【完結】渋谷の中心でマハムドバリオンを唱えた馬鹿者 作:双子座流星群
その9『考察:特定班たちの誤算と社畜疑惑』
【社畜】贖罪の魔法使いの正体を考察するスレ Part82【疑惑】
1 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:05:10.22 ID:Wiz_Hunter
世界各地の災害現場に現れる「贖罪の魔法使い」ことマハムドバリオンマンについて考察するスレです
アンチ、信者、どちらも歓迎
ただし荒らしは『ムド』
【既知の情報】
・推定日本人男性(身長170cm前後)
・渋谷事件の時はスーツ姿だった(サラリーマン説濃厚)
・使用魔法は『女神転生』系(攻撃・回復)と『ハリー・ポッター』系(補助・移動)のハイブリッド
・最近、移動範囲が拡大中
22 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:08:45.10 ID:Salary_Slave
それより気になるのが活動時間帯なんだよな。
こいつ、平日の日本時間 9:00〜18:00 の間、絶対に現れないんだわ
地球の裏側でどんな大災害が起きてても、この時間だけはスルーか、到着が18時過ぎになる
……確定じゃね?
カレンダー通りのサラリーマン
30 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:12:30.55 ID:Corp_Black
>>22
笑うわそんなんwww
世界救えるレベルの魔力持ってるのになんで律儀に会社行ってんだよ
魔法で金なんかどうとでもなるだろ
上司に『ムド』かまして退職届出せよ
38 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:15:10.99 ID:Lunch_Hero
いや、たまに昼の12:00〜13:00の間だけ、短時間現れることあるぞ。
先週の東南アジアの洪水とか、日本時間の12:15に現れて、土嚢積んで12:50に消えた。
>>30
お前のところと違って関係がいいから続けてるんじゃね?
40 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:17:22.44 ID:Weekend_Warrior
>>38
昼休憩抜け出して世界救って、午後から何食わぬ顔でエクセル叩いてたりすると思うと草生える
42 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:17:45.33 ID:Shachiku_Hero
>>38
昼休み返上で人助けしてて草
飯くらいゆっくり食わせてやれよw
48 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:19:10.05 ID:Magic_Tax
これマジで意味わからんのだが
魔法で金なんていくらでも錬成できるだろ?
なんでわざわざ満員電車乗って会社行ってんの?
魔法使いのプライドとかないんか?
55 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:21:30.88 ID:Realist_001
>>48
社会的なカモフラージュだろ
無職で羽振り良かったら国税が来る
魔法使いといえど、国家権力と税務署は怖いんだよきっと
56 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:22:55.12 ID:Reality_Check
昼休み返上で人助けとか、意識高すぎだろwww
ちゃんと飯食えよwww
まあでも、社会との繋がり切ったらただの化け物だからな
人間でいるための儀式として満員電車に乗ってるのかもしれん
……そう考えるとちょっと切ないな
休日もフル稼働で海外遠征とか、過労死するぞ
62 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:24:50.12 ID:Travel_Log
最近、到着速度上がってるよな
前は南米とか行くのに数時間かかってたのに、この間の水害の時は一瞬で着いてた
あと、何でもない日にイタリアの観光地とかで「雨に濡れない人影(目くらまし術?)」の目撃情報がある
これ絶対、ファストトラベル地点登録して回ってるだろwww
70 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:27:15.44 ID:Gamer_Soul
>>62
マップ埋め作業乙www
地道すぎて好感度上がるわ
「あ、ここまだ行ってないから登録しとこ」みたいなノリで海外行ってんのかな
80 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:32:00.99 ID:News_Breaker
【速報】例の魔法使い、仲魔を増やした模様【犬と兎】
昨夜の雪崩で埋もれたロッジの救助現場写真がアップされたぞ
今回はソロじゃない、ガッツリ使い魔を使役してる
[リンク:海外ニュース翻訳まとめサイト]
82 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:33:12.00 ID:Analysis_Team
魔法使いの写真上がってるやん、要救助者しれっと盗撮してて草
相変わらず顔はちゃんと隠れてんな…まあマスクはしてるみたいだが
[画像リンク:雪で埋もれた客室を掘る犬と兎の群れ]
……なんだこれ、黒い犬と白い犬?
