【完結】渋谷の中心でマハムドバリオンを唱えた馬鹿者 作:双子座流星群
贖罪の魔法使い(Wikipedia)
贖罪の魔法使い(しょくざいのまほうつかい、英語: The Redeemer Wizard)は、202X年の渋谷スクランブル交差点における集団昏倒事件直後から、世界各地の災害現場や事故現場に現れるようになった正体不明の男性。
「魔法」としか形容できない非科学的な現象を操り、人命救助や環境修復を行う。ネット上では事件当時の叫び声からマハムドバリオンマン、あるいは単に魔法使いとも呼称される。
∧ 概要
202X年8月、約400名が死亡した渋谷スクランブル交差点での未曾有の惨劇において、現場の中心で叫んでいたとされる「地味なスーツの男」がその端緒とされる。当初はテロリストあるいは容疑者としてマークされていたが、その後の世界各地での献身的な救助活動により、現在では「自らが引き起こした(あるいは防げなかった)惨劇に対する贖罪として活動している」という見方が強まり、「贖罪の魔法使い」という呼称が定着した。
本人は一切の沈黙を貫いており、公の場に姿を現す際は常に深く被った黒いフードとマスクによって顔を隠している。目撃証言によれば、「稀にフードの奥で眼鏡のレンズが光るのが見える」程度であり、素顔を捉えた鮮明な映像や写真は存在しない。
∧ 特徴
外見・装備
・ローブ: 黒い布製の丈の長いローブ。一部の解析班によれば「日本の量販店(ドン・キホーテ等)で販売されているパーティー用のコスプレ衣装」に酷似していると指摘されているが、激しい炎や吹雪の中でも損傷しないことから、何らかの防護魔法が付与されていると推測される。
・杖: 長さ30cm程度の木製の杖。映画『ハリー・ポッターシリーズ』のプロップレプリカ(ハリー・ポッターモデル)であることが判明している。酷使によるものか、先端が焦げ、塗装が剥げている様子が確認されている。
・眼鏡: フードの隙間から時折反射が見えることから、眼鏡を着用していることは確実視されている。この眼鏡が光る瞬間、強力な魔法が発動することが多いとされる。
∧ 活動時間・場所
活動時間は極めて偏っており、日本時間の平日午前9時から午後6時の間には、地球の裏側で大規模災害が起きても現れない。一方で、日本の昼休み時間(12:00-13:00)や深夜、週末には極めて高い頻度で出現する。このことから、正体は「日本の一般的なサラリーマン」ではないかという説が有力視されている。
これまでに関与した事案は、公式に確認されているものだけで世界全土で50件を超える。
∧ 随伴存在(使い魔)
魔法使いの周囲には、しばしば不可視の存在(光学迷彩、あるいは空間の歪み)が確認される。また、必要に応じて以下の「式神」や「使い魔」を召喚・使役する。
・白と黒の巨犬: 額に紋様を持つ二匹の犬。救助者の探索や護衛を行う。
・白兎の群れ: 数百匹単位で現れるウサギ。被災者を加温し、精神的ケアを行う。
・巨大な怪鳥: 移動手段として用いられる鳥らしき透明ななにか。
・白い巨人: 最大の戦力。全高数メートルから数十メートルまで可変し、圧倒的なパワーで瓦礫撤去や構造物の支持を行う。背後に浮かぶ黄金の法陣が特徴。
∧ 主な活動歴
・渋谷スクランブル交差点(東京): 事件当日、中心地で目撃される。当時は救助活動を行わず、その場で蹲っていた。
・アマゾン熱帯雨林(南米): 大規模森林火災に対し、上空から「マハアクアダイン」と呼称される大量の水魔法を放ち、一晩で鎮火させた。
・山岳地帯の雪崩(北半球): 雪に埋もれたロッジから式神(脱兎)を用いて生存者を救出。その後、生存者全員を安全圏へ瞬間移動させた。
・ロンドン・アイ倒壊危機(イギリス): 地震により傾いた全高135mの観覧車を、巨大化した白い巨人(3体)を用いて物理的に支え、修復魔法で完治させた。
∧ 魔法体系についての考察
使用される呪文の詠唱は、以下の3つの創作物と高い親和性を持つことが指摘されている。
1.『女神転生シリーズ』『ペルソナシリーズ』系: 「アギ(火炎)」「ジオ(電撃)」「メシアライザー(全回復)」等。主に高出力の現象引き起こす際に用いられる。
2.『ハリー・ポッター』系: 「レパロ(修復)」「ルーモス(照明)」「ポータス(移動キー)」等。主に日常的な利便性や特殊なユーティリティとして用いられる。
