バンクジョブ・トゥ・デイズ・ゴーン・バイ 作:nallowship
◆◆◆カラテの高まりを感じる◆◆◆
――風の音がする。
いつもの砂じゃない、少しだけ湿度のある重い風。
最後に聞いたのはいつだった? この時間にアビドス砂漠の外にいて、風の音を聞いたことは、あまりないから。
砂のない道路。人工的に、計画的に作られた、広くはない街。みんなでやったボードゲームみたい。人の動きも似てる。スタートがあって、ゴールがあって、決まりきったいつもの道から時々気まぐれに遠回りして、コンビニもなかったね、って笑って……
じゃあ私が今いるのは、いつもの通り道? それとも寄り道?
……ちょっと首筋がぞわぞわする。耳鳴りも。久しぶりで緊張してる?
ん、でもちょうどいい緊張感。リラックスしすぎは良くない。
もう少ししたら風が強くなる。発砲や爆破の音が聞こえにくいし、ここの警備はミレニアムの警備ドローンが多いから風に流されて制御が難しくなる。誤差だけど、逃げるときはそういうの大事。
……久しぶり、なのかな? 今回は夜にこっそり忍び込むだけ。当番の人にちょっと金庫を開けてもらうだけ。もらうのは現金でも金塊でも証券でも帳簿でもないし、元々は……
(――――)
……ん、やっぱり久しぶり。たぶん先生に怒られるから。そんな気がする。やるけど。
……現金輸送車が出ていった。行員が通用口から出ていく。もうすぐ警備員も交代する。警備に隙ができる。
「ん、銀行を襲う」
下調べ通り。予定通り。計画通り。問題ない、今日中に終わらせる。
【バンクジョブ・トゥ・デイズ・ゴーン・バイ】#1
昨日からツーリングに来てる。
理由は3つ。最近少し夢見がよくなくて気分転換したくなったこと、新調したサイクルウェアを試したかったこと、あと3連休で天気もよかったこと……ん、理由4つかも。
せっかくだから普段行かない、日帰りだと行けないところにしようと思って、思いついたのがここだった。他の自治区やシャーレ、連邦生徒会に行くときに鉄道で通り過ぎるだけで、降りたことはない駅の、来たこともほとんどない街。
アビドス自治区から遠いけど、アビドスの土地だった。本当ならアビドスの分校があって、少ないけどアビドス生徒がいたはず……実際は、生徒そのものが少ない。というより用のない人は来ないから、街の小ささ以上に人が少ない。
普段着と最低限の日用品、修理道具、予備の弾薬、飲み物と携行食を詰める。あとコンパスも……要らないと思うけど御守り。ホシノ先輩が安心するから。
荷物をロードバイクに積んで、朝に家を出て、ハイランダー鉄道学園が線路沿いに敷いた管理用道路を走った。……ん、気持ちよかった。快晴、適度に涼しい向かい風。新しいウェアも通気性がちょうどよくて、火照った身体と汗で少し冷えた肌、全身の筋肉が思った通りのリズムと力加減で動いてるのを感じさせてくれた。
……でも、少しだけペダルが重い気がした。自転車におかしなところはなかった。ひょっとして少し太……ん、たぶん成長期。無理せず鉄道で帰ることも考える。
明るいうちに街に着いた。短期出張サラリマン向けの宿泊施設にチェックインして、コンビニに行く。何気なく特に近道でもない裏路地を通って。
……ん、そこからが予想外。
その裏路地で、賞金首の爆弾魔を見つけた。パニックを起こして殴りかかってきたのを捕まえて、市役所を通じてヴァルキューレに引き渡した。ボーナスマン。ん、儲けた。
でも手続きがすごく長引いた。通信システムに障害が起きてたみたい。何度も窓口に呼び出されて、私も係の人も少し疲れた。
そして市役所を出た私に、ひとりの生徒が声をかけてきた。アビドス生徒じゃないのは当然だけど、ミレニアムでもハイランダーでもない、場違いなトリニティの生徒だった。顔も知らない。
「アビドス高等学校の、砂狼シロコさんですよね?」
呼び出しを聞いてたみたい。念押しして、人通りのない路地まで私を引っ張ってきてから、彼女は小声で言った。
