自由を望まれた青年と救えぬ神様の平行世界の生徒救出物語 作:茶庵
”キヴォトス”それは、皆が銃を持つのが当たり前であり数千の学園が集まってできている巨大な学園都市。
そこへ異なる世界からの来訪者であり、こことは差異のある世界の者たちを救う救世主であり、人とは違う神に仕える使徒が舞い降りるのであった。
「女神様、ブラックマーケットはどっち方面にあるんだ?」
「えーと、あっ!あそこ!あそこがブラックマーケットよ!」
「あそこか……」
ブラックマーケットなるとこへ向かうために場所を聞くと案外近かったようだ、だが着地点をどうしようか、街に突っ込むわけには、と悩んでいると。
「ここら辺で降りましょう、ちょうど砂漠だから誰もいないでしょう」
そう言われたので減速していきながら急降下する、周りにきらめく光が霧散しながら落ち、落下地点へ目を向ける。
そうして地面へもう少しで着地するというところで身体を反転させ、元の翼よりほんの少しだけ形を変え片翼ずつに4本、背中辺りに1本の計9本からなる噴出口を一瞬だけ噴出することで落下速度を軽減、そして華麗なる着地を……
「いっ……いってえー!!」
「あら、下半身が地面に埋まってるじゃない」
そう華麗なる着地を披露しようとしたところ落下速度を見誤り下半身がついたと同時に地面へと沈んでいき綺麗に埋まってしまったのである。
「ふんぬッ!」ズボッ
埋まった体を腕と元の形に戻った翼に力を入れ抜け出し、体についた砂をはらい落としながら気づく。
今更ながら服が彗星での移動と着地で少々ボロボロになってしまったようだった。
「ありゃま、服が……」
「まあ、元いた世界での服で古かったし、あんな落ちかたしたらボロボロになるよな……あ!」
そう言うと思い出したかのように女神に問う。
「そういえば、服作れるって言ってたけど今できそう?」
「ちょっと待ってね、えーと…うん、いけるわ。神秘の残量もまだまだあるから、やり方は頭の中で着たい服をイメージして自分の体に貼り付けるイメージでね」
そうか、と答えると頭の中でイメージした。女神の使徒だから同じ色がいい、そしてビシッと決めたいということで…
「へぇ、テールの着いたら執事服、なかなか似合ってるじゃない」
そう、執事服を選びました、前々から着てみたいというのもあったが、仕える者で一番最初に出てきたのが執事服だったのでジャケットを白くシャツを黒くした世間一般で言うところの、白黒反転した執事服です。
「なかなかいい感じだな、サイズもピッタリ、翼も出てて動かすのに支障はない」
「そう、それじゃあここは砂漠だから外套を着ておきなさい、そうしないと風が砂を運んできて服が汚れるわよ」
そうなのかと思いまた、イメージを膨らませる、外套と言えば黒いイメージがあったのでそうしようと思い纏わせる。今度はぶかぶかだが外套ならばこれぐらいが丁度いいのかもしれないと思い気にしないことにした。
「それじゃあ、来たことだしレッツゴー!!」
移動の合図を女神がし、ゆっくりとだが力強く歩みを進める。この先どのような苦難が待ち受けているのか想像もつかないが、胸の内に何とも言えない感触を携え歩いていくのであった。
風の音が心地よい……
そう考えれるほど、自分に心の余裕ができたことに対して少々驚いた。元の暮らしは隙間風が冷え切った身体を容赦なくなぞり次の日まで生きれるのかと、思わない日はなかった。そう思いながら進んでいると女神が呼び止める。
「待って、あそこにレールがあるでしょ。あそこをたどっていけば街が見えてくるから、そこがゲヘナ学園が統治するところでその先を進むとブラックマーケットの入り口が見えてくるからそこまで頑張ってね!」
「………」
まだまだ道は遠いようだ、朝日が昇るまでにたどり着けるのか?
