デウスとエクスへ今後の方針と作業を命じた後。
再構成中の為、再びマキナは眠りについた。
それから二年が経過した。
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ナクモ王国崩壊から三年後が経過。
近隣諸国からの眼は時折あるものの…
この地に発生する砂嵐が全てを隠し通していた。
水源もなく、砂嵐で土地利用も出来ぬ大地に旨みはない。
弱小と罵り、種族最下位と見なされた人族。
王国崩壊後に悪化した急激な迫害によって、この大地から消えて二年が経過した。
デウスとエクスが密かに各国から奴隷と化した人族を助け出したとしても…
奴隷に落とされた際の過酷な労働環境。
そして、とある行為が原因で全てが命を落としていた。
手元に残ったのは、酷使された彼らの遺骸のみ。
「これほどまでに人種を貶めるか…」
「陛下の耳に入れば、更に悲しまれるだろう。」
デウスとエクスは残された遺骸を使って人族再生を行った。
それはマキナだけとなった人族の滅びを食い止める為と…
国家再建後に必要な国民達だったからだ。
「だが、精密検査と選別は必要だ。」
「ああ、これは余りにも…人種から何もかも絞り尽くしたか。」
互いに苦虫を噛み潰した声で答える。
デウスとエクスは最下層の研究の間でコンソールと呼ばれる機材を動かし…
更にその奥の機械へ指示を与えていた。
「陛下と同一の措置を加えつつ、再生を行う。」
「無論、民間人は最低限の措置に留めるのか?」
「今の所はな、兵士候補は追々…追加措置を行う。」
「では…基本ベースをいくつか生成し経過観察を行おう。」
「分かった。」
懇々とマキナの指示と独自に人種再生の研究を続ける。
人族の遺骸に残る酷使の傷跡と他の種族が引き起こした呪詛の残骸。
この呪詛とは?
世界には魔法が存在する。
他の種族は何の弊害も無く魔法を扱えていた。
種族差によって使える魔法は制限があるのものの…
この世界で生きるのは必要不可欠な力だった。
だが、人族は魔法が使えない。
遙か昔は人族も魔法を行使する事が出来ていた。
しかし、時代の流れに連れて魔法を扱えるモノがいなくなっていた。
今では魔法も使えぬ種族として侮蔑の目で見られる始末。
何故、魔法が使えなくなったのか?
デウスとエクスは各国に密偵を送り、調査した結果。
有ることが判明した。
「エクス、意図的に人族だけ…例の伝承の儀から外されている。」
「やはりか、デウス。」
伝承の儀。
それはこの世界で魔法を扱う際に魔法と縁が深い精霊と契約を結ぶ儀式である。
数百年に一度、その結びを行う重要な儀式であったが…
人族にだけ、徐々にその伝承の儀に参加出来ぬ様に政治的策略が盛り込まれていた。
他の種族と違い、一族は百年前後と言う短命であるが故に引き起こしてしまう。
儀式を執り行う中立の聖地。
当時、人族を嫌悪する祭司長によって引鉄となった。
それに乗じて他の種族達も人族を呼び寄せない様に情報を断ったのだ。
「人族より魔法が失われた真相…余りにも理不尽だな。」
「その通りだ、だが…これによって失われた技術が復活するとは連中も思わなかっただろう。」
「そもそも、アレを魔法と呼ぶべきか?」
「そうだな、精々連中には崩れゆく舞台で踊って貰うとしよう。」
この世界を支える魔法の正体。
それを知るデウスとエクスは静かに復讐の為の計画と人族再生計画を進める。
いずれ目覚めるマキナへ万全の準備を整えておく為に。
=続=