強者がありふれた世界   作:超高校級の切望

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反逆者の住処

 ただただその木々を眺めていた。

 他にすることなど何もない。時折身動ぎするだけで、木々もそこに住む生き物共も騒がしかった。

 

 目を覚ます。飛び込んでくるのは天井。

 

「………これはあれだな。父さん母さん、兄貴の言ってた『知らない天井』………」

「ずいぶん余裕がありそうだな?」

「兄貴…………」

 

 かけられた声に振り返るとハジメがいた。

 片腕がなく髪の色と身長と目つきと目の色と筋肉のつき方が変わっているが、それだけで兄を間違えるような弟ではないのだ。

 

「……………色々言いたいことはあるが、生きててよかった」

「胸に飛び込むか?」

「それはお前が寝ている間にやった。ちゃんと心臓、動いてたぞ」

 

 その言葉に胸に触れる。ベヒモスに空けられた風穴は完全に塞がっていた。というより消えていた。後すら存在しない。

 

「お前のあの姿に関係しているのか?」

「あの姿…………」

「覚えてないのか?」

「覚えている。動いていたのは、俺の意思ではなく本能のままだったが…………」

 

 記憶のある酔い方とでも言おうか。何をしていたかは覚えているが、ソウジ自身が何かをしようとして動いていたわけではない。

 

「あの姿はなんだ?」

「俺の前世」

「……………………………そう来たか」

 

 たっぷり20秒ほど黙り込み、漸く返せた言葉はそんなものだ。眉間を揉み再び尋ねる。

 

「なんてドラゴンだ?」

「え、さあ?」

「……………………」

「前世が何であったかは思い出せても誰であったかまでは知らんよ。兄貴だって前世が貝だったとして人間になんて名付けられてたか知らないだろ?」

「それは、まあ…………そうか? てか、ドラゴンって実在したんだな。いや、前世が地球とは限らないのか」

 

 弟が前世の記憶を取り戻した。までならともなく人外で、しかもドラゴンだったでござる。お前もこっち側にきたか、というにはあの姿を見た後だ。

 

「そっかあ。ドラゴンかぁ……………背に乗せたりできる?」

竜騎士(ドラゴンライダー)になりたいのか? まあ、兄貴なら乗せてやってもいいぞ」

「まあそれは後にして。香織達は覚えているか?」

「……………ああ、いたな。後なんかちっこいの」

「ちっこいの…………」

 

 なんて認識の仕方だ。本人が聞いたら落ち込むな。

 

「で? 兄貴、ここは? 俺は下に下に降りてった記憶しかねえんだが」

「ああ、そうだな。つか、意識がなかったんならなんで下に? 俺を追ってきた、とか?」

「いや、餌を求めて」

「………………そっかぁ」

 

 ハジメは少し落ち込んだ。

 

「それで、ここは?」

「反逆者の住処、だな」

 

 反逆者。嘗て神の眷属であった7人は神に逆らい敗れた。その際に追撃から逃れるために7つの迷宮を生み出した。故に大迷宮と呼ばれる場所は現在3つしか発見されていないが七大迷宮と呼ばれている。

 

 オルクスも発見されている迷宮、その一つだ。迷宮の最奥にある居住区なら、なるほど其処は反逆者の住処に違いない。

 

「外出てみろ。窓から差し込むこの光、太陽を人工的に再現して植物の成長、人間の肉体反応も全部本物同様だ」

 

 錬成師として神代のアーティファクトに興奮してるのか、オタクとして『人工太陽』という単語にテンションが上がっているのか、とにかくやたら元気な兄。

 

 外に出てみると川で遊ぶ女子2人。片方は香織。片方は記憶にあるちっこいのだ。

 

「あ、ハジメ君。ソウジ君も、起きたんだね!」

「ん、はじめまして。私はユエ。貴方の義姉(おねえ)ちゃん」

「ユエ?」

 

 姉を名乗る不審者に香織がニコリと笑み浮かべる。その背に薙刀を持った般若の幻影が見えた気がしたソウジは目を擦った。

 

