Rauta   作:Ubiquintetous / 五劫偏在

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寝惚けたからからの1183日目

 マイハウスではない、オブジェクトとして、背景として存在する家。

 こういうところもまぁ住めるっちゃ住めるけど、生活インフラの一切が整っていない上に各種設定もできない、本当に雨避けとベッドくらいしか使い道のない場所である。

 ただ、たしかにこそこそ何かをやるには充分だろう。という場所で。

 

「──ッ」

 

 いた。息を呑んだ。飲み込むことに成功した。

 実際に見るのは初めてだ。だけど、知っている。ずっとログを見てきたから知っている。

 彼の名は。

 

「~♪ ……ふぅ。なんぞ、表が騒がしかったみてぇだが……プレイヤーの集団……飲み会かなんかしてた帰りとかか? ケッ、陽キャ集団がよぉ」

 

 鼻歌を歌いながら二階より降りてきたのは──プレイヤー:sinohumi。

 間違いない。感知を恐れてスキャンはしていないけれど、この容姿は彼だ。このオラついた口調もキャラメイクデータも。

 つまり……sinohumiを殺したものは家具だったけど、家具を殺人犯化したのは彼、なのか? 確かに疑問だったんだ。『Vesi』模倣犯と思しきあの事件は、そもとして死体に近付いた存在がいない。あの頃の彼らの技術がJOY福と同じ……対面しなければ変質が行えない、というレベルであったのなら、誰もsinohumiや家具化クリーチャーに近付いていないことになる。

 家主がテイマーだったと私達は考えたし、実際に家主が逃げたからその罪も確定したものと考えたけど……成程そうすればもう誰もsinohumiに目を向けない。憐れなカルト信者の被害者にしか見ない。

 そして潜伏場所は五両目の郊外直前の住宅街、と。潜伏先にはもってこいだ。全体スキャンのできない運営(我々)からしても、こっちの方は人海戦術で調べるしかないわけだし。

 ……そうするとJOY福もどこかにいるのか?

 

「さぁて……おはよう愛しのマイハニーたち。今日こそお前らの深い眠りを覚ましてやっかんな~」

 

 そういう部分は一旦措いて擱いて、彼自体は……異常者タイプの犯罪者、がしっくりくるか。

 人形が生きていないことを眠っているからと解釈するタイプ。それでいて愛しのマイハニー……人形に執着があるタイプ。模造死体が全部女性だったのは彼の好みの問題か?

 

 ……いや、待て。

 彼が一連の事件の犯人ならば、模造死体が外に出ているのはおかしくないか。

 愛しのマイハニーをどうして捨てる。愛しのマイハニーをどうして別の形に造形する。

 

「──シハネ、チェスカ! その子を担いで逃げろ、人のいるところまで!」

「盗み聞きとは悪い子がいたものですね──と、おや、気付かれた?」

 

 一旦なりふりは構わない。

 私の指示を聞いて即座に動きだしたのはシハネ。混乱と恐怖で染まっているびやっこを「失礼」といって足払いし、姫抱きにした状態で持ち上げる。

 チェスカの反応は遅れていたけど、突如三人の背後に出現した影に対して「呪いの装備」を押し付けることに成功していた。私のお願いを聞いて準備していたのだろう。

 そのラグ(遅れ)も束の間に、二人とも駆け出す。私の方は振り返らない。いい、それで。それが最良だ。

 

「あ? なんだようるせーな。……エリングドか。今日の分はまだだよ、ちと待ってろ」

「はぁ、アナタはソレのことになると視界が狭くなりますね。今ここに鼠がいたんですよ、三匹も。──そして勇敢な一匹はまだここに残っている」

 

 エリングドと呼ばれたプレイヤー。スキャン……しなくてもわかる。おかしい。女性キャラクターの胸部、男性キャラクターの四肢、腹部と腰部はなんらかのクリーチャーのもので、頭部はクリーチャーとプレイヤーを混ぜたような作り。

 初期のthouを思い出す作りだ。恐らくまさにthouの「万物の垣根を失くす」という理想から得られた技術。自身の思う理想、利便性の詰め合わせといったところか。

 

