イナズマイレブン ROAD TO VICTORY   作:linez

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セレクトキャラはみんな良いキャラしてますよね。
どうして「5人」だけなのよォォ〜!



入部

 

 他の合格者を待つ間、顔合わせとして焔は部室に案内された。

 雲明に桜咲、木曽路はもちろん、忍原、柳生、古道飼、四川堂らサッカー部の個性的なメンバーが揃っている。

 

「まあ、大物政治家の御曹司がいるくらいだしな。今更それくらいじゃ驚かねえが…四川堂といい仁藤といい、どうなってんだこの部活の家系は」

 

「あんたも普通の家じゃないでしょうが」

 

 忍原が桜咲にツッコミを入れると、部室のパイプ椅子に腰掛けた焔の方に向き直る。

 一足早い自己紹介を済ませた焔は、残りの合格者を待ちながらぎこちなくもサッカー部員と話をしていた。

 

「仁藤穂香さんかぁ…。でも確かに、言われてみれば似てるね」

 

「髪伸ばして眼鏡かけたらかなり近いかも?」

 

 忍原と木曽路が焔の顔を揃って覗き込んできた。

 2人とは全く話したことがなく、同学年の木曽路はともかく忍原とは面識すらないというのに、距離感の詰め方が早い。今となっては死後にカテゴライズされることもある『陽キャ』という言葉が、まさにこの2人に似合っているだろう。

 

「えっと、木曽路君も忍原先輩も、母さんのこと知ってるんですか?」

 

「そりゃもちろん!」

 

「知ってるよ、サッカー知らなかった時の私が観てたくらいだもん。東京オリンピックで銀メダル取った時とかリアタイしてたなぁ」

 

「オリンピック見たことある奴ならほとんど知ってるんじゃねえか?男女両方めちゃくちゃ強かったもんな、あの時代は。どこ見てもスター選手しかいなかったろ」

 

 制服からジャージに着替えた桜咲が、数年前までの日本代表を懐かしむように部室の窓を見上げた。

 今は当時の選手の大半が引退してしまったが、数年前までの日本サッカーの熱狂ぶりはそれはもう凄まじく、今なお冷めやらぬ勢いのままだ。

 言うに及ばず、円堂守、豪炎寺修也、鬼道有人をはじめとした男子サッカーのレジェンド選手たちが築き上げた功績は計り知れない。

 だが日本サッカーの躍進は、男子サッカーだけにとどまらなかった。

 まだ、日本に女子サッカーという概念すらほとんど浸透していなかった時代。突如として世代代表として台頭し、今の女子サッカーの礎を築いたのは、円堂たちと時を同じくして現れた同世代の女子選手だった。

 代表最多出場記録を持つ財前塔子を筆頭に、浦部リカ、八神玲名、小鳥遊忍、倉掛クララ、蓮池杏といった名だたる名選手たち。焔が生まれる2年前に行われた世界選手権では、女子サッカーのフル代表史上初となる世界制覇を成し遂げている。

 言うまでもなく、焔の母である穂香もそのレジェンド選手の中に名を連ねている。少なくとも女子サッカーを見聞きしたことがあるならば、その名を知らない者はいないだろう。

 

「あの人たちが女子選手の地位を上げてくれなかったら、中学の公式大会に女の子は参加できないままだったって言われてるからね。もしそのままだったら、私もサッカー部に入ろうとすら思ってなかったわけで」

 

「そ、そうなんですね」

 

「そうなんですってお前、聞いてないのかよ。親ってなそういう話を子供にもしてくるもんじゃねーのか」

 

 ジャージを着崩した柳生が怪訝な顔をしている。柳生と言葉を交わすのはこれが初めてなのだが、思った以上に自然体な柳生の振る舞いに焔は内心驚いていた。

 あの間抜けなパフォーマンスをしていた姿が嘘のようだ。190センチという桁外れの体格が、今はこの上なく頼もしく見える。

 

「そういう話は…あんまりしないです。サッカーの話はいっぱいするけど、ほとんど自分の自慢はしない人なので」

 

「…ほーん」

 

