Rauta   作:Ubiquintetous / 五劫偏在

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間違うはうばうの1200日目

 上層の中心には「時計の公園」と呼ばれ親しまれる公園がある。

 公園内にあるものは時計、噴水、ベンチの三つだけ。その他はだだっ広いだけの公園だ。

 一応噴水はこの棺桶の水循環システムの出来の良さを、そして時計は蒸気式にすることでスチームパンク感を醸し出している……とのことだが、あんまりそういう裏事情が気にならない、ということも相俟ってこの公園は人気だった。

 

 ふぅ、と一息を吐きながらカップのコーヒーを飲んでいる紳士がいる。

 彼の名はケッセウス。色々あったけど色々頑張って動いていたら、色々あってなんか「横島中身」と「総団長」の共犯者にされた──しがないレンタル屋のお兄さんだ。

 最近の彼はよくここに来る。お気に入りのカフェに実は「横島中身」の仲間の魔の手が伸びていて気が休まらなくなったとかそういうわけではなく、ゆったりとした時間を楽しみにここへやってくるのだ。

 そう設定されているから──と言ってしまえば身も蓋も無いが、この公園へは雪が積もらない。それも穏やかな時間への一助となっている。

 

 時刻は午前七時。

 至福の一杯を口で転がしたケッセウスは、ジョギングをしている数人のプレイヤーを視界に入れた。

 ジョギング。『Rauta』は元々ゲームであるから、ステータスは上げてしまえば上がったきり。いくら自堕落な生活を送ったとしてもSTRがあれば筋力は落ちないし、STMがあれば持久力も下がらない。

 だからジョギングや筋トレといった行為は無駄であるとするプレイヤーも多くいる。

 

「筋肉を動かすこと、体力を使うことにこそ意味があるのですがね……」

 

 これは新たに生を受けたケッセウスだからこそ言えることかもしれない。

 どれほど落ちないと言っても、使われていない筋肉は悲鳴を上げる。消費されない体力は不満を上げる。

 使われて真価を発揮するものは、使わなければ腐っていく。

 

 営業のために足を使う。経営のために店頭に立つ。冒険をして剣を振るい、保全を行って脳を動かす。

 人間……否、生命活動とはそういうことだと彼は考えている。

 

 ふと。そんな風にたそがれていたケッセウスの耳に、心地のよい弦の音が迷い込んできた。

 不安定な音ではないが、何かの曲を練習中なのか、旋律は無いように感じられる音。

 彼が首をごろんと後ろにやって音の発生源を探せば、そこに。

 公園の、かなり隅っこの方にその少女はいた。エルフ耳の少女。いや、少女というのはキャラメイクで作ることができないので女性と表現すべきなのだけど、一生懸命であるさまや時折見せるわたわたした感じが如何にもあどけない……ゆえの少女。

 たくさんのプレイヤーと交流のあるケッセウスをして見たことのないプレイヤーだけど、あくまで彼に関わりがあるのは一両目にいるプレイヤーだけ。二両目以降に住まうプレイヤーとはどうやっても接触回数が減る。彼女もそんな中の一人なのだろうと勝手なタグ付けをした……ところで、頭に血が昇ってきた感じがして元の姿勢に戻るケッセウス。

 実際頭に血は昇らないけど、地球だった頃の名残りで「そんな感じがする」のだ。「横島中身」は幻肢痛のようなものと言っていたか。

 

 さて、姿勢を戻したケッセウスの目にあるものが映る。

 それはジョギングをしていたプレイヤーのうちの一人。実は元亡霊の同胞な男性プレイヤーが──大仰な身振りによる人文字で、こう伝えてきていた。

 

「"ス・ケ・ベ"……やかましいですよ」

 

 わざわざ解析に使った脳の力を返してほしいと切実に思ったとか。

 

 カップの中のコーヒーが無くなった頃合い。黒水を飲み干したカップをインベントリにしまい、席を立とうとしたケッセウスは……何やら困り顔でインターフェースを操作しているらしい少女を目にする。

 今どき物理タッチでのスワイプやらキー入力は珍しいな、なんて感じつつも、ここで出会ったが何かの縁。彼は声をかけることにした。

 

「失礼、お嬢さん。何かお困りでしょうか」

「へっ……あ、い、いえ。だい、大丈夫です!」

「そう仰らずに。怪しく、そして押し付けに聞こえるかもしれませんが。私はこれでもそこそこに名の売れたプレイヤーでしてね。悪事を働けばすべての信用を失うため、清廉潔白を余儀なくされています。ご安心ください」

「い、いえ、疑ってるわけ、じゃ……」

 

 嫌な感じのない動作で隣に座るケッセウス。ただ、少女の方が男性慣れしていないのか──人慣れしていないのか──かなり緊張しているように見受けられた。

 