「"カルアルン、見えてるよね"」

「"おう、ばっちりだ。内部データは見てねえ。悟られる"」

「"いい判断。全体の録画とあとでサルベージする用のコピー、気付かれずに侵入(はい)れるなら中身を調べても良いよ"」

「"やるにしてもお前が会話で情報取った後だな。逃げられそうになったら緊急脱出を使え。特別拡大版が間に合ってる"」

「"いい仕事するじゃん、カルアルンにしては"」

「"一言余計!"」

 

 ゆっくりとした動作でインベントリから片手剣を取り出す。マグノミリという炎熱剣だ。柄に熱はないけど、刀身が熱い。

 

「ん、なんだこのガキは」

「だから、鼠です。アナタのやっていることが全てバレてしまいました。──ま、そんなことを見逃すわけがないので、先に逃げたお仲間はこちらの同胞が丁寧に処理して差し上げますが」

「"カルアルン"」

「"ハッタリだよ。仮に仲間がいたとしても関係ねえ、既にほかの運営にあの三人の保護は頼んである"」

「"ソイツが裏切り者じゃなければいい仕事だね"」

「"そっちも安心しな、吸血鬼ん時の裏切り者の存在を受けてダブルチェック仕様だ。ちゃんと数人向かってる。合流するかは状況次第だから怪しまれもしねえよ"」

「……一切の怯えや動揺が見られません。なんですか、アナタ。お友達が大切ではないのですか?」

 

 薄く笑う。

 なんだ、動揺してほしかったのか? だとしたらお門違いだ。

 

「動揺。恐慌。私から最も遠い言葉だね」

「そうですか。つまらないですね。ああ、じゃあ、こういうのはどうでしょう」

 

 エリングドは……掌の上に頭蓋骨を取り出した。

 

「……なに、オフハンド装備の何に驚けって?」

「ああ知っていましたか。じゃあ──これは?」

 

 そう言って。

 彼はその手に持っていたオフハンド装備:スカルヘッドダムドを──チェスカの頭部に変質させる。

 

「……もう一度聞くけれど、何に驚けって?」

「……面白みのない鼠が残ったものですねぇ。可愛らしい見た目をしているのですから、可愛らしく泣き叫んでくれたらこちらの留飲も下がるというもの。見逃してあげたかもしれませんのに。あなたもお友達と同じでこうなることがお好み、と」

「ソレが作り物であることはもうみんなわかっている。消えない死体の時点でNPCかオブジェクトかしかあり得ないし、プレイヤーの死体はどんなアプローチをしたって斬り刻めない。それとも、あっちに行った子たちの前で、今度は私の頭でも作ってみる? 残念ながらなんの反応も得られないと思うけど」

「──おい、ガキ。てめェがどんな用で覗き見をしてたかは知らねえが、言うに事を欠いて作り物だと? 訂正しろよ、こいつらは眠っているだけだし、その首は死んでいるだけだ、ってよ」

「気狂いの言葉に耳を貸すほど愚かじゃないつもりだよ。ああ、返事をしている時点で、なんて子供染みた言い返しはやめてくれると嬉しいかな。新鮮味がない」

 

 肩を竦め、やれやれ、とでも言いたげなジェスチャーをするエリングド。

 それをしたあと彼は模造チェスカの首を……髪だけ持って、私の前に差し出した。

 

「なにを──」

「……ご、め……ね。あ……た、し……が」

「……いや、だからさ」

 

 喋り始めた首。その口にマグノミリを突き入れ、跳ね飛ばす。

 跳んだ首は宙に弧を描き──やがて私の左手に収まった。

 ぱちぱちぱちと拍手が鳴る。

 

「おお、凄いですね。曲芸師か何かで?」

「──面倒臭いな」

 

 あ、まずい。

 ……本音が。

 