 サッカーの技術や心構えは、穂香に沢山教えてもらった。焔が生まれる前にどういう試合があった、という話も何度も聞いた。

 だがそれでも、穂香がそれを鼻にかける様子は一度たりともなかった。

 起こったことは、全て次のためにある。今はただやるべきことをやれ。

 それが母の教えだった。

 

「あと俺が聞くのも何だけどよ、それならサッカー部のない南雲原に来る必要はなかったんじゃねえか?」

 

「あー…それは…。まあ色々あって、小学校卒業したタイミングでサッカーは辞めようと思ってたんで」

 

 柳生の質問に出来るだけ正直に答えようとした焔の視線が、他の部員たちの方へと外れる。

 聞かれたくないことではあったが、それは過去のことだ。今そんなことを気にしても仕方ない。

 

「でも、この前のダンスバトルとか野球部との試合観てたら、やっぱりこのまま辞めるのはもったいないって思ったんです。それに、ちょうどサッカー部作るっていう話があったのも、きっと何かの縁なのかな〜…なんて」

 

「うん、もったいないもったいない!一緒に頑張ろうよ!」

 

「サッカーに戻って来れたんなら良いじゃねーか」

 

 忍原と桜咲に両肩を叩かれて、焔は照れくさそうに笑った。

 学校一の不良とアイドル。まさか、この2人にこんな事を言われる時が来ようとは思いもよらなかった。

 

「みんな、合格者の人たちが来ました。グラウンドに集まってください」

 

 少しの間他の部員からの質問に答えていると、部室の外から雲明が顔を出した。チャンプオンの限定ジャージを着て号令を出す彼の姿は、同い年ながら強豪チームの指導者のようだ。

 雲明の一声で、サッカー部がグラウンドにぞろぞろ出始めると、焔も慌ててそれについていった。

 

「ふむ、これは…」

 

 四川堂が呟きながら、合格者のメンバーを見回した。

 面接に合格して新入部員となったのは、焔の他に4名。これで部員の数は12人。やはり雲明は出場せずに監督を務めるらしく、よって出場可能な選手はちょうど11人となる。

 控え選手も欲しいところだが、雲明によると確固たる戦術を短期間で作り上げるため、あえてギリギリの人数にしたのだという。

 バラバラの考えで動くチームよりも、無駄を削ってやるべきことをしっかりと出来るチームの方が間違いなく強い。

 ただでさえ経験者の少ないチームである以上、焦点を絞った練習をするのが得策だろう。

 …さて、肝心の新入部員はどうなったのかというと。

 これまたクセの強いメンバーが揃っていた。

 

「よろしくお願いします、ご主人様。並びにサッカー部の皆さん」

 

 言動といい唇といい、どこからツッコんだらいいのか分からない先輩、黒原玲文。

 

「俺は全てを乗りこなせる男さ。もちろん、サッカーもな」

 

 なんかチャラい先輩、濱南暁海。

 

「気品あるサッカーを目指しますわ」

 

 お嬢様っぽい先輩、井馬里陽愛。

 

「さあ、優勝目指して突進しようぜ!」

 

 突進の先輩、牛島突五郎。

 

 個性的すぎる11人と雲明、そしてマネージャーの百地と生徒会長の千乃が揃い、南雲原中サッカー部は発足したのであった。

 

 

 

***

 

 

 

 木曽路と練習前のストレッチをしながら、焔は雲明に尋ねた。

 

「雲明君は練習やらないの?」

 

「僕は…」

 

「いや、だってあんなボールタッチ見たことないよ。これでもそれなりの数の選手とは戦ってきたつもりだけど、雲明君は間違いなく今まで見た中でダントツ上手いと思う。しかも野球部戦の作戦考えたのだって君でしょ?上手くて作戦も考えられるとか最強じゃん。ね、一緒に試合出ようって。あの技術があれば、全国大会だって怖くない。すげー強いチームが出来るぜ」

 

「………」

 

「あ、あれ?」

 