「ふむ。これ以上は心肺に負担がかかりますね。では改めて、私はケッセウスというプレイヤーです。よろしければ、フレンド交換をしていただけませんか、お嬢さん」

「ぁ……ははは、はい! あ、でもその、私、ふ……フレンド交換、初めて、で……」

「大丈夫、しっかりお教えしますよ」

 

 教えながら。

 フレンド交換のやり方を知らないプレイヤーなど、本当にいるのだなぁ、なんて感想を抱くケッセウス。

 サービス開始から二年。乱立するVRMMOの中に現れた、別に超新星感があったわけでもないゲーム。それが『Rauta』だった。ただスチームパンクが好きだから、という理由でプレイを始めて……と。

 ──これは『ケッセウス』の記憶ですね、なんて一瞬の乖離を起こす。

 とにかく、そこから……クリスマス直前アプデがあって、この世界はデスゲーム化した。いや、「横島中身」の言葉を正しく読み取るのであれば、のべ一万人を引き連れて『Rauta』の世界に移住した、というべきか。

 そこから三年間。当然だけど、その三年間に新規プレイヤーは入ってこない。今を生きるプレイヤーは全員が「最低三年以上はプレイをしているプレイヤー」になる。

 だから、初心者というものは滅多に生まれない……のだけど、そういえば往年のさんなどがまさにその例でしたね、と再度思い直した。

 

 ややあって、フレンド交換が成る。

 プレイヤー名は。

 

「ウネルマさん……で、よろしいですか?」

「は、はいっ! ウネルマといいます……」

 

 一瞬。()()()()()()()ケッセウスの思考が再度そちらへ引っ張られる。

 フィンランド語なのだ。Unelma……夢を表す単語。『Rauta』と『Vesi』というケッセウスの頭悩ませ巨頭二単語と同じ言語である、というのは……関連性を見出すべきではないと思いながらも、考えざるを得ないのが彼の頭である。

 さらにフレンド交換が初めてである、という事実も悪さをする。なにせ人間初心者の前例が身内にいるのだ。

 よって彼は、何も無ければそれでいい、という考えのもと、彼女についてを「横島中身」へ報告することにした。

 

「ウネルマさん。私は午前七時から三十分の間はここにいます。また……相談する決心などつきましたら、お声がけください。そうでなくとも私はあなたの……バイオリン、でしょうか。その音を聞きたくて声をかけてしまうかもしれませんが、お許しください」

「あ……は、はい。ありがとうございます……ぅ?」

「それでは」

 

 立ち去る。普通にこの後予定があるからではあるが、思いのほか早く返ってきた「横島中身」のメールを読むためでもあった。

 

「拝啓クソキザ男くん

 ビンゴだね。その子変質プレイヤーっていうか多分だけど"新規に作り出されたプレイヤー"且つ"中身がある"っていう新事例だ。おめでとうおめでとう。ただし我々はもう『Vesi』を敵視しないことにしている。PVP禁止エリア解除なんかのルールに対するクラッキングは対処するけど、『Vesi』の個人個人までは見ない方針だから、その子をどうするかは君次第。危険因子と判断したのなら私が手ずから消去もしてやるけど、そうではないと判断したのなら仲良くするも良し。君の裁量に任せるよ。

五劫偏在より」

 

 そのメールを読んだ瞬間、微かな頭痛がケッセウスに入る。これには覚えがあった。以前「五劫偏在」を「五劫偏在」と書き表そうとした時に現れた……と。

 

「……成程、全て統一されましたか。五劫……確か仏教の時間の単位でしたか? 北欧神話に即するわけでもないのですね」

 

 呟き零すは愚痴であるが、まぁ聞く者などいない。

 蒸気時計が午前七時半を伝える蒸気を吐き出した。これを受け、今考えていても仕方のない事柄を全て保留タスクとし、ケッセウスは本日一件目の現場へ向かうのだった。

 

 

 翌朝。いつも通りの午前七時にコーヒーを呷るケッセウス。

 とはいえ彼が日課としてここに来たとて、彼女も来るという確証はない。なんせ一昨日まではいなかったのだし。

 加えて「五劫偏在」が彼女を「視た」というのなら、何か気取られていてもおかしくはない。良い演奏だったのですがね、なんて惜しい気持ちに浸っていたケッセウス。しかし、その耳に再び弦の音が迷い込んできて、だからそちらをゆっくり見遣った。

 そこには昨日となんら変わらぬ姿で弦楽器を演奏するウネルマの姿が。彼女は目を閉じ、外界からの刺激の一切を遮断した状態で音を奏でている。

 

 しばらく、その時間が続く。

 曲になっていない音と、少女と、彼だけの時間。

 

 ふと。恐らく何の気はなしに、なのだろう。少女が目を開いた。

 当然その視界には彼が入る。なぜかしたり顔で頷く彼の姿が。瞬間、音がブレた。

 