結論を言おう…無理だった
空からみれば近いように見えるが地面を歩くとなるととてもやってられるものではない。
途中砂嵐に見舞われたが無事にゲヘナ自治区に到着その頃にはすでに空が白み始めていたのだ。
「長かった…」
「お疲れ、私もこんなに遠いとは思いもしなっかたわ…」
両者疲弊しているようだ、それに加へ飛鳥は砂で歩きにくい砂漠を歩いたので疲労が身体にも蓄積していた。
へとへとになりながら壁に寄りかかる。すると、ちらほらと住民の姿が視界に映り出した、話に聞いた通り機械のパーツでできたオートマタ、犬や猫の体をした者たちという奇妙な住民に自分のいた世界とは異なるのだと再認識させられた。
「さてと、移動するか、少しは休憩できたし本格的な休憩はついてからにしよう」
「そうね、そっちのほうがいいかしら、ゲヘナは治安がどの自治区よりも悪いから長居すると絡まれるかもだし」
そう言いながら歩き出そうとし………
「ちょいと待ちな!そこの外套纏った奴!」
「どうしてこうなるんだ、、、」
囲まれてしまった。後ろからつけられていたことは分かっていたがここまで多いとわ。
「私たち腹減ってるんだよね〜、そこでさ、私たちに金恵んでくんない?」
「……嫌だと言ったら?」
そんなの、聞かなくてもわかりきっていることだが、一応聞いてみよう。そもそも金なんて持っていないんだがな。
「聞いたか!お前ら、こいつ人数差をわかってらっしゃらないらしい、こうなったら私たちでお灸を据えねえとな!」
カチッ
どうやら交戦に出るようだ。
はぁ〜、とため息をつきながら心底めんどくさそうに呟く。
「私、急いでいるので邪魔、しないでほしいんだけど、どいてくれないかい?」
「ハッ!どくわけねえだろ、通りたきゃ金目のもん置いていくことだな!てめぇら、行くぞ!」
目の前の女による合図と共に四方八方からの同時射撃が行われた、これを全て避けるのは面倒だなと思った、だがそれは、避ける手段しかかない場合の話だ。
カキンカキン、、、
「ッ!」
「はぁ、野蛮だね、喧嘩を売られてしまえば買うしかなくなってしまうじゃないか、だけど恨まないでくれるね?これはあなたたちから始めた事なのだから」
背にある翼が形を変えていく、ギシギシと音を立てながら原型をとどめずに、9つの筒に角の生えた蛇が詰まっている形へと。
私は信じられないもんを見た、銃弾を翼で弾きその翼の形が変形するところを。
あいつは私たちが発砲したと同時に背中からどうやって隠していたのか分からないほどに巨大な機械でできた翼で自分の身を守った、翼があることに驚いたんじゃねぇ、翼ならトリニティのお嬢様方のほとんどが持っている、だがそいつらは翼で銃弾を弾くようなことはしないこいつがおかしいんだ。
それよりもその後だ、あいつは私たちが悪いと言ったと同時にあいつの赤い斑点のような模様のついた不気味な翼がギシギシと音を立てながら形を変えていく、それを私たちは恐怖からかそれとも得体のしれない存在と関わってしまったことへの後悔からか見ていることしかできず、気づけばあいつの翼だったものは9つの筒状の中に2本の角を生やした蛇をしまい込んだ形へと変えていた。
「さて、上手くできたようだね」
あんな格好つけておいて失敗したらと思うと恥ずかしくなってくるが、心配いらなかったようだ。
そう思いながら蛇を筒から1匹、手で優しく手招きをすると這い出てきた、問題なく扱えるようだ、そう確信すると筒から出す蛇を4匹にし、2匹を守り、もう2匹を攻めに転じさせる構えをとる。すると、攻めの指示を出した蛇2匹が首を持ち上げその巨体を見せつける、おおよそ10メートルかそこらだろうそのの巨体を持ち上げ何をするのかと見ていると唸り声をあげた、すると大蛇の入っていた筒から小型の1メートルほどの蛇が5匹ほど這い出て呼んだであろう大蛇のもとへ向かう。
すると耐えかねたのか1人の女の取り巻きが発砲する、発砲した弾は先頭の大蛇に当たることはなくこちらへ向かってきていた。そして当たる……ことはなく守備を任せていた大蛇が尾を振るい打ち落とした、そして周りをズルズルと回り始めやがて首を持ち上げ顔の横へと移した。
両方とも準備万端のようだ。
「行くよ」
その合図とともに攻めの蛇は動き出す小型の蛇はその機動力を活かし飛びかかり手足に絡まりつき拘束する。
「くそがッ!何だよこれ硬すぎんだろ!」
そう、この小型蛇は大型の蛇より耐久性が乏しいがそれでも一般生徒の筋力でどうにかなる硬さではない。
「く、来るなッ!来るなッがぁッ!」
大型の蛇はその巨体を活かしなぎ倒していく。
「くそがッ!全員散らばれ!一纏まりになるとデカいのにやられるぞ!」
そう言いリーダー格の人物は飛び掛ってくる蛇を右へ左へとジグザグに動くことで避けていき隙を見て銃を向け浴びせてくる。やがて一匹の蛇の頭部が割れて砕け散った。
「やるね、だけど一匹やるのにそんな撃って、弾丸の備えはあるのかな」
「チッ!」
やはり弾丸の備えはあまり無いらしい。そうとなればこのまま続けていけば………
「ガァ゙ァ゙ァ゙ッッッ!!」
「ッ!?」
このまま行けば勝てる、そう思っていたが何事も変数というものは存在するのだろう。
