謎の一般通過強者面したい転生者と特異点幼女の勘違い戦線   作:蓋然性生存戦略

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お待たせしました。
遅れた原因はですね、純粋にモチベが……はい……。
頭痛に悩まされて何もかも手がつかず……はい……。


8:Q・汝、怪物なりや? A・否、しかして怪人である

死んだ。

おねーちゃんが死んだ。

私のせいで。

私がわがままを言ったせいで。

 

おねーちゃんは正しかったのに。

私がわがままを言ったから。

 

罠にかかって、私を守るために、死んだ。

 

「はっはっは、いいぞ……同調率も良い、これで、これでやっと、俺の悲願は達成される!!」

 

だから、私なんてどうなったって文句は言えないんだ。

連れ去られ、よくわからない機械に繋がれて。

そのまま死んだって、私に何か言えるはずもないんだ。

 

「さぁ、全てを染めてしまえ!《貴色の選定者》よ!!人類は新たなステージへと踏み出すのだ!!」

 

ああだけど。

だけれども。

こいつが元凶であるのなら。

こいつだけは道連れだ。

 

「ん?待て。一度再起動を……なぜ止まらない?!そんな、まさか?!」

 

死ね。

死んでしまえ。

私からおねーちゃんを奪ったのだから。

お前も私に奪われろ。

 

「ぐっ、があ?!やめろ、俺を染めるな……!俺は、ただ、白き世界を……!」

 

私を包んだのは白じゃない。

全てを踏み躙り、包み込む、真夜中の黒だ。

 

「あ、はは……あははははっ……そう、わたしは……《ルクスレス》だから……』

 

おねーちゃんは死んだ、もういない。

だからせめて、代わりにわたしが、あの夜を広めないと。

あんな暖かな黒は、もうわたししか知らないから。

 

『覚えて、刻んで。《ノクトレス》という人を、忘れないで』

 

この空を、あの色に染めてしまおう。

 

 

 


 

 

 

それは突然だった。

突如として、ニューオートは暗闇に包まれた。

《ガーディアンズ》本部を中心として、月のない真夜中のような暗闇が、ニューオートを覆ったのだ。

陽は差さず、星明かりもなく。

晴天を切り裂いて、それは現れた。

 

話題としてはタイムリーなもので、トートユニバーランドで起きた《レプリカンスペィド》による《ノクトレス》斬殺事件に関連するものではないかと騒然となった。

 

これに対し、政府は声明を発表。

《ガーディアンズ》への強制捜査が実行されることを明らかにし、さらにニューオートから民間人を避難させる動きを見せた。

ニューオートの暗闇の異変を危惧して、首脳部も退避。

英雄の都市トートに対策本部を置いて対抗策を練ることとした。

 

既にイゼロの面々は出撃待機状態であり、裏の取れた《ガーディアンズ》所属ヒーローと共に牙を研いでいる。

指令が下れば、すぐにでも動くだろう。

 

「長官」

「静観など言語道断。まずは知らねばならぬ。取り残された民間人も少なくない。まずは調査を兼ねた救出だ。連携を密とし、遂行せよ」

「了解」

 

そして、命令は下る。

この瞬間から、《暗闇の七日間》と呼ばれる戦いは始まり……あの夜が戻って来るまでの時間だった。

 

「クソ!!」

「落ち着け!!」

 

民間人の避難は恙無く進んだ。

だが、肝心の元凶には近づけない。

 

黒く染まった、最強がいるから。

 

「排除」

 

異能情報局第零課が誇る最大戦力を以てして。

 

 

 

 


 

 

 

「おぉ、一般通過強者よ!死んでしまうとは情けない!……なんて、言わないよ。あれはボクの作ってきた作品の中でも、いっとう出来がいいからね」

 

「いやなに、別に失敗なんかじゃない。ただ、ボクの都合で、ちょっと時間を拝借したのさ」

 

「なんてことはない、ちょこっと言いたいことがあるだけ」

 

「これ以降、この手を使うのは控えてね。いくら神様代理って言ってもね、元は人間なだけあって、何かあった時めんどくさいの。後始末がクソほどめんどくさいの」

 

「分かる?この手を使われた時の気持ちが」

 

「そりゃさ、キミに異能の種をインストールしたのはボクだけどさ。そこまでやるのはちょっと想定外っていうか」

 

