【悲報】都市に転生して喫茶店経営してたらネームドしか来ない() 作:しがないフィクサー
今回はオズワルドくんです。いやぁ…………なーんにも分からん!!wiki見ても!!プレイしても!!こいつのねじれる前が全くもって分からねぇ!!少なくとも「叶わない夢を見るよりも、今すぐ手に入れられる夢で妥協しよう」「苦しい思いをするなら、楽しくて頑張る必要もない人生にしよう」的な考えになるきっかけはある筈なんだが……!!それも分からねぇ!!なんだこいつ!!?そもそもてめぇは何処ぞの9級フィクサーとどんな関わりあんだよ!?くそー!!とにかくオリジナル設定モリモリじゃあああああ!!()
誤字、脱字方向お願いします!!
感想と評価、お気に入りをお願いいたします!!
私の名前はオズワルド!!みんなを笑顔にするのが夢の道化師さんです!!え?こんな都市でみんなを笑顔にすることが出来るのかって?……ふぅ。……(*^^*)ニッコリ
……あなたねぇ!!?最初から叶わないことを前提に話すのはいけないことなんですよ!!?(#゚Д゚)ムキーッ!!
ふぅ……失礼!取り乱しました!!もっと夢を持ちましょう!!もっと高望みしましょう!!自分に沢山期待をするんです!、そうすれば!皆さんは上を向き続けて!下を向いて涙を流す必要が無いんですからねぇ!!……あ、でもお上を見すぎるとですねぇ?
ピカ~!!!☀️
目がぁ~!!!目がぁああ~!!!と!!ギラギラ太陽さんにお目眼を焼かれちゃうのでご注意ですよぉ~?オズワルドとの約束です!!分かりましたねぇ~!?……ん?今私が何をしているかですかぁ??それはですねぇ……
「おい!オズワルド!!舞台の掃除は終わったのか!!」
「ええ!!勿論ですよぉ!!ほぉら!!こんなにピッカピカ~!!!ここで滑れば転げ回りそうですねぇ~!!」
今!私はサーカスの舞台掃除とか!!小道具の整理とか!!とにかく沢山のお仕事をお任せされているんですよぉ~!!!
こらそこ!!雑用とか言わない!!これも立派な道化師のお仕事何ですよ!!(*`ω´*)プンプン!!
「……ちっ、本当にやかましい奴だな……まぁ良い。おい!てめぇら!!今日の講演は観客が大量なんだ!!さっさと準備するぞぉ!!」
「「おおー!!」」
皆さん張り切っていますねぇ~!まぁ、毎日こんな感じなんですがね!!おや?床に何か……あらまぁ!!?ジャグリング用のピン!!
「あらあらまぁまぁ!!小道具の一つを拭き忘れてましたねぇ!!」
私はしゃがんでそのピンを取ろうとして……
「あら、私が取るわよ」
すると、女性の声がして、床に落ちていたピンを拾い上げ、私に差し出して来る。私が顔を上げると……
「……こここ、コンチさん!!?」
「ふふ、お疲れ様。オズワルドくん」
私の目の前に、このサーカスの花形である空中ブランコ。それを任されているコンチさんが私の目の前に立っていた。その美しさ!!そして力強さは絶大な人気を誇っており!!私の、私の一番大好きな奏者さんなんです!!私があわてて彼女の持っているピンを受け取ると、彼女は微笑みながら言った
「オズワルドくんは偉いわね。うちの団長。人使いが荒くて……今まで沢山の人が辞めたのに」
