ダンジョンで銃を撃つのは間違っているだろうか 作:クロスオーバーすこすこ侍
「ここが僕が所属しているファミリア、ヘスティアファミリアのホームです!」
そう言って紹介されたそれは、なんというか、非常にボロかった。
もはや人が住んでいるとは到底思えない廃墟と化したその教会を、自慢するかのように堂々と紹介するベル少年からすると、このボロさはさほど問題ではないのかもしれない。
だが、現代日本という、非常に清潔に保たれていた日常で過ごしていた自分としては、少々受け入れがたいものがある。
もっとも、住めば都という言葉もある。
そう自分に言い聞かせながら、教会の中へと足を踏み入れた。
そうして教会の地下へと降りていき、扉を開ける。
すると、そこには――。
(でっっっっっk)
一言で表すならば、ロリ巨乳がそこにいた。
大変眼福である。
神聖さというよりも、どこかあどけなさを感じさせつつ、それでいて容姿は非常に整っているロリ巨乳様が、そこに鎮座していた。
前世では何とは言わないがナニに使っていたこともあるが、やはり実物は段違いに素晴らしい。
異世界に転生したことをようやく実感できたのか、それともロリ巨乳という概念そのものに心を打たれたのか。
気づけば、目から自然と涙が零れ落ちていた。
「おや、ベル君おかえり……その人は誰だい?」
「神様!
こちら、ファミリア加入希望者で見学予定のカラムさんです!
カラムさん、こちらが神様、ヘスティア様です!」
「……ヘスティア様にお会いできて光栄です……」
何がとは言わないが、会えて光栄なのは本当である。
「えぇ!?
ちょ、ちょっと泣き止んでおくれよ!
ベル君、どどど、どうしよう!?」
「初めて神様を見て感動したんでしょう
落ち着くまで少し待ちましょう」
「よし
ではファミリアについて説明してもらえるだろうか」
「うわぁ急に落ち着いた!」
そんな取り留めのないやり取りを交えつつ、ファミリアについて話を聞く。
恩恵を背中に刻み、眷属となること。
エクセリアという経験値を得て能力を高めていくこと。
偉業を成し、条件を満たすことでレベルアップすること。
そして、ヘスティアファミリアの成り立ちや、ベルがいかに努力しているかを力説し始めたあたりで、場の空気はすっかり和んでいた。
というより、自分自身がこの場に馴染んできた、と言ったほうが正しいかもしれない。
気づけば、この場所を居心地よく感じ始めていた。
「も、もう神様!
僕の話はいいので、次は冒険者についてカラムさんに教えましょうよ!」
「あ、そうかい?
僕としては、ここからがいいところなんだけど」
「神様?」
「あ、うん
わ、わかりました」
そうしてベルの圧に負けたヘスティアは、冒険者という存在の危険性や注意事項について、懇切丁寧に説明してくれた。
戦闘能力以前に、知識不足そのものが命取りになる場面がいくらでもあるという話は、非常に現実的で重みがあった。
一言一句逃さないよう、自然と背筋が伸び、真剣に耳を傾ける。
どうやらその姿勢が評価されたのか、冒険者には荒くれ者も多いらしく、ヘスティアからの評価が鰻登りに上がっていることが、だんだんと深まっていくニコニコ具合から伝わってきた。
そうして一通りの話を終えた後、ヘスティアはしばらく考え込むような素振りを見せる。
やがて、こちらをまっすぐに見て、頷いた。
「うん
君はとりあえず信頼してよさそうだ」
こちらとしても、原作を知っている身である以上、最初から信頼できるファミリアだとは思っていた。
だが、向こうからも同じように判断してもらえたことは、素直に嬉しい。
こうして自分は、ヘスティアファミリアに喜んで加入することとなり、恩恵を背中に刻んでもらう運びとなった。
そして、恩恵によって自分の魔法やスキルがどうなったのか。
期待に胸を弾ませながら待っていると、なにやらヘスティアの様子がおかしい。
覗き込むように背中を見つめたまま、固まっている。
そんなに自分のステータスがおかしかったのだろうか。
それとも、異世界転生者だということが分かってしまうような何かが刻まれていたのか。
まあ、隠すつもりもないし、聞かれたら正直に答えればいい。
そう考えていると、ヘスティアは勢いよく顔を上げ、興奮した様子で声を上げた。
「な、な、なんだいこのステータス!?
『過去を始末する弾丸』……しかも使用済みだなんて!?
な、何をしたんだいカラム君!?」
……え。
使用済み?
