今回は説明会。
作者的には呪われた一話ですね、何度データが消えて崩れ落ちたことか……。
まぁそんな極めてどうでもいい愚痴はともかく、本編をどうぞ。
空が赤くなり始め、日が沈もうとする夕刻。
あの後、俺は自分の正体を真っ先に津辺とトゥアールに明かし、色々と情報交換を気を失った観束の家でやろうという話になり、あいつの家にやってきていた。
俺たちはトゥアールが"マーキング"とやらをしておいたらしい転移装置を使って、すぐに帰宅する事が出来た。現れた先が思いっきり観束の家の前ではあったが、認識攪乱のフィールドで何とかなったのは僥倖だ。
なぜか慎重な面持ちで、観束は店の裏口から合鍵を使って帰宅しようとする。未春さんのカラッとした性格なら案外笑って受け入れてくれそうでもあるんだが、なんでこんなに後ろめたそうなんだ観束は。
「おっじゃましま〜……おぐぅッッッ」
野球しようぜ!といわんばかりに侵入しようとしたトゥアールの鳩尾に津辺の容赦ないフックが叩き込まれ、強制的にその入室を引き戻した。……自重を止めさせたのは俺だけど、殺人は止めてくれよな頼むから。
すると、この物々しい音に気付いたのか、奥の方から女性の声が聞こえてくる。未春さんだ。
「あら、総ちゃんー?」
「あ、ああ、ただいま‼︎」
「おばさん、愛香です!おじゃまします!」
「どもっす、ちょっと観束の部屋で駄弁らせて貰いますね。失礼します」
なんか挨拶が棒読み過ぎないか、お前ら。
怪訝に思いながらも、名乗り上げようとしたトゥアールの口を塞いで抱えながら観束の部屋へと転がり込む。
入った途端にトゥアールが挨拶しようとしたことも忘れて「そわそわ、そわそわ」と態々ボケていたが、残念ながらツッコミを入れる津辺はここにはいないので適当にスルーする。
すると、話を切り上げたのか、津辺が三人分の紅茶を持ってきた。それを合図として、全員でテーブルを囲む。
「……結構強めにブチ込んだのに、平気なのね、あんた。っていうか祐一!トゥアールの方に紅茶なんて渡さなくていいわよ!」
「フッ、笑止。あの程度でオタついてて女が伝わりますか。あら、紳士なんですね祐一さん。ですが残念です、私は総二様専用の全自動万能メスい__視界が捩れるうううううう!!」
「そのまま捩じ切れろおおおおおお!」
人間を辞めかけたトゥアールの耐久力に対して、人間辞めちゃってるんじゃないかという津辺の一撃が炸裂する。人間の首で雑巾絞りとか……観束の部屋が見たくもない液体だらけになる様がありありと予想できるんだが。
「というか、いい加減トゥアールには説明してもらわないといけないしな、紅茶ぐらいいいだろう。そんな時は自発的に話してくれるのが一番だし……津辺の尋問という名の拷問でもいいけど、やっぱり気持ち良く話せるほうがいいよな!」
「輝くようなベビーフェイスで打算まみれですよこの方⁉︎え、私いま前門の貧乳と後門のドSに挟まれてます⁉︎クッションゼロの
今度は空気を引き裂くアッパーカットがトゥアールの体を撃ち貫き、衝撃を一切逃がさずダメージだけをその顎に与える。
まぁ、ドS扱いについては後でトゥアールにゆっくりと言及してやる。だが、今重要なのはそこではない。重要なのは、やっぱりあの怪人たちだろう。
「なぁ、そろそろいいだろトゥアール。いい加減話してくれよ、あの怪物の事とか、観束がツインテールの少女になった理由とかな」
「ぶたれる美少女を前になんて冷静な…!ですがそうですね、説明させて頂きます。まずは総二さまが変身した、テイルギアからです」
「そうだな、まずはそれだ。何で俺が女になるんだよ」
なるほど、やっぱりあのブレスレットが原因な訳か。それなら、俺が女になった理由もそれで分かるかもしれないし、気になるところだ。
するとトゥアールは白衣のポケットから小さな紙を取り出し、折りたたんでいたそれを開く。そこからホログラムのようにテイルレッドの全身図が表れた。地味にオーバーテクノロジーだな、一々夢があってニクいじゃねえか。
その絵の各部からラインが伸び、わかり易く説明書きが記載されている。
俺たちはそれを暫く見た後、津辺はトゥアールに怒りの鉄拳を叩き込み、俺と観束はそろって呆れたような溜息を吐いた。
…………詳細は省くけど、パンチ力100tはちょっとなぁ。
