戦場の笑顔 作:匿名
簡易生活区画。
コンテナを改造した、最低限の生活空間。
二段ベッドが二つ、簡素の机と椅子、ロッカー、1人分のスペースのシャワールーム
壁は金属剥き出しで、どこか寒々しい。
「今日から、ここが私たちの――」
周囲を見る。
「……秘密基地?」
「秘密じゃないし、基地だな」
「……これ、落ち着いて寝られるかしら?」
「少しだけ、冷えそうですね」
シャロは、ベッドを指でつつき。
チノが毛布を見る。
薄いわけではないが、厚いというほどでもない
そんなことを考えているとココアが声を掛ける
「一緒に寝よっか!」
「どうしてそうなるんですか」
休息
「はー……」
シャロはベッドに横になり
全身の力を抜く。
意外にも寝心地は思ったより悪くはなかった
「今日だけで色々ありすぎた…」
「あの後だって尋問だなんて言っていろいろ聞かれたし、検査なんて言ってずっと調べられたし」
「まあ私たち、ここの人たちから見たら突然やってきた人だしな。もしも逆の立場で考えたら…」
シャロは反対の立場で考えてみる
石畳の町に突如現れる完全武装のスネークさんにミラーさん、兵士の人たち…
「あ、怪しすぎる…!」
「…異世界なんて言ってましたし」
「もー!ココアぁ!
あんたがややこしいこと言わなければー!」
シャロがココアをぽかぽかと叩くが
力なんて欠片もこもってはいない
※
…ラビットハウスは、どうなってるんだろう
いきなりいなくなって
みんなも、おじいちゃんも
きっと…すごく、すごく心配掛してるはず…
これから、どうなるんだろう
―――怖い。
「でもさ」
「これってなんだかお泊り会みたいだよね!」
「どうしてそんなに能天気なのっ。あれこれ不安になってるのがバカみたいじゃないっ」
「前向きなのが私の取り柄だからね!」
「ココアは何も考えなさすぎなの!」
―――毛布を握りしめる
「……怖いけど」
誰にも聞こえない小さな声。
「……みんながいるから、眠れそうです」
※
夜。
人工の照明が基地を薄暗く照らし
波の音がかすかに聞こえる。
簡易生活区画。
その部屋の前を一人の兵士が警備しながら通り過ぎる
――――子供が、戦場で眠る。
だが、部屋の中から聞こえるのは――
「それじゃあ消すぞ」
「おやすみ!」
「おやすみなさい……」
そんな、どこにでもある夜の声だった。
管制区画。
照明は落とされ、モニターの光だけが浮かんでいる。
「……結論から言う」
カズヒラ・ミラーは、報告書を机に置いた。
「やつらは敵と断定まではできない。今のところは、だ。」
オセロットが静かに言う。
「だが、客人でもない」
「そうだ」
「自由にすれば、基地の秩序を壊す」
オセロットがそれに対し呟く
「閉じ込めれば、いずれ精神が壊れる」
その言葉にミラーは続ける
「どちらも爆弾だ」
「だから」
ミラーは決断する。