ぽっと出マスター、二人三脚で人理修復せざるを得なくなりました 作:4j
私はリアタイでレイドを駆け狩りまくりました。
明かされた物語は「人の心」案件でしたし、最後の戦いもBGMと演出が感動的でしたね…。
年明けのサーヴァントはどなたになるのか。年末スペシャルが楽しみですね!
さて、まずは前話に続きお気に入りや感想などなどありがとうございます。励みになります。
年内の更新は最後になると思います。よいお年を〜!
頭が追いついていないほど展開が進み、さらに物理的に頭がショートしたので整理がてらダイジェストで振り返ろう。
何の因果か悪戯か、非常に迷惑千万なことに特異点冬木に突如脚を踏み入れたと思えば、またもや突如ライダーに襲撃された。息も絶え絶え、弄ばれながら逃げた先で、もう何もかもにカチンと来てブチ切れたらキャスターに助けられ、なんやかんやあって私のサーヴァントになってくれました。ちゃんちゃん。
……いや、なんじゃそら。
やっぱダメですわ、全く追い付かないわ。意味わかんないわ。何がどうしてこうなるの?Goo〇le先生でも匙投げるよ?多分。
しかし右手の甲には真っ赤な紋様が刻まれているので否が応でもこれが令呪で、サーヴァント契約が成立した印というわけで。世の中わからない。最低限な知識として令呪の切り方や宝具は教わった。
知ってはいても、本人から直接教わるというのはなかなか感慨深い。
命の危機はキャスターと契約出来た豪運により当面の間は回避できそうで何よりだが、あくまで一時的なもの。退去された後に自分がどうなるか皆目見当も付かないし、不安でしかない。
それとなくキャスターに「自分ここの人間じゃなくてぇ…全く身に覚えのないところからここに来たみたいでぇ…帰り方わかんなくてぇ…」と弱音を投げかけた。
これを問いかけることは自分自身の不審さを口に出すことと同義なのでリスクは高いのだが、契約してサーヴァントとなってくれたこと、あと普通に不安でたまらないので早めに潰しておきたい願望が先立った。
彼がただの光の御子クー・フーリンではないことは知っている。北欧神話の最高神、オーディンの権能を受け継いでいると知っているが故の、神様的視座から何かわかったりしませんかねのお伺いである。
そう考えると彼のほうから契約を持ちかけて貰えたのは奇跡に近いな。神霊だぞ神霊。一般人の身で烏滸がましいすらある。
両腕を組み眉をしかめて唸り出した答えは正直わからん、というものだった。
現地の人間が儀式に巻き込まれる事態は前例があるが、私のケースは前例がないらしい。
…まあそうか。そうだよな。聖杯戦争という名は同じでも、やってることは前例がない事ばかりだ。月の聖杯戦争はムーンセルが絡むことで敗退したら死亡ってシビアな状況だったし、hollowは4日間が延々と繰り返されてたし、Apocryphaは陣営分かれて14騎で戦闘してたし?
Fate軸では5回も繰り広げられた聖杯戦争だが、今回のケースはなかったように思う。
思えば特異点っていうのが生まれたのはFGO世界線からだっけ。かのオーディンの目をしても、わからないものなのかもしれない。
正直なところ非常に残念で、少なからず期待していた分非常に悲しいのだが、どうしようもない。キャスターにも迷惑をかけられないのでこの問答はこれで終了した。
多少なりとも意気消沈してしまったが、致し方ない。この特異点が消失する時、自分がどうなってしまうのか。怖くて仕方がないのは否めないが、今はそれを考えないようにする。
さておき。
この冬木の街で気になることはたくさんある。どうやら特異点Fであることが判明した今、ここはカルデアが訪れる前の時間なのか既に退去した後なのか。それを紐解くには突如姿を消したライダーの動きも気になるところである。
キャスターの目的は「聖杯戦争の幕切れ」。最後の一騎であるセイバーの打倒。先程のライダーは泥に飲まれたシャドウサーヴァントだったらしい。確かにどこか朧気な姿はしていた気がする。
ライダー以外にもシャドウサーヴァントが召喚されているということ、自身ははぐれサーヴァントとして魔力が心許ないところに現れたのが私だったそう。
先程ライダーとの対峙中に聞こえたのは戦闘音だというのはキャスターのお墨付きかつ敵対行動を取るのはキャスターくらいしかいないはずなので、カルデアもしくは第三者の可能性がある。
よってまず目的地は音があった街の端に決定。ちなみに現在地は橋から南東にある市街地らしい。確かにビルの残骸らしきものが散乱していた。
行き先が決まりいざ行動に移した、のはいいのだが。
「ライダーの姿は見当たらねえな、さらに移動したらしい。ちょっくらルーンで痕跡を探してくる。……聞いてるか?おーいマスター?」
「……あ、はい……お任せ、します…」
「お前さん腰が抜けすぎだろ、大丈夫かよ」
出来るだけ早急な行動がいいだろう、とキャスターの小脇に抱えられダッシュで街を駆け抜けたのがいけなかった。
猛スピードでかっ飛ばして来たおかげでとんでもない風圧を顔に浴び内心ヒヤッヒヤで息する間もなく辿り着いたのは街外れだった。
身一つで高速道路を走ったような心地でしたよ!?100キロとか出てなかった!?しかもヒョイっと抱えられるだけの状態で肝が冷えない一般人いないと思うんですがね!!?まあ英霊たるものうっかり落としたなんてことはしないと思うが。…人によるかも。