内心どこまでが本当か疑っていると、向かいに座っていた観束がコウノトリを信じる純粋な子供のような目でうわ言のように疑問を呈する。
「トゥアール、エクセリオンショウツの部分が空欄だけど、何か機能があるのか?」
そう言ったのは、テイルレッドのパンツ部分でラインが引かれただけの場所だ。ん、まぁ確かに気になるところではある。属性力とか属性玉とか、一番不思議な気もするが、隠しユニットとかそんな所だろうか。
するとトゥアールは躊躇いというか、逡巡したように言葉を濁らせ。
「ええと、ようするに戦いが長引いておトイレに行きたくなっても、素早く吸収し分子分解し、大気に拡散してくれる機能があるんですが……ちょっと中二っぽさを台無しにしてしまいそうなので、記載を躊躇ってしまって」
よし、今のは忘れた、いや聞かなかった事にしよう。どうせ俺の変身はテイルギアっぽいの使ってないからな。関係ない、一切関係ない。
そこで観束も復帰したのか、何故女になったのかを問い質そうとする。しかしトゥアールがまたも露骨すぎる誘いをかけ、その事については聞きたかったのか津辺が割と本気で関節技をかける。
「早よ言えそろそろ手加減出来なくなってくるわ!!」
「肘の可動範囲が増えるううう!!」
こんな風に。
もう半分以上恒例になってきてるけど、会って半日というのが恐ろしい。トゥアールの馴染む早さも、津辺の拳速も。つうか今の光景に一分の手加減がないように見えるのは俺だけか?
話がまた混乱してきたので、トゥアールに襲いかかろうとする津辺を、羽交い締めにして抑えつけつつ、観束が変身した理由が本人のロリコン混じりだとか宣言して、更に観束を誘惑する。
もちろん、そんなものは俺が軽く蹴りで阻止したが。不審者の痴女相手に俺のフェミニズムは働かないらしい。
その後も脱線しつつ話は続いた。何より衝撃だったのは、トゥアールが未来人ではなく異世界人であった事だ。あの様相で日本人とか、もしかして痴女っぽい態度も異世界では常識だったりするのだろうか……それは、なんか嫌だわ。
「なんか疲れた……けど、もういいだろトゥアール。なんとなく察せてきたぞ、あの怪物たちの目的とか、説明書きにあった
「そうですね、ではまずあの怪物が求める……属性力についてお話させていただきます」
トゥアールが改めて説明したのは、世界という壮大すぎるものの成り立ちと、個人の趣味嗜好への執着が生む心の力、属性力についての事だった。
大まかな話はわかったし、まぁその先もある程度想像がつく。属性力の結晶が、説明書にあった属性玉とかいうもので、奴ら(アルティメギルという組織らしい)は高エネルギー体であるそれを
そこまで考えて、俺は話を続けるトゥアールへ意識を鋭敏化させる。
「一度奪われ、吸収され尽くした属性力はもう二度と元には戻りません。ですから、生産性のない復讐ですが……せめて、この力を持った以上、私は奴らの侵略を止めたいのです」
「分かったよ、利害の一致っていうにはこっちの恩恵が大きすぎる気もするけど、トゥアールの世界の仇を討つ為に、そして、俺たちの世界を守るために。この力、ありがたく使わせてもらう。な、祐一」
「は?………いや、俺は世界の為にとかトゥアールの仇とか、知らんぞ。正直そんな重たい気持ちで奴らと戦う気はないし」
「え、えぇ〜〜……………?」
三人の声が、白けたような顔に変わる。あ、空気読めてなかったか?
というかさっきの言葉に若干聞き捨てならない単語が幾つかあったが、最重要な事だけは言っておきたかったから、思わず口から飛び出してしまったのだ。
すると、俺の側頭部になにか硬いものが当たり、____頭が潰れるような威力でつうか潰れるーーー⁉︎
「あ、ん、た、はちょっとぐらい空気を読みなさいよおおおおお!!」
「い、いやだって俺はポニーテールがぁああああ!!」
津辺のウメボシが炸裂し、熊を殺せるその力と技術で俺の頭が物理的パンク寸前に追い込まれる。
何とか肘を押して逃げだすも、とどめに拳が突き出された。
「まだ言うかーーーー!」
「だって俺はポニーテールが好きなんだよおおおおお!!」
それを思いっきり膝で蹴り上げて打点を逸らし、迫り来る連撃を悲鳴まじりに両手と右足で防いでいく。っていうか観束見てないで止めてくれ!