「いえいえ!!私!ここで働けるだけでも夢見心地でしてねぇ~!!しかも!サーカスの団員という特等席で皆さんの演目を見れるんてすよぉ!!?最っ高ではありませんかぁ~!!!そ•れ•にぃ~?…私の夢は!!沢山の人を笑わせる道化師!!!ピエロになることなんですよ!!?その夢に!!これ程ぴったりな仕事!!他にあるわけが無いじゃないですかぁ~!!!」
私が体をクルクルと回転させながら喜ぶと、彼女はクスクスと笑って言った
「本当に、あなたはサーカスが好きなのね!……ふふ、良いじゃない!!あなた、いつか素晴らしいピエロになれるわ!!私が保証してあげる!!」
「え、ええぇええ!!?ま、まさかコンチさんにそう言って貰えるなんて……!!私!嬉しすぎて死んでしまいそうですねぇ~!!」
「ふふふ。こら!死んだら立派なピエロになれないでしょうが!」
「あふんっ!!」
私はコンチさんにデコピンをされる。っ~!!!相変わらず痛いですねぇ!!ですが!それもまた彼女の魅力!!やはり素晴らしい奏者です!!私がそう思っていると団長さんが大きな声をあげて言う
「おーい!!コンチ!!本番前のリハーサルだ!!衣装準備しろよ!!」
「はーい!!じゃあね!オズワルドくん!お仕事頑張って!」
彼女は私に手を振りながら、そのまま衣装室に入っていった。
……ふぅ。……スゥ~ッ
最っ高ですねぇ~!!!コンチさんに『頑張ってね?オズワルドくん!!』なんて言われてしまいましたよぉ!!こ、これは……!これは物凄いことなのではぁ……!!?イヤッハー!!!
「うへ、うへへへ……!!」
私が余韻に浸ってニヤニヤと笑っていると団長が変な物を見るような形相で睨んできました!こ、これはまずい……!!サボっていると思われてはクビにされてしまいますねぇ……!!私は慌てて小道具を再度拭き直す。サーカスの命は小道具~♪大切に扱わないとですねぇ~!!
「……ふんっ。変な奴だな。……オズワルド!!その掃除が終わったら外で待ってる観客たちにチケット配っとけ!!!」
「は~い!!わっかりましたぁ~!!!」
数十分後。私はサーカスの会場の外に並んでいる乗客の皆さまを見る。おお~!なんとも大量!!凄いですねぇ!!1、2、3……とにかく沢山ですねぇ!!2000人は越えてるのではぁ!!?しかもまだまだ人が増えていますねぇ!!一般客でこれとは……!!いや、しかし……!!これは当然でしょう!!何せ今日は……!!
「おいおい、聞いたか?あのコンチがJ社のNo.1の演者を決める大賞に選ばれるかもしれないんだぜ!今回の演目でよ!!」
「おお!まじで!?あのJ社から直接与えられる演者にとっちゃめちゃくちゃ名誉ある称号だろ!!?」
「ああ、それを取った演者は今後の演者生活の繁栄は約束されるって言っても過言じゃねぇんだ!今日の演目は盛り上がるぞぉ~!」
そう!!お客さんたちが言っているように!!今日はコンチさんにとって一世一代の大勝負の日!!凄く大切な日何ですよぉ~!!ああ!!私がやるわけでもないのにドキドキして来ちゃいましたねぇ~!……あっ!チケット配らないとですねぇ~!!
