現代パロな多重クロス世界だと思ったらゴジュウジャーな仮面ライダーの世界でもあった件 作:名無しのモンスター
往歳教授からカリバーのレガシーディスクを受け取り、ウィックスの力の一部を取り入れた仮面ライダーカリバーになった俺。そんな状態の俺は今、両腕両脚にタイヤが付いた、ドミネイト型のデシアゴーレムの相手をしている。
ちなみに。奴ともう1体のドミネイト型が呼び出した強いトルーパーは、優一達が相手していると思うんだけど、大丈夫かな……? まぁ彼等はベテランだから、俺達よりも余裕で勝てるでしょ。
それよりも、今は目の前の敵に集中だ。タイヤが付いているからして、多分スピードに特化した敵だろう。翻弄されてペースを持っていかれる前に、早めに倒しておきたいところだ。
……と、思っていたのだが。
「ウォォォォォォッ⁉︎ ちょっ上手く振れねェ⁉︎」
ウィックスの力も合わさったカリバーの力は、思ったよりも強大で、今の俺では扱いにくいものだった。
現に、力強く
その代わり、その剣はデシアゴーレムの左腕のタイヤに命中しており、それによって攻撃を弾かれたデシアゴーレムは怯み、何歩か後退している様子だ。
「最初は早くも使い熟せそうとは思っていたけど、ゼロワンみたいにすぐに慣らせるわけじゃないのか……」
カリバーは、『仮面ライダーセイバー』系統の中では、かなり強力なライダーとなっている。敵として何回か主人公陣営に立ち塞がり、幾度となくセイバーを圧倒していた程にだ。
しかも物語の核心を握る『運命の裏切り者』であり、『暗闇の力で破滅の未来を阻止しようとする影の狂言回し』という重要な役割を果たしていたからなのか、その立ち回りが、カリバーの強さに反映されているのかもしれない。
それ故なのか、はたまた単にカリバーの力を完全に使い熟すための力が足りないからなのか、俺には分からない。だが今の俺だと、カリバーの力に振り回されてしまう。まるでじゃじゃ馬に乗っている気分だ。
しかも、だ。
「そらァッ‼︎ 痛っつ……‼︎」
突き出してきたデシアゴーレムの右拳を
さらには視界が一瞬だけだが激しく揺れ、喉の奥からせり上がった鉄の味が口内に広がる。
「クソッ、
体の内側から湧き上がるウィックスの力と、ディスクから感じられるだろうカリバーの力が、全身の巡りを阻害するように衝突し合っているような感じがした。
まるで異物を無理やり力任せに繋ぎ合わせたかのような一瞬の激痛。思うように踏み込みが利かず、刀身に乗るはずの斬撃すら鈍く濁っていた。
ぶつかった一撃が重かったのか、デシアゴーレムは先程の一撃で怯んで後退していた。その間に痛みが治ったのは、不幸中の幸いだ。
けど、どうしてこんな事が起きてしまっているんだ? ゼロワンのディスクを使ってウィックスゼロワンになった時は、こんな副作用みたいなのはなかったのに……
『……浩司君。この憶測が正しいかどうかは定かではないが、聞いてくれるか?』
「えっ……? どうした急に?」
何か分かった事でもあるのか、ウィックス?
