現代パロな多重クロス世界だと思ったらゴジュウジャーな仮面ライダーの世界でもあった件 作:名無しのモンスター
ネクストファイズ。ホッパー2号。アマゾンオメガ。パンクジャック。
これら4人のレガシーライダーを味方につけ、ウィックスとミスレアの助太刀に来た、謎のアギトのレガシーライダー。彼は今、自身の面影がある容姿をしているレガシーライダー・ギルスと対峙していた。
4人のライダーが、ギルスと同盟を結んだそれぞれのライダーと闘っている中、アギトは無言のまま手を刀のようにまっすぐ伸ばし、身体の前で足を広く開きながら構える居合の姿勢を取った。
それに対し、ギルスは重心を低く落とし、片手を前方に備えながら伸ばして目の前の敵を見据え、もう片方の手を後ろに引いていつでも攻撃できるように備えながら構えた。
「やれやれ、困ったものですね。まさか私と姿が似ている者と相手になるとは……いえ。正確には、この姿の正統な進化がそのライダーの姿、と言うべきでしょうか。似て非なる存在な姿をしているわけだ」
溜息をつきながらも、ギルスはその赤い双眸から、アギトを見据える視線を逸らす事はなかった。寧ろ、自分自身に課せられた使命か何かを悟り、それから目を逸らす事自体もするわけにはいかない……そう察したのだろう。
「ならば尚更、私の相手があの4人を含めたの者の内の貴方であった事は、さぞ正解だったのでしょうな」
「………………」
敢えて行ってきたギルスの挑発。それを受けても尚、アギトは声を発さない。一度ネクストファイズに無口が演技である事を指摘されたからなのか、微動だにしない。
実質的に無視されたからといって、ギルスは怒りを見せたり調子を狂わされたりする事はなかった。寧ろ冷静さを平気で保っていた。
「闘う前に、下の関係である者に注意されたにもかかわらず、まだ無口な自分を貫くのですか……まぁ良いでしょう、それが貴方の行うスタンスならば、私はとやかく言う事はない」
両腕からギルスクロウを生やし、その先端を光らせアギトに狙いを定める。
「今は、貴方という強敵になり得る存在と闘える事を、素直に喜び、全力で挑むとしましょう」
その呟きと共に、ギルスは大地を蹴った。そのままアギトに向かって走り出し、接近したのと同時に左腕のギルスクロウを突き出した。
それに対しアギトは、右手を手刀に変えそのギルスクロウを受け止める。そしてすぐに下へと受け流し、ギルスの胸部の皮膚に向けて左ストレートをかまし、ギルスに右腕のギルスクロウで受け止めさせる。
「クッ……むっ⁉︎」
その隙をつき、アギトはギルスの顎を力強く蹴り上げた。それにより怯んだギルスが宙に浮いたのに合わせ、右手を水平にした腕を伸ばし張り手らしき攻撃を胴体に突き出し、ギルスを吹っ飛ばした。
吹っ飛ばされ仰向けに倒れたギルスだったが、起き上がりながらギルスフィーラーを放出し、アギトの腰周りに巻きつくように伸びた。
アギトはギルスに捕らえられたのだ、そのままの意味で。
「捕まえましたよ───なっ⁉︎ ぬおおおっ⁉︎」
だが、それでもアギトは動揺も焦りも見せなかった。寧ろ無口のまま冷静な様子のまま、ギルスフィーラーを掴みギルスごと投げ飛ばし、ギルスフィーラーによる拘束を解いた。
「ぬぅぅぅッ……ならばッ‼︎」
空中で態勢を立て直し、着地したのと同時にギルスフィーラーを地面に突き刺した。先端は蠍の尻尾のように鋭い針があるため、地面を貫通できるのも容易いのだろう。
ゆっくりと周囲を見回し、何処からギルスフィーラーが掘り出てくるのかと軽く警戒する中……背後にある大木から、ギルスフィーラーが貫通してアギトの背後へと迫ってきた。
それに咄嗟に気づいたのか、アギトは振り返りながらギルスフィーラーを回避し、鞭となる部分に手刀を力強く振り下ろした。
「グッ⁉︎」
ギルスの身体と繋がっているギルスフィーラーにも、痛覚を共有する脈らしきものがあるからなのか、思わず痛みを感じている言葉を漏らすギルス。すぐさま一瞬の痙攣を起こしたギルスフィーラーを引っ込め、自身の体へと戻していった。
「なるほど……やはり貴方は思ったよりも強い。闘い慣れている事が、ここまでの闘いではっきりと伝わってきている」
仮面の、クラッシャーの奥で、ギルスは不敵な笑みを浮かべた。アギトが想像を超える強さを持っていた。その事実に、喜びを隠せなかったのだ。ライダー同士の闘いを、狩猟と同じ認識で高揚感を得ているが故か。
「ここまで来れば、私も本気にならざるを得ないようだ……ハァァァァァァッ‼︎」
ギルスの口が限界まで開き、牙─デモンズファングクラッシャー─の間から天地を震わせる野獣の咆哮が迸る。それは最早苦痛の叫びではなく、新たな生命が殻を破る猛烈な産声だった。
全身の細胞が沸騰し、爆発的なスピードで再構築されていく。
