Rauta   作:Ubiquintetous / 五劫偏在

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威張りちらかす1191日目

 地獄が完成した。

 正式名称は冥底(めいてい)。マップデザイナー一門による渾身の「変えない、っていう方が……怖いかと思いまして、作ってたマップ破棄しやした」により『Rauta』の生者界をそのまま使うことの決定した地獄。

 マップは同じなのに人がいない。NPCがいない。そして獄卒や冥底特有の生物が闊歩している……そんな場所。

 生者界には実装されなかったカルマ値はここに導入された。即ち極限状態での善行や悪行にこそ真の人間性が出るだろう論。蜘蛛の糸よろしく他者を蹴落とすような行為をすれば悪行値が溜まる、誰かを救うような行為をすれば善行値が溜まる。結果としてそれらが審判にどう影響するかは……まぁお楽しみで。

 これにより、今いる亡霊以外の全てはここに収容されることとなる。今いるものをどうかすると色々な部分で支障が出るため放置。彼らは亡霊という一種族だ。希少種族になるかな。今後滅多なことでは増えないわけだし。

 冥底の設置より先で人死にがあれば、その精神は全て冥底に収容される。魂は別のひとが使うでしょう。

 

 天国は作らないのか、という意見が再三上がっているけど、別に輪廻転生の仕組みは冥底で完結するんだから要らなくない? 良いことをした精神はいち早くこの世界に戻ってこられます! でよくない?

 この世界がつらすぎるから浄土に抜けちゃいたいYOというご意見はごもっともにございます。先抜けは許しません。

 

 アカシックレコードの方ももうすぐ出来上がりそうなんだけど、検索することができてしまったケースのインターフェースをどうしようかなと考えていたら、sinohumiに案があるのだとか。デフォルメ美少女とかはやめてって伝えてあるから大丈夫だとは思うけど、何が上がってくるのやら。

 ちなみに無理矢理情報流し込んで頭パンクしなかったらラッキー☆ システムは五十一パーセント反対四十九パーセント賛成の僅差で無かったことになった。徒に命を散らすなってさ。はーい。

 

 そんな感じで進めた裏事業はそこまでに、表舞台は結構大きく動いていたり。

 まず、吸血鬼が痺れを切らした……というより、痺れを切らした公爵サマと、「自分たちは上層が欲しいわけじゃないしヒト種と敵対する意思もない!」って公爵サマから離反した侯爵以下の吸血鬼の痺れが切れた次第。

 やっぱり下層のお店ほとんど使えない、は厳しかったらしい。吸血鬼は貴族を謳ったせいでほとんどが働いていないからね。やるとしても冒険クエストばかりで、それもヒト種側への妨害をするあまり自分たちも納品物を持ち帰ることができないという無様。

 さらにエリングド……というかsinohumiがいなくなったのは痛かったのか、「殺してしまうほどにまで血液を吸っていい人間」を求め、下層の血液販売所を襲撃する吸血鬼が出たとか。無論そいつは敢えなく捕まったのだけど、その捕まった吸血鬼が公爵サマの悪行をポロってしまったのが運の尽き。

 彼の孤立がさらにさらにと深まる結果に。

 それでも公爵サマは一貫した態度を取り続けている。チュノスケ曰く、「あんなの放っておいてこちらはこちらで仲良くしやしょう」ってムードが他吸血鬼と獣族とで出ているのだとか。それでも一切を省みずに断固として宣戦布告を取り下げない公爵サマ。

 

 運営の中でもあの態度には何か隠し玉がある説が広がっている……が、一度関らないと決めた以上は関らないし、不用意に接触しようとするやつがいればしょっぴくまでする。そいつはあのシュミテットリスズの仲間の可能性が高いからね。

 

 近況報告はこんな感じだ。これらに対して私がなにかをするということはないし、誰かの相談に乗るということもない。平坦で平穏な日々。

 

 ……に、多少のスパイスがあるとすれば。

 

「成程……いや、面白いですね。いち商人プレイヤーとしては……中々考えさせられる話です」

「全体を考えて動く、というのは難しい話でしょうから、普段は気にせずともいいですよ」

「いえいえ……」

 

 ケッセウスとシハネ。

 なーんでかこの二人が、なーんでかウチに来て、なーんでか経済のお勉強をしていたとさ。

 なんでなん?