『君が今、私の力も合わせながら変身したカリバーだが、ディスクを通して強い気力らしきものを感じた。それがどうにかして、私のディスクと適合しようとして、細かい分析などを行なっているのだと思われる。それによる私とカリバーのディスクの力がぶつかり合ったり、それによる反動が何度か起きてディスクに何かしらの影響を与えており……適合が終わらない限り、その間だけディスクの不要な要素が、浩司君や私達ディスクに悪影響を及ぼし続け、上手く動かしながら闘う事ができなくなるだろうな』
冷静かつ冷徹に突きつけられた事実。痛んでいた心臓部辺りを押さえながら、俺は迫り来ようとするデシアゴーレムを睨みつけた。
身体の負荷と噛み合わない歯車は、全てこの2つの力が互いを侵食し、調整を行っている拒絶反応だったようだ。けど、そういう憶測が出るとなると、すぐに上手く扱えるわけがない事が分かったのも納得がいく。
レガシーディスクは、元々は単体だけで、そのライダーの力を充分に機能できるように作られたようなものだ。優一やシャロットが変身するライダーを変えても、その前のライダーの力を継承していなかったのも、その表れだろう。
それをオリジンディスク……というよりはオリジンドライバーで、レガシーディスクの力を重ね掛けするとなると、突然の不確定要素にシステムが拒絶反応を起こし、互いがどうにかして解析・分析しようとする。
そのためか、その分析などが行なっている間、俺が無理矢理その力を使っていると、拒絶反応によって発生した副作用が起き、これまでに起きた一瞬の痛みが襲い掛かってきてしまう……ってわけだ。
あくまでウィックスの憶測だが、その可能性があるとすれば、力を込めてカリバーの力を使った途端にくる痛みも利点がつくはずだ。
………………そう考えると、ゼロワンの時はよくあっさりと適合できたものだな。その時は変身……というかフォームチェンジしてすぐに闘ったんだぞ? なのに拒絶反応は一切なかったぞ? 変身を解除した後もピンピンとしてたぞ俺?
ゼロワンが1号ライダーで、ウィックスが善の心を持ったライダーだからか? それともスペックの合計・または平均値が、双方のディスクのスタンダード基準に適していたからなのか?
後、横目に見たひとりことミスレアポッピーも、カリバー同様にスペックが高いはずなのに、何故ひとりは拒絶反応を受けていないんだ? 適合できたとしても、そうなるまでの時間があまりにも、俺達よりも短くないか? ミスレアとポッピー、そんなに相性良かったのか?
うーん、分からん……何故オリジンディスクに、各レガシーディスクと適合されるまでの違いがあるのかとか、色々と分からん……
「まぁとにかく……適合が終わるまで、持ち堪えろって事か……やってやろうじゃねェかよ‼︎」
重く軋む手足を必死に捩じ伏せ、俺は再び
両脚のタイヤをギャリギャリッと激しく回転させながら、猛スピードで接近するデシアゴーレム。まだ適合されていない状態で、あの行動に対する対処法はどうするか。無自覚にも、その答えは決まっていた。
「真正面から受け止めてやるァッ‼︎」
耳がつんざくような、金属と金属がぶつかり合った音が鳴り響き、回転力で押そうとするデシアゴーレムの攻撃を押さえる。あまり動いていないため、拒絶反応らしきものは起きず、その攻撃を受け止める事に成功中のようだ。
ここまでくれば、後は一か八かの持久戦だ。ウィックスの力とカリバーのディスクの適合が終わるまで、なるべく防御に徹底する。いざという時は走り回る方にシフトチェンジする。無謀かもだけど、適合が終わるまでこうするしかない。
俺は仮面ライダーなんだ。こういう系の窮地云々は、今後も何回か受けるかもなんだ。今のうちに根性つけろ‼︎
「さぁ、持久戦といこうじゃねェか───ブエーッ⁉︎」
と思った矢先、左腕でぶん殴られてぶっ飛ばされ、近くの草むらにインしてしまった。
おまっそういうパターンかよ⁉︎ 思いっきりぶっ飛ばされた上に、草むらに突っ込んでしまって足だけ出た状態とか、仮面ライダーカリバーになった身からしたらすっごく恥ずかしいんだが⁉︎
「クソッ……ファッ⁉︎」