「"ちょいちょいちょーい! 何言ってくれちゃってんのスノープリンセンス! そういうこと言うならもうやっちゃうよ侵入!"」

「"いいよもう。どうせ誰も戻ってきてないでしょ。だから、侵入じゃなくて──"」

「何がです? 会話が、ですか?」

「そう、会話が。君のくだらない手品にも満たない変質遊びには付き合っていられない。こっちの時間は無限じゃあないからね」

「そうですかそうですか、それは良いことを聞きました。では、こういうのは如何でしょうか」

 

 幾つも。幾つも幾つも幾つも。

 たくさん取り出すは、チェスカの頭。それをジャグリングのようにお手玉して見せてくるエリングド。

 

 ──仮想インスタンス設定。範囲指定。オブジェクトコピー完了。全体を同スレッドに格納。実行ファイル名設定。

 

「ファイル名実行:彼の居ぬ間に餅を取る(ウラント・カッサ・クゥンパゥロ)

「何を言って──?」

 

 発生するは巨大仮想インスタンス。緊急脱出拡大版。

 ソイツは大きな咢を開けて私、エリングド、そして件の家ごとsinohumiを丸呑みにし──消える。

 あとから処理されるはペースト。先程コピーされた元の家がまるまる戻ってきた。何事も無かったかのように、だ。

 

 人の居ない森で木が倒れたとして、音は鳴るのか。

 答えは、「最終観測においては鳴らなかったことになる」、である。

 

 

 

 拡大版緊急脱出により転移してきたのはいつもお馴染み実験室。

 この『Rauta』の世界に属しているようで属していない、色々なことのできる開発環境。

 

「……なんだ、今の感覚」

「こ……こ、は?」

「あー面倒臭かった。一応誰かが見てる可能性とか考えて取り繕ってたけど、プレイヤーってまだ遠見の技術も手に入れてないんだっけ。余計な配慮だったかな」

 

 あちらではまず見ることのない一面の青空。雲一つない空。

 地面には草原(くさはら)が波を打ち、小高い丘があって、時折通り抜ける風が心地良い。

 我々運営はここを実験室以外にこう呼んでいる。

 

「WIndowsXP空間──……!」

「ああ、何か既視感あると思ったら」

「XPって……俺の爺さん世代だよ。いやもっとか?」

 

 う、ぐ。

 いや負けない。ジェネギャなんかに負けない。

 

「気を取り直して。問いをするけれど、君達は『Vesi』ってことでいいんだよね」

「おや、その名を知る者でしたか。となると……今の転移能力も含めて、もしやアナタは運営の誰か、ですか?」

「うん、そうだよ」

「フ……これはこれは。いるいない論争に始まり、いるとしてもプレイヤーの中ではないとか、もっと超常的な存在の可能性があるとか色々言われてきましたが……やはりただの人間なのですね。運営権限で好き勝手をしているだけの」

「さぁ、どうだろう。神と呼ばれるモノに近しい存在かもしれないし、悪魔のように君達を陥れることだけを考えているかもしれない。あるいは天使のようにただ神の尖兵としてあるだけのものやもしれないね」

「少なくとも悪と思しきものからお友達を逃がす程度には人間でしょう?」

「悪の自覚なんてあるの? これはイタいね。『Vesi』はもしや、そういうイタい奴らの集まりなのかな」

 

 見逃さない。今の一言でエリングドの口角が少し下がったことを。

 ……忠誠心、信仰心の高いタイプか。

 

「『Vesi』。水を意味する言葉。君達が利用するだけ利用して捨てたこの世界の普遍的意思はこの名を"万物から垣根を失くすためのもの"と認識していたけれど、君達にとっては少し違うらしい。自身の欲を、飢えを満たすためのもの。そっちの君……sinohumiだったら性欲かな。エリングド、君は好奇心?」