 

 

「一般に経済圏を考える場合に多く使われる基本の関係式として、MV = PQというものがあります。通貨供給量(Money Supply)通貨流通速度(Velocity)物価(Price Level)取引量(Quantity of Transactions)。これらは、たとえば"通貨供給量を増やし過ぎると、取引量が一定である場合、物価が上がる"……インフレが起きる、という予測などに使える式です」

「地球にいた頃は経済を習ってはいませんでしたが……理解はできます」

「ただし、この『Rauta』は少々特殊なんです。現地民の市場がほとんど固定されていますよね。店の在庫が安定していて、価格が変わることはない。質も量も充分で、且つ現地民の消費行動はほとんど見えない。そういう"動かない市場"ではこの式が使い難い。そこで、簡単な式としてΔM=I+(P-C)-Fというものを立てました」

「通貨の変化量=新規発行所得+(NPCへの売却収入-NPCからの購入支出)-回収量……成程、わかりやすい」

 

 なぜか持ち込まれた「家具:ホワイトボード」にシハネが文字を書き込む形で、そしてケッセウスがそれをノート(という名のお絵描きツール)にまとめることで「授業」が進んでいく。

 

「また、資産という意味ではΔW=ΔM+ΔVが使えるでしょう。ΔVはアイテムそのものの価値です」

「ふむふむ」

「次に、インフレ圧力についての考え方ですが──」

「ちょい待ち」

 

 繰り返されたやりとりだけど、やっぱりもう一度言ってみる。

 

「それさ、一団クランの一室とか、セミナーのなんか会場とかさ、そういうとこでやんない?」

「授業中の私語は慎むように。さて、インフレ圧力はもっと簡単な式です。Φ=$\frac{I+P}{C+F}$。文字置きは先程と同じで、Φが一よりも大きい場合はプレイヤーの手元の通貨が蓄積されていく状態、同じであれば蓄積も市場も崩れない状態。これは理想形の一つではありますが、多くのプレイヤーにとっては稼ぎがない状態と誤認させるでしょうね。そして一よりも低い場合は枯渇です。武器や装備の修繕費が払えなくなり、アイテム代、日々の食事代なども賄えなくなっていきます。……雪姫様に紹介していただいた現地民の貨幣官という方曰く、そうならないよう調整しているとのことでしたが……果たしてどこまで信用できるか」

 

 信用してあげなよ。上層だとNPCが信用し難いのはわかるけどさ。

 

「その現地民は固定以外のセリフを喋るのですか?」

「僕の問いに対し、パターン化されたそれを答えているだけかもしれませんが、街で見かける彼らよりかは理性的な……知性的な会話ができましたよ。通貨価値の希薄化やコンテンツの陳腐化にまで答えてくれましたし。一瞬中身人なんじゃないかと疑いましたが、世間話には"すまないが、他を当たってくれ"しか返ってきませんでした」

「……人に見紛う現地民、ですか」

 

 視線。一応、シハネにわからないくらい小さく顔を振っておく。あの貨幣官は本当にNPCだよ。

 

「それと、その貨幣官から面白い話を聞きましたね。プレイヤー……彼は移住者と呼んでいましたが、それらが市場に与える負荷の話でした。α=q/Q。市場負荷=移住者の供給量/現地民の基準供給量。αが一よりも少ない時は市場負荷が安定している状態と言えますが、小さい場合は移住者が素材を過剰に卸しすぎている時であると」