最強の属性がツインテール属性というのは聞いたし、トゥアールの境遇には思うところもある。けど、ツインテール属性で力を手に入れて戦う以上、むしろこれからは足手まといになるポニーテール好きな俺としては、あの変身を鏡の前以外でやる気はなかったのに。
シリアスっぽい雰囲気を崩されて若干不機嫌な津辺の拳は数発、俺の体を掠るも観束により抑えられた。こんなの良くトゥアールは半日でバカみたいに食らってたな、と視線を向けると、向こうも訝しげな表情でこちらを見て____いや、観察している。
「_____あ、ああそうだったか。トゥアール、すまない、俺はポニーテールが好きなんであって、世界を守るとか、トゥアールの仇を討つとか、そんな大仰で責任のある事なんて出来ない。ただ、ポニーテールを守りたいだけなんだ、さっきツインテールは観束が不甲斐ないせいで守る決意もできたけど__」
そこまで言ったところで、トゥアールはおもむろに口を開いた。
「あります、ポニーテール属性。しかも、ツインテール属性と双璧を成す、と言われるほど強大な属性力として」
まさか、ポニーテールも最強の属性の一角……⁉︎それは、嬉しくはあるけど、それってアルティメギルに狙われる可能性が高いことも意味するよな⁉︎
一瞬でその可能性が見えた事に俺は衝撃を感じ、立っていた状態から卓に自重を叩きつけるようにして手をぶつけた。
「協力する。だからポニーテール属性について情報の開示を求めるぞトゥアール」
「はい、ポニーテール属性については後ほど。ところで、祐一さん」
どこぞの司令官の如く本気で脅しにかかりながら説明を求めると、音符が付きそうな返事が戻ってくる。
正直嵌められた形になる上恐喝してるような最悪な態度だが、俺は今そこまで余裕がない。今ある素晴らしいポニーテールが消滅し、伝播するようにポニーテールが喰われていく光景…………冗談でも聞きたくない。
憤怒の顔にはなっていないだろうが、明らかに張り詰めたであろう俺に対して、トゥアールはまるで夕飯の献立を聞く子供のように首を傾ける。
「どうやって、テイルギアもなしにテイルホワイトへ変身したんですか?」
………だろうな、おそらく製作者のトゥアールからしたら面白くない話だろうし、観束と津辺も気になっている内容だろう。
隠しても仕方ない、俺はあの場で起きた事をありのままに語る事にした。
「どうって言っても、多分トゥアールや津辺の見た通りだと思うぞ。リザドギルディに吹っ飛ばされて、変身した観束がツインテール馬鹿の癖に怯えてたから頭にきて、ポニーテール愛を結い上げて纏った。としか」
「ちょっと待て!最後、最後意味わからないから!っていうかツインテール馬鹿ってなんだ祐一!お前こそポニーテール馬鹿じゃないか!」
「あたり前だ!!」
観束の罵倒とも言えない賛辞に胸を張って答える。すると、もうツッコミ疲れてきたのか津辺が眉間に指を当てて肩に手を乗せてきた。
「はぁ、あんた下手したらそーじより手に負えないかもね。で?結い上げて纏うってどういうこと?真面目に答えなさい」
「は、ははは。やだなー真面目に決まってますよ愛香さん、だから万力みたいな力で握るのやめて欲しいナー。………でも、本当にそれぐらいなんだって。整え・伸ばし・結い上げて・纏う。この工程を脳裏で浮かんだポニーテールへの愛情に施して、ポニーテールの形へ整えたらいつの間にか、な」
そこまで言うと、トゥアールは調子が戻ったように立ち上がり、俺に探偵かなにかのようなポーズで人差し指を突き出した。
「なるほど、分かりました。つまり祐一さんは、あまりの欲求不満で遂に無意識の女装(強化外骨格)を……!」
「そんな変態になってたまるか!俺はあくまで変人程度だ!」
「誇るもんじゃないでしょうが!」
津辺の裏拳を手のひらでギリギリ受け止めつつ、俺はトゥアールのボケかどうか分かり辛い分析へ全力で食い付く。さすがに無意識で女装する上、堂々と街中で動き回る変態にされたらたまらない、不可抗力だろあれは!