「ガキが。性欲なんて下劣なものと一緒にすんな。俺のこれは愛だよ。ガキにはわかんねーだろうが」

「その愛情対象を別の形にして血を抜き、棺桶の各地に捨てているのがエリングドだということは知っているんだよね、当然」

「ああそりゃな。俺の手を離れちまったマイハニーなんざマイハニー足り得ん。その後どう使われようが知ったこっちゃない」

「なるほど、倒錯的だけど自分の中にちゃんとした理論があるタイプか。けど君、あの時はハプバー……半ばモーテルみたいな場所にいただろう。それはなぜだったんだ?」

「あ? ……なんざ良く知ってるアピールがうぜぇな。で、あー、あん時はマイハニーと出会ってなかったからな。というより出会わせてくれるって聞いたから俺は身を捧げたんだよ。よくわかんねー儀式と儀式の言葉まで暗記して。ま、その価値はあったさ。オカルトなんざくだらねぇが、実力はあったってこった」

 

 儀式。成程、そう認識しているのか。

 なら、そうだな。

 

「ソレ。──生きられるようにしてあげようか」

「……なに?」

「彼女らはまだ物言わぬ人形だ。眠っている。だが、我々にはそういったものに生を与える力がある。亡霊を中にいれた紛い物ではなく、それそのものとして発生する自我を」

「戯言ですよ、sinohumi。耳を貸さずとも結構」

「うるせぇ、聞かねえかどうかは俺が決める。……そいつの性格はどうなる。どういう性格になる」

「それは君の育て方次第だな。生まれたばかりの赤子がどういう性格か、なんて我々も知らないし。こういう性格であれと定められた存在なんて、本当に人と呼べるのか怪しいだろう」

 

 sinohumiは。

 ……クツクツと笑い始める。

 

「おいおい、どういうことだ。どうしたこったよ。怪しげなカルト集団より不俱戴天の仇の方が人間に理解があると来た。──そうさ、そうだ。覚えているよなエリングド。理想のカラダの女を見せられて、そいつが喋っているのを聞いて、俺がそいつを殺したことを。前に俺が話していた理想のタイプを覚えていたんだろう? だからそういう性格にした。そういう性格で固めちまった。ク……あんまりにも気持ち悪ぃ肉人形。人間じゃない何かだった」

「……ありましたね、そんなことも」

「なぁおい、運営ってのは敵だろう。のべ一万人を殺害した殺戮者。人の心なんてない冷血集団。それが運営だったろう──ええ、どうしたよ。お前らが俺の造形技術を欲しがって、その技術の代価として寄越したもの以上のものがあいつらから提供されるってんなら、俺はよろこんであっちにつくが──どうだよ、オイ」

 

 なる、ほど?

 技術者……造形技術、キャラメイクが上手いのではなく……もしやスカルプトモデリングの得意なタイプか?

 ……あの事件で狙われた人の中で、彼だけが関連性を見出せない立ち位置にいたけれど……ターゲットの条件は技術者か? アカラはあれでいて保全クエストに造形が深い。私が彼女に石炭の納品を行っているのは彼女がそのあたりの第一人者だから。チェスカは言わずもがなだし、ケッセウスは……なんかセミナーとかやってるらしいから多分それ系。

 私は……そうか、蒸気人形(スチームマタ)の方か。

 

 技術がある者を餌で釣って、自分たちに取り込もうとしていた?

 

「勿論構いませんが、あちらがハッタリである可能性も」

「んなもん考慮しねえよ。いいか、大人を作るのは簡単なんだ。価値観も世界観も凝り固まった、パターンの掴みやすいAI()してっからな。だが、赤子を作るのは真にムズい。予測不可能な価値観という法則……法則性のない規則を作ることが如何に難しいか。お前らは終ぞわからないまま話を進めたな」

「……至らぬ点があったのならば申し訳ありませんが、アナタの欲したものはすべて与えていたと思いますがね」

「エンジニアなら顧客のニーズをしっかり想像できないとダメだよ。顧客は欲しいを形にも言葉にもできないんだから」

「おおっと、客商売の面でもあっちが上と来た。──あんた。あんたらの出す沙汰ってもんは受け入れる。殺されねえのなら……俺が俺としての自我を保てるのなら、どんなことも受けるしやってやる。必要とあらば俺の知る限りのこいつらの内部事情、」

 

 エリングドから伸びる触肢のようなもの。それがsinohumiに届く前に止める。エリングドそのものを。

 