「……銀行強盗を、手伝ってくれませんか?」
ジュースの蓋を開けて、ひと口。わざとらしいくらいの動作で、少女にも飲むよう促す。
彼女は遠慮しながら、紅茶のペットボトルを開けた。根っからの箱入り娘じゃないみたい。リスみたいに両手で持ってるのがかわいい。本人も小動物みたい。
「……さっきの話」
「あ、はい! あの私、トリニティ総合学園1年で――」
「ん、言っちゃダメ。私も聞かない。まだ受けるか決めてない」
「あぅ……ご、ごめんなさい」
涙をこらえて小さくなる。本当に小動物みたい。できるだけ優しく……ん、私はお姉さん。先輩らしく――でも先輩はあんまり参考にならないから先生を……
整理した。
彼女はトリニティ自治区にある老舗のお店(何の店かは聞かない)のお嬢さんだった。ん、お行儀の良さが自然なので嘘は言ってないと思う。
狙ってるのは、この街に1つだけある銀行の金庫室。お金が欲しい訳じゃない。担保として保管されているものの中に、実家の土地建物や屋号、商標、営業権といった権利一切の書類があるらしい。
どういう経緯でここに流れ着いたのかは、彼女にも分からない。誰かが知らない間に借金の担保にしたのか、盗まれたのか……
「幸い管理用のコードが分かったのと、ミレニアムにつてがあったので、ここまで追いかけて来れたんです。でも……来てはみたけど、今は他とまとめて管理されてるみたいで、特定もせずいきなり『私のものです、お金は払うので返して下さい』なんて言えなくて途方に暮れて……」
「まず実物を見つけて、それから交渉を?」
「はい……」
小さな肩が震えている。勇気を出して、相当無理をしてきたみたい。触れたら破裂しそう。
「初等部から寮に入ってて、もう覚えてないことも多いけど……それでも大事な思い出が詰まってるんです! それがあと少しで、訳も分からないまま消えてしまうなんて!」
――思い出、か。
……うん。
「どうして私に?」
「あ、あの……言っていいのか分からないんですが、ここに来る前にトリニティのある先輩から紹介されて……あ!ご、強盗まで頼っていいなんてことは全然!」
「……ん、分かった」
たぶん、彼女だろう。
本当は聞かなくてよかった。心の中ではもう決めている。ただ、それですぐに実行するほど素人じゃないだけ。
「1日待って。私の知ってる通りか調べてみる」
ん、頑張る。思い出は大事。……だって、私には……
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
鋭角に切り抜かれた青白い光と、切り残された闇のコントラスト。オバケ・パビリオンめいた叡智の聖堂、その四方を囲む液晶のステンドグラスには、緑、白、黄、そして赤……目には見えない電子の奔流が生み出す星々が絶え間なく瞬く。未踏の命題を求める巡礼者の足を洗う潮騒は、床を伝わるHDDと空冷ファンの微細振動か――
キヴォトス三大校の一角、ミレニアムサイエンススクール。
「真理」を冠する部活動「ヴェリタス」、その部室は今、一時的にせよ本来の主を迎え、粛々とBEEP音の讃美歌を奏でている。
「……言いたいことがあるなら直接言いなさい。いつまでも小さな子供みたいに」
苛立ちを隠さない少女の声。何かを察したもう一人の少女が、非礼と知りながら耳をそばだてるが、通信相手の声はノイズにかき消されて意味のある音とは判別できない。
「……何ですか? データファイルを送った? そもそも貴方今いったいどこに……何ですか今の聞き覚えのある音?え?何を頼むって?ちょっと待ちな…………はあ、まったく」
「リオ様ですね?」
華奢な身体を車椅子に沈めた少女――特異現象捜査部部長・明星ヒマリは、途切れた音声通信に憮然として、メイド服の少女・飛鳥馬トキを見た。車椅子から投影されたホロモニタにはデータファイル受信の進捗が、ウサギとカエルが小包を運ぶアニメーションで表示されている。
