現代パロな多重クロス世界だと思ったらゴジュウジャーな仮面ライダーの世界でもあった件 作:名無しのモンスター
特訓開始ィィィィィィッ‼︎(お前誰だよ)
あ……ありのまま、今起こったことを話すぜ‼︎
俺達は優一に提案してもらった特訓をしに行こうとして、敵レガシーライダー5人に襲われたところに、別の5人のレガシーライダーに助けてもらったんだ。
そしたらその内の1人……リーダーと思われるアギトの変身者が、ゴジュウジャーの世界で戦隊考古学者をやっていて、この世界でライダー考古学者をやっている往歳
な……何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も目の前で何を見ているのかわからなかった……頭がどうにかなりそうだった……
催眠術とか、常識改変とか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ……もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……
何故突然、俺が某ポルナレフのモノマネをする程に動揺しているのか、理由は2つある。
1つ目は、さっきも語っていた通り、アギトの正体が往歳
往歳 巡は、『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』の世界にて、嘗てユニバース大戦で戦っていたと伝えられているスーパー戦隊を研究している考古学者をしている男。
スーパー戦隊に肖り、チームワークを何より重んじており、それを様々な色の具材を使う料理であるオムライスに例えている。さらにスーパー戦隊らしき事が起こるとめっちゃ嬉しそうにする。オタク系考古学者……かな? 多分。
そんな人がこの世界にいる、しかも初めて実写・ドラマ・特撮番組で俺が初めて遭遇した人、というね。アニメキャラでも漫画キャラでもない上に、しかもゴジュウジャーをなんとなくオマージュしているこの世界にもいるのだから、二重に戸惑ってしまっているってわけ。
2つ目は、本家に合わせてか、戦隊考古学者に伴ってかは知らないが、その人が仮面ライダーの事を色々と調べている事だ。
この世界の者達はみんな、ほとんどの転生者以外は本来の仮面ライダーの事を全く知らない。それどころか、仮面ライダーに似ているヤツが二次元になった事もない。だからみんな『本来の仮面ライダー』を知ろうとしない……そう思っていた。
なのにこの人は『ライダー考古学者』と言った。つまりこの世界で、俺が現在把握している中で唯一、本家の仮面ライダーの事を積極的に知ろうとしている。何だろう……嬉しすぎて涙が出てきそう。
……アレ? ちょっと待って? 本家ではゴジュウジャーに期待して、彼等に色々と施してくれたんだよね? って事は、この世界では俺達が……?
いや、さすがにそれはないか。じゃあなんで俺達の目の前に現れたんだって話だけど。
そんな事を考えていると、アマゾンオメガとホッパー2号が現れたのと似たような、けたたましいバイクの音が聞こえてきた。今度のは1台のバイクによるものだから、2台によって発生したものではないけど。
その方向がする方を見れば、そこには黒と深紅のツートンカラーをした、スーパースポーツタイプの大型バイクに乗っている2人の男性が。バイク前面のカウル部分には大きく『G』のシンボルマークが刻まれており、ライト周りには赤いクリアパーツが施されていた。
そのバイクに乗っているのが……
「マ、マスター⁉︎ それに優一まで⁉︎」
「浩司⁉︎ ここにいたのか⁉︎ あっそれに往歳教授、貴方もここにいたんですか……」
「おっ来たんか優一君、わざわざ迎えに来てくれてありがとなぁ。それとマスターも」
「迎えに来てくれてありがとう、じゃないよ? 優一君に何も言わず勝手にいなくなるもんだから、優一君結構焦っていたみたいだけど?」
2人ともヘルメットをしていたから、止まって2人ともそのヘルメットを外すまで分からなかったけど、優一とカフェ『G』のマスター・郷田 玄堂が乗っていて、マスターがこのバイクを運転していたという。
ってか、マスターってこんなカッコ良いバイクに乗っていたのか。しかもヘルメットを取った時に結っていた髪が靡くとか、どんだけカッコ良いダンディなんだよ。
「ってか、優一お前……この往歳教授? って人と知り合いだったのか? しかも『何も言わず勝手にいなくなった』ってマスターが言っていたけど、まさか……?」
「……あぁ。この人が、お前達の特訓に付き合ってくれる人
「そういう事や。2人ともよろしゅうな」
「そっそうなのか……ん?