呆れたようなやれやれとでも言うような声音で発せられた索敵の申し出をキャスターの顔も見ずに許可する。認可を得た彼は跳躍しその場を離脱。私は深呼吸をして自分を宥める。
宥めるがてらそこに存在していたであろう建物を観察した。
既に瓦礫と化しているが多少は原型が止められている。2階建てを思わせる三角形に尖った外壁。その頭頂部に十字架を確認した。
「……教会、か」
「ご明察。かつてここには冬木教会って教会があってな、聖杯戦争の監督役も務めていた。…俺の知る監督役ってやつはとんでもない野郎だったがな」
零した声に返答がある。しゅたり、と軽快な音を立てて隣に着地したキャスターは跡地となったその建物を眉間に皺を寄せながら見つめた。
十中八九言峰綺礼神父のことだろう。このクー・フーリンは第五次聖杯戦争の記憶を有していたから元マスターでもある彼には言いたいこともあるのかもしれない。
当事者の声を聞きたい気持ちは山々だが、一旦はお早い帰還となった状況の共有だ。
「ライダーは退去した。さらに他のサーヴァントにも動きがあって、どうやらライダーを退去させた連中を追ってる。こっちも追うか?」
「ありがとうキャスター。…どんな人たちだった?」
「確認出来たのは三人組だ。そのうちの一人は盾持ちの英霊だったな」
ほぼ確定したと言っていい。盾持ちの英霊なんてギャラハッドかマシュ・キリエライト以外思い至らない。
しかも三人組。恐らく…カルデア。接触をしておきたい。
「さあて、さっきより飛ばすが、いいな?」
「私の我儘で手遅れになっちゃ意味無いしね…。お手柔らかに頼みます」
「そう来なくっちゃなあ」
杖を肩に担ぎ、容易くひょいと持ち上げるキャスターの腕に座りしがみ付くように首に腕を回す。
頑張れ、私。覚悟を決めろ。
「行くぜえ、口は閉じとけよ!」
…やっぱり、ほどほどに頼みます。
あと、なんでそんな楽しそうなの?
* * *
「いたぜ。ありゃあ2対1で分が悪そうだ。助太刀するか?」
「うん、お願い!」
視界が高速で流れ行く。その端で捉えたのは先程までいた橋だった。サーヴァントの脚の速さを実感する。チラリと見えた桃色の特徴的な髪に、完全に確定した。
速度を落として降りれるタイミングを見計らい地面に着地する。その脚でキャスターは杖を構え踏み込み、シャドウサーヴァントに向けて突き上げた。
「えっ、なに!?」
「な、キャスター!貴様、何故漂流者に味方するというのか!」
「あん?お前らよりはマシだからだろうが。見込みのある人間の肩を持ちたくなるもんだ」
困惑と驚愕の声。置いていかれないように駆け出した先にそのシャドウサーヴァントはいた。暗くて見えにくいが、片方はランサー。片方の異様な腕の様相、恐らくアサシン。狼狽えている隙に襲撃を受けていた集団の傍ら滑り込む。その眼前にキャスターが立ち塞がった。
「あなたたち、一体…!」
「話は後にしましょう、まずは安全の確保を。キャスター、宝具の開帳は必要?」
「いや、今回はいいだろう。そこの盾のお嬢ちゃんは経験値不足みてえだし、そこの匙加減てとこかね」
「わかった。キャスター、悪いけどこっちのフォローもお願いね。必要なら魔力、持って行ってもらっていいから」
「おう、任せな」
少女の声を制し、キャスターと素早く打ち合わせをして下がる。マシュにはキャスターが直接言葉を投げ掛けているので、彼女への鞭撻は彼が担ってくれるだろう。
マシュの姿は最初期に見た鎧のスタイル。キャスターの見立て通りなら、彼女はまだデミ・サーヴァントとしての力を発揮してすぐなのだろう。確か本編でもキャスターが荒療治で面倒を見てあげていた。
キャスターが手を前方に突き出し、ルーンを刻む。
ルーンを介して出現した閃光がシャドウサーヴァントに襲い掛かる。跳躍して回避するアサシンを追って突進し、杖を槍のように突き上げた。それもひょいと躱したアサシンの腕がキャスターに迫るが、こちらも容易く回避する。突き出された槍はマシュの盾が防ぎ、振りかぶって弾き飛ばす。キャスターが攻めながら回避し、マシュが防御する。即席とはいえ役割が分担され連携が取れているように思う。
改めて合流した人達の姿をまじまじと見る。前衛に立った桃色髪の少女、マシュ・キリエライト。輝くプラチナブロンドの髪を携えた少女、推定オルガマリー・アニムスフィア。黒髪に青い瞳の少年、推定藤丸立香。
まさか眼前でその姿を見ることになるとは。
視線と意識を戻す。まずは、この戦いを終わらせる。
「ふはは、キャスターよ!大口を叩いていたが大したことはないではないか!」
「全くもって。軟弱なサーヴァントを足しても微々たるものですぞ」
「ははあ、てめえら随分節穴だな?」
タン、と地面に手を付き宙返りをして着地したキャスターは、シャドウサーヴァント達の評価を鼻で笑った。
「泥に塗れて頭が緩くなってんじゃねえか?魔術師相手に警戒が疎かだぜ?…嬢ちゃん!」
「はい!やああああー!!」
せせら嗤うランサーの横っ腹を、盾を前に押し退けるように体重を乗せて吹き飛ばす。勢いでアサシンの傍らに吹き飛ばされた時、キャスターは杖でガツンと地面を叩いた。シャドウサーヴァント達を中心に円を描くように地面に描かれたルーンが起動する。阻害と休止を表すルーン、イサ。それは彼らを檻のように囲み地面に拘束した。
「終いだ」
構築されたアンサズのルーンが足元で起動し、勢いを付けて燃え上がる。二つの叫喚が耳を
燃え盛る炎が闇に消えた時、そこには影も形も無くなっていた。