四季sids
「一夏を借りるぞおじさん。」
四季の中でいじめの疑いがある友達の一人、篠ノ之箒との再会だった。
「別に構わない、一夏、次の授業には遅れるなよ?」
「分かってるよ父さん。」
「・・・行くぞ一夏。」グイッ
「ゲホッ!?・・・分かったからそんなに引っ張るなよ箒。」
首根っこを掴まれているため強く引っ張られると首が締まり変な声が出てしまった一夏。
(・・・一夏には悪いが後をつけさせてもらう。)
ブウウウウウン
独特な歩き方(超振動)で周囲に気づかれることなく席を立ち四季は姿を消した。
一夏sids
久しぶりに会った箒に強引に引きずられ連れてこられた屋上で一方的に箒が話始める。
「最近どうだ?何か変わったことは無かったか?」
(この強引さも丸くなってたら良かったのになぁ・・・)
「あ~、いろいろな・・・そっちはどうだったんだ?」
「どこもかしこも腑抜けた輩が多過ぎる!なぜ誰も私の指導についてこれないのだ!」
(そりゃあ箒が乱暴すぎるからだよ!)
「一夏、後で稽古をつけてやろう、お前は腑抜けではないからな。」
「え~と・・・遠慮しとくよ。」
「なぜだ!」
声を荒げる箒に選択をミスったと思った一夏。
次の瞬間には木刀が眼前に迫る。
(やべっ!?)
バギッ!
「なっ!?」
「・・・ん?」
避け損ねたそのはずだった。だがいつまでたっても衝撃はやってこない。
「おい。」
目の前にはとても大きな背中があった。
「何をしている?」
「さっきのおっさん!?何をした!」
「何を?ただ息子を守っただけだ。」
「くっ!放せ!」
「放すと思うのか?」
「これは・・・正当防衛だよなぁ!」
バギッ!
「グフッ!?」
四季のストレートが箒のみぞおちに突き刺さる。
「信じられないって顔をしているな。俺は女だろうが家族の為なら殴るぞ?」
「くっ!覚えておけ!」
そう吐き捨て箒は逃げるように去っていった。
「来るなら殴られる覚悟をするんだな。」
それをとても冷ややかな目で見ながら箒の姿が消えると一夏の方に向き直る。
「大丈夫か?一夏?」
「あ、ああ、父さんこそ大丈夫か?」
「なあにこれしきの事で傷つくほど父さん弱くないよ。」
「・・・それより、良かったの?入学早々暴力沙汰なんて起こして?」
「なあに元々ここに入れたのが政府の老害どもだ、しかもこっちは正当防衛だからな。」
「そりゃあ・・・そうだけど。」
「じゃあ大丈夫だ、千冬が何とかしてくれるよ。」
その言葉で一夏はここに居ない姉の心配をした。
一夏sids
一二限目をすっ飛ばして三時限目
(今回は千冬姉か。)
「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな。」
「クラス代表者とはそのままだ、対抗戦だけでなく生徒会の開く会議や委員会への出席・・・まあクラス長だな、一度決まると一年間変更は無いのでそのつもりで。」
思い出したかの様にクラス代表を決める投票が始まった。
「はい!織斑くんを推薦します!」
「私も!一夏君を推薦しま~す!」
「私は四季さんを推薦します!」
「私も四季様を推薦致します!」
「私は鈴木君を推薦します。」
「えっ!?」
「ん?」
「では候補者は織斑と四季、鈴木・・・と他にはいないか?自薦他薦かまわないぞ。」
「ちょっとまってくれよ!俺はそんなのやりたくないぞ!」
「黙れ一夏、推薦されたものに拒否権はない。四季はどうなんだ?」
「俺はどっちでもいいが・・・正直言ってクラスを引っ張るのが大人だと他の皆の成長が見込めないから、やりたくないな。」
(あくまでも他人の成長を促すつもりか・・・素晴らしいぞ父さん!)
「では一夏をクラス代表とし、四季をクラス代表補佐として入れることでほかの者の成長は妨げないこれでいいか?」
「俺はいいぞ。」
少し興奮気味の千冬に一夏は気付き反論を諦めた、こういう時は何を言っても聞かないのだ。
「待って下さい!納得いきませんわ!!!」
その時鳴りを潜めていた女子が名乗りを上げる。
(あの時の女子か・・・厄介だな。)
実はこうなる前四季に絡みに行っていた女子がいたその名も『セシリア・オルコット』
「その様な選出は認められません!大体、男がクラス代表だなんて言い恥さらしですわ!わたくしに、このセシリア・オルコットにその様な屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」
散々な言いように少しだけ眉をひそめる四季。
「実力から行けば私がクラス代表になるのは必然。
それを、物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!わたくしはこのような島国にまでIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをするつもりは毛頭ございませんわ!」
「いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべき!そしてそれはわたくしですわ!」
凄い勢いでまくし立てるオルコットの言葉の暴力で教室にいる日本人が顔を顰める。
その時四季が名乗りを上げる。
「少し聞いてもいいかな?オルコットさん?」
「何なんですの?何か文句でも?」
「いや、どちらかというと確認だな、君はこの教室に何人日本人または日系人がいるのかわかるかな?」
「・・・あ、そ、それは。」
「分からないとは言わせない、さあ答えてもらおうか?」
凄まじい屈辱感がセシリアを苛む。
「・・・このクラスの、半分以上が・・・・日系人ですわ。」
「分かってるならそれでいい、ではなぜあのような暴言を?俺たちが気に入らないのであれば素直にそう言えば良いだろう?」
(よし、このまま穏便に済ませられそうだな。やっぱり父さんは凄いや。)
そのまま終わりそうだった話を掘り返す愚か者が現れた。
「ちょっと待ったぁ!!!」
「?」
入学当初から反応を見せなかったもう一人の男子鈴木ロイドだ。
「セシリアさんよぉ?このままでいいのかい?」
「このままでいい・・・とは?」
「このままあいつらの言うように頭を下げても良いのかよ?」
「・・・それはいやですわ!」
「じゃあこうしようじゃないか、今ここにいる推薦された皆で対戦してその勝ち負けでクラス代表を決めようじゃないか?」
そう言い織斑先生の方を見る鈴木。
「・・・まあ良かろう、ではここにいる推薦されたものは一週間後に第一アリーナでそれぞれ一戦してもらう、それでいいな?」
「私は問題ないですわ。」
「俺もだ、そっちの二人は?」
「どうする父さん?」
「どうするも何も、やるしかないだろう。」
「分かったよ、やってやります!」
「やるさ、言われたからにはやらなければならない。」
「ではこの話はおしまいだ。」
そこにチャイムが鳴り響く。
「む、終わってしまったな、では次の授業で会おう。」
(これならお父さんの強さを広められるな、頑張れ!お父さん!)
波乱に満ちた授業が終わった。
男は卑怯者には手加減しない。ましてやそれが家族の為なら。