3.『呪術廻戦』系: 「十種影法術(式神召喚)」。主に物理的な手助けが必要な際に、多様な生物を喚び出す。
∧ 社会的反応
・支持派: 「現代のスーパーヒーロー」として崇める層。特に被災地の住民や遺族からは神格化に近い敬意を払われている。
・慎重・反対派: 渋谷事件の容疑者であるという疑念を捨てない層。「法治国家において管理不可能な暴力である」として、国際的な規制や捕獲を訴える政治家や科学者も存在する。
・ネットコミュニティ: 5ちゃんねる等では「特定班」による正体探しが継続されているが、現在では有志によるカバーストーリーの流布や、情報撹乱により、特定は困難を極めている。
関連項目
超常現象
都市伝説
不能犯
自警団
[脚注]
^ ニュースステーション 特集「現代の魔術師か、稀代の犯罪者か」
^ オカルト板「贖罪の魔法使い 出現予測スレ」過去ログ
^ 英国BBCニュース「テムズ川に現れた白い巨神について」
贖罪の魔法使い(ニコニコ大百科)
贖罪の魔法使い(しょくざいのまほうつかい)とは、世界各地の災害・事故現場に現れる正体不明の魔法使いである。
別名:マハムドバリオンマン、歩くアトラス公式、ホグワーツ渋谷校OB。
□ 概要
202X年に発生した「渋谷スクランブル交差点における集団昏倒事件*1」以降、全世界の被災地に突如として現れるようになった人物。
深く被った黒いフードとマスクで素顔を隠しており、唯一、魔法発動時にメガネのレンズがキラリと光るのが目撃されている。
当初は渋谷での大量殺人を疑われる「最悪のテロリスト」候補であったが、その後、アマゾンの森林火災、エベレストの雪崩、ロンドンでの観覧車倒壊危機など、全世界で50件以上にのぼる災害現場に現れ、人命救助を続けている。その献身的な(というか過労死レベルの)活動から、ネット上では敬意と皮肉を込めて「贖罪の魔法使い」と呼ばれるようになった。
最大の特徴は、使用する呪文が「真・女神転生」「ペルソナ」「ハリー・ポッター」「呪術廻戦」などの版権作品そのままである点。
これについては「重度のオタクが覚醒した説」や「概念系異能説」など考察が絶えないが、本人が語った事がないため詳細は不明。
□ 外見・装備
●ローブ
どう見てもドン・キホーテで売っている2,980円のコスプレ用。しかし、高熱の炎や氷点下の雪山でも平然と機能しているため、素材そのものより「本人の認識」で強化されている説が有力。
●杖
Amazonで買えるハリー・ポッターモデルのレプリカ。最近は出力に耐えきれず先端が焦げているらしい。買い替えろよ。
●メガネ
フードの隙間からたまに反射する。この「メガネが光る」演出は、古のアニメファンから「あ、こいつマジなやつだ」と判定される材料になっている。
□ 能力・使用魔法
攻撃・回復(女神転生/ペルソナ系)
主に高出力のエネルギー投射に使用。
●マハアクアダイン:アマゾンの森林火災を一瞬で鎮火した。
●メシアライザー:瀕死の重傷者をまとめて全快させるチート。光の柱が立つ。
●マハムドバリオン:彼の原点にして、唯一の「呪い」。これについては触れないのが暗黙の了解*2。
ユーティリティ(ハリー・ポッター系)
日常の不便を解消する便利な術式。
●レパロ(直れ):壊れた建物をパズルみたいに直す。
●ポータス(移動キー):被災者をまとめて安全圏にワープさせる。
召喚術(呪術廻戦:十種影法術)
「見えざる相棒」以外の明確な手駒。
●玉犬:雪崩現場から現れるようになった白と黒のわんこ。仕事終わりに魔法使いや見えざる相棒にじゃれつく姿が見られる。
●脱兎:雪崩現場から現れるようになった数百匹のウサギ。被災者を温める「歩くカイロ」として大人気。史上初の災害救助兎。
●魔虚羅:ロンドン・アイを物理で支えた白いバケモノ。三体に分裂して観覧車を持ち上げる絵面は、もはや特撮映画。怖すぎる。
□ 見えざる相棒
魔法使いの傍らには、ほとんど常に「空間の歪み」として観測される透明な相棒がいる。
「透明な美少女精霊説」が囁かれていた時期もあったが、赤外線解析や雨天時のシルエットから「ガタイのいいおっさん」であることが判明し、多くのオカルトファンを絶望させた。
なお、魔法使いが飛行する際は「おっさんを風船にして紐で引っ張っている(推定)」というシュールな目撃談がある。