「お願いね、ホントに。約束だよ?破ったらあらゆる手を使ってキミの通り名をゴキブリにしてあげるから覚悟しておくようにね」

 

「言いたいことはそんだけ」

 

「じゃ、がんばって。色々と、末永くね」

 

 

 


 

 

 

「ふう……何か余計な夢を見た気がしますが、無事に復活を果たしましたね」

 

《星夜月》内部。

クロマにも、ジンさんにも、知らせていない。

それどころか私ですら今はどこに存在するか分からない区画で、私は目を覚ましました。

ここで目が覚めたということは、つまり私は死んだということです。

 

そう、死んだのです。

完膚なきまでに生命活動を停止させられたということ。

即ち、敗北。

 

そうですか。

これが……。

 

「ふふ、ふふふふ、アハハハハハハハハハハハ!!」

 

最高に最悪で美しくも醜悪なものです。

まあ、感想はひとまず置いておきましょう。

どうやら、あまり悠長にはしていられないようですからね。

とりあえず服を用意しましょう。

ここ、肉体を保全するためだけの部屋なので、今の私は裸なんですよね……。

《星夜月》のリソースから拝借して丈夫なのを作っておきますか。

多分、ジンさんここに置き去りですし。

 

パパっと作りまして。

一応、念のため、次を用意してと。

さぁ、行きましょう。

 

「やっぱりな、生きとったか、嬢ちゃん」

「いや死にましたよ。生きてますけど」

「矛盾やなあ……ま、ええわ。急ぎや」

「分かっていますよ。ところでジンさん。思うに、もう隠れる必要はないのでは?」

「せやんな。ま、もうしばらくゆっくりさせてもらうわ」

「では、行ってきます」

 

地上はお誂え向きに暗闇に包まれているようで。

よく分かりませんが、私の出番ということですね。

地上を探れば、なんとイゼロの方々が《レプリカンスペィド》と戦っているじゃないですか。

遅刻も遅刻、大遅刻です。

まあ、ヒーローは遅れてやって来るそうですから、多少は許されるでしょう。

尤も、私はヒーローなどではありませんが。

 

とりあえず、突撃しましょう。

リベンジマッチですよ。

 

「《星夜月》」

 

音も立てずにその場に侵入。

不意打ち気味に《星夜月》で攻撃します。

暗闇なので視認性が悪いですね。

まあ、私にははっきりと知覚できていますが。

 

「なっ!?」

 

不意打ちは成功。

腹に重たい一撃が入りましたね。

 

「ごきげんよう。少々遅れましたが、《ノクトレス》現着いたしました。今宵の宴、私の席はまだ残っていますでしょうか?」

 

皆さん唖然としていますね。

そうでしょうそうでしょう。

ふふ。

死ぬのは転生前も含めて()()()です。

一度目は転生し、二度目は……まあ、事故でしたが。

おかげさまで三度目のチャンスを得られました。

四度目はないそうですが。

 

「貴様は……貴様は死んだはずだ!!」

「おや、随分と人間らしくなったじゃないですか。黒く染まってイメチェンした影響ですか?」

「答えろ!!首を断たれ、なぜ生きている!!」

「死にましたよ?ええ、死にました」

 

アレで生きていたら、この世の生物ではなく超越生命体です。

ヒドラもビックリです。

ですが。

 

「ですが、死の底から舞い戻る手段があっただけのことです」

「あり得ん……」

「あり得ています。まあ尤も、神直々に禁じられてしまいましたが……」

「神、だと……」

()()()()()()()()()、らしいですよ?真相は知りませんが」

 

まあ、何はともあれ。

 

「痛かったですよ?

