謎の一般通過強者面したい転生者と特異点幼女の勘違い戦線 作:蓋然性生存戦略
よくよく考えたら、あんまり書くこともなかったなと。
「まず、事実を羅列しよう」
そう言って、英雄の伴侶はジャッジを始めました。
「怪人ノクトレスこと、黒燈ヤヨイちゃん。異能診断の虚偽申告、異能の無断使用、公務執行妨害、傷害、まあいろいろとあるねえ」
「……」
「しかし!なんと!今回に限り!!不問とします!!」
「イゼロからの擁護、ジン君の保護、最重要参考人クロマ=サイカの保護。これらの功績と相殺して不問となります。特にジン君の保護だね。ジン君に何かあったらボクたちはさすがに見捨てていた」
「……はい」
そうですか。
私は不問のようですね。
しかし『私は』です。
クロマは……。
「そしてそっちの怪人ルクスレスことクロマ=サイカちゃん。キミは残念ながら不問というわけにはいかない。本来このアセリアという国では15歳未満に刑事責任を問うことはないが、それは戸籍を持っていることが前提であって、キミは正式にはこの国の住民じゃない。どちらかといえば不法入国をした犯罪者として扱わなければならないので、強制送還とかしなきゃいけない」
「っ……」
「しかぁし!!調査の結果!違法売買の結果このアセリアに流れ着いたことは確認済み!!身元確認も済ませた結果、キミの親元はキミを既に故人として提出している!!つまり、今のキミはどの国の法も守ってくれない宙ぶらりんな存在なわけだ!!」
「それは……」
「つまりボクの権限で好き勝手していいので戸籍をあげます。したがって、刑事責任は無く、クロマちゃんは保護すべき国民として処理します。やったね、幸せになりやがれ問題児ども」
「「っ!!」」
「戸籍の要望は聞くので予定空けといてね」
なんと、クロマも不問らしいです。
あまりにも寛大というか。
「まあもちろん、キミたちには首輪が付きます。危険だからね、仕方ないね」
そうですよね。
そうなりますよね。
「さすがに好き勝手怪人ごっこさせるわけにはいかないのよ。秩序ってもんがあらぁね。いやまあ、秩序側がやらかした手前ほんとゴメンって感じなんだけど。ともかく、キミたちの進路はイゼロで固定です。進学先とかも固定です。これは決定事項だから覚悟しておくように」
「「はい……」」
私の一般通過強者面も、ここまでのようです。
ですがまあ、短くも楽しい日々でした。
満足です。
「さて、それからガーディアンズの処遇に関してだけど、さすがに大規模に粛清及び再編します。とはいえこれに関してはキミたちは関係ないから帰っていいよ。ジン君によろしく言っておいて」
そんなこんなで、私たちは拠点に返されました。
「と、いう感じです」
「そうかあ。ま、時間がたてば腐敗もするわな。アルスガル人はウチらの何倍も世代交代が速いしなあ」
「あと、英雄の伴侶殿があなたによろしくと」
「そかそか。まあ、あいつらも元気でよかったわ。しっかしまあ、あの嬢ちゃんも思うところがあったのかね」
「というと?」
「あいつもな、元々はヴィランやったし、ヴィランの被害者でもあったんよ。それがまあ、なんやかんやあって英雄と結ばれたんやけど」
「ちょっと気になる情報を流すのやめてもらえません?」
「境遇がちょっとだけ重なるんよ。だからやろなあ、最近の嬢ちゃんにしてはジャッジが甘いわぁ」
「そうなんですか?」
「まあ、ウチくらいやろな、そう思とんのは。それはさておき、ウチも帰るわ。割と長めに空けてもうたしな」
「そうですか。連絡はとれますよね?」
「そらもちろん。ただまあ、ウチもちょい忙しい身やからな、いつでもってわけにはいかんけど」
「それは重々承知ですよ。お元気で」
「ほなな」
拠点に帰り、ジンさんに顛末を話して、ジンさんと別れました。
彼もまた、見届けたために区切りをつけたのでしょう。
確保したかった戦利品は抱えたようですし。
残されたのは、私とクロマだけになりました。
「……ゲームセット、ですね」
「……そうだね」
「クロマ。あなたはどうしたいですか?」
「どうって?」
「関係ない他人として戸籍を得るか、黒燈家の次女になるか」
「もちろん、わたしはいもーとだから」
「なら、そのように要望を出しましょうか」
《星夜月》で過ごす機会も、これからは減るでしょう。
最後に、二人で遊ぶだけ遊んで、私たちは帰宅しました。
それから十年後。
「
『もうない。作戦終了、帰投して』
私、黒燈ヤヨイと、その妹、黒燈コヨイは、十年前の宣告通り、イゼロで働いています。
クロマは黒燈コヨイと名を改め、私の妹として、そして相棒として活躍しています。
もとからサポート向きでしたから、私とバディを組んで任務達成率は100%を記録しています。
アルスガルでは変化が起こり、異能力者のほかにダンジョンや魔法少女なんてものも現れるようになってしまいました。
ラノベか何かですかね。
その影響で、市井にモンスターなどが現れたりと、ヒーローの活躍する場所や、ヴィランの暗躍が増えました。
まったく、嘆かわしいことです。
ジャンルがごちゃ混ぜの混沌たる世界観になりつつあるアルスガルですが、まあ、気にしないでおきましょう。
たとえ非合法に活躍する魔法少女が増えたとして、極悪ヴィランの数が増えたとして。
私の立ち位置は、驚くべきことにあまり変わっていなかったのですから。
「く……貴様、ただの異能力者にしては強すぎる……いったい何者だ……!?」
「コードネーム、ノクトレス。無秩序に相争うあなたたちの、共通の敵ですよ」
一般通過第三勢力。
そんな感じで、私は今日も生きています。
――fin
というわけで迎えました最終話。
すんげえ短い!!
とはいえそこまで書くこともなかったというか。
アルスガルシリーズの小話的な立ち位置ゆえ仕方ないというか。
クロマちゃんの恋路に関しては、おのおの想像してもろて。
アルスガルという世界はこの年代を境にいろいろ変わっていきます。
いつかはいろんな視点を描けたらいいな、と思いながら、次回作でお会いしましょう。
それでは。