やっぱり巡さんが俺達に何かしてくれるのかと思っていたら、ちょっと引っ掛かりのある言葉が聞こえたため、思わず疑問に浮かんだ声を出してしまった。
特訓に付き合ってくれる人
「えっと……もしかして、そこのライダーさんと他の3人方も、そういう感じですか……?」
「その通りや‼︎ 君達新人2人のため、俺達も焼きを入れてやるで‼︎」
「……俺は教授に無理矢理連れてかれただけどな……」
「あっそれは、その……お疲れ様です……?」
ひとりが代わりに問い掛ければ、それは正解だったようだ。
ネクストファイズの変身者は乗り気じゃなかったけど、巡さんに連行されたからって感じのようだ。過去にも何度か巡さんに振り回されたんだろうなぁ……ご愁傷様です。
「おい、こっちも終わったぞ……って、やはりそっちから探しに来たのか不知火」
「よぉ優一、久しぶりだな」
「2ヶ月ぶりね。相変わらず元気そうで何よりだわ」
「鬼柳さんに楯無さん、お久しぶりです」
と、そこにアマゾンオメガ・ホッパー2号・パンクジャックの3人の変身者と思わしき、大人っぽい男女3人がこちらへと来ていた。
1人はやや無造作に立たせた暗紺色のショートヘアに、鋭い目元と暗色の瞳を持つ、軍服風のデザインが施された白いロングコートとその下に軍服っぽい服装をした男性。ぶっちゃけこの人誰? 分かんね。
もう1人はストレートロングな青みがかった銀髪で、右頬に黄色いマーカーが描かれており、くすんだ茶色いポンチョの下に胸元の開いたシンプルなシャツと黒いズボン、首元にハーモニカを掛けている男性。『遊戯王5D's』の鬼柳 京介だな。
もう1人は淡い水色のミディアムヘアに鮮やかな赤い瞳を持ち、スリットが入った白いワンピースを着て、非常に細いウエストと相反するような豊満なバストを共存させているスタイルの女性。この人は『インフィニット・ストラトス』の更識 楯無さんか───
ハッ⁉︎
「………………ひとり」
「えっあっはい? どっどうしたんですか突然?」
「一瞬だけだったとはいえ、ほんのちょっとした変態になってしまった俺を殴ってくれ……」
「えええっ⁉︎」
自分が今さっきした事の悪さを理解し、ひとりに向かって垂直に頭を下げた。ひとりは何故自分が謝られているのか理解できず、困惑している様子だけど。
「いやだって、何者なのか把握するためとはいえ、恋人であるお前の目の前で、女性のまじまじと見るものではない箇所を中心に、女性の身体をじっと見てしまったから、罪悪感が……」
「だからって暴力で自分を罰するなんて事、私にお願いしないでくれませんか⁉︎ というか浩司君を殴るとか色々と怖い⁉︎ 許しますんでやめて⁉︎」
「アハハハッ‼︎ 思ったよりも面白いわね
許してもらったら、なんか楯無さんに笑われたんだけど。馬鹿にしているとかそんなんじゃないんだけど、笑われるのアレだからやめて?
………………ん? えっ? アレ? ちょっと待って? 今、聞き間違いでもしたのかな? なんか、楯無さんの口から俺の名前が聞こえたような……初対面だよね、俺と楯無さんは?