レガシーライダーバックルに入っているままのディスクが眩い光を放ち、胸郭の生体装甲がより分厚く、禍々しく隆起する。
頭部に備わる二本の角──ギルスアントラーが、獲物を仕留める猛禽の爪の如く鋭く伸長し、威圧的に天を突いた。
生々しい破裂音と共に、背中の装甲を突き破り、真紅の触手──ギルススティンガーが荒々しく蠢き出た。それは自らの意志を持つかのように宙を打ち据え、大気を叩き割る。
両腕のギルスクロウ、そして踵から伸びるヒールクロウもまた限界まで伸長し、血のように赤い刃となって冷たい光を放った。
仮面ライダーエクシードギルス。戦神のなり損ないかつ似て非なる獣だったギルスが、進化の臨界点を突破した姿である。
「これが私の本気の姿です。貴方には耐えられますか? ハァッ‼︎」
理性の中に秘めた野生の本能を見せながら、エクシードギルスが跳躍する。そしてヒールクロウが伸びた脚を天に掲げ、その脚をアギトに目掛けて振り下ろされた。アギトはそれをバック移動する事で回避し、踵の凶暴な爪に捕まる事を防いだ。
それでもエクシードギルスは止まらない。着地してすぐにギルスクロウを出している右腕を伸ばせば、アギトはそれを左に約30度に上半身を傾ける事で回避。さらに左腕のギルスクロウを右に約30度に上半身を傾けて回避する。
今度はエクシードギルスの背中から出ているギルススティンガーが、一気に伸びてアギトに迫ってくる。アギトはそれを両手でそれぞれ掴んで受け止めるが、そこに駆け出したギルスが迫る。
「隙だらけですね‼︎ 喰らいなさい‼︎」
両手を塞がれ無防備なアギトに、エクシードギルスのギルスクロウが迫る。万事休すか。
するとアギトの身体が、一瞬だけ淡い光に包まれた。
「ぬぅッ⁉︎ チィッ……‼︎」
その眩さに視界を奪われたのか、両腕で顔を覆ったエクシードギルス。あまりの眩さにやむを得なかったのか、ギルススティンガーを元の長さへと戻し、思わず跳躍しながら後退する。
そしてその光がすぐに治れば、彼の姿は、ちょっとばかしながらも変化していた。
右肩には鋭角な赤い肩の装甲が追加され、その手には炎の熱情を帯びた真紅の片刃の剣──フレイムセイバーが。
左肩には丸みのある青い肩装甲が追加され、その手には風を切り裂く薙刀状の刃が付いた蒼き双刃の長槍──ストームハルバードが。
仮面ライダーアギト・トリニティフォーム。大地・風・炎……本来ならば別々に振るわれるはずの3つの属性が、1つの身体に三位一体となって宿った奇跡の姿である。
右手のフレイムセイバーを振り下ろし、左手のストームハルバードをクルリと回して構える。風が舞い、炎が爆ぜ、大地が揺れた。
「そちらも姿が変わるとは……貴方も本気になったようですね」
先程までとは違う雰囲気。まるで3つの自然の強大な力を、同時に相手しているかのようなプレッシャーが、エクシードギルスに向かって襲い掛かってきた。
だが、恐れを成したとしても、エクシードギルスは退かなかった。それどころか寧ろ、またもや好奇心を引き立たせる事になっていた。
「その姿でどれほど強くなったのか、是非見てみたいものですね……フンッ‼︎」
気合いを入れるように叫び、背中のギルススティンガーを再び急速に伸ばす。それは放たれる前から既に、アギトを刺し突かんと狙いを定めていた。それ故に、迫っていくスピードも最初の時よりも早かった。
しかし、これもアギトは対策済みだった。左手のストームハルバードを振り回せば、まるで風圧の強く青い突風でも発生したかのように、ストームハルバードに当たったギルススティンガーは、2本ともあっさりと弾かれてしまった。
さらに右手のフレイムセイバーを振るえば、まるで纏った炎がそのまま物理法則を持ったかのように、ギルススティンガーを地面に叩きつけ突き刺してしまった。
「こっここまであっさりとは……ハッ⁉︎」
エクシードギルスが気づいた時には、もう遅かった。アギトは1本のギルススティンガーの上を走るように渡っていき、跳躍。そのまま下に突き出した右脚でエクシードギルスの顔面に蹴りを入れる。
それにエクシードギルスが怯んだ隙に、着地したアギトはフレイムセイバーとストームハルバードを交互に振るう。
赤い炎のエネルギーと、青い風のエネルギー。それぞれが金色の大地を宿したかのような強力な力を持ってして、エクシードギルスの皮膚に何度も激しい火花を散らしていく。
「ぬっ……ガッ……くぅぅぅッ……‼︎」
さすがに耐え切れないと思ったのか、地面に突き刺さっていたギルススティンガーを引き抜き、エクシードギルスは跳躍しながら後退した。だが十何回と攻撃を受けたためか、蓄積されたダメージに耐えられず右膝をついてしまった。
だが、それはアギトにとってはかなりの好都合であった。彼はフレイムセイバーとストームハルバードを地面に突き刺したかと思えば、バックルの両側のボタンを同時に押す。
