現代パロな多重クロス世界だと思ったらゴジュウジャーな仮面ライダーの世界でもあった件 作:名無しのモンスター
優一と玄堂が、浩司とひとりの特訓が終わるのを待っていた庭園にて、デシアゴーレムの軍団が襲い掛かってきた。
しかもそのリーダー格となるデシアゴーレムはドミネイト型。普段のデシアゴーレムよりも苦戦を強いられる存在なのだが……2人は一歩も退く事はなかった。
「フッ‼︎ ハァッ‼︎」
優一ことヴァルバラドが、トルーパーの1体が突きつけてきた槍をヴァルバラッシャーの表面で受け止めれば、そのまま力任せに槍を弾き、回転しながら横薙ぎに振るう。
その斬撃は槍持ちのトルーパーどころか、ヴァルバラドを囲っていた4体のトルーパーをも斬りつけ、それによる火花がサークルを描いた。
そこにすかさず、倒れたトルーパーの1体を飛び越え、メリケンザックを着けたもう1体のトルーパーが、跳躍しながらその拳を振るう。
だが、ヴァルバラドはその行動を予測していたのか、冷静にヴァルバラッシャーの穂先から見える銃口を向け、そこから光の弾丸を3発も発射。トルーパーの腹部辺りの装甲に直撃し、銃撃による一瞬の爆発でそのトルーパーを吹っ飛ばした。
「おっと」
その後ろから、別のトルーパーが構えたライフルから光の弾丸を発射する。何発も発射されたそれに気づいたヴァルバラドは、その場で横に前転しながら回避する。
さらに数発も発射された光の弾丸を、今度はトルーパーとの間合いを詰めるように前転しながら回避。すぐさま立ち上がったところでヴァルバラッシャーを振り上げ、トルーパーの腹部装甲から兜を斬りつけ、爆破させた。
1発クリティカルK.O.‼︎
「やるねェ優一君。これはおじさんも負けてられないな」
ここまでのヴァルバラドの闘いを、別のトルーパー数体の相手をしながら見ていた、玄堂こと仮面ライダーG。そこに片手剣を振るってきたトルーパーの攻撃を、振り返る事もせずにソムリエナイフ型の剣で受け止める。
「余所見は厳禁って言葉もあるけど、そうしている間の敵に攻撃する方も、それはそれで卑怯なんじゃないかな?」
問いかけるようにそう呟きながら、Gは振り向きながらソムリエナイフ型の剣を右斜め下から振るい、そのトルーパーの胴体にある装甲全てに斬りつけた。一直線に火花を散らされたトルーパーは、その衝撃の強さに負けて爆発した。
すぐさまGはソムリエナイフ型の剣を構え直し、巨大なハンマーや多数の鍵が打ち付けられている金属バットなどを持った、数体のトルーパーがこちらに向かって駆け上がって来ているのを静かに見据えた。
「……バットがそのままの見た目で武器になっているのは、特撮としてはシュールじゃないかな?」
ジョークを呟きながらも、振るってきた金属バットをソムリエナイフ型の剣で弾くG。
そこに別のトルーパーが、棘のある鉄球がついたチェーンアレイをGに向けて投げ飛ばすが、それはGが強く握りしめた拳を振るった事で砕かれた。
チェーンアレイの鉄球を砕かれて戸惑うトルーパーを余所に、今度はハンマーを持った個体と槍を持った別の個体が、軽く跳躍しながらGとの間合いを詰め、攻撃を仕掛ける。
だがGはそれに臆する事なく、右横に上半身を逸らして槍の突きを回避し、振り下ろされてきたハンマーの柄を、ソムリエナイフ型の剣を横薙ぎに振るって切断する。
斬り落とした事で落下してくるハンマーを、Gは強く蹴り飛ばしてトルーパーの腹部装甲に直撃させ、そのまま蹴りも入れて吹っ飛ばした。
「さて次は……うおっ⁉︎」
何やら気配を察知したのか、思わずその場でしゃがみ込んだG。すると彼の上を、何かが飛び出すように通り過ぎた。
それは、黒いネオクラシックバイクを走らせているトルーパーだった。乗っているバイクを爆走させ、何かを高台代わりにしてジャンプし、そのままGに向かって突撃するつもりだったようだ。
突撃を躱され着地するバイク乗りのトルーパー。そのままGの方へと旋回し、再びバイクを走らせもう一度突撃を試みるつもりだ。
「なるほど。多分アレが、ドミネイト型の能力を反映させたトルーパーみたいだね」
そう呟きながら、ソムリエナイフ型の剣を握りしめながら構え直すG。そしてそのトルーパーが眼前にまで近づいてきたところで……
「フンッ‼︎」