□ 関連動画
「【実録】ロンドン・アイを支える三体の魔虚羅【4K】」
「マハアクアダインでアマゾンが滝になった件」
□ 関連商品
[ハリー・ポッター 魔法の杖(レプリカ)]
[真・女神転生V Vengeance]
[呪術廻戦 単行本]
[ドン・キホーテ共通ギフトカード]
□ 関連項目
魔法使い
アトラス(ゲーム会社)
社畜(活動時間帯が土日・深夜・昼休みに集中しているため)
マハムドバリオン
魔王
ヒーロー
贖罪の魔法使い(pixiv百科事典)
贖罪の魔法使い(しょくざいのまほうつかい)とは、実在する人物(魔法使い)に対してネットユーザーが名付けた呼称、およびそれに関連する作品群に付けられるタグである。
概要 ✎
202X年の「渋谷スクランブル交差点における集団昏倒事件*3」以降、全世界の被災地や事故現場に現れ、人命救助を行う正体不明の男性。
常に黒いフードとマスクで顔を隠しているが、魔法発動時にフードの奥でメガネが怪しく光るのがトレードマーク。
使用する魔法が「女神転生」「ペルソナ」「ハリー・ポッター」「呪術廻戦」などの既存作品の術式そのまま(詠唱まで一致)であることから、重度のオタクによる贖罪活動ではないかと推測されている。
現在までに世界50件以上の災害現場に降臨しており、その圧倒的な魔力と「社畜の合間を縫って世界を救う」という涙ぐましい活動スタイルから、pixiv内でも爆発的な人気を誇る。
外見・装備 ✎
・ローブ&マスク:深く被ったフードにより素顔は一切不明。
・メガネ:唯一の露出要素。逆光で白く光ることが多く、イラストではキラーンというエフェクトと共に描かれるのが定番。
・杖:安っぽい市販のレプリカ。最近のイラストでは魔力に耐えきれずボロボロになっている描写が多い。
pixivにおける二次創作 ✎
「正体不明の救世主」「重い過去を背負ったダークヒーロー」「でも中身は社畜のオタク」という属性の過密ぶりから、投稿されるイラスト・小説は多岐にわたる。
原作クロスオーバー
各魔法の「元ネタ」となった作品のキャラクターと共演させるイラストが非常に多い。
・メガテン・ペルソナ系:歴代の主人公たちと並び立ち、メシアライザーで共闘する熱い構図。
・ハリポタ系:ホグワーツの制服を着せられたり、ハーマイオニーに杖の持ち方を直されるネタなど。
・呪術廻戦系:pixiv内での人気最大派閥。 後述の十種影法術を駆使する姿が描かれる。伏黒恵との師弟(?)風イラストや、両面宿儺に「面白い」と目を付けられるクロスオーバーも。
十種影法術(式神)
魔法使いが使役する式神たちのイラストも人気。
・玉犬・脱兎:もふもふ枠。魔法使いに懐くわんこと、被災者を暖めるウサギの群れの癒やし絵。
・魔虚羅(まこーら):ガチ勢枠。ロンドン・アイを支えた圧倒的な巨体と禍々しさが描き込みの対象となる。
カップリング(腐向け・百合・NL混在) ✎
正体が不明なことをいいことに、想像の翼を広げたカップリング投稿が盛ん。
魔主(魔法使い×見えざる相棒)
常に傍らにいる「空間の歪み(相棒)」とのペア。
・イケメン派:相棒を「主を影から支える執着攻めのイケメン」と仮定した創作。
・美少女派:相棒を「主に寄り添う精霊」「災害で救われた少女」等と信じる勢力。
※なお、公式(?)では雨に浮かび上がるシルエットから「ガタイのいいおっさん」と推測されているが、「それも萌える」「妄想力でイケメンに変換」と、pixiv民の心は折れていない。
ウィザまこ(魔法使い×魔虚羅)
まさかの人外×人間。
「法陣が回るたびに事象へ適応していく」という原作設定を拡大解釈し、「主のどんな性癖にも適応する最強の式神」という極めて業の深い作品が一部で熱狂的に支持されている。
おっさん風船
魔法使いが移動の際に相棒を風船にして引っ張っているネタ。シュールなギャグ絵として定着している。
関連タグ ✎
魔法使い
マハムドバリオン
中二病(本物)
社畜
ヒーロー
どうあがいても絶望(渋谷事変)
どうあがいても希望(救済活動)
南太平洋上空、高度数千メートル。
眼下には、ファストトラベルポイントを埋めるためだけに訪れた名もなき無人島と、どこまでも続く青い海が広がっている。