こうすればこうなっていた。あのようにすれば回避できた。などの小さな行動で様々な変化が起き、俺たちが救うのはそんな変数が悪く出てしまった世界。
そして今俺が対面している事は………
「はぁ…面倒くさい、けどこれ以上暴れさせればもっと面倒くさくなる、だからここで駆除する」
ヤバいなあの子、スケバンのリーダーの子でもかなり撃たないと破壊できなかった蛇とは違う、耐久力は戦車よりも硬い大蛇をいとも簡単に破壊するか……
「あわわわ、やばいわよあの子!」
「知ってるのか?」
先ほどまで言葉を発していなかった女神様が急に喋りだしたかと思えばあの子がヤバい?大蛇を破壊のはヤバいと思うがそれでもそこまで焦るのか……と思いながら周りに聞かれないよう小さな声で聞き返す。
「ええ、あの子は次期風紀委員長よ、その戦闘力はこのキヴォトスでも見つけるのが難しいほどの実力者、悪いことは言わないから早くこの場から逃げて!」
「それはヤバいな……でも、難しそうだよ」
「何で!?」
「だってほら、耳を澄ましてよく聴いてごらん」
「?………!」
彼女は逃げろと言うがそれは難しそうだ、何故なら遠くから大勢が近づいてくる音が聞こえるから、一旦は頑張るけどどうにかなるかは五分五分ろ言ったところか。
「そろそろ私はお暇させてもらおうか……」
「させると思う?」
「いいやさせないだろうね」
降り注ぐ銃弾の嵐を避け、少し弱まったところで背を向け…
「バイバイ、みんな頼んだよ」
「待て!」
そう言いもう一度銃を向け撃とうとしたその時…
「ガァァァァ!」
「ッ!?」
破壊したはずの大蛇が起き上がり、空崎ヒナへと襲いかかる。意識外からの攻撃により銃口がそれその隙に走り出す。
「また会う機会があれば、その時に決着を着けよう!」
「くそっ!」
空崎ヒナは追いかけようとするが大蛇4匹に道を阻まれ移動しようにもできない。
後ろから叫び声やら銃弾と金属がぶつかる音が聞こえそれを背に走り抜けていった。
「ほぉ~、あの若僧なかなかやるじゃないか」
「あぁ着いた〜」
「つ、疲れた……」
飛鳥は先の戦闘後全力でゲヘナ自治区からブラックマーケットまでの道のりを走り抜け日をまたぐことなく到着していた。
「ここでの初戦闘にしては上出来だったんじゃないか?」
「だったとしてももう少し軽めが良かったんですけど!おかげで私の心臓がバクバクで破裂するところだったんですけど!?」
「ハハッ!」
着いて早々、女神が小言を言いそれを飛鳥が受け流していると。
「そこの若いの!」
「?」
「さっきのデカい不思議な蛇を連れ、多対一の不利を逆転しゲヘナの期待の新人から逃げのびたその強さ、俺らのところで使わないか?」
誰だと思っているとその犬顔の体のいたるところに傷を持つ男はおっといけねぇと言い自己紹介を始めた。
「俺はここいらじゃあ”ラックマスター”て呼ばれてる幸運に愛された便利屋斡旋所のオーナーさ」
と手を横へ伸ばしゆっくりと自分の胸へと動かしながら自己紹介をするラックマスターと名乗る変人、そこへなにようかと問う
「なに、さっきも言ったようにあんたかなり強いだろ?それにこんな危険な場所、普通に過ごしてる奴なんかが来るわけねえからな、何か金に困ったか表に出れねえ賞金首のやつとかの溜まり場でありそんな奴らにいろんな依頼したり支援したりあるいは騙したりするのがこの場所だ」
「そうか、だがその言いようだとあなたは俺に依頼がしたいあるいは何か俺を騙して何かに利用しようとしているようにしか聞こえないんだが、そこのところはどうなんだい?」
そう言うと男はおっといい少しの沈黙のあとガッハハと高く笑いやはり俺の目に狂いは無かったと言う。
「いやぁすまんすまん、いっつも周りの奴らが連れてくる奴は説明したらその次に出る言葉がだいたい何の依頼だとかいう警戒心があまり感じられねえ早く仕事を欲しがる奴らでな、こんなんじゃこの先大きくはなれない奴しか周りの奴らは連れてこねえからそろそろ大物になる奴をまた連れてこねえと俺等のところも赤字になって潰れちまうからな」
と言いやれやれといった仕草をして吐き出したその言葉に苦労しているんだなという感想を持つのであった。
「なぁ、あんたそんなペラペラと内情を話しているが俺は入るだなんてひと言も言ってないぞ?」
「はっ!俺の勘がこう言ってるんだ、目の前の人物は絶対に俺たちの仲間になるってな!」
何を言っているんだと思いながらその場を離れようと言葉をはっそうとした瞬間。
「一旦話を聞きましょう、この人は悪い人ではないと思うわ」
「…………少しだけなら、話を聞こう」
「お!そうかい、ならあそこの喫茶店で話そうや、あそこのコーヒーはここいらじゃあ一番うまいんだ」
そう言うと身を翻しこっちこっちと手招きをする男についておきながら飛鳥は疑問になったことを小声で女神に問う。
「何であの男の話を聞こうとだなんて思ったんだ?」
そう問うと女神はうーんと考えそうねと言い。
「あの男からはあまり悪意を感じなかったのよ、ここに来てからはいろんな所からずっと悪意を感じてたんだけどあの男の周りだけ妙に清らかだったのよね」
と答えた、飛鳥はそうかと言うと少し歩く速さをほんの少し速めるのであった。
色々と分からなくなってきた………