この行動が何を意味するか、この闘いで察しないレガシーライダーはいないはずだ。
『スペシャルアタック、プリパレーション!!』
そして彼女の周囲に現れる、様々なポーズを取っているアギトの立体映像と様々な場面を映し出している映像。
それらが旋回している中、アギトは両方のレバーを、力強くも優雅に押し込んだ。
『スペシャルアタック、オーケー!!』
全ての映像が重なり、淡く弾けたのと同時に、アギト頭部の角が展開し、一対から三対──2本から6本へと変わる。
「ハァァァァァァッ……」
直後、彼を構成する3つの力が脈動を始める。
右腕の『炎』を象徴する真紅のエネルギー。左腕の『風』を象徴する蒼きエネルギー。そして、全身を覆う『大地』を象徴する黄金のエネルギー。
それら3つの相反する強大な力が、アギトの仮面を彷彿とさせる1つの紋章へと変化し、濁流のようにアギトの両足へと収束していく。
そして陽日と重なるように、大地を強く蹴り上げ高く跳躍。そしてその最高到達点に達したアギトは、空中で身体を反転。狙い定めるは、地上でこちらを見上げるエクシードギルスただ1人。
「たぁぁぁぁぁぁッ‼︎」
風の唸り。炎の爆ぜる音。そして大地を砕くような重圧。
三位一体のエネルギーを限界まで圧縮した両足を前方に突き出し、流星の如き速度で急降下する。
「ガッ……⁉︎」
アギトの両足が、エクシードギルスの胸部装甲に深々と突き刺さった。
その瞬間、蒼き旋風と真紅の業火が螺旋を描きながら敵の体内へと一気に流れ込み、大地の力がその肉体を芯から粉砕する。
単なる物理的な打撃を凌駕した、3つの属性による破壊のエネルギーが、爆発的に解放された。
「これが、貴方が変身するライダーの……いや、貴方の力か……」
アギトがしなやかに着地した瞬間、必殺のキックを受けよろめいていたエクシードギルスの身体は、耐え切れずに青白い大爆発を起こしてしまった。
爆煙が晴れた頃には、エクシードギルスもといギルスの変身者であったアレクサンドが、キックを受けた残滓を身体に受けているためか、服共に焦げた姿で両膝をついていた。熱も帯びており、熱気が身体から発されていた。
ギルスに変身するためのディスクは、アレクサンドから離れるように転がっていき、やがてアギトの足元に当たって止まる。角を一対に戻したアギトはそれを拾い、フフンッと嬉しそうに握りしめた。
勝敗を決するアナウンスを、耳にしながら。
♢
………………どの闘いも終わったか。
ねェ、一言ぐらい言っていい? やっぱり俺とひとりよりも強いんじゃないのこいつら? 絶対俺達より強いよね?
だってギルスを中心とした5人のライダー、俺達に苦戦を強いらせたんだよ? 助太刀がなかったら絶対俺とひとりは負けてたよ? そいつらを苦戦せず倒す事ができるってさぁ……ヤバくね?
と思っていたら、アギト達が俺達の元へと戻ってきた事に気づいた。
さっきまでギルス達から、俺達の事を助けてくれたみたいな感じだったけど、俺達を倒そうとしたギルス達は全員やられたんだし、俺達の方はどうするのか分からんな……内2人は俺達の知り合いの先輩だから襲わないとは思うんだけど……
とか思っていたら、先にアギトのところへと戻ってきたネクストファイズが、アギトに声を掛けていく。
「いやぁ、おふたりさん危なかったなぁ───」
「ほら教授。もう敵はいないんですし、無口キャラはもうやめて自己紹介してあげてくださいよ……あっすいません、喋ろうとしていたところでしたか」
「ちょっ
アレ? アギトの変身者って関西人なの?
無口キャラは演技で本当ははっちゃけていそうなキャラ……というかノリが良さそうなのかなって予想はしていたけど、まさか関西人だったとは思ってもいなかった……
いや、よく考えてみたら、関西人全員がコント上手かったりノリが良かったりするわけなかったな。偏見は良くない、はっきりわかんだね。
そんな事を考えていたら、アギトは変身を解除し、その変身者の姿が明らかとなった。
額が見えるように分けた、赤みがかった明るい茶髪。薄いベージュ色の襟付きシャツの上に、ややゆったりとしたシングルジャケット。同素材のストレートスラックス。そして深みのある赤い蝶ネクタイ。正に浪花な衣装をした男性だった。
………………アレ? この人、どっかで見た事あるようなないような……?
「あー、コホンッ。はじめまして、やな。俺は
にしてもライダー
ん? アレ?
あっ(察し)
この人、ゴジュウジャーに登場する戦隊考古学者で、ゴジュウジャー達にスーパー戦隊を何ぞやと教えた人やん。
そんな人が、この世界で仮面ライダーの考古学者をやってるの? マジで?
ゴジュウジャーな世界なら、戦隊考古学者みたいにライダー考古学者がいてもえぇやろ。結局同一人物だけど。