俺の必死の抗議にトゥアールもその意見を改めたが、あからさまに不満そうな顔でぷーっと口を突き出す。
「だってあまりに非常識です!祐一さん、砂浜と木だけで自力で街一つ作ったようなものですよ⁉︎いくら属性力がどんなエネルギーにも変換可能だからといって、
「え、じゃあ祐一はエレメリアンだったのか⁉︎」
「違うわ!一応二年間の付き合いだろうが!」
でも、さっきの例えの理不尽さは良く伝わった。確かに、科学畑の人間からすれば俺はあの化物どもと大した違いがないくらいに異常な事をしてしまったんだろう。正直、観束なら似たような事できそうだが。
取り敢えず俺は身の潔白を分かり易く証明するために、立ち上がって瞑目する。見てろよ、と捨て台詞を吐いて俺はまたもあの意識の深淵に埋没した。
身体の底から湧き上がる力に鞭を入れ、叱咤する。
ポニーテールに懸ける愛情、雄大か空洞かなのかもわからない膨大なそれに、意識という名の櫛を通す。
整え
伸ばし
結って
______纏う
順番が通常とは異なるそれはまるで俺には最適なようで、櫛を入れられた愛情は一本に、ひとつのポニーテールとなって俺の中を埋め尽くす。
その純白の光に意識の手が呑み込まれたと確認したとき、俺はゆっくりと目を開けた。
見なくても分かる、ゴールデンポイントと呼ばれる一般的なフィットポイントより少し上向き、色彩を加味した上で最高の角度と、確かな硬度を持ちながらしなやかに靡く腰まで伸びたストレートタイプのポニーテールの輝きを。
自分でも惚れ惚れするような自慢の姿になり、俺はどうだと腕を組んだ。
「いいポニーテールだろう、俺の身体っていうのが悲しくて仕方ないが。素晴らしいポニーテールが増えたという事実だけで俺は満足だ」
「………………………………」
「ま、正直なんで身体が主に白なのか、俺が女になるのかは自分でもわからない。多分、自分よりポニーテールを優先しまくった結果なんだろうけど、多分今じゃもうちょっと修正が効くと思うぞ」
「………………………………」
「それにしても、この服はもうちょっと脇とかどうにかしないと、ちょっと恥ずかしいな。あと、胸が……」
「その脂肪よこしなさいーーーーーっっっ!!」
「い、いや無理だからぁっ!」
そこまで言ったところで、突然津辺に襲撃される。
目の焦点がジャストこっちのバストっていうのはかなり怖いんだが。さすがに身体能力が向上した今の俺はある程度余裕をもって彼女の攻撃を捌き、一つの答えに思い至る。
ハッ、観束のテイルレッドみたいにロリになれば回避できる⁉︎
「善は急げっ、試して__________できた」
その場で津辺の攻撃を回転しながら受け流し、瞑目して光を感じると、何かしらの確信を手に入れる。
今度は視界が変わったので分かり易く、全体的に完全にリーチ不足になったものの、まごうことなき幼女となった。
胸の大きいテイルホワイトはもう頭にこびり付いたから変身し辛いかと______。
「あ、はぁーーーっっっ!!!」
「トゥアールがロリコンだったの忘れてたーっ!」
のしかかってきた美少女痴女に関節を押さえられ、蒸気した顔で淫靡に舌舐めずりするトゥアール。
さすがにこの体躯でこの状況じゃ相手が美少女でも怖すぎるっ!
「非常識です!本当に非常識でイケナイ子ですねぇっ!こ、こうなったら私が触診して丹念にねっぷりと調べ尽くして原因解明するしか………!」
「あ、やぁ……っ」
「はぁんっ!もう我慢なりません、イタダキまぶるずみゅ!」
思わず泣きそうになった俺へナニかをしようとしたトゥアールは、見事に顔を赤くした津辺によってその場二十回転するパンチを顔面に受け、完全に沈黙した。
アルティメギルのエレメリアンの危険性は知ることができたけど、よっぽどこいつらの方が危険じゃないのか?っていうか、これからどうなっていくんだよ………。
俺は、現実逃避にも似た心境でそう嘆く事しか出来なかった。
はい、言い訳しません。
最後の流れは、正直作者が一番書いてて喜んでました!
変身するなら七変化くらい普通だよね!(伏線)
アニメ12話見た感想
ソーラになった時、エクセリオンショウツ使えば恥ずかしく無かったんじゃね⁉︎
…………良く考えたら人前でいたす事に変わりなかったな。