第五特異点逸聞 北米終末荒野ガーデン・オブ・エデン   作:名詮自性

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第6節:(Not) Animal Friend

いつもお世話になってまーす101から来ましたー死ね!

遠距離からピストルで頭を撃ち抜き、近距離ではバットで頭を打ち砕く。

スティムパックが有限の現状、囲まれると流石に面倒なので、集落を駆け回り死角からの攻撃を心掛ける。

殺して、殺して、殺して、殺して。ふと気付く。

レイダーの死体は消えてしまうけど、その時に出る光の粒が、Pip-Boyに吸収されていく。

エンクレイヴの時にはなかった現象だ。

あと、全部ではないけれど、レイダーの武器が残ることがあった。

出来ればアーマーも残してほしかった。サディスティックとかリツカに似合いそうなんだけど。

ともあれ、これらの現象は私とレイダーは成り立ちが同じなのでは、という仮説を補強していく。

Pip-Boyがレイダーを吸収してどうなったのかは、落ち着いてから確認するとして。

思っていたよりレイダーの数が多い。ちゃちゃっと片付けて二人の所に戻らないと。

お、バックパックがある。拾った武器を差すのにちょうどいい。

あ、ウィスキーだ。スコッチもある。ビールも。

ちょっと喉乾いたなー水かヌカ・コーラがあればそっちを飲むんだけどなーグビグビ。

めっちゃおいしい!!!!!うぉー身体が熱い!やる気出てきたー!殺すぞー!

飲んで、飲んで、殺して、飲んで。

夜になる頃には、周囲に敵対反応はなくなっていた。

 

物資回収もそこそこに二人の所を目指していると、マシュとレイダーらしき男の声が聞こえた。

あー、マシュなら逃がすよね。レイダーなら武器拾うよね。パーン☆

案の定、真面目で優しくてかわいいマシュに怒られたけど、ここは引く訳にはいかない。

二人の命が掛かってるからね。分け隔てない優しさが、人を殺すことだってあるんだよ。

あるんだよ……テンペニータワー…ちくしょう……

 

かわいい二人をあやしつつ、これからのことを飲みながら考えていたら、空からU.F.O.が落ちてきた。

私、U.F.O.墜落に立ち会うの2回目なんですけど……

ていうか、アレに味方が乗ってるってマジ?

エイリアンだったら殺すよ?私の嫌いな生物第2位だからね?

ちなみに1位はエンクレイヴで、3位はトバルのクソジジイ。

ミュータントが跋扈するウェイストランドに生きてきてこの結果、やっぱり人間が一番怖いな。

 

――――――――――――――――――――――――

 

墜落地点に向かうと、まず目に入ったのは粒状の光。

大きな円盤が、その役目を終え魔力に還ろうとしているのだ。

その姿を見て、リッカは胸を撫で下ろす。

形も大きさも、自分の知っているU.F.O.とは違う。

ライフルの引き金から指を離し、あれが味方だという二人を追う。

 

「エレナ!」

「エレナさん!」

 

辿り着く頃には円盤は消え、その場には一人の少女が残されていた。

円盤よりは少ないが、それでも確かに魔力の粒を放出している。

マシュが抱え起こし声を掛けるも、反応がない。

 

「まずいです、退去しかけています!」

「リッカ!私に打った薬、お願いできる!?」

「いいよー」

 

リッカは近付き、エレナと呼ばれた少女を視界に収め、Pip-Boyの機能を発動した。

V.A.T.S.。主に戦闘時、敵をよく狙うために使うシステムなのだが、その際に相手の大まかな残り体力も測定できるので、同行者の怪我の様子を確認するのにも使われる。

エレナを見てみると、体力ゲージは残り一つ。人間ならなら死の淵で、ビリヤード・キューで突いただけで絶命するだろう。

V.A.T.S.を解除したリッカは、Pip-Boyの所持品欄を開き、スティムパックを3つ取り出した。

 

「かなり弱ってるから、ちょっと多めに打とうね。ちくっとしますよー」

 

1つ、2つ、3つ。

打ち終わる頃には、光の粒は収まっていた。

再度V.A.T.S.発動、体力ゲージが満タンになっていることを確認する。

 

