長くなりそうなのでキリのいいところで切りました。
「今戦線はどうなっている!?」
「現在3番ゲート付近で第五分隊が応戦中!まもなく第四分隊が合流、挟撃を仕掛けるとのこと!」
「了解!1番、2番、3番ゲートの防御網を強化しろ!別動隊が攻撃してくるかもしれないからな!軍団長閣下が到着するまで何としても持ちこたえさせろ!」
『『『『『了解!!』』』』』
くそっ油断した!平和ボケしすぎたか・・・!
ここは衛士隊本部の一室、通信指令室だ。
本来ここは都市の各地に点在する衛士詰め所や城壁の上にある監視所からの報告を受けたり、指示をとばすための場所だ。
だがここは時に緊急時に戦線に指示を出したりする作戦司令部になることもある。
そう、今回のように。
『うわああぁぁあ!』
『キシャアアアァァァァア!!』
『このくそ野郎がああああぁぁぁぁああ!!』
部屋の中央、ホログラフィックモニターにはまさに今、リアルタイムの映像が映し出されている。
兵士と妖怪の入り乱れた地獄絵図。今、そこは確かに戦場だった。
「こちらの被害は!?」
「現在確認できるだけで重軽傷者は四十名ほど!死者はまだ出ていないようですが、時間の問題か と・・・!」
「ッ・・・」
ギリッ!と自身の歯が軋むのを知覚する。
ここ最近は妖怪の討伐もなかったし、妖力センサーにも強い反応は特になかったため、完璧に不意を突かれた。
いや、何かのせいにするのは駄目だ。この状況は、明らかに自分たちの油断が、怠慢が引き起こしてしまったのだから。
「(これが終わったら警備体制の見直し、訓練の強化を行わなけらば・・・!)」
そう心に決めていた時、自分の目に信じられない光景が飛び込んできた。
「おいおい、これは・・・!」
それは一目見てすぐにわかるほど凝縮された濃密な妖力の塊が、妖怪の大群の中央で渦巻く光景だった。
「まずいです、この量の妖力を一気に解放されたら、部隊は間違いなく壊滅します・・・!」
「なんだと!?」
悪夢のような報告だった。今妖怪と交戦中の第四、第五分隊の総勢は約四百人。五十人ほどのけが人はすでに都市内部に運び込まれてはいるが、それでも三百五十人が死ぬかもしれないのだ。
そこでようやく、連中の目的を悟った。
「奴ら、自爆覚悟でこちらの兵を削る気か!」
今回こそ不意を突かれたが、基本的に我々軍団は優秀だ。兵士の練度も高く精強だと自負しているし、装備も高性能の最新型を用いている。
それを少しでも削り、打撃を与えようというのだ。
「まずい・・・まずい!」
前線に退却しろと言えば妖怪を都市に入れることになり、かといってそのままなら兵士たちは全滅。
八方ふさがりだ。
そして、ついに恐れていたことが起こる。
「妖力解放のモーションに移り始めました!」
「!」
――――このとき私は本気で部隊の壊滅を覚悟した。
そして、避けられない地獄を幻視して、われ知らずの内に言葉がこぼれおちた。
「くっそおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!!!」
まだあきらめるのは早いぞ、お前たち―――
そんな言葉が何処からか聞こえて来て、それと同時に妖怪の大群の一部が吹き飛んだ。
次回、獅音の初戦闘回。
できたら明日更新します。