なんとか草むらから出れたと思いきや、またもやデシアゴーレムが突っ込んできたため、今度はさすがに前転しながら回避し、一旦距離を離そうと走り出す。
「まぁすぐに追いつかれるけど、適合が完了するまでの時間稼ぎにはなるだろ‼︎」
そう愚痴りながら、デシアゴーレムの方を見ると……そいつは『こいつ何やってんだ?』みたいな感じでジッと俺を見つめていた。
えっちょっやめて? そんな憐れむような目で俺を見ないで? しょうがねーだろこっちは適合させるまでの時間稼ぎが必要なんだから。
さすがにそのままにするのはいけないと感じたのか、デシアゴーレムが両脚のタイヤを激しく回転し始めた。クソッ、絶対すぐに追いつかれるよなこれ‼︎
「こうなったらもう一度だ‼︎」
『よせ浩司君‼︎ また膠着状態の隙を突かれて殴られるのがオチだ‼︎』
「そうなりそうな時は、そうなりそうな時に対応するしかないだろ‼︎ 何も対抗しないよりはよっぽどマシだ‼︎」
そう言って、後ろへと振り向きながら、
『……だったらせめて、なるべく精神統一をしながらでやってみてくれ。適合できるようにと落ち着いて集中すれば、適合が完了する時間が今よりも短くなる……はずだ。あくまでこれも、私も憶測だが』
「精神統一しながら……?」
そういえば適合させたいと思っていた時、早く早くと焦っていたから、そうしようと集中なんてしていなかったな。焦っていては物事も上手くいかないのは、ここまでの闘いで理解してきたかもしれない。
だったら……やってみるか。腕と腰に力を入れて、それ以外は全て精神統一に力を全て注いで……
「フッ……‼︎」
デシアゴーレムの突き出された、回転しているタイヤも含まれた重い一撃を、
集中……集中……ウィックスとカリバーの力が1つになる、共生する、重なる、合わさる、繋がる……これらをじっくり、ゆっくり、慎重にイメージして……
『オリジン・ウィックス・ディスク!!』
『セッティング・オーケー!! ウィックスオリジンドライバー、アクティベート!!』
『ジャアクドラゴン!!』
『かつて、世界を包み込んだ暗闇を生んだのはたった1体の神獣だった……』
『ローディング……オーケー!! トランス・プリパレーション!!』
『ジャアクリード!!』
ふと脳内で、ウィックスオリジンディスクとウィックスオリジンドライバー……さらにカリバーの本来の変身アイテムである、ジャアクドラゴンワンダーライドブックと邪剣カリバードライバー、そして
これが、ウィックスの力とカリバーのレガシーディスクによる、適合がもうすぐ完了する合図だろうか。敵の攻撃を受け止めながらも、体内で動き回っている不思議な2つの力が、繋がって1つに重なるような感覚が伝わってきた気がする。
気がつけば、俺はさらに重く鈍い一撃を、
だが一度受けた時とは違い、足腰に力を入れていたためか、吹っ飛ばされずに済んで踏みとどまれていた。まるで何かが、敵の攻撃を掴んで和らげてくれたかのように。
否、それどころか……少しばかりは手を貸してやらんでもない。そう言われているかのように、まるでカリバー本人から、助力を受けているかのように感じた。けど妥協で、という感じではなかったのは確かだ。
けど、不思議だ。心を落ち着かせようすればする程、ウィックスの力とカリバーのレガシーディスクの力が、一気に1つになっていくのを感じてきている。それも憶測とかではなく、『必然』に思える程に。
そうしていく内に、
そして……ついに時は来た。
『トランス・オーケー!!』
『
『仮面ライダーウィックス!! レディ・ゴー!!』
『デセオ・ウォーズ、スタート!! レッツ・ファイト!!』
『
『月闇翻訳!! 光を奪いし漆黒の剣が、冷酷無情に暗黒竜を支配する!!』
2体の変身完了を知らせる、2つの変身音が脳内に強く鳴り響く。それと同時に、俺はいつの間にか、
突きつけられていたはずの、回転するタイヤの摩擦力も入っていた重い両腕を、軽々しく野球ボールを打つかのように、盛大に弾く事ができた。しかも、拒絶反応によるダメージも、一切感じていない。
それによってガラ空きとなった胴体の装甲に、すかさず