「さぁ~!!!皆さん!!こちらのチケットを順番に受け取ってくださいねぇ~!!!」
私は列に並んでいるお客さんたちにチケットを一枚一枚渡して行く。おお~!!!本当に沢山のお客さんですねぇ!!チケットがあっという間に無くなっちゃいそうですよ!!私がそう思いながら配っていると、一人のお客さんが目に止まる。白い髪。片目が隠れた顔。そして整った顔立ちと立ち姿……な、なんと言う……!!モデル体型!!こ、これは凄い逸材ですねぇ……!!ダンス役者にでもなれば大儲け出来ちゃいますよ!!?あ、いや、そんなことを考えてる場合じゃない!!チケットを渡さないと!!私はそのお客さんに近づき、チケットを差し出した
「いらっしゃいませぇ~!!本日はコンチさんの大舞台を見に来てくれてありがとうございます~!!!」
私がそのように言うと、そのお客さんは賑やかに笑いながら言った
「いえいえ!本日はこの演目を見ることが出来て本当によかったですよぉ!なんせ、私はコンチさんの大ファンなので!」
「おお!そうなんですねぇ!!?それはそれは!!よかったですねぇ~!!!……因みに……私も!コンチさんのファン何ですよ!!」
「ほぉ……!あなた、分かってますねぇ……!」
「あなたこそ!良く分かってらっしゃる!!」
私がそのお客さんと話を盛り上げていると、私の後ろから怒号が響いた
「おいごらオズワルド!!!さっさとチケット配れぇ!!」
「あらぁ!!?団長さん!!?は、はぃいい!!!で、ではお客さん!!楽しんで行ってくださいねぇ~!!!」
「ええ、お仕事頑張ってくださいね。ああ、そうだ……これ、後で皆さんで食べてください。人気喫茶店のコーヒーとマフィンです。人数分ありますので……良かったら」
するとお客さんが手に持っていた大量の袋を渡してくる。おお!!!差し入れですかぁ!!
「おやぁ!!?良いのですかぁ!!?なんともお優しい……!!ではでは、ありがたく頂きましょう!!」
私はお客さんから袋を受け取り、そのままチケットを配るのに専念した。……そう言えば、私が去る時に……笑っていましたねぇ……まぁ!楽しみにしているんでしょう!!!さぁ!じゃんじゃんチケット配りますよぉ~!!
「ふぅ……さ、さすがに全員に手渡しはしんどいですねぇ……!!」
私はある程度チケットを配り終えたので休憩室で休んでいた。ふぅ……本当に疲れましたねぇ……。私がそう思っている間も、扉の向こうは大慌てだった
「おい!衣装の一部が汚れてんぞ!!」「猛獣たちは今どうなってる!?」「観客席が足りなくなるかもしれない!!どうする!?」「パイプ椅子引きずり出せ!!全部だぞ!!」
とまぁ!こんな風にあわただしく皆さん動き回ってますねぇ……ふむ……!先程頂いた喫茶店のコーヒーとマフィン!!皆さんがすぐ食べれるように少し並べておきますか!!そう思い、私は袋からコーヒーカップと箱に入ったシフォンケーキを取り出し、長机の上に並べて皆さんが直ぐ様飲食できるようにする!!ふふーん!私ってば気遣いの天才ですねぇ!!!すると私が並べたコーヒーとマフィンを見た団員たちが集まってくる
「おい!オズワルド!これは……?」
「わぁ……!美味しそうね!!」
「一つ貰っていい?」
私はそう聞かれるので皆さんに向けて言った
「ええ!勿論!皆さんじゃんじゃん持っていてあげてください!!心優しいお方からの差し入れ何ですよ!!」
「ほお!そりゃありがたいな。お前ら!!糖分補給しろ!!眠い奴らはコーヒーでも飲んで眠気覚ませ!!」
「「はーい!!」」
その声と同時に、次々とコーヒーとマフィンを持ち去っていく。うんうん!大人気ですねぇ!!ありがとうございます!あのお客さん!!……あっと!無くなっちゃう前に~……私と~……あ、コンチさんの分を確保しましょうかねぇ!!私はさささーっと自分の分とコンチさんの分を確保してその場を離れる。さーて!では早速!私もコーヒーとマフィンを食べましょう!!そう思い、私はコーヒーカップを口元まで持ってきて……
「おい!オズワルド!!パイプ椅子引きずり出すから並べるの手伝え!!」
「うひゃあああ!!?」
突如後ろから団員さんに声をかけられて私ビックリ!!その拍子にコーヒーカップを落としてしまい、中身が溢れる。あらぁあああ!!?勿体無い……!!