「あ……ぁ、いや、いえ、その……」

「む、申し訳ないですね。邪魔をしてしまいましたか?」

「いぃぃいい、いえ……」

「であれば、続けてください。私はその音が好きです」

「は……はい……」

 

 なお、これは本当に余談であるのだが、ケッセウスの顔は「かなりの美形」である。キャラメイクされたアバターしかいないのだから当然と思う勿れ、自由度の高さゆえに「崩れている」と表現されがちな昨今の至難キャラメイクの中で、ケッセウス──勿論元のだが──のキャラメイクは非常に自然で且つイケメンだ。

 もし彼女に真っ当な美醜観が備わっているとするのなら、彼に見つめられるのは結構な羞恥を煽る可能性が高い。

 無論、彼自身はその自覚がない。元のケッセウスにあったのかは定かではないけれど、彼はこの顔に対して「元詐欺師」くらいの印象しかないのだから。

 

 とにかく、ケッセウスは彼女を安心させようとして笑いかけた。彼の中に「ウネルマは『Vesi』の一員である」だとか、「彼女の生死は自身が握っている」だとかの考えはない。ただ続きを聞きたくて、そう笑いかけて──ぼふっ、と。彼女の羞恥を爆発させるに終わる。

 続けて彼の目に入るのは数通のメール。中身を見るまでもなく、件名が「【悲報】ケス兄乙女心理解せず【……」とか「いや鈍感主人公かっ……」とか「頑張れ長男の恋路……」とか「応援してるよっ」とか。

 彼はこれからくるメールの一切を読まないことを決めた。

 

「ぁ……あの、お願いが、あって……」

「はい、なんでしょうか」

「演奏は……しますっ。だから、む、向こうを見ていてくださいましぇんか……?」

 

 そこまで言われては流石のケッセウスとて承知せざるを得ない。彼は決して乙女心がわからないわけではないし、単純にそう願われてはそれを叶えようとする性格であるからだ。

 他所を向く。それと同時に再開される演奏。

 いや、やはり曲を弾いているわけではないから演奏とは呼べないのかもしれないが……それでも心地よい音がゆったりと流れていくそれは「演奏」であると言えた。

 

 この音色の前にはどんなことも些事となるだろう。たとえばそう、そういえばいないなと思っていたジョギングをするプレイヤーたちが明らかな熱気を以て視界に入ってきたことも、今しがた背後で上がった「きゃっ!?」という短い悲鳴も──。

 

「どうかされましたか?」

 

 そんなものをスルーするわけがなく。普通に振り返り、問いを投げるケッセウス。

 果たして悲鳴を上げた彼女の視線のその先にあったものは。

 

「……模造死体?」

 

 ケッセウスと彼女を繋ぐ直線のその真ん中あたり。先程彼女を見た時に気付かなかったのはケッセウスの失態であるが、まぁ、少女に目線を奪われていたのだろう。そう解釈できる。

 それはそれとして、こんなものがなぜここにあるのか。ちなみに模造死体と瞬時に判断したのは、単純に消えなかったからである。

 

 模造死体は単なるオブジェクトだ。ただし『燃え上がる模造死体』の例もあったため、危険がないとは言い切れない。

 やっぱりそれはそれとして、どうしてウネルマがこれに驚くのか。同じ『Vesi』の仲間だろうに、と……そこまで考えて、一度思考を中断するケッセウス。

 

「一団クランに通報しますよ。ウネルマさん、安心してください。これは本物の死体ではありませんからね」

「わ……わかる、んですか?」

「わかるといいますか……プレイヤーの死体は三十秒ほどで消えますからね。これが作り物であるのは一目瞭然なんです」

「そ、そういう……こと、ですか」

 

 一瞬「余計な学習を与えてしまいましたか?」と考え、即座にそれを振り払う。

 不便な頭である。考えたくないことばかり脳裏に浮かぶのだから。

 

 とりあえず一団クランに通報を入れ、ついでに「五劫偏在」にも事情を説明した。彼女は何やら忙しそうなのでこの話題に付き合ってくれるかはわからない……が、あしらわれるにせよ本腰を入れてくるにせよ、早期の報せが一番であると考えたためだ。

 

 十数分後、一団クランの職員がやってくる。

 

「お疲れ様です、ケッセウスさん。一団クラン職員、真ん中ハニーといいます。模造死体は……ああ、これですか。確かに」

 

 駆けつけた職員は模造死体を見て一瞬顔を顰めた……が、すぐにそれに触れてインベントリへと収納した様子だった。

 

「……インベントリに入れて大丈夫なのですか?」

「むしろ入れないと危険と言いますか。先日の『燃え上がる模造死体』もインベントリへ収納したら機能を失った様子でしたので、一団クランは"インベントリには中にいれたものを時間凍結させる力がある"と見ています」