ワインレッドの光を刀身に纏った剣を、左斜め下から勢いよく振り上げれば、バイクの前輪と胸部装甲を強く斬られたトルーパーは、それらから火花を散らしながら宙へと飛ばされ、バイクと共に爆発した。
「フゥッ……ん?」
ふと後ろを振り向けば、そこには右側の宙へと盛大に吹っ飛ばされた、2体のトルーパーと彼等が乗っていたであろう2台のバイクの姿が。その姿を捉えた途端、2体はバイクと共に、宙にて爆発を起こして消滅していった。
もしやと察したGが、反対方向へと視線を変えれば、横薙ぎにヴァルバラッシャーを力強く振るったであろうヴァルバラドの姿が。彼もまた、ドミネイト型の能力の反映を受けたトルーパー達の数を減らしていっているようだ。
跳躍して攻撃を仕掛けてきた、半月に近い形状の大剣を持ったトルーパーを、ソムリエナイフ型の剣による斬撃で叩き落としながら、Gはヴァルバラドの元へと歩み寄った。
「いいね優一君、なかなかやるじゃないか。ドミネイト型の方のトルーパーを、2体同時に倒す事ができるなんてね」
「単純に真っ直ぐ突撃しようとしてきましたからね、迎え撃ちやすかったんですよ」
「確かに、さっきおじさんが倒したのもそうだったね。……やっぱり、何か変だ」
特殊なトルーパーを2体同時に倒せた理由を、ヴァルバラドの口から聞いた事によってか、Gは自分達の周囲を走り回るトルーパー達を、警戒しながらもバイザー越しに強く睨みつけた。
ドミネイト型のデシアゴーレムに能力を反映してもらったにしては、呆気なくやられるわけがない。もう少し自分達を苦戦させる事ができたのではないか……
デセオ・ウォーズに参加した期間が長かったベテランだからこそ、ドミネイト型のリーダー格と共に行動している、トルーパー達に対する違和感が拭えないようだ。
「………………まさか」
ふと、そのドミネイト型であるデシアゴーレム・サーキッカーの方に視線を向ける。
そこではサーキッカーが、黒く細長い空洞の中から、トルーパー達が乗っていたのと同じ見た目のバイクを出現させていた。そのバイクに1体のトルーパーが乗車し、エンジン音をけたましく吹かせながら走行を開始した。
「やっぱり……‼︎ 奴はバイクを生成する事がてきて、それに普通のトルーパー達が乗っていたんだ……‼︎」
「つまり、能力が反映されている方のトルーパーは……」
「うん、別にいるね。たとえば……アレとか」
そう言って、Gは旋回しているトルーパーのバイク集団……の奥にて、その集団に紛れているであろう、3体のトルーパーの方を指を差した。
そのトルーパーは、両腕の前腕部分と両脚の下腿部分に車輪が付けられており、背中には
旋回するトルーパーの集団に紛れるように、そのトルーパーの内の1体が、何かを狙ってか軽く跳躍する。するとどうだろうか。
そのトルーパーは宙にいたまま、前屈みになって前方に深く身体を折り曲げ、両腕と両脚のタイヤが、バイクのようにそれぞれ1輪となるように重なっていく。
やがてトルーパーは、闇の騎士がバイクそのものになったかのような、異質な姿となった。
「まるで仮面ライダーアクセルだな……」
「その例えはしっくりくるね。というかアレ、アクセルそのものをオマージュしてない?」
2人が思わずツッコミのように意見を呟く中、残る2体が
それに続いてか、バイクそのものとなった方のトルーパーのタイヤも、今にも飛び出しそうな勢いで、高速で回転し始める。それがついてあるアスファルトの大地が熱を強く帯び始めたのか、激しい熱気が立ち昇ってきた。
そして一気に加速して飛び出し、バイクの集団どころか2体のトルーパーをも飛び越えた。
「結局突撃してくる事に変わりないようだけど……ん?」
少々呆れながらも、ソムリエナイフ型の剣を振るいながら迎え撃とうとするG。
しかし、刃が変形していたトルーパーの前輪のタイヤに当たりそうといったところで、そのタイヤは半分に分解され、元の2輪へと戻ってしまった。
そしてそれらが、Gの仮面を挟み込めるような位置にまで移動すれば……そのまま再び1つの車輪に戻ろうとしているのか、一気に彼の顔面を潰そうと一気に迫ってきた。
「嘘ッ⁉︎ うおおおっ⁉︎」