「あの、何故俺の名前を知っているんですか? 俺まだ自己紹介していないのですが」
「優一に君の事を教えてもらったからよ。知らない仮面ライダーの力に慣れるために、特訓をお願いしてきた事も……そして、ゼロワンのディスクを君に託した事も」
「そっそうですか……」
やはり優一経緯で知ったのか。そういやあいつの人脈はすごいんだったな。
ってかよく考えてみれば、ひとりが『他の3人も特訓に付き合ってくれるのか』と問いかけて、それに巡さんが『Yes』と答えてたんだっけ。んで、その3人の中に楯無さんも入っているんだった。何故さっき知った事をすぐに忘れたし。
というか……今気づいたんだけど、俺がゼロワンのディスクを持っているって事を口にした時、何やら悲しそうな声をしていたような……思いやりが強いのかな? 聞いてみた方がいいのかな───
「まぁ積もる話もあるやろうけど、そろそろ特訓の方をやるとしよか。珊瑚君、この後昼過ぎ頃からバイトがあるんやったし、はよ珊瑚君の特訓内容をやらんと」
「教授が俺にも無理矢理頼んだんでしょうが……」
えっ? ネクストファイズの変身者──珊瑚さん、この後バイトがあるのに特訓の指導者に駆り出されていたの? んでその前に俺達を襲ったライダー達の相手を……
いや、マジでお疲れ様じゃんかよ……
♢
数分後。石ノ森国立大学と呼ばれる大学の、とある講義室にて。
「───というわけで、まずは俺からの特訓内容として、仮面ライダーに関する座学を受けてもらう」
そう語りながら、薄暗いその講義室にある教壇の上に立っているのが、先程のネクストファイズの変身者である
太くキリッとした眉毛と、少し鋭い目元。黒髪のさっぱりとした短髪。身長が高く、そして肩幅や胸板が厚いがっしりとした筋肉質なのが、ネクストファイズとしての強さの1つとなっている事だろう。
「あっあの……何故特訓で座学を……?」
「ライダーの力に慣れるためには、まずはライダーの起源から知る必要があるからだ」
ひとりの問いかけに対し、珊瑚さんがそう答える。
「何事もまずは基本から、というだろ? 自分達が変身するライダーの力を把握するには、『仮面ライダーとは何なのか』について知らないといけない。そうでないと、間違った使い方をして滅びの道を辿る可能性があるのもおかしくないぞ」
「ヒエッ……」
らしからぬ行動をすれば、いずれ己の身を滅ぼす事になる。それを珊瑚さんが説明すれば、ひとりはそんな自分を想像してしまったのか、思わず悲鳴を上げた。
確かに、ダークライダーは光堕ちしてない奴はみんな、大抵が負けてそのライダーの力を失うか死ぬかのどちらかだもんな。龍騎のダークライダーや劇場版の敵ライダーがそれに値する。
だからこそ、『仮面ライダーとは何なのか』を、俺も改めてこの座学で知らないといけない。特訓でも重要になる事だ。
「早速始めるぞ。メモなどを取るようにしとけよ。スマホのメモアプリでも構わない」
本当に大学の座学っぽいな。と思いながら、俺は教授から貰ったシャーペンとノートで、メモを取る準備を進めた。ひとりも遅れて多少焦りながらだが。
「まず仮面ライダーとは何なのかだが……俺達が生まれた世界とは異なる並行世界──あちらの次元では、仮面ライダーとは元々『テレビの中で子供達に夢を与える空想のヒーロー』だった」
プロジェクターのスイッチが入ると、白黒から色彩豊かな写真、そして様々な年代の戦士たちの姿がスクリーンの暗闇の中に浮かび上がった。
バッタの触覚を持つ異形の戦士から、鋭い機械の装甲を纏う者、ベルトにカードなどの奇妙な道具を装填して姿を変える者まで、多種多様な姿がそこにある。
