現代パロな多重クロス世界だと思ったらゴジュウジャーな仮面ライダーの世界でもあった件 作:名無しのモンスター
俺ことウィックスと、ひとりことミスレアが、絶対絶命の危機に陥った中、突如現れたアギトのレガシーライダー。
そいつは俺達の前に立ち、5人のライダーと向かい合うようにして立っているため、少なくともあの5人の敵である事は確かだと、俺の勘が囁いているように感じた。
そして、そんな彼の両隣には、恐らく先程バイク──あの時はスライダーモードだったマシントルネイダーから降りて来たであろう、アギトと同じレガシーライダーの2人が並び立っていた。
1人は、黒いアンダースーツに、脈打つ血液のように赤き光の流線が張り巡らされている戦士。
洗練されたスマートデバイスの画面を思わせる、立体的でエッジの効いたバイザー状の双眸が、黄色い輝きで仮面を照らしている。
そして複雑でメカニカルな層を成した胸部の装甲が、鈍色の輝きを放っていた。
もう1人は、ハロウィンの喧騒そのものを表した、鮮やかな青と黄色のツートンカラーで、金色の星の意匠が各所に散りばめられている装甲を纏い、分厚くビルドアップされた上半身から赤いポップなマントを荒々しく翻している戦士。
一際異彩を放つのは、ジャック・オー・ランタンを模した不気味な頭部。ツギハギだらけの丸いカボチャをすっぽりと被ったような顔には、星型に縁取られた黒い両目と、全てを嘲笑うかのように裂けたギザギザの笑みが張り付いている。
そのコミカルな風貌とは裏腹に、首元には鋭いスタッズのチョーカーが鈍い光を放ち、無骨なチェーンがパンクロッカーのような反逆の意志を主張していた。
仮面ライダーネクストファイズ。仮面ライダーパンクジャック。冷酷なまでに完成された次世代の戦神と、ポップで滑稽でありながらどこか底知れぬ狂気と暴力性を孕んだ戦士が、アギトの味方として並び立っているのだ。
「ほう……まさか援軍を呼んでくるとは思っていませんでしたよ。それも3人、私達と同じ人数になるように……」
「いや知らん、何こいつら……俺もひとりも、この3人とは初対面のはずなんだけど。怖っ……」
ギルスが何やら勘違いしていたみたいなので、俺は思わず正直な事を言ってツッコミを入れてしまった。いやホントに知らないもんこいつら。穏健派かもしれないとはいえ、なんで俺達を助けてくれるの? 初対面なはずなのに。
知り合いの中で想像できるとしたら、ディスクをもう1枚持っていると言っていた斑鳩が変身している可能性もあるけど、仮にそうだとしても、じゃあ残る2人は何なんだって思うわ。
……やっぱり、分からん。こいつらホントに誰だってんだよ。そしてなんで初対面のはずの俺達の事を助けたいと思ったんだよ。もしかしてこいつら、変身前で俺かひとりのどっちかと出会った事があるとでも?
そんな事を考えている中、二重に重なった、けたたましいバイクの音が聞こえてきた。その内の1つは、まるで獣の唸り声も混ざっているかのようだった。
「今度は何だ⁉︎」
イレギュラーな事が連続で起きているからなのか、俺は思わず声を荒げてしまった。そんな事をよそに、バイクの音がだんだんと大きくなっていき、俺達の元へと近づいて来ていた。
そして、その音を鳴らしてきたであろうバイクが、8人のライダーの間に割って入るように現れた。
1台は、小さな翼らしきものをはためかせているかのように見せている、翠眼を持つ赤いマダラオオトカゲを彷彿とさせるバイク。
もう1台は、白と赤のカラーリングで、新幹線のような流線型の巨大フロントカウルを備えた大型のバイク。