「その通りですよ、トキ。急ぎの用ですが遠くにいて帰れないから、と……全然聞き取れませんでしたが、冷凍ピザがどうの、と訳の分からないことを……まあ一方的にモモトークを送りつけてこなかっただけ、多少成長したようなので良しとしましょう」
キャバァーン!受信完了。速やかに、だが念入りに悪性プログラムがないことを確かめ、ヒマリは中身のレポートと添付されたいくつかの画像に目を通す。送り主、調月リオの人となりを表す、極めて合理的で無駄のない情報の羅列と、そして――
ヒマリの口の端がわずかに緩む。
「……こういう時は『お土産は何がいい?』くらい書くものですよ、リオ。――トキ、セミナーに……いえ、ユウカとノアを呼んでください。戻っているならチーちゃんも」
……30分後。
赤い天の川に断ち割られたブルーライトの天球儀の下に、1と0、セミナーとヴェリタスの代表4人が集められた。
リオからのファイルの末尾は、こうだ。「ニンジャを探せ」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ザッケンナコラー! 早く寄越せコラー!」
「アイエエエ……わ、私ただのバイトで」
「分かってんだよコラー!お前でダメなら責任者出せッコラー!」
D.U.郊外、連邦捜査部「シャーレ」。昼下がり、居住区1階のコンビニで柄の悪い生徒が、アルバイトの中学生ソラに絡んでいる。――その背後に人影。
「この店で酒を買おうとはよい度胸だ。向学心に免じて、ビネガー醸造所での研修を紹介してやろう」
「アイエッ⁉ ゴメンナサイ! こ、これお願いしますレジ袋とレシートいいです!」
「あ、アリガトウゴザイマシター!」
申し訳程度の手榴弾を買ってそそくさと退店する不良に、ソラはマニュアル通りアイサツした。……視線を店内に戻すと、1人の大人がレジ台に、「妖怪MAX」複数本とケミカルな包装のエナジーバーが入ったかごを置いた。
「オネガイシマス。請求はいつも通りで」
「ア、ハイ。……これ、先生大丈夫ですか?」
「流石に限界だろう。これ以上長引くならば無理にでも休ませるが」
「お、お手柔らかに……」
シャーレ用務員、イチロー・モリタ……本名フジキド・ケンジ。事情は知らないが少し前から臨時雇で働いている。悪い人ではないし、先生から信頼されているのも分かっているが、ソラはまだ彼が苦手だった。……単純に、怖いのだ。
と、彼が店の外、ビルの入り口を見た。ソラもつられて見る。
「あ、セミナーの……確かノアさん」
「……シツレイ、オフィスに戻る。会計を」
――同日、日没後。
「私はここに来るのは初めてだが、この道でよいのか? 学校に向かう道ではないようだが」
「いいんです。今はこっちの方が近いので」
運転席のフジキドが問い、助手席の先生が答える。休日で人もまばらなオフィス街……否、普段でも多くないようだ。ビルの特に上層部は大半が空き物件で、ネオンの切れた看板と、黄色い砂の堆積が侘しさをいやます。
「……私が気になるか、ノア=サン」
「はい」
「私がニンジャだからか?」
「いえ、フジキド=サンが一緒に来ていることがです。私はあなたが、リオ会長やヒマリ部長の言っていたニンジャだと思ったのですが……」
「確かに、ただの書類仕事や護衛であれば私は不要だ。だが案ずるな、別の用件がある」
後部座席で小首を傾げるセミナー書記・生塩ノア。――その時、先生が前方を指さした。
「あ、やっぱりいた!」
薄暮に浮かぶ赤いノーレン。柴関ラーメンの屋台だ。
「エーラッシェー! 何だ先生じゃねえか。そっちのお二人さんは初めてかい?」
「やあ大将、お久しぶりです」
「お、景気がいいか聞かねえだけ人ができてきたな?」
ノーレンを上げて店主の柴大将が声をかける。言葉とは裏腹に、客の入りはよさそうで、固まって座れる席を探す。だが、
「ああ、いいんです大将。今日は――」
「おうそうかい。どうする? 注文は話の後でいいかい?」
「そだね~、そうしよっか」