ウサギは……ただのウサギの群れ?
95 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:34:22.11 ID:Megaten_Fan
うおおおおお!?
なんだこの犬!? デカいな!
白と黒の二匹……額に紋様があるぞ
102 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:36:10.55 ID:Demon_Summoner
多分魔法使いのことだしこいつらも悪魔なのかな?
この犬、メガテンで言うとなんだ?
・パスカル(ケルベロス)? → 色が違う
・イヌガミ? → もっとひょろ長いイメージ
・ハヤタロウ? → 雰囲気は近いかも
白黒セットで運用する犬系悪魔っていたっけ?
110 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:39:45.22 ID:Rabbit_Panic
それよりウサギだよウサギ!
なんだこの数は!?数百匹いないかこれ?
俺、リゼロの「大兎」思い出してトラウマ再発しかけたわ
これ人を食うタイプじゃないよな?
118 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:42:30.88 ID:Survivor_Report
>>110
生存者の証言だと「カイロみたいにめちゃくちゃ温かかった」らしい
人を食うどころか、暖房器具として使役されてるぞw
125 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:45:10.33 ID:Megaten_Fan
ウサギの悪魔……イナバシロウサギか?
メガテンにも出てくるし、回復・補助系だし、辻褄は合うな
しかし大量召喚とは……MPどうなってんだあの魔法使い
132 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:48:55.77 ID:Harry_Potter_Otaku
あと、記事にある最後の一斉転移魔法
あれ間違いなく移動キーの呪文『ポータス』だよ
スキーケース掴ませてワープさせたって証言と一致する
つまり今回の構成は
・悪魔召喚(メガテン系):犬、兎
・移動魔法(ハリポタ系):ポータス
このハイブリッドスタイルが確立されてきてるな
133 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:49:10.22 ID:J_Comics
十中八九メガテンのマイナー悪魔か、あるいは本人が飼ってたペットを魔法で強化してるとかじゃね?
「魔改造された愛犬」説
134 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:52:16.45 ID:Megaten_Fan
>>133
それだ
メガテンには悪魔合体があるからな
ペットの犬をベースに、悪魔と合体させて……って考えると業が深いなオイ
でもあのウサギの数は異常だろ、繁殖させすぎだ
145 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:53:10.00 ID:Manga_Lover
それにしてもこの犬のデザイン、どこかで見たことあるような……
最近の漫画でこんなのいなかったっけ?
150 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:55:45.22 ID:Reply_145
>>145
ファンタジー作品の狼とか犬って大体こんな感じになるからな
でも額の紋様は独特だな。梵字か?
メガテンの悪魔デザインって金子一馬氏の影響強いけど、これはちょっと毛色が違う気がする
151 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:56:00.00 ID:Safety_First
まあ元ネタが何であれ助かった人たちがいるならそれでいいよ
でもさ、あんな雪山で犬とウサギに助けられるとか、遭難者も夢見てると思っただろうなwww
メルヘンかよ
162 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:56:30.88 ID:Analyze_Master
まあ、魔法使い本人が「メガテン」と「ハリポタ」の信者であることは確定してるからな
この犬もウサギも、彼なりのアレンジを加えた召喚術なんだろう
しかし社畜やりながらボランティアして、さらに新作魔法の開発までしてるとかこいついつ寝てんだよ過労死するぞ魔法使い