俺と相田は、いつものように巨大な怪鳥・鵺の背中にあぐらをかき、防御魔法で作られた快適な無風空間の中で移動時間を潰していた。
「……そういえば、堀田さん」
電子書籍を読んでいた相田が、ふと思い出したように顔を上げた。
「貴方、ネットの評判とかエゴサはしない主義でしたよね?」
「当たり前だろ」
俺は即答し、持参した水筒の麦茶を飲んだ。
「俺は四〇〇人を殺した大量殺人犯だぞ? 検索窓に『魔法使い』なんて打ち込んでみろ。出てくるのは『死ね』『人殺し』『許さない』の嵐だ。そんなもん見たら、メンタルが消し飛んで仕事に行けなくなる」
俺が世界中を飛び回って人助けをしているのは、罪滅ぼしのためだ。
だが、それで許されるとは思っていない。ネットという悪意の坩堝において、俺は永遠にサンドバッグであり、その事実を直視する勇気は俺にはない。だから、俺は意図的に情報を遮断していた。
「まあ、以前はそうでしたね。……でも、最近は少し風向きが変わってきてるんですよ」
相田はニヤニヤしながら、手元のタブレットを操作し、俺の目の前に突き出した。
「ほら。貴方のWiki、できてますよ」
「……は?」
俺は思わず変な声を出した。
Wiki? 俺の?
「嫌がらせのまとめサイトか何かか?」
「いえいえ、大百科ですよ。ニコニコとか、pixivとかの。……まあ、怖いもの見たさで、ちょっとだけ覗いてみてくださいよ」
相田に促され、俺は恐る恐るタブレットを受け取った。
画面に映し出されていたのは、『ニコニコ大百科』のページだった。
記事名:『贖罪の魔法使い』
……うわあ、本当にある。
まあ、やらかした事が事だけに、あってもおかしくはないか……。
俺は心臓が嫌な音を立てるのを感じながら、スクロールを開始した。罵詈雑言が並んでいるなら、すぐに目を逸らそう。そう決めていた。
だが、そこに並んでいたのは、予想外の文字列だった。
『別名:マハムドバリオンマン、歩くアトラス公式、ホグワーツ渋谷校OB』
「……なんだこれ」
俺の眉間に深い皺が寄る。
マハムドバリオンマンは不名誉だが、甘受すべきものとしてまだ分かる。ホグワーツ渋谷校OBも、入学も卒業もした覚えはないが、まあ百歩譲って許そう。こんなやつ組分け帽子もアズカバーン!だろ。
……だが。
「『歩くアトラス公式』って……これは、公式に失礼だろ……」
俺は思わずツッコミを入れた。
俺はただの、勝手にゲームの魔法を現実に持ち込んで暴れている不届き者だ。そんな奴を「公式」扱いするなど、メーカーへの風評被害も甚だしい。アトラス法務部から訴えられたらどうするんだ。
「ふふ、愛されてますねえ」
「愛じゃねえよ、ただの悪ノリだろ」
俺は渋い顔で読み進める。
『外見・装備:ローブはどう見てもドン・キホーテ。杖はAmazonのレプリカ。最近は出力に耐えきれず先端が焦げているらしい。買い替えろよ』
「……余計なお世話だ」
俺は懐の杖を確かめた。確かに焦げているが、愛着が湧いているんだよ。
『見えざる相棒:透明な美少女精霊説が囁かれていたが、解析班により「ガタイのいいおっさん」であることが判明。多くのオカルトファンを絶望させた』
俺はチラリと相田を見た。
相田は「ガタイのいいおっさん、光栄です」と親指を立てた。こいつのメンタルはどうなっているんだ。
さらにページを切り替える。今度は『pixiv百科事典』だ。
そこには、俺が南米やロンドンで活動している様子を描いたと思われるイラストが多数掲載されていた。
どれも妙に美化されている。ローブがスタイリッシュになり、眼鏡がキラーンと光り、背後には魔虚羅や玉犬が格好良く侍っている。
「……実物より五割増しだな」
「いいえ、実物の方がもっと渋くて素敵ですよ」
「お世辞はいい。……ん? なんだこれ」
俺の指が止まったのは、『カップリング』という項目だった。
『ウィザまこ(魔法使い×魔虚羅):主のどんな性癖にも適応する最強の式神』
『おっさん風船:移動の際に相棒を風船にして引っ張っているネタ』
「…………」
俺はタブレットを膝に落とし、天を仰いだ。
青い空。白い雲。そして、汚れたネット社会。
「ウィザまこってなんだよ……。俺とあの白い化け物をカップリングすんなよ……。適応するってそういう意味じゃねえだろ……」
「いやあ、ネットの想像力というのは無限大ですね! 僕としては『魔主(魔法使い×相棒)』が推されている点に注目したいところですが!」