「おい!なにやってるんだ!!ちっ!!さっさと拭いてこっち来い!!」
「は、はぃいい!!!」
私はマフィンを置き、近くにあったバケツの縁にかけてあった雑巾を使い、溢したコーヒーを拭く。うぅ……すみませんねぇ……あのお客さん、私たちの為に差し入れしてくれたのに……申し訳ない……。私はそう思いながら素早く拭き取り、直ぐ様会場のパイプ椅子設置に向かった。……その数分後
「オズワルドくん?コーヒーとマフィンって……あら?いない……?……あら!マフィンが2つあるわね……勿体無いし!貰っていこ!!」
私がパイプ椅子を並べてから数十分。全て並べ終えた頃には開始10分前になっていた。団員の皆さんが緊張の顔持ちでいっぱいですねぇ……!!私も!凄く緊張してきました!!……けど!!きっと私たちなら出来ますよ~!!!この!最高の演目をやりきることが!!……まぁ私は裏方なをですがね……トホホ……。私がそう思って廊下を歩いると、廊下の向こうからコンチさんが歩いてくる。……コンチさんも緊張しているかもしれませんねぇ……!!少し緊張を解してあげましょう!!私はそう思い、彼女に駆け寄る
「コンチさん!!間も無く本番ですねぇ!!頑張りましょう!」
私がそのように声をかける。……が、彼女はまるで聞こえていないかのように、ただ会場の方向へ向かっている。私は不思議に思い、彼女にもう少し近づくと……こう聞こえた
「まだ、まだこんな物じゃない……!私は、もっと……もっと、高みに……こんな、こんな所で終わって良い人間じゃない……!もっと、もっと、もっと、もっと、もっと……!!」
……それを聞いた私は、不気味に思った。いつものコンチさんとは違う。講演が始まる前でも、コンチさんはいつも通りだった。ただ、自分の今出来ることを一生懸命にやっていた。いつも笑顔で、観客の皆さんを楽しませて……そんな、コンチさんがこうなるなんてこと、初めてだった。……そう言えば……先程の会場のみんなも、なにやら雰囲気が違った気がする。……いやいや!!考え過ぎですねぇ!!皆さん緊張しているだけでしょう!!私はコンチさんに更に話しかける
「コンチさん!!聞こえてますか!!?」
私のその声に反応したのか、彼女はビクリと肩を揺らし、私の方へ振り向いた
「……オズワルド……くん?」
「ええ!オズワルドくんですよ!!……大丈夫ですか?緊張しています??」
私が彼女にそう聞くと、彼女は少しきごちない笑みを浮かべてこう言った
「大丈夫!大丈夫よ!私、緊張してないわ!!」
「……なら良いんですけどぉ……ですが!コンチさんなら問題無いでしょうね!!あなたは素晴らしい奏者なんですから!!」
そして私は……私は彼女に、こう言った
「期待してますよ!!コンチさん!!」
私が、その言葉を言った瞬間……彼女は……目を見開き、歯をガチガチとならして、私を震えた瞳で見つめて……
「う、ぁ……!!?あぁあ……!!」
そして、逃げ去るように、廊下を走って行った。私はしばらくその場にたち止まり、困惑するばかりだった
「……な、なんか、変なこと言いましたかねぇ……?……まぁ!良いでしょう!!緊張しすぎてるんでしょうね!!」
私はそう思うことにして、残りの仕事を片付けに向かった。講演開始まで、あと数分だった
そして、講演が始まった。講演は円滑に行われた。団員たちが、それぞれの役割を完璧にこなしていく。見事だった。完璧という他ないほどの演技が、ここまで行われた。会場のボルテージは最高潮だった。……最後に残されているのは……
「空中ブランコ……!!」
そして、光が落とされ、会場の真上にある台の上に立っているコンチさんの姿がライトアップされる。会場全体が、団員たちが、私が、彼女の登場に沸き上がる。この会場のVIP席には、J社のお偉いさんもいるらしい。そんな人たちも、彼女の登場に歓喜している
「頑張ってください!コンチさん……!!」
私は、彼女の成功を願った。この講演の大団円を、期待した。他の団員たちも、全ての観客たちも、お偉いさんも……みんな、みんな、彼女に……期待している
「……コンチさん……!!」
コンチの視点
見られている。沢山の、目に、見られている。沢山の、沢山の、期待が……私を、見ている。目の前、足元のすぐ前には、何も無い空間がある。そして、私の目の前には、空中ブランコが吊り下がっている
「……大丈夫、私は……出来る……!!」
ここまでみんなの演技は凄く素晴らしかった。文句のつけようがないくらいに……!!だから、だから私が……!!成功させないと……!!