『おぉ‼︎ ついに……ついに適合が完了したのか‼︎』
「あぁ。……まさか落ち着くだけで、めっちゃ早く適合できるとは思わなかったけど」
なんか、その……適合されるまでの時間が、結構短縮された気がするんだよなぁ……落ち着くってのをするだけで、焦っていた時よりも4倍も時間が縮んだような気がする……
なんであんな単純な事に気づかず、体力と時間を喰われる羽目になるんだよ。効率悪いな俺。いや、察しが悪い……の方が合ってるか? どっちにしろダメじゃん。
『良い結果なら全て善し、でいいのではないか? 適合できたのならもう気にする事はない。適合できたその力、存分に奴にぶつけようではないか』
「今回のお前はお気楽だな……けど、それもそうだな」
やっとカリバーの力を使い熟せる時が来たんだし、何より集中力と落ち着きが大事だって事を、いち早く適合する方法を見出そうとしていた時に気づく事もできたんだ。
これを機に、剣術も優一に近づける程に上達……はすぐには難しいが、この闘いを機に少しでも上達しながら、あのデシアゴーレムを必ず倒す‼︎
「さてと……待たせたな、デシアゴーレム。いくぜ‼︎」
足に力を強く入れ、大地を蹴る。間合いを詰めていき、デシアゴーレムの右腕付近にまで近づいたところで、ウィックスの炎と濃い紫色のオーラを同時に纏った
重く鈍い音、一瞬ながらも激しく引火した音に合わせ、デシアゴーレムの右腕が大きく弾かれ、胴体と同じように焼き跡と斬られた跡がついたのが見えた。
振り上げた勢いのままでの回転斬りで、左腕の大きく弾いて同じ跡をつける。さらに回転しながら間合いを詰め、胴体の装甲にも再び攻撃。そして続けての2度の怯みを受けたデシアゴーレムのそこに、無駄のないフォームを意識しながら跳び蹴りをした。
「ウガッ⁉︎ グゥゥゥゥゥゥッ……‼︎」
ここまでの攻撃が結構効いたのか、デシアゴーレムが悶えた声を上げながら吹っ飛び、大地を何度も横転した。そして俺は案の定か、ウィックスとカリバーの力が適合したおかげで、拒絶反応は一切感じなくなった。
これならいける。けど、驕りはダメだ。それが命取りになるのだから、相手の様子を窺いながら、なるべく早めに決着を……
「………………ブゥンッ。ブゥンッ、ブゥンッ、ブゥゥゥンッ……」
と思っていたら、デシアゴーレムが何やら、エンジン音らしい不吉な呻き声を出してきた。いっ一体何をするつもりなんだ……?
すると、デシアゴーレムの体に埋め込まれたディスクが不気味に明滅し、金属の軋む音が不協和音となって響き渡る。
「グオオオオオオンーーーッ‼︎」
「なっなんだ……⁉︎」
絶叫と共に、デシアゴーレムの全身から黒い排気ガスが爆発的に噴き出し、まるで膨れ上がるように身躯が巨大化を開始する。
俺が
元の歪なバイクの面影は残しつつ、その全てが『暴走』に特化した凶悪なデザインへと進化していた。
頭部はより鋭利になり、ヘッドライトの黄色い光は捕食しようとする夜中の獣のような輝きを放っていた。
背中からは、かつてはマフラーだったものが、まるで死神の羽のように歪なメカニカルな翼として展開された。そこから黒煙が炎とともに噴き出し、デシアゴーレムをさらなる高みへと押し上げる。
そして、最も劇的な変化は下半身だった。
人間の脚であった場所には、巨大なブロックタイヤと、あらゆる地形を踏み潰す
手は巨大な鉤爪へと変貌しており、ギミックとしてタイヤとチェーンが組み込まれている。それは敵を引き裂くと同時に、自らをさらに加速させるための凶器でもあった。
胸元のディスクが嵌められていたコアは、巨大化した体躯に合わせてさらに大きく、血のような深紅の輝きを放ち、鼓動のように脈動している。
3メートルの巨大な怪人となったデシアゴーレムは、変わり果てた己の手を見つめるように見下ろし、不気味なエンジンの咆哮を上げた。
そしてその巨大なタイヤと
ってかちょっと待って⁉︎ デシアゴーレムが巨大化するだなんて聞いてないんですけど⁉︎
結局次回も苦戦します。特訓の成果が分からなくなるって? 善戦しすぎとか言ってた人に言え。俺は知らん。