「理解はできますが……それのどこに面白みを感じたのか教えていただきたいです」

「つまりですね、その貨幣官は"現地民とは巨大な消費の穴である"と言ったのですよ。僕たちが彼らに対してアイテムを売る行為は、それを虚空に消してセリンを得ているのではなく、現地民がしっかり消費していて、その代価にセリンを出しているだけだ、と」

「……現地民にも社会構造が存在し、私達が知らないだけで、この棺桶内を巨万の富や無数の素材群が泳いでいる、と?」

「勿論システム上のことをフレーバーテキストとして言っただけなのかもしれませんがね」

「いえ……聞いた話で申し訳ありませんが、下層ではプレイヤーの芸に対してセリンを投げる現地民がいるそうです。もしかしたら、ということはあるのかもしれません」

 

 へえ。彼ら、娯楽を学習できたんだ。

 我々がここを一度去る時は欠片もって顔だったのに。

 

 ちゃんと前に進んでいるんだ。……少し嬉しいかもね、それ。

 

「良い話ですね。雪姫様、あなたは何かそういう話、ありませんか?」

「ええ、そこで私に振るの? ……うーん。経済の話かぁ。……あー、前に【稼がれない互助会】に話を聞きにいったことあってさ。あそこって要は自分の持っているスキルと稼ぎが直結しないようなプレイヤーに対して仕事を斡旋する組織……というか組合? で、だけどやっぱりモラハザしちゃうやつはいるんだって」

「モラハザ?」

「モラルハザードですよ。真面目に稼ぐより救済を受けた方が得だ、って考えてしまうプレイヤー」

「ああ……」

「そういうのにはまず店売り……NPC売りできない装備やアイテムを与えて送り出すし、店側にもそうするよう頼むんだって。労基なんかないからね、賃金は現物支給でオッケーなわけだ。で、その話の時に出たんだけどさ、そういうモラハザ起こして破産を繰り返しているやつがふとNPCの店でなんか買おうとした時、買わせてもらえない、が発生したらしいんだよ」

「買わせてもらえない……ですか?」

「そ。まだ要検証の段階を出ないし、そうなったケースがかなり少ないからなんとも言えないけど、もしかしたらNPCにおける信頼度……信用値みたいなのがあるのかもね、って」

 

 ちなみに運営から言わせてもらうと、「そんなもの(システム)作った覚えはないけれど、別にやるならNPC(彼ら)の勝手だし、いいんじゃない?」だ。

 先程世間話を振ったら固定台詞しか返ってこなくなったと言っていたけれど、「想定されていない役割の事柄に対しては規定の"あしらい文章"で返そう」と決めているのは彼ら自身。我々運営はあくまでゲーム時代に「お手本」を見せていただけだからね。

 

「是非とも詳しいお話を伺いたいところですね……」

「ごめん、そのプレイヤーが誰か、っていうのは流石に忘れた。まぁ【稼がれない互助会】に聞けば誰か知ってるでしょ」

「はい。後日お話を伺いにいくつもりです」

 

 それと、とシハネが話を繋げる。

 

「先日雪姫様が仰っていたブラックマーケット。これの存在も確認できましたよ」

「え、ホント? ほとんど眉唾だったのに」

「開催時期などの法則性は全く不明ですが、開催自体はされているのが確認できました。売られているものは通常市場に出てこないアイテムから人間まで様々。時勢の件で仲良くなった吸血鬼の方から話を伺っての発見に至ったのですが、下層ですらドロップアウトしてしまった人間の最終的に行き着く先が隷属……吸血鬼に飼われて血液を生成するための家畜になること、なのだそうで。それでブラックマーケットに人間が出てくる、と」

「あ……成程、後方車両は後方車両でも、下層だったわけだ」

「はい。ケッセウスさんと雪姫様を信用していないわけではないのですが、安全上の都合で詳細な場所はお教えできません。申し訳ありませんが」

「いえいえ、問題ありませんよ」

「私もー。別に行かないし」

 