「……よしっ……!!やるわ……絶対に……!!私は、もっと上に……行くのよ……!!」
私はブランコを掴み、息を整える。……大丈夫よ、私。……大丈夫……大丈夫……!!問題、ない……!
『本当に?』
「っ!?……また……!!」
頭の中に、声が響く。男の声が、さっきから私の頭の中に響きわたっている
『本当に大丈夫だと言えるのかな?』
「っ!うるさい……!!私は、このサーカス団の花形よ!!大丈夫に決まってるわ!!」
『本当に?君は自分の実力をそこまで信頼出来るのかい?』
「っ!!あんた!!何なのよ!!私を知った風に言って!!」
『うん。しってるよ?』
「……え?」
私が困惑すると、男の声が続ける
『コンチさん。J社の裏路地で産まれて、両親から捨てられて孤児になったんだったかな。で、その時自分を引き取ってくれたのが当時子役を探していた今の団長さんだっけ。初めてサーカス団に入った時は沢山怪我して、虐められたりしてたらしいね?でも……今ではみんなに期待されるスーパースターだ。凄いことだよね』
「……なんで、それを……!?」
男の声はクスクスと笑い、言葉を続ける
『君はみんなから期待されることに喜びを感じていたんだよね。みんなから期待されて、それに応えることに。……でも、もし失敗したら?もし、みんなの期待を裏切ることになったら?……君は、それを恐れているんだろう?』
「っ!!それ、は……!」
私は眼下に広がる人の大群を見る。……それら、一つ一つの目が……私に、期待している
「っ……」
『ふふ、分かりやすいね……うん。怖いよね。人に期待されると、絶対にその期待に応えなきゃってなるのは人としては正しい反応だよ。……でもね、コンチさん……あなたには、『成功して欲しい』という期待だけが向けられていないこと……理解してるね?』
「っ!!?」
瞬間、私に向けられていた全ての期待の一つ一つが……私を射殺す矢のように突き刺さる。私は両手で肩を抱き、ガタガタと震える
『期待にも種類があるんだよ……ポジティブな物もあれば、凄くネガティブな物もあるんだ。……そうだね、例えば……君に花形の座を取られた元団員とか……』
「……っあ……!?」
その瞬間、無数の期待の中の一つに……禍々しいほどの殺意が、ねっとりと私に纏わりつく
『例えば、失敗して欲しいと願っている人たちとか……』
また、期待の中の数十の視線が私に纏わりつく
『さらには、君に過度な期待を寄せている人とかも』
数百、数千の期待が、私の体に重く、ねっとりと纏わりつく。……体が、動かない……!