 腕を飛ばされ、袈裟に斬られ、心臓を穿たれた挙句、首チョンパです。

 文字通り、死ぬほど痛かったです。

 ええ、ですので……死ぬほど痛い目に見せてさしあげようかと」

「やってみろ。貴様に勝機は」

「ありますとも。以前の私と同じと思ってもらっては困ります」

 

そもそもの話、二度目の死の時点で、私は人間の身体ではないという話がですがね。

 

「思い返せば、アレは五歳の時でした」

「なんだ」

「私はですね、貴女に殺される前に死んでいるんですよ」

「……は?」

「「「「は?」」」」

 

アレはそう、《黒燈ヤヨイ》が、自分の能力を知るために無茶をしてしまった時でした。

自分は黒髪黒目なのだから、自分も異能の適用範囲では?と実験してしまったのが死因でした……。

 

「昔の話です。

自らの異能の限界を知ろうとして、《黒燈ヤヨイ》という人物は、全く別の存在へと変わり果ててしまいました。いわば貴女に殺された私はスワンプマン。

《黒燈ヤヨイ》というパーソナリティを備えている別人。

そして今ここにいる私は、そんな私が、万が一に備えた最終防波堤。

もし敗北した際、より優れた自分がリベンジを果たせるようにと設計された、スペアボディ」

 

故に。

 

「故に《ノクトレス》。《黒燈ヤヨイ》を演ずる、夜の演者。それがこの私」

 

故に。

 

「なので、貴女に掛けている時間はあまりないんですよ。妹が待ってるんです。演者でしかない私を選んだ妹が」

 

多分泣いてるでしょうね。

こればっかりは伝えるわけにはいきませんでしたから。

この手段を知られるわけにはいかなかったんです。

復活を前提として戦略を最初から組まれる、そんな最悪を予見しなければならなかったのですから。

 

「一応言っておきます。このスペアボディには……私がこれまで過ごした全ての夜、暗闇のリソース、その九割九分が注ぎ込まれています。十年分、3650日と少し。最強と称するには不十分ですが……《英雄のレプリカ》でしかない貴女を打倒するには十分でしょう」

「貴様……」

「ですので、お互いが持てる最強の一撃で終わらせましょう」

 

この身体は夜そのもの。

武器そのものであり、盾そのもの。

 

「《夜よ、燦然と輝け(アストラプト・ノクトレス)》」

「《唯・一文j」

 

ならば小細工は要らない。

我が身を以て、全てを断つ。

 

「が、はっ……」

「私は優しいので、上半身と下半身がお別れするくらいで許してさしあげます」

 

命令を聞くしか出来ない人形に、怒りを抱き続けても意味はありませんからね。

 

「さて」

「ヤヨイ、なの……?」

「お父様、お母様、アレを相手にしても壮健なようで。美味しい所だけ持って行ったようで申し訳ない気持ちですが、私は先を急ぐので」

「待て、さっきの話は」

「事実ですよ。まあ尤も、些細なことです。黒燈ヤヨイというパーソナリティは、地続きでこの世に存在しています」

「いや待て些細で済ませて良い話か!?」

「黙っていれば気付かれない程度の問題など、些細以外の何者でもないでしょう。あまり時間をかけられないのでこの辺で。恐らく妹が暴走している気がするので早いところ迎えに行ってあげないと、ラスボスになってしまいます」

 

話は早々に切り上げ、奥まで突き進まなければ。

クロマが心配でなりません。

待て、しかして希望せよとは言いましたが……。

まだ幼いですからね、不安になることもあるでしょう。

 

ですが心配はいりません。

クロマの眼は特別製です。

私を見間違えることなんて万が一にもありえません。

きっと奥に入り込んだ瞬間、出迎えてくrゴフッ!?

 

『おねえちゃんはしんだ、もういない。きえろ、にせもの』

 

い、いたたたた……参りました。

能力を使って確認するのを怠るほど精神的に病んでいるようで。

いえ、まあ、私が悪いという前例があるので、責めることはできないんですが……。

 

「全く。クロマに苦労を掛けてしまいましたか。とはいえ、です」

 

私の異能を、見まがうはずもありませんよね。

 

「正真正銘、本物ですよ、クロマ」

『っ……』

「認められないというのであれば納得するまで付き合いましょう。お姉ちゃんですからね」

 

よくよく考えれば、巌窟王フレーズを言ったところで伝わるはずがありませんでした。

咄嗟に出たもので、そこまで気が回りませんでしたね。

 

「不甲斐無い姉かもしれませんが……クロマがソレ(よる)に固執するのであれば」

 

私はいくらでも受け止めましょう。




倒しても強くなって復活するタイプのラスボス系主人公、黒燈ヤヨイ。
まだまだ英雄の方が強いが「めんどくさいな」と思わせるだけのパワーアップをしている。
紛うことなき現代最強、ただしクロマには本来負ける。
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