ、突き出されてきていた槍を回避しながら、俺は思わずそう呟いた。
次々と吹っ飛ばしていったと言っても、まだトルーパーを1体も撃破していない。爆発の演出が1回も起きてないから。その上、数は約19体とかなり多い。
全員が俺へとヘイトを向けているが、もし何体かがひとりや一般の人達へとターゲットを変更して動いたら大変だ。どうにかしてこいつらを撃破しないと……
『浩司君‼︎ こんな時こそ、頭の中で祈れ‼︎』
「祈れ、だって?」
『そう‼︎ ウィッシュディスクの私は、全て揃える事で願いを叶える事ができるタイプのアイテムとなっている‼︎ だから君が願いに関わる事をすれば、きっと闘いを有利に進められるはず……武器を作り出す事だって可能なはずだ‼︎』
全て揃える事で、願いを叶える事ができる……ドラゴンボールじゃねェかそれ。ウィッシュディスクってのはドラゴンボールよりも結構多そうだけど。
しかし……願いに関わる事をすれば闘いを有利に進められる、か……祈るだけで何か変わるかもしれないのなら、やらないよりやってみた方がいいよな。
「……よし‼︎ 来い、俺達の武器……‼︎」
パンチやキックを仕掛けながら、迫り来る攻撃を回避しながら、俺はウィックスが使う武器が出る事を願った。それも、たった1つで近距離にも遠距離にも対応できそうな強いものを。
そしたら、俺の右手に炎が漂い出したかと思えば、それは一瞬にして爆散。すると俺の右手に、何かが持たされている事に気づいた。
『ウィックスガンソード!! バサッ!!』
「これは……?」
それは、羽が鋭い赤い鳥の翼を刃として強調した、そこそこ細くも大鳥の感じがする程に大きく、そして長く煌めきのある剣。
ウィックスガンソードって言っていたな。これが、俺達の使う武器なのか……
「ウィックスの事、分かっているじゃねェか‼︎」
鳳凰の時のウィックスの翼に似た剣、最高じゃね? これを使うという事は、ウィックス自身も一緒に闘っているのがはっきりとしているって事になるじゃん。いい作りしてんなこれ‼︎
『私も共に闘っている事がはっきりとしていそうな武器だな……気に入った‼︎』
「あっお前もそう思っていたのか」
やっぱりウィックスも嬉しく感じているようだな。それもそうか、自分の一部を武器に反映してもらうってのは、なかなかない事なのだからな。
『いこう浩司君‼︎ これで今度こそ戦闘員達を殲滅だ‼︎』
「言い方ッ‼︎ けど全員倒すって意味では賛成だ‼︎ せいっ‼︎」
物騒な事を言ってるウィックスにツッコミを入れながらも、俺は早速その剣を振るった。すると近くにいた4体のトルーパーの腹部から火花が発生し、彼等をその場に倒れ込ませた。
続いて迫って来た3体のトルーパーを、回し蹴りならぬ回し斬りしながら5連続で斬りつければ……その3体はやがて、連続で喰らった火花が散る程の威力を持つ斬撃に耐え切れず、胴体から爆発して消滅していった。
「ようやく3体倒したか……」
『だがまだ後16体もいる。一気に倒したいところだな』
だよなぁ。初変身なのに思ったよりも疲れてないけど、それでも後16体も相手しなくちゃいけなくなるなんて、やっぱりキツいよな……
ま、弱気になってる場合じゃねェよな。気を取り直してとっとと倒すとするか。後ろにスパイダーも控えているし。
……あっ。そういえば武器の名前の後に、何やら翼の音みたいなのが音声で出ていたような……もしかすると。
『パタンッ!!』
ふと刃のところを持って後ろに倒してみれば……それはすんなりと畳まれた翼のように変形し、巨大なピストルのように銃口を出してきた。
やっぱり‼︎ 名前にも『ガンソード』とあったから、銃にもなるんじゃないかとは思ってたよ‼︎ 剣にもなれて銃にもなる……正しく平成2期以降のライダーの武器だな‼︎
「こいつで……‼︎ オラオラオラオラ‼︎」
早速銃口をトルーパー達に向け、トリガーを連続で引いてみた。するとその銃口から、火炎とも呼べる赤い光の弾丸が次々と放たれていく。
それらは次々とトルーパー達の胴体へと着弾していき、炎混じりの火花を発生させる。やがて弾丸の威力や熱に耐えきれなくなったのか、トルーパー達は次々と爆発を起こして消滅していった。
時々迫ってきているトルーパー達の拳や武器による攻撃を回避しながら、何度も撃ち続けていれば……残り16体であったトルーパーは、いつの間にか全滅していた。
……銃の方での闘いに専念しすぎたのかな? 剣との差ェ……
「テ、テメェ……‼︎ それが初めての変身、初めてのバトルのはずなのに、こうも容易く俺の手下どもを……‼︎」
「初めての事だらけでこうなるなんて思ってないよな? ……うん、それはそう。自分でもおかしいと思ってる」
だって初戦闘で、僅か5分弱で、必殺技とか無しに一気に19体もの戦闘員を倒すとか、どんだけ〜って思っちゃうよな。この世界のオリジナルライダーって、スペックの調整を間違えているんじゃないの?
