第五特異点逸聞 北米終末荒野ガーデン・オブ・エデン 作:名詮自性
旅の果てにお互い「ホント手が掛かる、放っておけない」と思い合う、姉妹のような関係性になってほしいとは思っています。
あと、リッカにはもっと波長の合う相手が今後出てきますし、
立香の嫁はジャンヌダルクオルタです(ぐるぐる目)
携帯食料とお菓子を食べて、二人は二階へ上がった。
エレナは見た目よりずっと大人だから目覚めても子供扱いするなと釘を刺して。
サーヴァントは全盛期の姿で呼び出されるもので、大抵は20代から30代の肉体年齢なんだそうだ。
ただ、エレナは歳を取っても幼い見た目に化けて活動していたそうで、サーヴァントであるエレナにもその影響が出ているのだとか。
じゃあ私がこういう感じなのは、キャピタル・ウェイストランドで活動していた頃が全盛期、ということなのだろうか。
わかるような、わからないような。
全盛期云々はともかく、とりあえずスキルとアイテムを早く何とかしたい。
ヌカ・コーラが見つかってないの。飲みたいの。お酒も好きだけど別腹なの!
気配から推測するに、二人は別々にシャワーを浴びてすぐに寝付いたようだ。
ふんふん、一緒にシャワーを浴びるほどの仲ではない、と。
いや、マシュはいいのよ。箱入りだったのか、大人な人付き合いについてあんまりわかってなさそうだから。
立香はそれで大丈夫なの?我慢してない?
諸々興味はあるけど、一番近くにいるマシュがマシュだから気を遣って自分を押し殺してるのかな。
だって立香、私の胸、めちゃめちゃ見てるよ。
見られる方は絶対気付いてるからね、それ。私もよく怒られたもん。
あと、立香の視線には熱がある。憧れや嫉妬とは違う、男共が向けてくる実際にアレコレしたいと思ってる熱量だ。
大きな胸が好き=女の子が好き、とは限らないんだけど、実際どうなんだろう。
あの距離感で生活する内に、耐えきれずマシュを押し倒してしまう立香。
果たしてマシュの反応は?
1.「マスターのご命令なら……」と受け入れる主従エンド
2.「私も前から先輩のことが……」と打ち明ける両想いエンド
3.「こんな人だとは思いませんでした!」と拒絶するも抵抗し切れず手籠めエンド
……私はさっきから何を考えているんだろうか。
殺し過ぎたし、飲み過ぎたな。あと3については想像の主体が立香じゃなくて私だったわ。ごめんねマシュ。
だって他にすることないんだもん!
あれだけレイダー吸ってたPip-Boyも変化ないし!レイダー吸うってなんだよ!
エレナがいつ起きるかわからないから滅多なこともできないし!
……飲むか。それしかないな。
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エレナは目覚めてすぐ、自身の体を確認した。
消滅を覚悟していたのだが、サーヴァントとして健在だった。枯渇していた魔力も十分に回復している。
何故、どうやって。疑問に思いながらも辺りを見渡す。
「おはよー」
食卓に着いた、グラスを片手に笑顔で手を振る女性。その顔には見覚えがあった。
「あなた…ちょっと見ない内に、随分色々と大きくなったわね……?」
「ほぇ?いや、初対面……あ、リツカと間違えてるのか」
「あの子じゃない……?って、あなたサーヴァントね!?」
「わかるのか。リツカの姉ですってボケなくてよかった」
危ない所だったと笑う女性を観察する。
他人と言い張るにはカルデアのマスターと似過ぎている顔。
元は何で編まれていたのかわからない服。
異様な魔力を内包する左手の機械。
そして、食卓に転がる、数える気にもならない大量の空の酒瓶。
「……どれだけ飲んだの、あなた」
「いやー12時間起きたままじっとしてる経験がなくてねー。備蓄が大量で助かった。なかったら寝ちゃってたなー」
「それは……迷惑を掛けたわね」
「ああ、そういうつもりで言ったんじゃないから気にしないで。私はリッカ。リツカとマシュに喚ばれた、臨時の用心棒だよ」
リッカが立ち上がり、カーテンを開ける。まぶしいほどの朝日を浴びながら、思いっきり身体を伸ばす。
「ん~~~~~!いい朝だ。青空が目に染みるねぇ。そっちは身体の調子どう?」
「ほぼ万全よ。私はエレナ・ブラヴァツキー、キャスターのサーヴァントよ」
「よろしくね。二人とも心配してたよ。逃がしてくれた恩人だって。よくここまで来れたね」
「ええ、どうしても伝えなきゃいけないことがあって。二人は?」
「二階で寝てる。疲れてたし、昼ぐらいまでは寝かせてあげようと思ってるけど」
「わかった、そこはあなたに任せるわ。ところで二人の同行者はあなただけ?」
「そだよー」
「ということは、私をここまで治療したのはあなたね?どうやったの?魔力の扱いが上手いようには見えないのだけど。そもそもクラスは何?いつの時代の、どこの英霊なの?」
「寝起きなのに元気だねぇ」
苦笑して、リッカは順番に答えていく。
スティムパック。キャピタル・ウェイストランド。エンクレイヴ。その天敵たる自分。
説明を受けて、エレナが一番気になったのは、リッカのクラスが不明という点だった。
「サーヴァントは召喚される際、座から最低限の知識を与えられるの。どの時代のどこに召喚されても不都合が少なくなるように。自分がサーヴァントだと気付いていなかった辺りも含めて、イレギュラーにも程があるわ。自分の死因も覚えていないのね?」
「さっぱり。大方、車の爆発にでも巻き込まれたんじゃない?」
あれ痛いんだよねー、と自身の死を笑い飛ばすリッカ。
遥か未来から来たというのに、ケルトの戦士のような精神構造だ。
「未来……核戦争……」
「ひとまず私の知ってることは話したよ。続きは二人が起きてからにして、ちょっと出てきていいかな?この集落の食料とか武器とか、まだ集めきれてないんだよね」
「あ、ええ、問題なくてよ」
「じゃあ留守番よろしく。食卓にあるお菓子とお酒はご自由にどーぞ」
グラスの中身を一気に呷り、バックパックを背負って、リッカは出て行った。
「……もしかして、彼女の世界ではガイアもアラヤも機能していない?だとしたら、彼女は誰がどうやって召喚したの?いえ、そもそもエンクレイヴはどうやってここへ?クー・フーリンの持っていた聖杯だけではリソースが足りない。可能性が高いのは……」
この事態の解決のため、知るべきこと、考えるべきことが多過ぎる。
ホワイトハウスが変じた要塞に現れたアレを打倒するため、少しでも情報を収集、精査しないと。
ぶつぶつと呟きながら、気付けのためにリッカが飲んでいた酒を、棚から拝借したグラスに注いで呷る。
あんな飲み方をしていたのだから、さほど強い酒でもないだろうと思って。
「ごぶっふぁ!!げほ、がほげほ!!!」
盛大にむせた。口、喉、鼻に激痛が走り、思考が全部飛んでいく。飲み込んだのは少量なのに、内臓が燃えるように熱い。
「ごれ、う゛ぉっか、げほ、う゛ぇ、ごほごほ、み、みず……」
なんでこれをいっきのみできるの。
早くもウェイストランダーの洗礼を受けたエレナ。
ひとしきりむせた後、ソファーにうずくまり、再び意識を手放すのだった。