「おっと……ヒュウ、助かったぜ」

「望み通り、沙汰は追って言い渡す。そして君の吐く情報の対価として、君の望むものを与えよう。肉の素材も、魂の苗も、精神の地平も。──この契約は?」

「成立だ、マイロード」

 

 調子に乗らせるだけかもしれない。が、それを含めて価値のある取引だ。

 こちらに従順な捕虜と、反抗的な捕虜。どちらも手に入ったとなれば、最早。

 

「ああそうだ、一つ、先払いで言っておく。俺のマイハニーを使った再造形死体のことだ」

「受け取ろう」

「あんたが考えている通り、あれらは俺の作ったマイハニーが基になっている。それをクリーチャーに変質し直して、時間制限付きで元に戻るよう細工をしたものがほとんどだ。だが、首に噛み痕があって、全身の血を抜かれた死体。アレはもう一工程挟まっている」

 

 私の中で乱立する"可能性"と傾聴の心。

 続きを促す。

 

「俺達……っつーとおかしいな。『Vesi』に対立煽りの意思はない。欲しかったのは血液の方なんだよ。死体は最初の頃はポイ捨てしただけ、途中からはエリングドの悪意で捨てられていた。──模造の死体でも、血液は人間大に取れる。今の吸血鬼は()と呼ばれる"家畜用人間"の血を殺さない程度に飲んで回復させる、というのを繰り返しているらしいが、どうしてもそれに飽いてしまった吸血鬼がいたとしたら」

「……殺すまで血を飲み干したい。その方が充足を得られるから」

「そうさ。なんだ、神ってのは吸血鬼心までわかんのか? とまぁそういうやつに対し、俺のマイハニーで作った死体ってのは使い勝手が良かったらしい。『Vesi』はエリングドを始めとした幾人かのプレイヤーモドキを使って吸血鬼たちと交渉を始めた。──容姿を見たわけじゃなかったから気付かなかったが、口調的にあんた公爵に突っぱねられたって詐欺師だってやつだろ。そりゃ交渉は失敗するし、夢遊病と聞いてあの公爵サマが怒り出すのも当然だよ、『Vesi』の方が先に交渉していて、且つ他の吸血鬼がどうなるかまでアイツは知っていたんだから」

 

 ああ……そういうことか。

 強大種族だから、不快だ、は。

 ポーズか。

 

「吸血鬼に知り合いがいるなら早く公爵サマをどうにかした方が良いぜ。乳臭ぇガキみてぇな言動をしているが、アイツはアイツで腹になに抱えてんのかわかんねえ曲者だ。んでもって他の吸血鬼を道具にしか思っていない。いや、他の生物を、か」

「問題ない。吸血鬼に知り合いはいるが、彼らが死のうが洗脳されようが乗っ取られようが、我々には関係のないことだ。この種族間戦争により多くが死のうが生きようが、この棺桶から吸血鬼という種族がいなくなろうが──我々は等しくを愛し、等しくを眺めるとも」

「いいねぇ、ちゃんと神様だ。邪神に近い気もするが」

 

 別に神ではないけれど、いちいち訂正するのも面倒臭いし。

 この『Rauta』に神は発生していないから、まぁ、実質、みたいなところあるし。

 

「"カルアルン、龍門に実験室のコピーを作ってそこで待っているように伝えて"」

「"あいよ。チェスカちゃんたちは今一団クランに着いたところだぜ"」

「"ありがと"」

「"うわ素直"」

 

 それでは、と。

 

「一度君を眠らせる。次に目が覚めた時、君の目の前には少し強面の男が立っている。そいつは君と同系統の技術を有し、且つ我々の一人だ。要望もスランプも彼に言えばすべて解決するし、君の様子次第では解決しないことを選ぶだろう。──受け入れるか?」

「無論だ。また会おうぜ、新雪の女神よ」

 

 ──じゃああとは任せたよキャラクターデザイナー一門。

 必要ならクリーチャーデザイナー一門も駆り出していいからね。

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