アイズさんは好きだけど負けヒロインが可哀想すぎるからいっその事誰も選ばない展開にしてやろうという妄想こじつけ話。 作:わさびこんぶ
「フィーチャン!お姉ちゃんのこと覚えてるかナ?」
「だぅ」
到底、女優とは思えないほどみっともない顔のジュリエッタ。
「ジュリー、すごい顔してる。」
若干引いた。当のフィオリアはきゃっきゃと嬉しそうに笑っている。
「はしゃぐなよ
「はぁ!?ジェイ、誰がおばさんですって!?」
「事実だろ?」
時折、ジェームズは周りに喧嘩を売る。完全なる愉快犯、自覚ありだ。にしても、叔母さん。関係上はその呼び名で間違っていない。そして僕は───
(オジサン……)
絶対嫌だ。たぶん、フィオリアに将来そう呼ばれたら心が折れる気がする。
「ちょっと待ったー!!」
「か、神様!?」
「何フツーに会話してるのさ!その巷で噂の”美麗なる双子”にそっくりな子達はなんなんだい?なんでベル君と僕の
まずい、完全に忘れていた……。フィオリアの様子が気になるあまり、挨拶もせずそちらに直行してしまったのだ。
「ご挨拶もなくとんだ失礼を!お初にお目にかかります。私はフィオリアの叔母に当たる、ジュリエッタと申します。」
「同じくフィオリアの叔父に当たる、ジェームズです。普段は、劇団『太陽の方舟』で”美麗なる双子”として看板俳優をしています。」
「ほんとに本人達だったのかい!?」
「んぶぅ」
さっきまでとは一変し、双子は礼儀正しく言葉を紡いでいる。どこか芝居がかったように大袈裟なのは、彼らの職業病だろうか。
「フィー君の叔父、叔母ってことは……ベル君の家族かい?」
「はい、血は繋がってませんが。」
「血の繋がらない兄妹……女優をしている義妹……とてつもなく美人な妹……っ危険だ!!!」
「え?」
「あぅあ」
なにかを神様が呟いているが、よく聞こえない。
「とにかく!いくらベル君の家族とはいえ、ホームに住むことは許さないぞ!」
「え……」
「なっ!ベル君、そんな捨てられた子兎みたいな顔してもダメだよ!こればかりは譲れない!」
神様の言うことは正しい。部外者がホームに入ることはそれだけで問題があるし、〖ヘスティア・ファミリア〗の面倒事に巻き込んでしまう可能性もある。
「そこは安心してください。仲間に拠点の確保は頼んであります。こちらのご迷惑になることはありませんよ。」
「……決まったら住所教えてね。」
「はいはい。じゃあそろそろお暇しますね。フィーちゃんの顔も見れたし。」
「ああ。ベル、またな。」
そう言って、双子は去っていった。
「あ、ファミリアのみんなに紹介してませんね。」
「あ……ま、今度でいいんじゃないかい?」
長い廊下を神様と話しながら歩く。
「そうだベル君、明後日は祝典の事でファミリア全員ギルドに呼び出されてるんだ。どうやら、オラリオの外へも配信される世界規模のものになるらしくてね。色々と準備があるみたいだよ。」
「えっ、でもフィーは……」
「そこなんだよねぇ……」
ファミリアの皆が頼れないのなら、どうすればいいんだろう。フィオリアを連れていくことはできないだろうか?1時間ですら離れると不安だったのに、そんな長時間なんで耐えられない……僕が。
「あの双子君に頼むのはどうだい?」
「2人は明後日、用事を入れているみたいです……。」
その用事が何なのかは分からないが、覚悟のにじむ表情だった。それを邪魔してまで2人を頼ることはできない。
「う〜ん、どうしたものか……」
二人で頭を抱えて唸る。
「お手伝いしましょうか?」
「シル何某!?」
「私、お力になれるかもしれません!」
かわいらしく微笑むシルさん。……なんだろう、すごく、嫌な予感がする。
「ほ、本気ですか……!?」
不安を抱えながら迎えた当日。シルさんに強力な助っ人として紹介されたのは、なんと〖フレイヤ・ファミリア〗の面々。
(普通に不安……!)
「あぶぅ!」
フレイヤ・ファミリアの皆さんが怖いというのを抜きにしても、赤ん坊を世話できるとは思えなくてとっっても不安だ。
「ぼ、僕今からでもジュリー達に……!」
「まぁまぁ、任せてください!」
(なんにも任せられない!)
「問題ない、赤子の扱いは全て履修済みだ。」
「で、でも師匠、この前抱っこもできてなかっ……」
───ブォン
目の前に剣が振り下ろされる。
「その煩い口を削ぎ落とされたくなければ早く行け。」
もう完全に涙目だ。
「ん”ぅぅ」
「ベルさん、安心してください。こう見えて、赤子の扱いに慣れてる人は多いので!」
「ベル様、ここはフレイヤ・ファミリアの皆さんに任せましょう。」
「ちゃんと慣れている人がいるというのも、嘘では無いと思います。特にアレン殿はアーニャ殿を育てきった実績もおありですし。」
「そうだぞ。どっちにしろ頼れる奴はこいつらしかいねぇんだ。他のファミリアも呼び出されてるしな。」
それなら、問題ない気がする。が、なかなか決心がつかない。
───そうか。僕はフィオリアが心配で、でもそれ以上に僕がフィオリアから離れたくないだけなのかもしれない。
「……そうだね。皆さん、フィオリアをよろしくお願いします。」
「はい!」
後ろ髪を引かれながら、ホームを後にする。
「───あの、オムツはベビーベッドの下にあるので!あと、哺乳瓶はしっかり咥えさせてください!その後は必ずゲップを───」
「はいはい、行きますよ。」
やっぱり離れがたくて、みんなに引きづられながらずっとフィオリアを見つめていた。
またまた短めですごめんなさいm(._.)m今回はキリがいい所で止めました!次回は波乱が起きそうですね…