暗がりの即席テーブルから、欠伸をかみ殺すような声がした。生徒が4人……胸元には空色のネクタイと色違いの学生証。ピンクの髪の小柄な生徒――アビドス廃校対策委員会の委員長・小鳥遊ホシノが、ヒラヒラと手を振っている。
「で、どしたの先生? 徹夜でラーメンの禁断症状?」
「休日にごめん、ホシノと……アヤネ、ちょっと時間いいかな?」
「え? ――あ、はい!分かりました!」
同書記・奥空アヤネが席を立ち、車のキーを手に取った。
アビドス高校、無人のはずの校舎に灯りが点いた。砂で曇った窓から洩れる、ボンボリ・スタンドめいた淡い光が、途切れとぎれの陸上競技トラックを朧気に浮かび上がらせる。
「『アビドス・データセンター』? ドゥアト渓谷の、ミレニアムの租借地になってる、あの街ですか?」
「うへ~何で今さら。おじさん契約書の中身なんて覚えてないよ~?」
「それを確かめに来たんだ。ごめんね」
今はもう使われていない生徒会室の奥。アヤネが重要書類の納められた金庫を開けて目録を取り出した。紙質の劣化から大まかな当たりを付け、時折砂を払いながらページをめくって、借地契約書のありかを探す。
「ごめんね~お客さんをこんなところで待たせて。どうせなら隣で待っててくれても」
「いえ、気にしないで下さい。このポスターとか、見てて飽きませんよ? 風情がありますよね」
ホシノの勧めをノアはやんわりと断った。――彼女は一度見聞きしたものをほぼ全て記憶できる。余計な書類等を見ないように気を遣っているのだ、と先生が諭す。
「あの街は、運営も治安維持も実質ミレニアムみたいなもので、私たちもあまり行く機会がないんですが……」
「契約したのも生徒会だからね~」
「生徒会? 梔子ユメさんですか?」
「もう少し前。BCP……事業継続計画って言うのかな? 災害とかに備えて重要なデータのバックアップを遠い場所に取っておくの。――お、はっけ~ん」
「……大丈夫そうですね。契約自体へのカイザーグループの関与はなし、賃借料への先取得権行使だけです」
ノアは自身の記憶と、アヤネはノアが持参したミレニアム側の写しと、契約書を照合し終えた。アビドス生徒会末期の契約、どんな罠があるか分からない。後の外交問題を避けるために必要な手間だ。
「あそこは何か隠せる地形じゃないから、カイザーも興味なかったんだろうね~」
ホシノが書類を覗く。
「条件もずいぶん良心的ですね。基本は治外法権ですがセンター中枢以外はアビドスも事後通告で出動できる、と」
「余裕だよね~。すぐ過去になるものに、これだけ投資できるんだから。まあ、それがミレニアムの強さだろうね。昔の話なんておじさん整理するだけで手一杯だよ?」
「実際役に立ちましたよ? この前の『虚妄のサンクトゥム』の復興で」
「ホシノ先輩、書類は後で手伝いますから」
「うへ……ごめんねアヤネちゃん」
対策委員会室の床には過去の書類が散乱していた。ホシノが契約書をボール箱から引っ張り出そうとして、圧力で箱が分解したのだ。ホシノ1人で片付けられる量ではなかった。
ノアは床を見ないように、タブレットを操作して1つの書類を呼び出す。
「ではこちらを。セミナーはセンター中枢を除き、アビドス生徒会及びその権限の一部を代行する対策委員会による行動への制限を一時解除……有償により同地区の治安維持を委託します。期間は1週間、自動更新ですが一方からの解除の意思表示があれば更新停止。危険負担等の詳細はこちらに。報酬は――」
「……うへ~」
「ゼ、ゼロがいっぱい……」
「ユウカちゃんが頑張ってくれましたから」
微笑むノア。アビドスの金銭事情から、露骨でない程度に額を盛ろうと頭を抱える親友の後ろ姿を、鮮明に覚えている。それだけの価値もある。
アヤネが席を譲り、ホシノがサインしたのを、後ろから先生が覗いた。
「じゃあ今日は休もうか。準備もあるし……まずは大将のラーメンだね」
4人の腹が盛大に鳴った。
ズルッ!ズルズルッ!ズルズルッ!