まったく覚えがない。
過去を始末する弾丸。
それ自体はいい。
ガンジョンに存在するものなのだから、自分の能力として発現していても何らおかしくはない。
だが、使用済みとはどういうことだ。
そもそも、恩恵を刻まなければ発現しなかった以上、元から所持していた可能性はほぼゼロ。
というか、あり得ない。
考えられるとすれば、自分自身にその弾丸を撃ち込み、今まさに過去を改変している最中という可能性だが、それなら記憶がないのはおかしい。
過去を変えるのなら、その根幹となる記憶が失われていては意味がない。
ならば残る可能性は――。
「それにこれ……
放つのに君の命を代償にしなければならないなんて!
ど、どういうことだい!?
使用済みってことは、一回死んでるってことかい!?
でも、こうして生きてるし……もう、わけが分からないよ!
それに他のスキルも、聞いたことがないものばかりだし……」
……そう言われても、分からないものは分からない。
自分にもまったく心当たりがないことを正直に伝えると、ヘスティアはますます困ったような、それでいて興奮しているような表情になる。
やがて「とりあえず」と前置きしながら、ステータスが書かれた紙をこちらに差し出してきた。
カラム Lv:1
アビリティ
力 :I:0
耐久:I:0
器用:I:0
敏捷:I:0
魔力:I:0
射撃:I:0
魔法
【ブランク】:詠唱不要。衝撃波を放つ。基本最大ストック数は2つ。アイテムで最大ストック数は増える。
【ドッジロール】:詠唱不要。回避行動中無敵。使用すると一定時間使用できない。
【】
スキル
【過去を始末する弾丸】:弾丸は既に放たれた。一度しか放つことができない弾丸。自らの命を代償に放たれる。
【銃迷宮の主】:獲得しているガンジョンのアイテム、銃の召喚。獲得には敵を倒すと獲得できる『クレジット』を使用するとランダムに獲得できる。
【銃迷宮の挑戦者】:全てのガンジョニアの所持物、特性の獲得
【銃鍛冶師】:獲得した銃、アイテムの作成
【アーマー】:致命打に対して自動的に消費、その致命打を無効化しブランクを放つ。時間経過でアーマーは回復する。最大ストック数はアイテム依存。
【レインボーボックス】:ランクアップ時1つ獲得。使用すると銃、アイテムのレアリティB〜Sがランダムに8つ選ばれそこから1つを選択して獲得。現在2つ所有。
……わお。
ちなみに銃とアイテムは紙に書かれておらず、自分の脳内にあると言うべきか、とにかく自分しか分かっていないようである。
(銃):安物のリボルバー、錆びたピストル、制式ピストル、ローグスペシャル、ダーツガン、ロボットアーム、背徳の呪具、(スリンガー)、ソードオフ、クロスボウ、(?)
(アイテム):モロトフカクテル、宿敵の写真、忠犬、トランシーバー、軍事訓練の記録、使い慣れたロックピック、巧みな話術、隠しコンテナ、フレンドクッキー、ナンバー2、冷却剤、バッテリー弾、セルフ弾、(ゾンビキングの目)、(?)
それと(スリンガー)、(ゾンビキングの目)はクレジットを7(以後単位を#とする)消費すると開放でき、また、(?)、(?)は3#消費でランダムに選ばれるようだ。
これらはそれぞれガンスリンガーとパラドックスが元となっているものだと思うが、クレジットを一つも持っていない現状、あまり関係ないことではあるが。
とにかく、【銃迷宮の主】で銃、或いはアイテムを獲得するために必要なクレジットは10なので最初はパラドックス由来の3#で銃とアイテムどちらも獲得できる方に使うことを覚えておくとして、問題はこの、既に放たれた『過去を始末する弾丸』だろう。
レインボーボックスの所持数が2つであることから、実は既に恩恵を得ていたというのは信憑性が増す。
というのも、新たに恩恵を得ることで0から1へランクアップ、これで1つ獲得だがもう一つは何処から来たのか考えると……そうか!推測ではあるが分かったかもしれない!
なるほど、これだと過去を始末する弾丸が放たれているのも、レインボーボックスが二つあるのも、何も覚えてないのも辻褄が合う。
つまり、自分は、一度このダンまちの世界で、過去を始末する弾丸を放ったことで命を落としているのだ。
好きな銃はエメンテーラーです。
簡単に言えば、チーズを放つ銃です。
チー牛にふさわしい銃となっております。
ちなみにチーズ牛丼は食べたことないです。