「……ひ、ぁ……!!?」
『……ふふ、良く分かってるね……コンチさん。……良いことだ。自分の見られた方を理解しているとは素晴らしいね』
「……あんた……!なんなのよぉ……!!」
『……そうだなぁ』
そしてその声は、不気味な程整った美しい声で……こう言った
『『本心』……まぁ、好きに読んでくれ。……言葉の通り、君の本心だ。そして、この声は君の本心を代弁する物に過ぎない……君も理解しているのだろう?自分の、今すべきことを』
その言葉を聞いて、私は……私は……受け入れた
「……あぁ……そう、ね……」
……ああ、そうだ。……私は、怖い。期待に、応えられないと……何をされるのか……分からない……!だから、だから今まで、沢山の期待に応えて……沢山の、お願いを、聞いて……それを、ずっと、ずっと……繰り返して……
『そう。自分の思いに正直になりな。……さぁ、お客さんたちが……君の素晴らしい演技を期待して待ってるよ?』
「…………」
眼下の人たちが、大量の期待を寄せている。私の成功を、失敗を、死を、期待している。……怖い!怖い怖い怖い怖い怖い!!応えないと!応えないと!!応えないと!!!!みんなの、期待に!!……そして、男の声が……声、が……
『……私からも……あなたを……たっくさん!期待するわ?……私♪』
私の声に、変わって……それっきり、消えた。……やらないと。……期待に、応えなきゃ…………みんなの……期待……に……。……そして、私は……ゆっくりと……空中に、飛び出した。……そして……そし、て……
「………答えなきゃ……ね」
グシャリッ
『……あらら……期待に応え過ぎじゃったか。……別に私は……期待に応えろなんて……言ってないのに』
オズワルドの視点
「……え?」
……今、何が起きた?……コンチさんが、ブランコを掴んで……そのまま、空中に飛び出したかと、思えば……手を、離して……そのまま……その、まま……!!?
「……コンチ……さ、ん……!?」
私が困惑していると、他の団員たちが黙々と床に倒れて……床を真っ赤に染めているコンチさんに向かう。そ、そうだ、助け─
「……ふざ、けんな……」
「……え?」
「ふざけるなぁあああ!!!!」
瞬間、団長さんが、倒れているコンチさんを……力強く殴り始めた。さらに、ボール乗りさんが彼女の体を蹴り付け、猛獣使いさんが鞭で滅多打ちにして……さらに、さらに沢山の……団員たちが……!!!
「っ!!?皆さん!!何をしているんですか!!?その人はこんさんで─」
私が彼らを止めようとした瞬間……大量の怒号が、観客席から鳴り響く
「ふざけるなぁあああ!!」「俺らの期待を返しやがれ!!」「こちとらわざわざ金払って見に来てやってんだぞ!!」「ふざけんじゃねぇ!!!」「金返せやぁ!!!」
瞬間、観客席にいたお客さんたちが全員立ち上がり、一気に舞台に向かって来た
「お、お客さんたちぃ!!?ちょ、ちょっと待ってください!!立ち入り禁止で─」
「邪魔だぁ!!」
「ごぁっ……!!?」
私はそのままお客さんの一人に蹴り飛ばされ、床を転がる。そのままお客さんたちは舞台に登り、先程までコンチさんを蹴っていた団員たちへ殴りかかり、それに応戦した団長と団員たち。やがて、それは巨大な乱闘騒ぎになっていく。手を滑らせ全く別の人間を殴ると、それがまた別の人間を殴り……それが繰り返されていく
「……い、いったい、何が……!?」
私が恐怖と困惑で倒れていると、後ろから声をかけられた
「……皆さん、過度な期待をし過ぎたようで」
「っ!?あ、あなたは……!?」
「やぁ。チケット配りのお兄さん?」
振り返ると、そこには私と同じコンチさんのファンだと名乗っていた男性が立っていた。私は言う
「……期待、し過ぎた……?どういう、意味です……?」
「そのままの意味ですよ。皆さん、今回の講演を楽しみにし過ぎちゃったんですね。あんまりな結果なもんだから、怒りが爆発しちゃったんでしょう」
「…そ、そんな……!無責任な!!期待したのはそちら相手何ですよ!!?なんで、こんな……!あまりにも過剰すぎますよ!!?」