「ユエは吸血鬼族の王女だったらしい。ここで封印されてた」

「吸血鬼の………てことは300はいっているのか。はじめまして御老人。俺は南雲ハジメの愚弟、南雲ソウジ」

「ご、ろ………!?」

「ソウジ君………」

「ソウジ………」

「ん? ああ、これは失敬。ロリババアは老人扱いするな、だったな」

「バッ…………ハジメ、香織ぃ」

「悪気はないんだ」

 

 何なら本気で年上として敬っているまである。

 

「むしろ余計悪いような………」

 

 香織とハジメに飛びついたユエ。2人はヨシヨシと撫でてやる。

 

「ソウジ君、それで………あの竜の姿は……」

「竜? 蛇じゃないの?」

「そこの吸血鬼。それはあれだ、お前猿じゃないの? と言ってるようなものだからな」

 

 どうやらドラゴンの誇りがあるようだ。

 

「それで、その姿は何だ? その吸血鬼とはどう知り合った?」

「ああ、実はな………」

 

 ハジメは奈落に落ちた後の事を話し始めた。

 ソウジが胸に穴があいて、香織が直そうとするも魔物に襲われた事、その際に壁の中に逃げ込み運よく神水を生み出す神結晶を見つけ生きながらえていた事、苦痛と絶望の中せめて香織だけでも地球に返すことを誓った事、魔物の肉を食い魔物の固有魔法を手に入れ身体能力が上がった事、ソウジの死体をせめて埋めようと探していたこと、ソウジを食ったであろう爪熊はぶっ殺した事、その後脱出するべく潜っていくと封印されし吸血姫に出会ったこと、パーティーメンバーを増やして潜り最後に凶悪な力を持つヒュドラに出会し、そこにソウジが落ちてきた。

 

「なるほどなぁ………」

「心臓に穴…………不死身(お仲間)?」

「そういえば俺のステータス技能に〝不死〟があったな」

「「あ……」」

 

 香織もハジメは思い出す。そうか、ソウジはそもそも心臓貫かれた程度で死なない可能性は最初からあったのか。

 

「心臓なくて動いてたのもそういうことか?」

「いや、あれは魂魄魔法で肉体に憑依………霊現象で身体を動かしていた」

「そうなのか?」

「死んでも別の肉体で生き返るから、とか? その際また記憶失う可能性あるけど」

「「?」」

 

 香織とユエは首を傾げる。

 

「ああ、あのドラゴン………ソウジの前世らしい」

「「前世!?」」

 

 誰だって驚く。ハジメだって驚いた。

 

「確か誰かに首を切り落とされて終わったような…」

「ああん!? 何処のどいつだ、人の弟の首切り落としやがったの!」

「……………俺をまだ弟と思ってくれるのか?」

「たりめぇだろ」

「……………そうか」

 

 ハジメの迷い無き肯定にソウジは嬉しそうに微笑む。かわいい、と胸キュンするユエ。うんうん、それがハジメ君だよねと後方彼女面する香織。

 

 

 

 

=======================

 

南雲ソウジ 17歳 男 レベル:???

天職:神子

筋力:???

体力:???

耐性:???

敏捷:???

魔力:???

魔耐:???

技能:■■魔法[+魂魄魔法]・全属性適性・全属性耐性・物量超耐性・竜化[+■■竜]・不死・複合魔法・超越言語・神の寵愛

=======================

 

 

「竜化……竜人族が持ってたっつー技能か」

「竜人族………」

 

 ユエが何やらキラキラした目を向けてくる。何でもで竜人族はその昔、王の中の王、竜人族こそ真の王と呼ばれるほど王達の規範になったこともあるのだとか。

 

 五百年前、異端として滅ぼされた筈の竜人族を王の規範として教えた? 吸血鬼の教育係は相当変わり者のようだ。或いは神が嫌いなのかもしれない。

 

「てかステータスが全部表示不能に………」

「まあ正直あの時のソウジ君、ステータスにどう記されていても足りないんじゃって思うような威圧感だったしね………」

 

 と、香織が言う。ハジメとユエも確かに、と頷いていた。

 