思わず驚きの叫びを上げるG。即座に両腕の前腕部分を盾にし、迫りくる両側のタイヤを受け止める。高速で回転するタイヤの摩擦とそれによる熱が、Gの両腕の装甲に襲い掛かる。
「マスター‼︎ ハァッ‼︎」
そこにヴァルバラドが、ヴァルバラッシャーを豪快に振るい、トルーパーの左横腹を攻撃。そこから激しい火花が飛び散り、それによる衝撃でトルーパーは吹っ飛ばされるも、すぐに人型に戻って着地する。
そこに迫ってきたのは、先程変形したトルーパーに先を越された、2体の車輪付きのトルーパー。両脚のタイヤで加速させているスピードに乗ったまま、回転させているタイヤを持つ両腕をヴァルバラドに向けて突き出した。
「ッ……フンッ‼︎」
1体のは右に素早く移動する事で回避。もう1体のは眼前近くまで迫ってきたためか、ヴァルバラッシャーの表面を盾にして受け止める。
しかし、腕のタイヤの回転は止まらない。両脚のタイヤの回転も相まってか、ヴァルバラドが押され始める。
「クッ……‼︎」
「これはさっき助けてくれたお礼だよ……ハァッ‼︎」
そこにGが横からソムリエナイフ型の剣を振るい、トルーパーに斬撃を与え、火花を散らさせながらその衝撃でトルーパーを吹っ飛ばした。
さらに、背後から攻撃してこようと迫りくるもう1体のトルーパーに、赤い光を刀身に纏わせた剣を振るい、胸部装甲に当てて火花を散らさせ、そのままトルーパーを吹っ飛ばした。
「ありがとうございますマスター。助かりました」
「いいよいいよ。さっきも言ったけど、僕もさっき助けられたんだし、お互い様さ。ライダーは助け合いってね」
それぞれ武器を構えながら、背中合わせになる2人のレガシーライダー。周りには先程の3体に加え、バイクに乗っている数体のトルーパーが、彼等を囲むように走り回っていた。
そしてその集団の奥近くに立つように、サーキッカーも近づいてきていた。ついに彼も動く気だ。
「やっとリーダー格も闘うみたいですね」
「能力を反映させた部下が不利になったから、闘わざるを得なかったようだね」
2人がサーキッカーを見据えれば、彼の
そして脚部の高圧スラスターを爆発させ、一気にヴァルバラドとの間合いを詰めながら、黒い特殊合金のような外骨格に覆われた腕と拳で彼の顔面を殴りつける。
「グッ⁉︎ ガハッ……‼︎ うおあっ⁉︎」
そのままヴァルバラドは吹っ飛ばされ、旋回しているバイク乗りのトルーパーの方へと無理矢理突っ込まされる形となってしまう。そのままバイクを走らせるトルーパーの突撃を受け、彼はさらに宙へと跳ねてしまう。
急いで空中で態勢を整えるも、次のトルーパーがバイクを走らせながら跳躍。それに気づいたヴァルバラドは、ヴァルバラッシャーを横薙ぎに振るってバイクごと胸部装甲に斬りつけ、その衝撃でバイクを中心に爆発させる。
「危ないな───グハッ⁉︎」
どうにか着地できる、といった寸前のタイミングで、両腕両脚にタイヤを付けた方のトルーパーが急接近し、彼の横腹を殴って吹っ飛ばし横転させた。
「ッ、油断していたわけじゃないんだが……」
バイクに轢かれたというのに、重厚な装甲の耐久力が相まってか、重傷を免れていたヴァルバラド。
そこから立ち上がろうとするも、そうはさせんと言わんばかりに、先程自身に攻撃を仕掛けていた残る2体のトルーパーが、再び彼に襲い掛かろうと迫ってきた事に気づく。
「させないよ‼︎」
そう叫んでいるのは、跳躍しての回し蹴りを仕掛けているG。その強烈な蹴りは両腕両脚にタイヤを付けたトルーパーを蹴り飛ばし、バイクに乗っている方のトルーパーも巻き込ませる。
両腕両脚のタイヤが高速かつ激しく回転していたためか、バイク乗りのトルーパーの装甲とバイクを激しく削り、そのトルーパーは爆発。両腕両脚のタイヤが付いている方のトルーパーは撃破できなかったものの、激しいダメージを受けて仰向けに倒れ込んだ。
そのトルーパーを守るように、サーキッカーが前に出てGを見据える。そして高圧スラスターを爆発させて急加速するが……Gに突き出した一撃は、ソムリエナイフ型の剣で受け止められる。
「せいっ‼︎」
これ以上の加速や力の増幅をされる前にと、Gはすかさずそのまま力強く押し返し、構えを解かれたサーキッカーの胴体に袈裟斬りの斬撃を浴びせた。
その衝撃でサーキッカーは怯んで後退し、先程の衝突から鍔迫り合いになると予測していたトルーパー達の、加勢しようとしたところからの動きを止める羽目となった。