ええっと……1台は『仮面ライダーアマゾン』が乗るジャングラーに似ていて、もう1台は『仮面ライダー2号』が乗るサイクロン2号っぽいな。何だっけ、あのバイク達? ジャングラーっぽいのはどっかで……
と思っていたら、その2台のバイクは、ネクストファイズとパンクジャック、それぞれの隣に並び立つように停止し、その運転手である2人のライダーが降りてきた。
1人は、ぬらりとした光沢を放つその体躯は、深い密林を思わせる鮮明な緑色に包まれている。だが、それは純粋な自然の産物ではなく、どこか人工的な滑らかさと洗練されたフォルムを併せ持っていた。
しなやかに隆起した筋肉を覆う皮膚には、まるで沸き立つ血脈の如く鮮烈な赤いラインが全身を這い回っており、胸部に鎮座するオレンジ色の装甲は異端の印のように鈍く輝き、前腕に鋭利な刃を隠し持っていた。
もう1人は、光沢が失われている上に、表面に無数の深い傷が刻まれ、塗装は剥げ落ちている、翡翠の装甲を身に纏っていた。
頭部を覆うのは、異形のバッタを模したマスク。血のように赤い巨大な複眼が、哀愁を帯びた光を放ち、口元を覆う銀色のクラッシャーが黒ずんだ汚れと錆にまみれていた。
鮮血よりも赤いグローブとブーツは、泥と煤、そして敵の返り血らしき赤い何かでどす黒く汚れていた。
あっ思い出した。こいつらの事は、ピクシブ百科事典で知った程度だけど知っている。
仮面ライダーアマゾンオメガ。『仮面ライダーTHE FIRST』及び『仮面ライダーTHE NEXT』に登場した仮面ライダー2号ことホッパー2号。
前世の世界では、
それらにレガシーライダーとして変身した者達が今、アギトと他2人のライダーと共に並び立った瞬間であった。
いや待って? お前らも俺達の敵にはならない系? なんで俺達の事を助けてくれるの? それも5人も?なんで?
「……彼の反応を見るに、どうやら本当に、君達は彼の知り合いではないと思われているようだね。ならば問いかけよう。何故君達は、彼等を守るようにして立っている? 我々が弱い者いじめしていると思ったからかね?」
この状況……というか光景に目を疑っているのか、イクサがガンモードのイクサカリバーをアギト達に向けながら、ちょっとした苛立ち混じりの声で彼等に問いかける。それに合わせてか、彼と同盟を結んでいるライダー達も、それぞれ構えながらアギト達を見据えた。
やっぱりあいつらも、アギト達が俺達を庇うように立っている事を信じられなく思っていたのか。まぁ『援軍を呼んだのか』って質問に『呼んでないし誰こいつ』って答えてたから、そう思うのも無理もないよね。
「何故? そんなの、ただ単純な
ホッパー2号が、女性の声で答えを出そうとしている。
いやお前……じゃなくてアンタは女性だったんかい⁉︎ 別に女性のレガシーライダーは今に始まった事じゃないけど、そのライダーで女性はさすがに意外だわ⁉︎
そんな俺の内心での驚愕をよそに、女性だったホッパー2号は言葉を続ける。
「私は、
「………………………………ん?」
この人、今……なんて言っていた? 俺とひとりが、後輩の友人……?
ちょっと待って? アンタ……いや貴方、俺達の友達の先輩だったのですか? しかもその上でレガシーライダーもやっていると?
………………えぇっ……こんな偶然ってある? いや、本当に俺達の友達の先輩なのかどうか分からんから、確信できねェな……
そんな事を考えていたら、今度はパンクジャックも声を出してきた。
「俺も同じ理由だ。
あっこいつも……じゃなくてこの人もそういう系? わざわざ俺達を助けてくれる気の利く(かもしれない)先輩と仲が良いとか、一体誰を後輩にしているとでもいうんだ?