「まあ良い。ソウジも起きたんだ、本格的な散策と行こうぜ」

「してなかったのか?」

「俺も今日の朝起きたんだよ」

 

 一緒に回ろうぜ、と笑うハジメにソウジも毛布をはらい立ち上がった。

 

「行くぜ兄貴」

「行こうぜ弟」

「仲良し」

「ねー」

 

 一階から見て回る。暖炉や絨毯、ソファのあるリビングらしき場所、台所、トイレを発見した。どれも長年放置されていたような気配はない。人の気配は感じないが、きれいに維持されている。モデルハウスでも見ている気分だ。

 

 ライオンが水を吐く風呂もあった。

 

「異世界でもライオンが水を吐くのか」

「厄除けだったか? 魔物がいるこの世界でもライオンは強いってイメージなんだな」

 

 二階では書斎や工房らしき部屋を発見した。しかし、書棚も工房の中の扉も封印がされているらしく開けることはできなかった。仕方なく諦めて探索を続ける。

 

 

 四人は三階の奥の部屋に向かった。三階は一部屋しかないようだった。

 奥の扉を開けるとそこには直径七、八メートルの今まで見たこともないほど精緻で繊細な魔法陣が部屋の中央の床に刻まれていた。いっそ一つの芸術といってもいいほど複雑で、しかし芸術的な幾何学模様である。

 

 しかし、それよりも注目すべきなのは、その魔法陣の向こう側、豪奢な椅子に座った人影である。人影は骸だった。既に白骨化しており黒に金の刺繍が施された見事なローブを羽織っている。薄汚れた印象はなく、お化け屋敷などにあるそういうオブジェと言われれば納得してしまいそうだ。後眼鏡を付けている。耳などないのにどこに引っ掛けているのだろうか?

 

 その骸は椅子にもたれかかりながら俯いている。その姿勢のまま朽ちて白骨化したのだろう。寝室でも、或いは中庭やリビングでもなくここを最後の場に選んだのだろうか?

 

「……怪しい……どうする?」

 

 ユエもこの骸に疑問を抱いたようだ。おそらく反逆者と言われる者達の一人なのだろうが、苦しんだ様子もなく座ったまま果てたその姿はまるで誰かを待っているようである。

 

「………………」

 

 ソウジはジッと骸を見つめている。

 

「まぁ、地上への道を調べるには、この部屋がカギなんだろうしな。俺の錬成も受け付けない書庫と工房の封印……調べるしかないだろう。皆は待っててくれ。何かあったら頼む」

「任せて」

「ん……気を付けて」

 

 ハジメはそう言うと、魔法陣へ向けて踏み出した。ハジメが魔法陣の中央に足を踏み込んだ瞬間、カッと純白の光が爆ぜ部屋を真っ白に染め上げる。

 

 まぶしさに目を閉じるハジメ。直後、何かが頭の中に侵入し、まるで走馬灯のように奈落に落ちてからこれまでのことが駆け巡った。

 

 やがて光が収まり、目を開けたハジメの目の前には、黒衣の青年が立っていた。

 

 魔法陣が淡く輝いていた。部屋を神秘的な光で満たされる。

 

 中央に立つハジメの眼前に立つ青年はよく見れば後ろの骸と同じローブを着ていた。

 

「試練を乗り越えよくたどり着いた。私の名はオスカー・オルクス。この迷宮を創った者だ。反逆者と言えばわかるかな?」

 

 話し始めた男はオスカー・オルクスというらしい。【オルクス大迷宮】の創造者のようだ。驚きながら彼の話を聞く。

 

「ああ、質問は許して欲しい。これはただの記録映像のようなものでね、生憎君の質問には答えられない。だが、この場所にたどり着いた者に世界の真実を知る者として、我々が何のために戦ったのか……メッセージを残したくてね。このような形を取らせてもらった。どうか聞いて欲しい……我々は反逆者であって反逆者ではないということを」

 

 そうして話された話をまとめると、神代の少し後の時代は戦乱の時代でその戦争は神々の遊戯だったとか。

 