 興奮気味に雲明への評価を口にした焔とは正反対に、雲明は下を向いて押し黙ってしまった。

 何か、まずい事を言ってしまったのか。いやしかし、あんなボール捌きと立案が出来て、尚且つサッカー部の創部に奔走する人間が試合に出ないというのはどうにもおかしい。

 屋上でのダンスバトルの際に、サッカーを嫌いになりたかったと言っていたが、焔はあの真意をどうしても確かめておきたかった。

 図らずも気まずくなってしまった焔と雲明を繋ぐようにして、木曽路が焦り気味に話し始める。

 

「雲明は、サッカーが出来ないんだ。…病気があって」

 

「び、病気で…?」

 

「それこそサッカーみたいな激しい運動は不可能だって言われてる」

 

「ごめん!そんなつもりじゃ」

 

 焔は雲明に頭を下げた。

 相手のことも考えずに、なんて自分勝手なことを。本人はこんなにも辛そうにしているというのに。 

 

「…ううん、良いんだ。慣れっこだから」

 

 明らかに無理をしている表情で雲明が言った。

 でも、あんなに上手いということは、それだけ練習するほどサッカーが大好きだったということだ。それだけじゃない、今もきっと好きで仕方がないのだろう。

 野球部のパフォーマンスに怒っていたのも、あの忍原来夏にまでわざわざダンスバトルを挑んでいたのも。

 しかも、病気というとんでもないハンデを抱えながら。

 こんな形ではあるが、これまでの雲明の行動の全てが繋がってきた。

 

「僕も、サッカーを嫌いになろうとしてた。嫌いになれば、好きだったサッカーを諦められるから。でも初めて桜咲先輩の足捌きを見た時に、やっぱりサッカーは辞められないって思った。もったいない…ってね。それこそダンスバトルを見て、焔君がそわそわしてたみたいに」

 

「そっか」

 

 共感があって嬉しいような、痛いところを見られていてばつが悪いような。

 とにかく、こんな状況下でも前向きに行動しようとする雲明の姿勢に、焔は感心した。

 

「あ、ちなみに俺も見てました。なんかあの気付いてハッとしたような感じのね。こう、ハッと!」

 

「何も真似しなくても」

 

「照れんなって」

 

「照れとらんわい」

 

 木曽路がいつの間にか馴れ馴れしくからかってくる。

 だが、不思議と悪い気はしない。

 木曽路も木曽路で、明るくて楽しいムードメーカーだ。こういう人間がチームにいてくれると、よりサッカーが楽しくなる。

 

「でも、君がそうやってサッカーに向き合ってくれたなら、僕もサッカーと向き合って良かったって思う。僕に今できることがちゃんと成果として出て、何より仲間も増えたんだから」

 

「雲明君…」

 

 立ち止まったまま、雲明は真っ直ぐ焔の方を見てそう言った。

 どこまで純粋で、一生懸命な人物なのだろう。

 こんなにサッカーが大好きなかっこいい奴の思いを、無下に出来る選手がいるものか。

 

「俺も頑張るよ。西ノ宮戦、絶対勝とうな」

 

「うん」

 

 僅かに口元を緩めながら、雲明は頷いた。

 本当、すげー奴らに出会ってしまったものだ。 

 

「そんじゃ張り切っていきますか!」

 

「よしきた!」

 

 木曽路の元気な一言と共に、焔は南雲原初の全体練習に参加した。

 ちなみにかなりハードな練習で、歩いて帰るのも一苦労だった。

 

 

 

[南雲原中サッカー部]

 

GK

四川堂 我流

 

DF

古道飼 亀雄

仁藤 焔

黒原 玲文

井馬里 陽愛

 

MF

木曽路 兵太

柳生 駿河

牛島 突五郎

濱南 暁海

 

FW

桜咲 丈二

忍原 来夏

 

監督

笹波 雲明

 

マネージャー

百地 唯奈

千乃 妃花

 

顧問

香澄崎 栄子

 

追加合格者若干名

 

 

 

 





え?セレクトメンバーがむさ苦しい?そんなこと、海の広さに比べたらちっぽけなことだろ!
…ではなく、ヒロインはサッカー部だけとは限らない、とだけ書いておきます。タグから来た人には申し訳ない。

あと追加合格者についてですが、原作より大会の試合数が増えてるのでもう少しメンバーがいた方がいいかな、と考えて追加で何人か入れてます。
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