「体力だけは回復できたよ。これで目を覚まさなかったら、私にはお手上げだ」

「サーヴァントにとって、体力はほぼイコールで魔力のはずです。きっとお目覚めになるでしょう」

「まだ油断できないけど、とりあえず様子見だね。リッカ、どこか休めそうな場所あった?」

「目星は付けてる。こっちだよ」

 

リッカが案内した先は、2階建ての家だった。

壁に落書きはされているが、道中の家にあった死体は飾られてはいない。

レイダーの死体らしいのだが、既に「物」として存在が確定しているのかもしれない。

先に入ったリッカがOKを出したので、足を踏み入れると。

 

「めっちゃ普通の家だ!」

「はい、とても普通の家です!」

 

中には落書きも死体も見当たらなかったし、室内灯も機能している。煙草や酒瓶が転がってはいるが、至って普通の内装である。

 

「レイダーのリーダー格が独占してたみたい。マシュ、その子をソファーに」

「あ、はい」

 

マシュが抱えていたエレナを居間のソファーに寝かせる。

まだ目覚めてはいないが、顔色はいいし呼吸も正常だ。

 

「エレナ、だったっけ。この子は私が見とくから、二人は食事したら2階で休みなさい。階段上がって正面の部屋使って、ベッド二つあるから。バスルームはその隣、ボイラーも生きてるからシャワー浴びれるよ。一番奥の部屋は、危険じゃないけど開けない方がいいかな」

「そんな風に言われると逆に気になるんだけど、何があるの?」

「大きなベッド、ピンクの照明、張り付け台、手錠、鞭、でっかいバ」

「ごめんもういい、わかった開けない」

「マシュと使ってもいいよ?」

「使わないよ!!!」

「先輩、会話の内容が理解できないのですが」

「マシュにはまだ早い!!!!!」

「あっ、はい」

「まぁそういうこったね。ちょっとキッチンに食料がないか見てくる」

 

ケラケラと笑いながら居間を出ていくリッカ。立香は深いため息を吐いた。

 

「エロいのは乳と尻だけにしろよぉ……」

「先輩?」」

「おおっとなんでもない。携帯食料、まだ持ってる?私のはここに来るまででなくなっちゃった」

「少しお待ちください、確認を……きゃっ!?」

 

マシュがサイドパックを開けると、中から銀毛の小動物が飛び出して食卓に着地した。

 

「フォーウ!」

「フォウさん!ここにいらしたのですね!」

「フォウ、キャーウ!!」

「ごめんなさい、自分達のことで精一杯で……」

「フォウ、フォーウ!」

「ありがとうございます。これから食事を取ります、フォウさんも一緒にいかがですか?」

「フォーウ!」

 

大事な旅の仲間との久方ぶりの……といっても常に一緒にいたが、ともかく再会をマシュが喜んでいると、リッカが両手にたくさんの箱を抱えて戻ってきた。

 

「お菓子しかなかったけど、とりあえず全部持ってきたよ。疲れてるだろうし、何か肉でも食べさせてあげたいけど……ん?」

「あ、リッカ。遅れたけど、私達の仲間を紹介するね、フォウくんっていうんだ」

「フォウ!」

「……」

 

箱を食卓に置き、じーっとフォウを見つめるリッカ。

かわいく小首をかしげ、見つめ返すフォウ。

 

「むしって丸ごと串焼きで」

「ブフォウ!?」

「ちょ、ちょっとお待ちを!フォウさんは食べ物ではありません!!」

「まぁそうだね、まだペットを食べる段階じゃないか」

「どんな段階でもペットは食べないよ!?いやフォウさんはペットでもないけど!!」

「そうなの?私、犬飼ってたけど、困った時は食べる気でいたよ」

「未来、怖い!」

「フォウ、フォーウ!!」

 

フォウが慌てた様子でマシュのサイドパックへと潜り込む。

このデカ女、マジで僕を食う気だ。

と、思ったかどうかは定かではないが、その後、この旅の終わりまでフォウがリッカの前に姿を現すことはなかった。

 

 

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