 今でこそ反逆者と呼ばれる彼等のリーダーは神々の直系だからか、それに気付き神から人類を解放せんとした。

 

 リーダーを筆頭に、先祖返りと言われるほどの高い力をもつ7人の神代魔法の使い手を中心に、彼等は神々に戦いを挑んだ。

 

 しかし、その目論見は戦う前に破綻した。

 神は人々を巧みに操り〝解放者〟達を世界に破滅をもたらそうとする神敵であると認識させて人々自身に討伐させたのである。その過程にも紆余曲折はあったのだが、守るべき人々に力を振るう訳にもいかない。

 彼等〝解放者〟は神の恩恵も忘れて世界を滅ぼさんと神に仇なした〝反逆者〟のレッテルを貼られは討たれていった。

 

 最後まで残ったのは力を持つ中心の七人だけだ。世界を敵に回し、彼等は最早自分達では神を討つことはできないと判断した。

 彼等はバラバラに大陸の果てに迷宮を創り潜伏することにしたのだ。試練を用意し、それを突破した強者に自分達の力を譲り、いつの日か神の遊戯を終わらせる者が現れることを願って。

 

 長い話が終わり、オスカーは穏やかに微笑む。

 

「君が何者で何の目的でここにたどり着いたのかはわからない。君に神殺しを強要するつもりもない。ただ、知っておいて欲しかった。我々が何のために立ち上がったのか……君に私の力を授ける。どのように使うも君の自由だ。だが、願わくば悪しき心を満たすためには振るわないで欲しい。話は以上だ。聞いてくれてありがとう。君のこれからが自由な意志の下にあらんことを」

 

 話が終わったのかオスカーの映像が消えた。同時にハジメの脳裏に刻まれる学んだ事のない知識。

 オスカーの力とやらだろう。あまりに膨大な情報量に頭がズキズキと痛む。

 

 やがて、痛みも収まり魔法陣の光も収まる。ハジメはゆっくり息を吐いた。

 

 

「ハジメ……大丈夫?」

「ハジメ君………」

「兄貴?」

「ああ、平気だ……にしても、何かどえらいこと聞いちまったな」

「……ん……どうするの?」

 

 ユエがオスカーの話を聞いてどうするのかと尋ねる。

 

「うん? 別にどうもしないぞ? 元々、勝手に召喚して戦争しろとかいう神なんて迷惑としか思ってないからな。この世界がどうなろうと知ったことじゃないし。地上に出て帰る方法探して、故郷に帰る。それだけだ……ユエと香織、ソウジは気になるのか?」

 

 見ず知らずの老人と子供のために動いた一昔前のハジメなら何とかしようとしただろうが、今のハジメに他人の為に動く余裕はない。それでもユエはこの世界の出身だし、香織は誰かの為に動けるハジメに惚れてくれた。だから確認する。

 

「私の居場所はここ……他は知らない」

「私は………誰かの為に動けるハジメ君が好きだよ。でも、名前の知らない居るはずの何処かの誰かの為に動いてなんて言わないよ」

「そうかい…………ソウジは?」

「神…………斬り合ってみたいな。ああ、別に刃物使いでなくともいいが」

 

 と、何処からともなく直刀を取り出し撫でるソウジ。うっとりと微笑むその姿は同性の男でも色に狂いそうだ。もちろんハジメはお兄ちゃんだから平気だが。

 

「お前、そんな趣味だったか? てか、なんだその剣」

「俺の骨だ」

「ああ、そうか………竜骨の剣ね。流石ドラゴン、流石ファンタジー」

 

 古墳時代とかの剣を思わせる形の骨ってなんだ。でも確かにベヒモスの時も体内から出てたな。

 

「趣味に関してだが………ほら、俺は男でドラゴンだし、最強であることを証明したいじゃん? 男なら」

 

 ドラゴン。大自然の力を操る驚異の具象化にして、宝という文明の証を蒐集する自然と文明の狭間を生きる者。

 

 神と人、そのどちらの敵でもありながら神話に大きく名を残すのは、単純に強いから。神々ですら手出し出来ず、英雄と呼ばれる程の存在にて討たれる怪物。

 