170 :名無しさん@オカルト板:202X/0X/XX(土) 14:58:10.11 ID:Black_Company
>>162
「アムリタ」や「ディア」があるから……
なんならハリポタの元気爆発薬とか使ってたりして
自分のHPと疲労も回復して、無限に働ける究極の社畜なんだろう、ある意味一番なりたくない魔法使いだわ
その10『適応:最強の式神、台所に立つ』
世界中でマグマが噴き出すこともなく巨大ハリケーンが都市を襲うこともない、奇跡的に平和な金曜日の夜。以前の俺なら、「今のうちに次の転移先を登録しておこう」と地球儀を回して貧乏くさい弾丸ツアーに出ていただろう。
だが、相田の口酸っぱくして言う「休息も仕事のうちです」という言葉に従い、今夜は大人しく自宅で羽根を伸ばすことにしていた。
狭いアパートのリビングには、トントントントン……というリズミカルで軽快な包丁の音が響いている。
香ばしいガーリックの香りと、肉が焼ける音が食欲をそそる。
平和だ。あまりにも平和な週末の光景だ。
俺はソファに寝転がり、缶ビールを開けた。
プシュッという音と共に、一口飲む。美味い。
だが、ふと思う。
この完璧な安らぎの中に、話し相手がいないのは少し寂しい。
美味しい料理ができても、一人で食べるのは味気ないものだ。
(……呼ぶか)
俺はスマホを取り出し、相田にメッセージを送った。
『今、暇か? 飯でもどうだ』
送信ボタンを押して——目を画面から離すか離さないかの刹那だった。
ピロンッ! と通知音が鳴る。
『行きます!!!!!!!!』
エクスクラメーションマークの数が、彼の狂気を物語っている。
既読がつくよりも早いんじゃないかと錯覚する反応速度。常時俺とのトーク画面を開いているんじゃないかと疑いたくなるレベルだ。怖っ。
「……ま、来るなら早いほうがいいか」
俺は苦笑しつつ、杖を手に取った。
もう慣れたものだ。部屋の中央、天井に頭をぶつけない安全なスペースを確保する。
「——
詠唱と共に空間が歪む。
次の瞬間、青白い光と共に、フルフェイスのヘルメットを被り、両手にお土産のワインを持った相田が、音もなく正座の姿勢で着地した。
「お呼びでしょうか、我が君!」
「おう。早かったな」
「当然です! 貴方様からの招集とあらば、風呂場だろうが地球の裏側だろうが、即座に応じるのが下僕の務め!」
相田はヘルメットのバイザーを上げ、満面の笑みを見せた。
彼はそのまま立ち上がり、鼻をひくつかせた。
「おや、いい匂いですね。ガーリックとバター、それにハーブの香り。もしや、堀田さんが手料理を?」
「まあな。今日はとっておきを用意してる」
俺はニヤリと笑い、キッチンの方を親指で指し示した。
実は、相田を呼んだのは単なる寂しさからだけではない。
最近開発した、俺の
「とっておき? それは楽し、み——」
相田がワクワクしながらキッチンの方を向き、そして——凍りついた。
彼が持っていたワインボトルが、手から滑り落ちそうになり、慌てて抱きかかえる。
「…………は?」
相田の口から、間の抜けた声が漏れた。
無理もない。
そこにある光景は彼の想像を絶する、いや、人類の想像の範疇を超えたシュルレアリスムだったからだ。
1Kの狭いキッチン。
そこに立っていたのは、俺ではない。
身長3メートル近い、筋肉質の白い巨体。
背中から伸びた突起が換気扇に当たりそうになり、頭上で輝く黄金の法陣がLED照明を反射して神々しく回転している。
——
ジャングルの戦いで俺が調伏し、先日は雪山で奮闘した最強の式神だ。
だが、今の彼(?)は、いつもの「破壊の化身」ではなかった。
その隆々とした胸板には、以前ドンキで購入したピンク色のフリル付きエプロンがパツパツに装着され、背中で紐が悲鳴を上げている。
そして、その巨大な手には凶悪な『退魔の剣』ではなく、家庭用の万能包丁が握られていた。
トントントントントントン……。
魔虚羅は無言のまま、恐ろしいほどの精密動作で玉ねぎを微塵切りにしている。
その速度、まさに神速。繊維を潰さず、均一なサイズに切り刻んでいく技術は、三ツ星シェフも裸足で逃げ出すレベルだ。
「え、あ、あの……堀田さん?」
「ん? どうした」
「あそこにいらっしゃるのは……南米で調伏して先日も雪山で大活躍していた、最強の式神・魔虚羅……ですよね?」
「おう、そうだが」
「なんでエプロンして玉ねぎ刻んでるんですかァァァァァッ!?」
相田の絶叫が響き渡った。
俺はビールを一口飲み、勝ち誇った顔で言った。
「適応だよ、適応」
「適応!?」
「ああ。こいつの能力は
俺はキッチンに向かって声をかけた。
「おい魔虚羅、次は肉だ。ミディアムレアで頼むぞ」
魔虚羅はこちらを一瞥もしなかったが、その背中の法陣が——。
——ガコンッ!