「気持ち悪いこと言うな! というかこのおっさん風船のイラスト、これ完全にギャグ漫画じゃねえか!!」
そこには五割増しの俺が楽しそうに紐を持ち、風船のように膨らんだ相田(真顔)が空に浮かんでいるシュールな絵が描かれていた。
透明なハズなのにほとんど正解を見抜いてやがるのが地味に怖いが特徴を捉えすぎている。悔しいが上手い。
「……はあ」
俺は深いため息をつき、タブレットを相田に返した。
怒りよりも、呆れと、そして脱力感が勝っていた。
「げんなりしたわ」
「そうですねえ。品性があるとは言えません」
相田はタブレットを受け取りながら、しかし、穏やかな声で言った。
「でも、堀田さん。これを見て、どう思いました? 『怖い』ですか?」
「……いや。怖いとは違うな。『しょうもな』とは思ったけど」
「でしょうね」
相田は鵺の背中を撫でながら、遠くの水平線を見つめた。
「これが、今の貴方様の立ち位置なんです」
「立ち位置?」
「ええ。当初、貴方様は『得体の知れないテロリスト』であり、『恐怖の対象』でした。人々は貴方を恐れ、排除しようとし、憎悪を向けた」
相田は俺の方を向き、真剣な眼差しを向けた。
「ですが、今は違います。こうやってネタにされ、イラストを描かれ、カップリングを妄想され、変なあだ名をつけられる……。これは、大衆が貴方という存在を
「消化……」
「はい。人は、理解できないものを恐れます。ですが、笑えるもの、ネタにできるもの、萌えるものに対しては、恐怖心を抱きにくい。貴方様が世界中で泥臭く人助けを続けた結果、世界は貴方を『災害級の脅威』から、『ちょっと変だけど頼りになる、いじれる隣人』へと認識を改めつつあるんです」
相田の言葉が、じんわりと染み込んでくる。
ネタにされること。笑われること。
それは、俺にとっては不本意な扱いかもしれない。
だが、「殺意」や「憎悪」を向けられることに比べれば、それはどれほど平和で、安全な関心だろうか。
「ただの恐怖と憎悪を向けるだけの存在ではなく、ネタとして消費できる段階に来ている……。それはつまり、貴方様の贖罪が、少なくとも『感情的な拒絶』の壁を越えつつあるということですよ」
相田は優しく微笑んだ。
「四〇〇人の命は戻りません。批判する人も消えません。ですが、少なくとも世界の大半は、貴方を『排除すべき敵』ではなく『この世界に必要な、愛すべきバグ』として受け入れ始めている。……そう思えば、あのふざけたWikiも、少しは愛おしく見えませんか?」
俺はもう一度、空を見上げた。
愛すべきバグ。歩くアトラス公式。ホグワーツ渋谷校OB。
……ふん、勝手なことばかり言いやがって。
「……調子に乗るなよ、ネットの連中」
俺は悪態をついたが、その声には以前のような悲壮感はなかった。
恐怖で強張っていた肩の力が、少しだけ抜けた気がした。
「ま、いいさ。好きに呼ばせとけ」
俺は杖を取り出し、鵺に進路を指示した。
「行くぞ、相田。次の現場が待ってる」
「はい、堀田さん! ……あ、次回の移動は、また『おっさん風船』スタイルでいきますか? ファンの期待に応えて」
「絶対やらねえよ!!」
鵺が大きく羽ばたき、南洋の風を掴んで加速する。
俺は「贖罪の魔法使い」という、少々恥ずかしく、重たく、そして少しだけ温かい称号を背負って、今日もまた世界のどこかへ飛んでいく。
まあ、ネタにされるくらいなら、甘んじて受け入れてやろう。
それが、俺なりの「受容」の形なのかもしれないから。
本物の各サイトとにらめっこしながらそれっぽくできるようにやってみました
Geminiくんへの指示が複雑になりそうなので再現のためのタグ付けは自力です
さて、本筋は残り1話となりました
後日談では堀田くんのメンタルの改善の過程を描いてきましたが、全ては来るべきエンディングに備えるため
最後までお付き合いいただければ幸いです
両方やるかもしれないし、どっちも完成せずお蔵入りになるかもしれないという前提で……
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深海から来る背ビレを持った圧倒的な“個”
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空の果てから来る巨大円盤や三脚の何か