 デスゲーム化前は普通に上層にあったけど……利便性を隠匿したさが上回ったかな。

 

 あるいはシハネが知らないだけで摘発があった、とかね。

 

「それで……そうだ、これは注意喚起でもあるのですが、ブラックマーケットには"消印"という名前で高額商品を出すプレイヤーがいたとかで。ただそのプレイヤーが出すアイテムは八割がたフェイク。似た名前のアイテムであったり、耐久値が削れに削れたアイテムだったり、改造され過ぎていてバイヤーには使えない代物だったりと様々。そういう詐欺師がいたんだそうです。最近はめっきり見なくなったとのことですが、やはり水面下にいただけで、悪いことを考えるプレイヤーは昔からいた、という話ですね」

「……ええ、気を付けます」

 

 消印。ケスしるしか。そんなわかりやすい名前を使うなんて、()のケッセウスはスリルを楽しむタイプだったのかな。

 今の彼は堅実に生きているようだから関係はないけれど。

 

 ……で。

 

「そろそろ話も終わったでしょ。帰ってくれると嬉しいんだけど」

「……失礼、ケッセウスさんとの話が弾みに弾んで脱線してしまいましたが……実は、雪姫様に折り入っての頼みがありまして」

「頼みィ? 私はもう疑われたり邪険にされたりが面倒だから推理とかの依頼は受けないよ」

「……」

「シハネ殿。黙っていては話が進みません。ここは私が話しても構いませんか?」

「……お願いします」

 

 では、と。

 

「直球で言いましょう。まさに推理の依頼です。が、大部分は私が終えています。あなたに頼みたいのはそれが可能であるかの判断の部分。今までゲームシステム理解度チェックのような推理で犯人を当ててきたあなたであれば、此度の状況も判断できるかと思い、訊ねに来た次第です」

「その……中層でまた事件が起きまして。丁度近くにいたケッセウスさんが粗方の推理はしてくれたのですが、要検証の域を出ない、とのことで……その検証が少々命の関わる類のもので、できれば知っている人に聞いて済ませたい、となった時、ケッセウスさんが雪姫様の名前を挙げたので、ここへ、と」

「しかし、シハネ殿はあなたのご友人。探偵依頼は受けないと言っているあなたにそれを言うのはどうかと踏み止まってしまい、解決のしたさと友人想いでせめぎ合った結果の授業、ということです」

「うん全然意味わかんないけど。……まーいーよ。これの解決の功績をケッセウスにしてくれるなら、相談くらい乗ってあげる。全く、変なところで気を遣うよねシハネって」

「う……。申し訳ありません……」

 

 要はシステム的に可能かどうかの判断を仰ぎたいってことね。はいはい聞きますよっと。

 

「事件は工房街で起きました。ある職人がいつもより二時間ほど遅い時間に起床し、慌てて工房のシャッターを開いたところ、その眼前に死体が落ちてきた、という事件。被害者は男性。ただしそれ以上の情報のないまま消えてしまったとのこと。当初はシャッターを開けた振動で屋根に乗っていた死体が落ちてきたのではないかと言われていましたが、マイハウスに備わっているシャッターは振動を家に伝えませんよね。だからそれは違うと判断しました」

 

 ふむ。

 

「続けて?」

「はい。また、そのマイハウスの屋根は平坦型であり、死体の重みで落ちてきた説や氷ついていたものが融けて落ちてきた、という説も消えます。ではこの死体はどのようにして落ちてきたのか。向かいの家の屋根からそれが落ちてきたものだという声もありましたが、これはその職人が否定しました。それなら角度でわかる、と。明らかに垂直方向から落ちてきた死体。ですが、それが落ちてきた時、屋根上をすぐ確認したというのに誰もいなかった、との話。これを受け、私は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という推理を出しました」