「俺達の世界の特撮番組のように、様々なテーマを題材にし、それを基にしたヒーローのシステムや敵の組織・ストーリーなどを構成する事によって、仮面ライダーは放送された。それによる影響か、その番組の内容がそのまま実在している並行世界がいくつも生まれた。この世界でも、デセオ・ウォーズが発生し、仮面ライダーの代わりとして、その歴代ライダーになれるレガシーライダーも現れるようになった……それが証拠となるだろう」
実際にそういった世界が生まれたかは分からないがな、と付け足すように呟き、珊瑚さんは話を続ける。
「本来の仮面ライダーには、極めて残酷で美しい『根源的な法則』が存在する。それは同質性の法則──即ち、『ライダーと悪の組織は、全く同じ力と技術の源流から生まれている』という点だ」
おぉ、正にそれっぽい。と思いながらも、止まりそうだったノートを書く手を進めていく。
「あちらの世界の初代仮面ライダーは、世界征服を企む悪の組織によって改造手術を受け、人間兵器にされかけた男だった。彼は洗脳直前に脱出し、自分に絶望的な力を与えた悪の組織と、たった1人で戦う事を選んだ」
まぁ後に、同じか似た境遇を持ったライダー達も、仲間や後輩になっていくんだがな。と、また付け足された。
「つまり、彼らは敵と同質の怪人でありながら、人間の心を選んだ悲劇の戦士なのだ。彼らが被る仮面は、素顔を隠すためだけではなく、怪人としての醜さや、二度と普通の人間には戻れない悲しみと涙を隠すためのものでもある」
俺はスクリーンに映し出された、無数の『仮面』を見つめた。
どれほど派手で煌びやかな姿になろうとも、その眼孔の奧にはどこか静かな孤独が宿っているように見えた。
講義を聞きながら学ぼうとしているからなのか、自分達の偶然による変身とは、背負っている歴史の重みが決定的に異なっている事が、改めてひしひしと伝わってきた気がする。
「時代が変わり、平成や令和と呼ばれる年代になると、変身者のモチーフも戦う目的も多種多様化した。カードでデッキを組む者、ベルトから電子音を鳴らして警察組織として戦う者、宇宙の力や魔法、果てはゲームのバグと戦う者まで現れた。だけど、どれほど時代と技術が変わろうとも、根底にある本質は変わらない」
珊瑚さんはプロジェクターの光を背に受け、俺達を強く見据えた。
「『力そのものに善悪はない。それを何のために使うかという人間の意志こそが、彼らを仮面ライダーたらしめる』。バイクに乗り、風を切り、誰に頼まれるでもなく人の自由と笑顔を守るために戦う……それが、別次元で半世紀以上紡がれてきた『仮面ライダー』という概念の真実だ」
講義室に静寂が落ちる。最初は何故座学を……と感じていたひとりも、今はただ、スクリーンの中の孤独な背中に言葉を失っていた。
「それが、仮面ライダー……」
そして、『仮面ライダー』とは何なのかを痛感したのか、そのような言葉を漏らした。
だが、表情はプレッシャーに負われたものなどの、マイナス思考に陥りそうなものではなく、改めて意を決したような、決意の籠った曇りなき表情だった。
よく考えてみれば、主役かどうかとかそんな事関係なく、俺も誰かを守るために正しく力を振るうライダーの1人なんだよな。
常軌を逸した力には、責任が伴う。力とは、仮面ライダーとは何なのか。それを考えながら、これからもライダーとして闘っていく必要があるのだと、改めて考えさせられるな。
「俺も、正しいライダーになれるよう努力しないとな」
そう呟きながら、俺はウィックスとゼロワンのディスクを強く握りしめた。
蛇足になるけど、『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』にて、フィーニスが「ライダーの力は悪の力であり、それを正義のために使ったライダー達こそ歴史改変者だ」と主張していたのも、元々はショッカーが兵士にするはずだった『原理』を捻じ曲げられたから……という理不尽さもある怒りからなんじゃね?(知らねーよそんなの)