 そのドラゴンの本能なのか、ソウジはどうやら強者との戦いを求めているようだ。

 

「前世はそれで首斬られた?」

「ん〜。思い出せない………ただ、最期は戦ってない気がするんだよな」

 

 戦ってないのに首を斬られた? まあドラゴン退治の逸話なんてそれこそ道に穴を掘ってその上を通ったら刺すとか、神々より与えられた酒や楽器で眠らせて、なんて話も珍しくない。ソウジもその手のドラゴンだったのだろう。裏を返せばそれだけ強力だったということ。

 

「ま、いいや。それよりこの魔法陣、どうやら神代魔法を覚えられるみたいだぞ」

「……ホント?」

 

 

 信じられないといった表情のユエ。それも仕方ない。何せ神代魔法とは文字通り神代に使われていた現代では失伝した魔法である。魔法に優れたユエだからこそ、その驚愕も大きいというものだ。

 因みにハジメ達をこの世界に召喚した転移魔法も同じ神代魔法である。

 

 

「何かこの床の魔法陣が、神代魔法を使えるように頭を弄る? みたいな」

「……大丈夫?」

「おう、問題ない。しかもこの魔法……俺のためにあるような魔法だな」

「ハジメ君のため? どんな魔法なの?」

「え~と、生成魔法ってやつだな。魔法を鉱物に付加して、特殊な性質を持った鉱物を生成出来る魔法だ」

 

 ハジメの言葉にポカンと口を開いて驚愕をあらわにするユエ。

 

「……アーティファクト作れる?」

「ああ、そういうことだな」

 

 アーティファクトは現代では作り出せないとされた神代のアイテム。どうやら失伝した神代魔法を必要としたらしい。そりゃ現代では誰も使いこなせないわけだ。

 

「ユエ達も覚えたらどうだ? 何か、魔法陣に入ると記憶を探られるみたいなんだ。オスカーも試練がどうのって言ってたし、試練を突破したと判断されれば覚えられるんじゃないか?」

「……錬成使わない……」

「私、回復術師だし………」

「まぁ、そうだろうけど……せっかくの神代の魔法だぜ? 覚えておいて損はないんじゃないか?」

「……ん……ハジメが言うなら」

「まあ、ひょっとしたら持ってるだけで回復するアイテムなんかも作れたりするのかも」

「まあ損にはなるまい」

 

 と、ハジメの勧めに3人も魔法陣に乗る。魔法陣が輝き3人の記憶を探る。そして、試練をクリアしたものと判断されたのか……

 

「試練を乗り越えよくたどり着いた。私の名はオスry……」

 

 またオスカーが現れた。同じ事を言っている。

 何か、いろいろ台無しって感じ。ハジメ達はペラペラと同じことを話すオスカーを無視して会話を続ける。

 

「どうだ? 修得したか?」

「うん、できた………けど、これって………」

「ん………アーティファクトは難しい」

「だよね?」

「う~ん、やっぱり神代魔法も相性とか適性とかあるのかもな」

 

 そんなことを話しながらも隣でオスカーは何もない空間に微笑みながら話している。すごくシュールだった。後ろの骸が心なしか悲しそうに見えた。

 

「俺は無理だな……まあ暴走状態で降りてたし、自分の力じゃないと判断されたのかもな」

「んだと!? ふざけやがってこの骨!」

「いやぁ、そう言われてもね。ほら、判断は自動化されてるからさ」

「だとしてもソウジにゃ降りてきた記憶あんだろ……………ん?」

 

 今、誰がハジメの言葉に返した?

 

 一同の視線が自然と骸に集まる。因みにソウジは最初からずっと骸を見ていた。まるで警戒でもするように。

 

「やあ。僕はオスカー・オルクス。この迷宮の主にして創造者だよ」

 

 カタンと顎が開き片手を上げる骸。

 

「「「!?」」」

「はじめまして御老人。訪問の挨拶を疎かにして申し訳ない」

 

 驚愕する3人と異なりソウジはペコリと頭を下げた。

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