重厚な音を立てて一つ回った。
次の瞬間、魔虚羅の手つきが変わった。包丁を置き、フライパンを手に取る。
その所作から「切断」の鋭さが消え、「加熱」への最適化が行われたのだ。
ジュウウウウッ! と肉を焼く音が響く。火加減、ひっくり返すタイミング、塩を振る高さ。全てが計算され尽くした完璧なムーブだ。
ガコンッ!
ガコンッ! ガコンッ!!
狭いキッチンから、重厚かつ神聖な金属音が連続して響いてくる。
魔虚羅がフライパンを振るたびに、冷蔵庫から調味料を取り出すたびに、あるいは単に狭い流しの前で身体の向きを変えるたびに、背中の法陣がせわしなく回転しているのだ。
「す、凄い……。雪崩を掘り返していた時よりも回ってますよ、あれ」
「ああ。どうやらこいつにとって、日本の1Kアパートでの家事は、災害救助よりも高難易度のミッションらしい」
俺は苦笑交じりに解説した。無理もない。
身長3メートル近い巨体が人間用の、それも単身者用の狭いキッチンに押し込められているのだ。
換気扇のフードに頭をぶつけないための姿勢制御。
薄いガラスの皿を粉砕せずに洗うための力加減。
IHヒーターの火力調整への理解。
それら全てが、彼にとっては「未知の現象」であり、
「初日に呼び出した時は酷かったぞ。まな板の上で人参を切らせようとしたら、力加減が分からずに『退魔の剣』をまな板ごとシンクに叩きつけやがった」
「退魔の剣で人参を……!?」
「ああ。ステンレスのシンクがバターみたいに両断されて、下の配管ごとイカれたよ。おまけに切られた人参は床に落ちて埃まみれだ」
俺は遠い目をした。
あの時は本当に焦った。深夜に響く轟音と、噴き出す水。
慌ててレパロでシンクと配管を直し、床をスコージファイする羽目になった。
「なるほど……。それで今は、ちゃんと包丁を使っているわけですか」
「学習したんだよ。『この環境で最適なツールは退魔の剣ではない』とな。適応能力の無駄遣いにも程があるが」
そんな話をしている間にも、魔虚羅は見事な手際で料理を皿に盛り付けていく。
ガコンッ! と法陣が回り、盛り付けの美的センスにまで適応したらしい。パセリを散らす手つきがフレンチのシェフみたいになっている。
「……しかし、惜しいことをしましたね」
相田が残念そうに溜息をついた。
「何がだ?」
「『退魔の剣』で切られた人参ですよ。正のエネルギーを帯びた対呪霊特化の刃で切断された野菜……一体どんな味がしたんでしょうか」
「お前なぁ……」
「気になりませんか? こう、食べた瞬間に体内の悪いものが浄化されるような『
「
俺は呆れたが、まあ気持ちは分からなくもない。
退魔の剣は、反転術式と同等の正のエネルギーを纏っている。もしそれを食材に使えば、鮮度が長持ちするとか、栄養価が爆上がりするとか、あるいは食あたり絶対防止の効果が付与されるかもしれない。
「……まあ、そこまで言うなら、試してみるか?」
相田の熱意——というよりは食に対する奇妙な好奇心——に押され、俺はキッチンに立つ白い巨人に声をかけた。
「おい、魔虚羅。仕上げだ。そのステーキ、お前の『退魔の剣』で一口サイズにカットしてくれ」
魔虚羅の手が止まる。
彼は手に持っていた家庭用包丁を丁寧に置き、右腕を掲げた。
前腕に再出現した、対呪霊特化の必殺兵器。
正のエネルギーを帯びた、黄金に輝く刃。
——ガコンッ!