「人間というのはそんな物ですよ。期待して、失望して、凄く怒って、そして直ぐに忘れる。あなたも、何かに期待して、失望して、怒って、気付いたら落ち着いている。……あるでしょう?」
私はそれを聞いて、目の前の光景を納得してしまった。……人は、期待し過ぎると……あんな風になってしまうのか
「……案外、冷静なんですね?お兄さんは。もっと慌てるかと思ったのに」
「……ねぇ、あなた。……コンチさんは、何故……自ら、手を離したんです……?……なんで、そんな……彼女は……大スターになれる、筈なのに……」
私がそう聞くと、彼はしばらく考えた後……こう言った
「……高望みし過ぎた……としか言えないですね。……彼女の魅力は、みんなのアイドルではなく、ただ人を喜ばせたい、笑わせたい。人の良いお姉さんというのが彼女の魅力なんですよ。……だと言うのに……大スターという名前だけの存在に目がくらんで、そして、大スターになるために……自ら手を話した。……大スターは、みんなの期待に……絶対に応えないといけないというプレッシャーが生じます。……そして見事に、彼女は期待に応えたんですよ。……まぁ、結果だけみれば……大スターになれたんでしょうね」
彼は淡々と言うなか、私はただ……ただ、この惨状を目に焼き付けた。……人は、期待し過ぎてはならない……人は、高望みし過ぎてはならない……じゃあ、どうすれば……人は、幸せに……なれるんだ?……私の、夢は……どうなるんだ……?
「……沢山、迷ってください。……そして、気付けば……答えが、分かるでしょう。……では、また会いましょう……オズワルドさん?」
そうして、彼は喧騒の中、踵を返してそのまま去っていく。私は、ただ……その場に座り込み、考えることしか……出来なかった
はい(はいじゃないが)
いやぁ……9329文字!!!え、長くな~い??スッゴい文字数……過去最多じゃね?我ながらやるなぁ……(自惚れ)
以下登場人物紹介
サーカスの団員(雑用係) オズワルド
まだ人間の頃のオズワルドくん。とにかく人を喜ばせたい、笑わせたい!という感情でいっぱいのオズワルドくん。まだどうやったら人を喜ばせることが出来るのかご理解出来てない。今回で理解できたね♪(人の心)
サーカスの団員 花形 コンチ
お悲惨な目にあった人。男の声によって自分の本心を改めて理解させられて、そして責任感と使命感で押し潰されちゃった人。正直死んでも、死ななくてもある奴がブランコに細工をして絶対失敗するようにしていたのでどちらにしろ観客の期待に応えることは出来る。なお普通に失敗したら生きたまま苦しんでコロコロされる模様
モデル体型の男
いったい誰なんやろなぁ……(すっとぼけ)コーヒーとマフィン差し入れなんて優しい人だなぁ~!!!(すっとぼけ)
不気味な程整った美しい男の声
誰なんやろなぁ~?(すっとぼけ)ここだけの話……モデル体型の男と声似てるらしいんですよぉ~!!!わぁ!なんて偶然!!()
サーカスの団員たち
この後観客たちにコロコロされた。数百人ぐらいは道連れにしている。結構強いお方たちである。なーんか失敗したことに対する反応が過剰ですねぇ……?なんでやろなぁ……
以下駄文
イオリ「……あんた、あのコーヒーとマフィンに何か混ぜたのかい?」
モデル体型の男「ん?まぁな。ちょっと欲望が強くなるお砂糖を入れたマフィンと、不安と緊張を高める豆のコーヒーだ。なかなか便利だろ?」
イオリ「……えげつないことをするねぇ…あのコンチって子。普通に生きてただけなのに」
モデル体型の男「物語を進めるには必要な犠牲なんだよ。仕方ないだろ?それに、彼女が死んでも何か問題が起きる訳じゃないしな」
イオリ「……そうかい」
エレナ「ふふ、やはり『語り部』は私好みの男だな」
モデル体型の男「おう、褒め言葉は受け取ってやる。だから爪引っ込めろ」
オズワルド「……分からない……何が、人を……幸せに、出来るんだ……!!」
ご視聴ありがとうございました!!