ナクモ王国崩壊から一年後が経過。
国家崩壊後は各国がその領地を手に入れようとしたが…
戦いの影響で更に悪化した砂嵐と水源の完全枯渇。
不安定な砂嵐が続く場所を誰もが領土に利用価値なしと判断した。
現在は手つかずの状態になっている。
その場に残された遺体の処理はされず…
死者への冒涜の様に放置され、亡霊の国と呼称されてしまった。
利用価値のない不毛の大地とされた亡国の人々の怒り。
地下の最下層で眠るマキナは脳内にそれを刻み込んだ。
*****
マキナは繭から聞こえる声の指示に従って回答を続ける。
マキナは何を求めるのか?
(私が求めること…)
マキナは順に答える。
ナクモ国の復興。
何者にも脅かされない不屈の国家を作り上げる。
旧ナクモ王国滅亡に関わった全てに復讐。
国を人々を死に追いやった勢力、種族、組織、全ての排除。
また、種族平等の意思を持つ者、勢力、種族、組織は省く。
賛同者達と共に種族平等主義を宣言する為の下地を作る。
奴隷制度、弱肉強食主義、絶対搾取の世界を終わらせる為に必要な処置。
何者にも脅かされない不屈の国家を作り上げる。
今まで積み上げた功績を守り続ける為に鉄壁の国家を創造する。
絶対に私ことマキナを裏切らない腹心の部下を作る。
私と共に一蓮托生の意思を貫く仲間を生み出す。
『了解、指定内容を記録。』
繭の声は指定内容の順に行動を開始した。
『第一の命令、拠点の構築を開始。』
禁忌の間を中心に振動が始まり…
広間を更に最下層へ移動。
最終エリアに到着すると、拠点の構築を始める。
『早期準備の為、旧拠点を再構築し再利用を開始。』
繭の声から察するに、元々この地には拠点となる設備が整っていたらしい。
それらを再処理し利用出来る様に再整備するとの事。
(この国にそんな設備があったなんて…)
マキナは考える。
では、何故父上はこの設備を利用しなかったのか?
元々知らなかった?
過去の文献には禁忌の間は絶対に開かれてはならないと記されていた。
だから、誰も知らなかった?
文献にも書かれていない位、古い時代の設備。
(でも、そんなのどうでもいい。)
マキナは奪われる側ではなく、奪う側になる為の布石に出来ると考えた。
既に彼女の心は復讐心で満たされていた。
だが、彼女は分別のある復讐を求めた。
攻めてくるのなら蹂躙し、真摯に助けが必要であれば救いの手を与える事。
それが彼女の存在意義であると…
『拠点構築まで五年、それまでの間は対象国家、勢力、種族、以上の調査を開始。』
ナクモ王国領域、その砂漠地帯の一角より夜天へあるモノが打ち上げられた。
それは繭の眼であり世界を見通す天眼。
星の世界へと打ち上げられたソレは翼を広げ、曇りのない眼で世界を見つめた。
『指定項目の調査と情報収集まで二年、次の工程に移ります。』
繭の声はマキナを守護する八体の守護者の創造に入る。
その内の二体は生成完了しマキナの目処前に配置された。
『拠点管理システム・デウス、防衛管理システム・エクスの生成完了。』
デウスと呼ばれた機械仕掛けの金剛鎧は辞典の様なモノを所持。
エクスと呼ばれた機械仕掛けの銀鋼鎧は剣の様なモノを所持。
マキナの前で跪き、待機状態に入った。
『以降の処理はデウスとエクスが引き継ぎます。』
繭の声は後の処置を二人に引き継いだと説明。
その後、繭の声は聞こえなくなった。
(二人へ指示を出せばいいの?)
「その通りでございます、マキナ陛下。」
「前システムより引き継ぎは完了、以降の命令は我々へお申し付け下さい。」
(分かった、残りの繭はどうなっているの?)
「他の繭は現在構築作業中、完全完了まで一年程掛かります。」
「この繭の中の者達は陛下を護衛する者達です、陛下自ら…彼らへ名をお与え下さい。」
(名前…皆の性別は?雰囲気は?どんなモノ?)
「未だ構築中ですので、名を決め兼ねられないとおっしゃられるのなら保留と言う手も御座います。」
(うん、名前付けはまた後にする。)
「では、陛下…拠点構築と同時に拠点防衛の兵力の生産を開始したいのですが宜しいでしょうか?」
(許可する、守りは大事だから。)
「了解、拠点構築と並行して兵力の生産を開始致します。」
(下準備は大事って先生もおっしゃってたから、念入りにお願い。)
「「陛下の仰せのままに。」」
(私の構築もしばらく掛かるから…眠るね。)
「陛下、お休みなさい。」
「次の目覚めまでに良き報告をお持ち致します。」
眠るマキナに一礼しデウスとエクスは与えられた任へと向かった。
=続=