……いや、まぁ……スペックが高い事に越した事はないんだけどね。その方が、戦闘でそこまで苦になる場面が多くなくて済みそう、というか……
「こんにゃろうめが……‼︎ 絶対そのディスクを奪い取って、ついでに人質としての役目を終わらせたら、絶対殺してやる……‼︎」
「死ぬなんて絶対ごめんだね」
「うるせェ‼︎ できたら今すぐ死ね‼︎」
なんか……仮面ライダーの敵で死ね死ねってよく言う奴、思ったよりも見かけない気がする。あくまで子供向け番組だからか? じゃああの『ムッコロス‼︎』は滑舌が悪いおかげで、結果的に悪印象を持たれずに済んだ良い結果になったって事に……?
そう考えている内に、スパイダーが両腕から蜘蛛の糸を発射してきていた。いけないいけない、闘いから気を逸らしてた。
『バサッ!!』
すぐさま収納されている刃を取り出し、剣となった武器──ウィックスガンソードを横薙ぎに振るった。
それは元から炎に似たエネルギー……それとも炎そのものをエネルギーとして秘めているからなのか、刃の先端や僅かな部分が触れた途端、蜘蛛の糸は着火し、そのまま燃え尽きてしまった。
「お、俺の蜘蛛の糸が───グァッ⁉︎」
そのまま間合いへと入るように駆け込み、スパイダーの横腹から横一直線にウィックスガンソードを振るった。
そこからも火花が発生したのを確認すれば、すぐさま往復するように斬りつける。
さらにダメ押しだと言わんばかりに、今度は下から上へとまた往復するように連続斬りをかまし、最後に胴体に蹴りを決めて吹っ飛ばした。
「どわぁぁぁっ⁉︎ テ、テメェ……‼︎」
『敵が怯んだ‼︎ 今だ浩司君‼︎ レバーにあるボタンを両方押してもう一度押し込め‼︎ 必殺技のジャンプしてからのキックだ‼︎』
「ライダーキック系か‼︎ 分かった‼︎」
ウィックスに必殺技によるフィニッシュを薦められたので(やり方を説明してもらいながら)、ウィックスガンソードを引っ込め、言われた通りレバーの左右にある青と黒のボタンを同時に押した。
『スペシャルアタック、プリパレーション!!』
すると変身する前と同じように、様々なポーズをしたウィックスの立体映像と彼が映っている映像が出てきた。
この立体映像達……もしかして、変身・必殺技キャンセルのための特別な措置として導入されているのか? それなら妨害される確率が高くなくて助かる……低いわけじゃないけど。
そんな事を考えながら、俺はドライバーのレバーを押し込み、ジャンプの態勢を整える。
『スペシャルアタック、オーケー!!』
『ライダーキック・ウィックス!!』
すると全ての映像が俺と重なり合い、俺の背中に、ウィックスの巨大な翼が生えたかのような炎が吹き出しているような感覚がしてきた。
俺の背中がどうなっているのか……なんてこの態勢じゃ分からないけど、不思議とそうなっている感じなのが伝わってきている。
すかさず俺はその場で跳躍。そして太陽の光が一直線に当たる位置で止まり、右脚を突き出す。
「うおりゃああああああっ‼︎」
そしてそのまま炎を纏いながら、獲物を取る鳥類の如く急降下。立ち上がったばかりのスパイダーに脚──キックが直撃し、奴をそのまま蹴り飛ばした。
「ぬわぁぁぁぁぁぁっ⁉︎」
その場で着地した時には、スパイダーは身体に炎を着火させながら横転していた。そして止まったところで、なんとか起き上がろうとするもできそうにない状態のまま、俺に告げてきた。
「テ、テメェ……今に見てろ……ッ、テメェが持っている、ディスクを狙う奴は、俺様達以外にも、わんさかいるんだ……ッ。そ、
そこまで告げて、スパイダーは身体全体から大爆発を起こし、消滅していった。それに合わせて、奴の身体に嵌め込まれているディスクが飛んで転げ落ち、四方に割れてしまった。
何処からかそういうアナウンスが聞こえてきた気がするけど、とりあえず一件落着……って事でいいのか?