「……そうだね、それが一番だ。凍らせるなんかよりも確実に繋ぎとめておけるし、トリックの証拠も残らない」

「はい」

 

 姫抱きの状態でプレイヤーの瀕死体を持っていた別プレイヤーがシャッターの開くと同時に死に絶え、消えた。そうすれば死体だけが落ちるし、何の証拠も残らない。足跡についてはフィールドには残るけどマイハウスの屋根には残らない仕様がある。正確には「一定の積雪しかしない」だけど。

 

「可能かどうかで言えば可能だよ。PVP禁止エリアでの死だけど、その辺の雪でも食べていればdotダメージで簡単に死ねるだろうしね」

「しかし、タイミングがシビアすぎることと、やる意味がわからない。この二つですか、引っかかっているのは」

「まぁね。検証が危険というのは、瀕死状態でも他のプレイヤーを持っていられるか、という検証のこと?」

「はい」

「それも可能のはず。ただゲーム時代はどんどん力が無くなっていくとかって聞いたから、持っていたというより引っかかっていた、が正しいかも知れない」

「……そのですね。今挙げたのが私が最初に思いついた短絡的な推理です。このタイミングのシビアさとやる意味の無さの方からアプローチした推理があるのですが、そちらも可能かどうかお聞きしたい」

 

 ケッセウスは人差し指を立てて、神妙な面持ちで言葉を吐く。

 

「棺桶の煙突から投げ捨てたとしたら、どうでしょうか」

「……仮に。投げ捨てたやつが投擲系のスキルを使っていた場合を考える。シハネ、煙突の高さはデータある? 無ければ今から三角測量するけど」

「既に過去やっているプレイヤーがいますよ。……ありました。スクショと計算式付きで、約五百四十メートル、だそうです」

「五百四十……とすると、滞空時間がt=$\sqrt{\frac{2h}{g}}$で、大体十秒ちょい。急いで投擲系のスキルで投げ捨てたとしても準備から発射までに五秒使う。かなりカツカツに思えるなー」

「消えてよかったのでは? まるで作為的に寝坊した職人の前に死体が落ちてきたために狙いすましたかのように見えますが、本来犯人は消えてくれてよくて、だから発見されたのは予定外だった、ということは」

「だったら街中に捨てないよ。普通に列車外に捨てるでしょ」

 

 目撃させるために街中へ放り捨てた可能性が高い。が、煙突から投げ捨てた、という推理は……結構良い線行っている気がする。冷却塔だけどね実は。

 何より。

 

「検証したことないからわかんないけど、多分あの煙塔のあたりはフィールド外だ。PVP禁止エリア外なんだと思う」

「成程……だから街中に死体を捨てることができた、と」

「投擲系のスキルによる投擲は、投擲する物体の重さに関係なく初速十メートル毎秒。つまり百五メートルくらい水平方向へ移動している。シハネ」

「既にメールしています。工房街と煙突までの距離を測るように、と」

「ま、目算でもそれくらいな気はするけどね。……とにかく、煙塔から投げたって説は結構良い案だと思う。どんだけ高くから落下してもプレイヤーの死体はバラバラにはならないだろうし。結局ホワイダニットからは逃れられないけど」

 

 ホワイダニット。

 なぜ犯行が行われたのか、だ。

 

「……あんまりよろしくないけど、次の事件待ち、になっちゃうかな。ああただ気を付けて。犯人の狙いは"みんなの警戒を空に向けること"かもしれないからね」

「成程、降ってくるものを警戒するあまり、ですか。それはありそうです」

「私は……他のプレイヤーたちにあの塔への昇り方を知らないか聞いてみましょうか。もしかしたら誰か知っているかもしれませんし。そういう方面には何かと顔が広いのでね」

「ご協力感謝いたします」

 

 ──当然ながら。

 それが第一の事件となることなど、その場の全員にある予感だったと言えるだろう。

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