「成程。ではこれからは」

「いえ、あくまで我々一団クランの見解で、検証が終わったことではありませんので、一般の方々はやはりこうして通報いただくのが賢明かと」

「わかりました。お勤めご苦労様です」

「いえいえ。それでは、失礼いたします」

 

 颯爽と仕事を終え、去っていく真ん中ハニー。その姿には溜息も吐こう。迅速かつ無駄のない仕事というのは美しいものである。

 さて、危険も去ったことだし、とウネルマの方へ振り返ろうとしたケッセウスだったけれど、そのタイミングで「五劫偏在」からの返信があった。

 開かずともわかる。件名が簡素なのだ。──「犯人その子だよ」。ただ、どういう意味かを問うためにメールを開くケッセウス。

 

「拝啓キザ男へ。

 犯人その子だよ。その子がその模造死体を地中に生成してる。時刻は君がメールしてきた三十分くらい前。わざと悲鳴を上げたのは君に気付かせるためだね、多分。一回振り向いたのに気付かなかったから痺れを切らしたとかそんな感じじゃない?

上司から愛をこめて」

 

 あなたは私の上司ではありませんが、というツッコミを抑えつつ、考える。

 三十分前。しかし時計を見ると今はまだ七時二十五分……つまり午前七時よりも前に彼女が犯行をしていることになる。

 が、その時間、彼女は公園にいなかった。七時前にはこの公園に来てコーヒーを転がしているのがケッセウスである。その境となる時間であれば、彼が彼女に気付かないはずがない。

 しかし、「五劫偏在」の読むログがどれほど正確であるかは身をもって知っている。それでも聞いた限りの話にあるJOY福というプレイヤーが行ったことのように、なんらかのラグが現れるのもまたログというものだ。その可能性は無いのかと返信を作るケッセウス。

 

「ぁ……ぁの」

「ん……ああ、すみません。先程の方とメールをしていました。何かありましたか?」

「いい、いえ……お邪魔してしまって、ごめんなさい……。その、私、今日は帰ります……その、へんなもの、見ちゃって……えと、動揺が収まったら、また……来ますね」

「そうですか。……ええ、いつでも。また聞かせてください」

 

 ぺこ、と頭を下げ、足早に去っていく少女。

 彼は、その背に──。

 

「──ああ、そういうことでしたか」

 

 と、声を投げた。

 ぴたと止まる少女の足。振り返ることなく少女は。

 

「なにが……ですか?」

 

 そう、問う。

 

「いえね。私の頭というのは考えたくないことも考えてしまうようでして。……どんな目的があるのかは問いませんが、もう通用しませんから、別の方を狙ってください。私はあなたの弦の音にこそ惹かれていますが、あなた個人を贔屓できるほどまだ交流を持てていないので」

「すみません……言っている意味が、よくわからなくて」

「どうやって、という細工方法は知りません。どうやってか、なのでしょう。──あそこの時計。蒸気時計らしいですね。当然ですが、他の動力を使わない時計……聞いただけの知識になりますが、あの時計は遠心調速機なるものを使って蒸気の供給口を絞り、圧力や速度を調整しているのだとか。つまり、普段の自然な気候による温度変化以上の変化を……過剰にアレを冷やしてやれば、パワーが落ちて時計の針の進みは遅れてしまいます」

「……」

 

 よって。

 

「あの時計、遅れているのでしょう? だからいつも定時にジョギングをしているプレイヤーはあの時間にいなかったし、先程明らかに激しく動いた反応と共に帰ってきた。だからあなたは今そそくさと帰ろうとした。何らかの手段で時刻を整合されると一発でバレてしまうから。特にメールなどで外部とのやり取りをしているのなら、そう怪しんでもおかしくありません」

「……それが、私の……仕業である、と……?」

「あなたの仕業であるかどうかは知りません。が、あなたのお仲間の仕業ではあるのでしょう。……もう一度言いますよ、ウネルマさん。仕掛ける相手が違います。私ではなく、もっと鈍感なプレイヤーにやらないとダメです。特に私は、あなた方『Vesi』に対しての嗅覚が鋭いので」

 

 決定的、だったのだろう。

 ぐわんと空間が歪む。何かの圧力がケッセウスを支配する。

 これは、覚えがある。なんせ。

 

「この……技は、シェフルの……!」

「ああ、そういう、ことですか。……初期も初期に、私達ではなくなった……裏切り者。それが、ケッセウス、さん。……本当に残念、です。ただの……音楽仲間であれたら、どんなに──」

 

 身体が動かなくなる。ナニカが入り込んでくる感覚がある。

 それはあるいは、彼がケッセウスに対して行ったもの。それの、さらに進化した──。

 

「──ま、君の判断に任せると言ったけれど。君自身は既に我々の駒の一つなのだという自覚が欲しかったかな」

 

 声は、遠くから。

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