背中の法陣が回る。
『調理器具による切断』から、『退魔の剣による食材のカット』へと事象の再定義が行われた合図だ。
魔虚羅は皿に乗ったステーキを見下ろし、右腕を振り上げた。
そんな大振りに振り上げた姿を見て相田が慌てる。
「ちょ、堀田さん! 皿! 皿ごとイきませんかアレ!?」
「大丈夫だろ。今のこいつは『家事』に適応してる」
ヒュンッ——。
風切り音すら置き去りにする速度で、刃が振り下ろされた。
だが、衝撃音はしない。
カチリ、という微かな音が、刃先と陶器の皿が接触するかしないかのギリギリで止まったことを告げた。
目にも留まらぬ五連撃。
次の瞬間には、ステーキは美しいサイコロ状に切り分けられていた。断面から豊かに湯気を立てている。出来たてだからか、正のエネルギーの余波か。
ぬっ、と湯気の立つ皿を差し出してくる魔虚羅。
「……すげぇ。神業だな」
「い、いただきますッ!」
相田は待ちきれない様子で、箸を持って突撃した。
彼は恭しく手を合わせ、退魔の剣で切られた肉片を口へと運ぶ。
「んぐっ……もぐ、もぐ……」
相田の動きが止まった。
カッと目を見開き、天を仰ぐ。
「……こ、これは……ッ!!」
「どうだ?
「
相田は震えながら、次々と肉を口に放り込んでいく。
「これ、相当いい肉ですよね!? A5ランクのシャトーブリアンとか、そのクラスでしょう!? このとろけるような食感、普通のスーパーの肉じゃありえません!」
俺はニヤリと笑い、ビールを煽った。
「……実はそれ、近所のスーパーで『広告の品』シールが貼られてた、100グラム158円の輸入牛だぞ、しかも半額」
「はい!? いやいや、嘘でしょう!?」
「本当だ。筋張ってて硬そうだったから、魔虚羅に『なんかこう、いい感じに柔らかくしてくれ』ってフワッとした指示を出したんだよ」
そう。俺の指示は適当だった。
だが、魔虚羅の適応能力は、その曖昧なオーダーを過剰なまでに汲み取ってしまったらしい。
調理前の下処理の段階で、魔虚羅は凄まじい動きを見せていた。肉の筋という筋を精密動作で断ち切り、玉ねぎの酵素に漬け込む時間をコンマ秒単位で管理し、更には肉を叩いて繊維をほぐしていたのだ。
ガコンッ! ガコンッ! と法陣を回しながら、「硬い肉」という事象に対して「極限まで柔らかくする」という適応を見せた結果がこれだ。
「さらに、最後のカットだ」
俺は切り分けられた断面を指差した。
「退魔の剣は正のエネルギーを纏っている。それが肉の細胞に作用して、余分な臭みや雑味を『祓った』のかもしれん。結果として、安肉が極上のステーキに昇華されたんだ」
「な、なるほど……! 物理的な下処理への適応と、術式による浄化作用……!」
相田は感動のあまり箸を震わせている。
「これぞ『特級調理』……! 最強の式神は、最強のシェフでもあったんですね……!」
「ま、そういうことだ。食え食え、多目に買ったからな」
キッチンでは魔虚羅がどことなく満足げ後片付けを始めている。破壊の化身がエプロン姿で安肉をA5ランクに変えるアパートの一室。
世界広しといえど、こんなシュールで贅沢な食卓はここだけだろう。
「……魔虚羅」
「■■?」
俺が呼びかけると、魔虚羅は方陣がシンクで洗い物をしながら、法陣が棚に当たるのを巧みに躱しつつ振り返った。
「美味いぞ。ありがとうな」
魔虚羅は無言で頷き、再びスポンジを握りしめた。
その背中の法陣が、ガコンッ! と回る。
どうやら「主からの感謝」という事象に照れて、精神的な充足感に適応した……のかもしれない。
俺たちは、最強の式神が振る舞う極上の激安ステーキに舌鼓を打ちながら、平和な夜を噛み締めたのだった。
はまあじ派かはまみ派か
まこーらが従ってくれるならぜひとも家事してもらいたいですね、ただ初期値が家事向けじゃないので初動の大惨事は覚悟しなければなりません
あと大抵日本の家屋はまこーらには狭い家なのがつらいところ……適応したらちょうどいいサイズまで縮む事もできたりしますかね?