「俺は2人と違って、こいつらとは友人でも何でもない。だが、それぞれが強い我欲を持ってして、よってたかって少人数を襲う貴様らのやり方が気に食わなかった。だから2人に賛同したのだ」
「俺もこの2人とは初対面だし、ぶっちゃけライダー同士の闘いは乗り気じゃねェ……けど、大人数で少人数をリンチする、みたいな悪事を働く奴は別だ。見たところ、それぞれが自分達の願いのためにこんな事をしているんだと分かったから、全員俺達がぶっ倒す‼︎」
あっなんだよかった。アマゾンオメガとネクストファイズの方は、俺達の知り合いの知り合いですらなかったようだ。でも集団リンチは見過ごせないと思ってか、俺達を助けるって選択にしたんだな。なるへそ。
そして、残る問題は。
「では、君の方はどうなのかね?」
「………………」
アギトが、俺達を助けようとしている理由についてだ。
ホッパー2号とパンクジャックは、知り合いの知り合いがピンチだからといった理由で。アマゾンオメガとネクストファイズは、ただ単にギルス達の闘いから気に食わなかったからという理由で、俺達の助けに入った。
だけど、俺達を助けに来た者達の中でただ1人……アギトだけが、まだ理由を明かしていない。
それどころか、イクサの問いかけに対しても、全く答えようとはしなかった。寧ろ現れてからずっと無口だ。だからなのか、俺はこの場にいる全員の中で、こいつの事だけを警戒せざるを得なかった。
「言いたくないのか、だんまりしているだけかは知らないが、秘密にしようとしているのは確か。ならば趣向を変え、力尽くで聞くと───」
「すみません教授。いくら謎キャラ感を出したいからって、ここに来てからずっと無口キャラを演じるのやめてくれます?」
「……‼︎」
意外‼︎ アギトがだんまりだったのは、実は無口キャラを演じているからだった‼︎ どおりでずっと黙り込んでいたわけだ‼︎ しかも仲間らしき者に注意されているからして、どうやら事前報告すらしてないようだ。
何なんだこいつ、意外とノリが良さそうでお茶目なタイプ? ネクストファイズに注意された途端に動揺し、口元に人差し指を当てて『それ言うのやめて』アピールしているし……
「ほら。彼等も貴方の事を疑っているんですから、そろそろ理由を聞かせてあげても───」
「別にどうでもいいではないか、そんな事は」
ネクストファイズがはよ答えてやれと急かす中、デルタがそれを遮るように口を開いてきた。なんだよ、できてしまったモヤモヤが晴れるチャンスを潰しやがって……
「君達が何を持ってして、彼等の味方になったのか、今はそれを気にする必要はない。そのような話は、闘いが終わった後にいくらでも聞けるはずだ」
聞ける……かな? 結局アギトの目的が全くの分からずじまいで、何を伝えようとしているのかが分からなくて、俺達は今でもまだ、こいつの事を警戒しているのだけど。
「今、私達がすべき事は1つだけ。この5人で闘い、勝った方が負けた方のレガシーディスクを奪うチャンスを作る事……ただ、それだけだ」
いやまぁ、確かにデセオ・ウォーズとしてはそれが正論だよな。願いを叶えるためなら、油断も余計な時間もいらないって思えるのが普通だよな。穏健派は後者があってもいいだろ感があるだろうけど。
「それもそうだな。そうこうしている暇があるなら、まずはこの状況を治める事を優先すべきだ」
これにはアマゾンオメガも賛成の意見。一触即発しそうな……というかする事が確定しているこの状況を、どうにかして落ち着かせる必要があると考えれば、その判断も間違ってはないけど……
それでも俺は、どうしてもアギトの目的云々が気になるから、助けてくれる事になった理由を教えてくれよ〜……
「もっとも、我欲を持ってして数の暴力をする輩どもが相手なら、勝ってディスクを奪い取る事も容易いものだと思うがな」
「ほう……? 中々の自信だな、君は」
ちょっと? 続け様に敵を煽るのやめてもらえません? これまでの闘いで、煽っておいて結局負けるって奴、実際に何人か見た事がある気がするからさ。
「いい度胸じゃねェか。だったらその鼻、俺がへし折ってやるよ」
「私達個人の叶えたい願いのためにも、その挑戦状、受けないわけにはいきません」
「いいでしょう。ならばもう一度狩人となり、そこのお2人の前に貴方達のディスクを頂戴いたしましょうか」
「ふむ……これもまた一興、というべきか」
あーもう、他の敵ライダー達もその気になっちゃったじゃん。俺程ではないけど、言葉はちゃんと選ばないとダメだよホント。特に俺とひとりみたいな、満身創痍の状態である奴等が味方の中にいる時はさぁ……
「柊さん、敢えて煽って敵の人間性を測るのやめてくださいよ……」
「けど、早く闘う必要があるって意見は俺も賛成だな。そこの2人が、俺達が助けに来るまで結構堪えたみたいだし、事を終わらせて怪我とか見ておかないといかねェ」