というか、スパイダーが言ってた
……この世界って、現代世界で多重クロスしながら、ゴジュウジャーみたいな事をしている世界なのか?
という事は、ウィックスのディスクを守りながら他のライダーと闘い、その上で他のライダーのディスクを奪わなきゃならないって事? えぇ……バトルロワイヤルなライダーのオリジナルストーリーっておまっ、えぇっ……
「とりあえず、この闘いに勝った事は素直に喜ぶか……」
「こ、浩司君‼︎ お疲れ様です‼︎」
「ん? あぁ、ありがとうひとり」
今は気持ちを切り替えとこうと思ったところで、ひとりに声を掛けられた事に気づいた。どうやら彼女達は無事だったようだな、よかった。けど念のため、怪我人がいないかの確認もしておかないと───
「……浩司、と言いましたか」
「はい? 何ですか?」
いきなり楽澄さんに呼び止められたんだけど。なんかもう嫌な予感がするんだけど。
「戦士……仮面ライダーへと変身する事のできるディスクを手にしたという事は、つまり貴方は、何か叶えたい願いがある……そういう事ですか?」
「………………願い、か」
叶えたい願い……そんなの、ウィックスと一緒に闘うと決めた時から決まっている。
「一応ありますよ。この世界を全ての人々が互いの存在を尊重し、共存できる平和な世界にする……そのついでとして、俺が本当に叶えたい願いを見つけ、それを叶える事に専念する……そういう契約というか、
「約束……?」
嘘なんてついていない。俺はウィックスの平和を目指しているという意思を尊重している。
けど……俺も心の何処かで、俺自身が本当に叶えたい願いを持っている。ただ、それが何なのかが分からないだけで……な。それを叶えるために、まずは平和のために闘う。そう決めたんだ。
「そうですか……貴方は似ていますね、綺羅に」
「……? それはどういう───」
『待て浩司君‼︎ 誰か来てる‼︎ それも、私に近い何かだ‼︎』
楽澄さんが呟いた言葉を問いかけようとした途端、ウィックスに呼びかけられ……それと同時に。
『トランス・オーケー!! 仮面ライダーシザース!! レディ・ゴー!!』
ウィックスに変身する時と同じ音声が流れ、新たな戦士──仮面ライダーが、こちらへと歩み寄ってきていた。
その仮面ライダーの体躯は、蟹の甲殻を思わせるオレンジと黒の装甲に覆われ、肩から腕にかけて鋭い棘が並んでいた。
頭部は赤い複眼が輝くヘルメットで、巨大なハサミ状の角が左右に突き出している。
そして何より目立つのが、その左腕。機械的な蟹の鋏──腕を模しており、右腕よりも一回り大きかった。
蟹をイメージさせるその仮面ライダー──仮面ライダーシザースが、本来のベルトとは異なるドライバー──銀色のウィックスオリジンドライバーみたいなヤツ──を着け、俺達の前に現れた。
「やっと見つけたよ、レガシーライダー。……にしてはちょっと違和感あるけど、ライダーなら誰でもいいや」
……おい、まさかこれって……
「いただくよ、君の持っているレガシーディスクを‼︎」
走ってこっちに迫ってきたー‼︎
この世界の事を理解した途端に、いきなり初めての争奪戦⁉︎ スパイダーとの闘いが終わったばかりだというのに、勘弁してくれよー‼︎
※活動報告でシザースを希望した人は、次点候補のライダーへと変身させます。すみません……でも本家の変身者が騙し系のダークライダーだし……