追撃がこないと確信してか、Gはすぐさまヴァルバラドに駆け寄り、手を差し伸べた。
「大丈夫かい? あまりにも酷い衝突事故だったね」
「アレらは意図的な衝突にしか思えませんでしたが……」
「それはそう」
言葉に甘えるようにGの手を取り、サーキッカーとトルーパー軍団を見据えるヴァルバラド。彼等の闘い方を把握したのか、もう同じ手は受けないと気を引き締めるかのように、バイザー越しに睨みを効かせている。
「もうあんな失態はしません。奴等の闘い方を把握できたんで」
「それならいいさ。さぁ、反撃といこうか」
この人、この闘いで反撃という程に追い込まれていたっけ? と内心で思いながらも口に出さず、ただ無言で頷くヴァルバラド。そしてまずはトルーパーの殲滅を狙うべく、2人同時に駆け出そうとした───
途端、2人の動きは強制的に停止させられた。それも、まるでシャッターを押され写真として収められたかのように。
「ッ⁉︎ うっ動けない……グアッ⁉︎」
「こっこれは一体……ガッ⁉︎」
身動きが取れず動揺している2人の背中から、何かが強く叩いてきたかのような感覚が襲い掛かり、2人同時に地にうつ伏せで倒れてしまった。
一体何事なのかと、2人が後ろを振り向けば……そこには、もう1体のデシアゴーレムが立っていた。胸部に嵌め込まれているディスクが、デシアゴーレムである証拠だ。
「ウグルルゥッ……ガァァァァァァッ……」
体躯は蠢く黒鉄の生体装甲に覆われており、およそ普通の人型の怪人とは呼び難い異彩を放っている。
ディスクの奥には、赤熱した真空管のごとき発光器官が剥き出しで嵌め込まれており、鼓動に合わせて『ジュ、ジュ』と水滴が焼けるような不快な駆動音を発している。
肩部からは粗雑に切断された太い高圧ケーブルの束が幾重にも生え出し、蛇のようにのたうち回りながら緑色の火花を散らしていた。
頭部は破綻した旧世代のテレビ受像機を彷彿とさせ、割れた画面の奥からは血の色の走査線が無規則に明滅している。
その隙間から覗くのは、本来の人間の顔面を泥とタールで強引に塗り潰したかのような、ただの平滑な肉の塊に過ぎない。
腕部は巨大なシネマカメラの機構が骨肉と融合しており、歪んだレンズの群れが焦点を探すようにカチカチと狂わしく旋回している。
肘から先を占める鈍色の金属爪は、まるで未完成の特撮プロップをそのまま骨格に溶接したかのように粗削りで、爪先からは未乾燥のラッカー塗料を思わせる刺激臭の強い汁が絶え間なく滴り落ちている。
そして、脚部は重量級のスタジオ用三脚を肉体へ強引にねじ込んだ構造をしており、接地するたびに油圧の金属音が重く響いた。
デシアゴーレム・アクティング。
特撮番組のように派手な事をしたい……という呟きに秘めた欲に目をつけられた若者が、無理矢理ドミネイト型に変えられた姿であった。
「アァアッ……ウゥウッ……」
「ドミネイト型が、もう1体だと……⁉︎」
「1つの闘いでドミネイト型が2体も出るとは、これは意外と今までになかった事例だね……」
何故ドミネイト型だと判断されたのか。それはそのデシアゴーレムが先程から呻き声しか挙げず、人間の話す言葉らしさが微塵も見当たらなかったからだ。
そして、これまでに1つの戦闘で、ドミネイト型のデシアゴーレムが2体になる事はなかったという事態。つまり状況次第では苦戦も容易いという事態が、高確率で発生したという事だ。
それに加え、ドミネイト型のデシアゴーレムは、必ずと言ってもいい程に、自身の能力を反映させた強力なトルーパーを生み出す能力を持っている。それが2体分、軍団2つ分となれば、やはり善戦は難しいだろう。
しかし、勝つのが難しいからと言って、『勝てない』とか負の方面を考える2人ではなかった。
「これは……今回ばかりは、さすがのおじさんでも勝つのは難しいかな」
「やられる気がないくせに、そんな不謹慎な事を言うのはやめてくださいよ……」
「君もこんなところでディスクを奪われたくないんでしょ? じゃあ君も同じ事を考えているよね?」
「それはまぁ……そうですね」
強い志を持つ2人は、諦めというのを知らない。
浩司とひとりの特訓の結果は次回に持ち越しッス。