「おおっ!いい食べっぷり!こりゃあ作った甲斐があるってもんだ!」
「……ゴチソウサマデシタ」
フジキドは空になった鉢を置いた。対面に座る黒見セリカと十六夜ノノミのラーメンはまだ半分残っている。
「気に入ったら贔屓にしてよね。私たまにバイトしてるから」
「そうしよう。実際、美味いラーメンだった」
フジキドは空のラーメン鉢を見る。
(……ヌードルか)
食事の回数、出会ったシェフは数知れぬが、ヌードルにはしばしば一抹の感傷がよぎる。……キョートで出逢い、手にかけたソバシェフの記憶が。
「ハハッ、やっぱりお袋の味や故郷の味には敵わねえか。まあ味変にでもしてくれや」
「いや、そうでは……それにお代は先生が」
「遠慮すんなって、マーケティングってヤツだ」
「……ではいただこう。ドーモ」
柴大将が差し出す替え玉券を、フジキドは受け取る。ノノミが興味深そうに聞いた。
「ネオサイタマから来られたんですよね? 故郷の味ってどんなのですか?」
「うむ、まずは……やはりスシだな」
午後10時。待ち人来たらず。
屋台はラーメン1杯分の材料を残してこの日の商売を終えた。最後の客、先生たち4人分の食器を、柴大将が片付けている。
「どこまでツーリングに行ったんでしょう、シロコちゃん?」
「モモトークは送ったけど、この通信障害じゃ無理だったかも」
セリカが携帯端末を確かめるが、返信はない。
彼女たちが――そしてフジキドが待っていたのは、対策委員会最後の1人、砂狼シロコだ。自転車が好きな彼女は、自治区のパトロールを兼ねてツーリングに行ったはずだ。休日とはいえ居場所は共有するよう念押ししていたのだが。
「で、その通信障害の話ですよね?」
「はい。では改めて――」
一つだけ残された即席テーブル。アヤネに促され、取り囲む対策委員会4人に見えるように、ノアはいくつかの写真が表示されたタブレットを中央に置いた。
撮影地点はD.U.からミレニアム方面に向かう郊外……何の変哲もない幹線道路だ。あくまで地上は。
「な、何これ⁉」
「ガス爆発や気化爆弾、地雷じゃないですね。もしかしてこれ、ずっと続いてるんですか?」
「残念ながら、ずっとです」
「うへ~修理費用すごそう」
契約に先だって説明を受けたアヤネ以外の3人が目を剥く。
片側車線を封鎖し、舗装を剥がした穴から、ミレニアムの生徒たちがドローンを地下へと送り込んでいる。1人はヴェリタスの小鈎ハレだ。――読者諸兄であれば、これがいかに異例かが理解できるだろう。そして地下では、1本1本が丸太めいた送電線や通信用ケーブルの束がことごとく、内側から爆ぜ、焼けただれて火花を散らしていた。暗い洞道の先、見通す限り果てしなく――
「これが今回依頼した、敵です」
(#2に続く)
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