「それもそうよね。なら……チャチャっと片付けちゃいましょうか」
「………………」
「まだ無口キャラを貫く気だよこの人は……」
味方側もほぼ全員が乗り気で、今にも闘いを始める気満々だ。ネクストファイズは『本当はライダー同士で闘いたくないけど』感が出ているのだが、周りの空気を見れば、それを強く出す事はできないみたいだな。しゃーないとはいえさぁ……
「けどまぁ、煽ってしまう前から、どのみち戦いを避けられない空気だったから、この際仕方ないか」
いやお前も半ば諦めている感じじゃねェか。確かにこの戦いは避けられないけども。もう少し穏便にする方法とか考えろよ……
そんな事を考えている中、アギトを中心とした5人のライダーも、臨戦態勢を取ってギルス達を見据える。いや全員武器無しかい。何れ途中から取り出すかもだけど。
「あの赤いラインのライダーは私がやろう。似たライダー同士、戦わなければ無作法というものだ」
「どんな作法だよ。だったら俺はあのカボチャな熊野郎をやるぜ。あんな派手な格好をしておいて、放っておくわけにはいかねェよ」
「では私はあのバッタの仮面の人を。声から女性でしょうし、同盟としてはお互い紅一点。お相手しないわけにはいきません」
「ふむ、皆それぞれ選ぶ相手が早いな。……私としては、あの金色で君のライダーに似た者の相手を、君にしてもらいたいのだが……どうかね?」
「いいでしょう、私も彼の事が気になっていましたからね。それでは残った緑の者のお相手、頼みましたよ」
「あぁ、私も私で楽しませてもらおう」
オイオイオイ。なんか向こうが勝手に対戦カードを決めたんだけど。いやこういう場面は普通、相手側と相談して決める……なんて事はないんだけどさぁ……それでも勝手にそうされる人達の事も考えてあげなよ……
「……いいぜ、やってやるよ。俺とお前、何か似た点が多いだろうからな。ネクストファイズとデルタ……実質夢の対決じゃん」
「俺の相手はテメェか。いいぜ。テメェのロックらしい戦い方で、満足させてくれよ」
「紅一点同士の戦いですって? いいわよ、私もそうしたかったところなの」
「俺は何やら余りみたいな感じだが……どのみちやる事に変わりはない。全力で相手になってやる」
「………………」
「無言で仮面越しなのにワクワクしているの丸わかりだよこの人」
あっアギト側もその気な感じなのね。しかも無口なアギトも表情が隠れていても感情が分かりやすい感じみたいだ。あぁ……多分俺達が何かしら口出ししなくても良さそうだな。
そう思っていると、合計10人のライダーが、一斉に駆け出しそれぞれぶつかり合い始めた。マジでちょっとしたライダー大戦に見えてくるな、これ。
採用キャラを簡潔に紹介
柊 四四八(はっぴーでぃすとぴあ氏)
変身ライダー:アマゾンオメガ
文武共に極めて優秀な秀才
曲がった事や非合理な事、怠慢その他の締まらない諸々が嫌いで自他共に厳しいが、その辛辣な言動は冷淡さの表れではなく困った者を放っておけない面倒見の良さの裏返しである
愛読書は南総里見八犬伝
自らの立身出世は自らの力で成さねばならいとしており、現時点では掲げる望みは持ち合わせていない
大神 珊瑚(JUDGEMENTReaper氏)
変身ライダー:ネクストファイズ
様々な場所でバイトしながらバイクに乗って放浪している転生者
性格は諦めが悪く拘りが強い、その影響か夢や将来の目標といったものを明確化することができないでおり、本人も困った性格だと自覚している
デセオ・ウォーズに対して参加はそこそこで、ライダー同士での争いはあまり乗り気ではなく、基本的にその力は悪事を働くライダーや怪人退治の為に振るう様にしている
争奪戦としてディスクを賭けて戦いを挑まれた際には、悪事を働いていなければ、勝っても貰い受ける事はせずそのままその対戦者に持たせておく様にしている
鬼柳 京介(覇王 朱雀氏)
変身ライダー:パンクジャック
かつては多重奏高大一貫学園に在学しながら、伝説の不良集団『チーム・サティスファクション』のリーダーとして暴れていた
ある時期にチームは穏便に解散されたが、他のメンバーとは定期的に連絡し合っている
現在は新たな『チーム・サティスファクション』を作り上げる為、アルバイトで生計を経てており、カフェ『G』でウェイターをしたりしている
更識 楯無(覇王 朱雀氏)
変身ライダー:ホッパー2号
明瞭快活で文武両道、そして優れたカリスマ性を、持つ多重奏高大一貫学園2年生にして現生徒会長
裏工作を行う暗部に対抗する対暗部用暗部の家系『更識家』の17台目当主でもある
妹である更識 簪との関係改善に長年苦心しているのはこの世界でも変わらずだったが、とある出来事をきっかけにそれは解消されている