ソラを繋ぐ翼   作:ホワイト・フラッグ

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投稿しちまった。後悔はしてないがな。



1.翼の選出

 凹の字に組まれた会議室で老若男女が話合っている。

 そこに居る者の大半が頭を抱えて唸っている。

 

「ハァ……企業連は本気ですか?」

「本気みたいですよ」

「いや彼らの意見はわかるが……もっと、こう………」

「現場を見てほしいですね」

 

 彼ら――アスピナ機関――の職員を悩ませる事案はこれだ。

 

『日本のIS学園にそちらのリンクスを選出し転入させるように要請する――企業連』

 

 ISとは正式名称「インフィニット・ストラトス」。宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツだが、宇宙進出よりも飛行パワード・スーツとして軍事転用されているのが現状だ。

 IS学園とはIS操縦者育成用の特殊国立高等学校で女子高だった。

 ISとは素晴らしい性能を誇るが重大な欠陥がある。女性にしか起動できないのだ。当然、操縦者は女性限定であり、よってこれまでは女子高扱いだったのだ。

 そうこれまでは(●●●●●)

 

 昨今世界中で話題になっている『世界初のISを起動させた男』が原因だ。その少年の名を織斑一夏(おりむら いちか)といった。彼は受験の際に志望校の会場と間違いIS学園の入試会場に迷い込み。そこにあったISを起動させたという。

 保護や監視の意味をこめて彼はすぐさまIS学園に入学させられた。その織斑一夏の入学により企業連は動いたということだ。

 

「まさかネクストとISの戦闘データが欲しいのですかね?」

「いいや、資料をよく読んで下さい。『ISとネクストの競技合併が目的で、そのテストケースが欲しい』と、ありますよ」

「大方、これまでのイザコザを少しでも解消しようとしているのでしょう」

 

 リンクスとは人型機動兵器ACネクストを操縦するパイロットのことである。

 ACネクストとISは軍事に関して過去にいくつか事件がありISを管理する組織:国際IS委員会との仲はあまり良好ではない。

 

 企業連とは名前の通りACの開発・販売を行っている企業が結託して組織となったモノ。

 そしてアスピナ機関はネクストの中核を担うシステムAMS(Allegory-Manipulate-System)の開発元でありその研究をしている機関である。そのため被験体として適性のある者を集めているので学校のような役回りをしている。

 

 今回、企業連からのオーダーはISで行われている世界大会:モンド・グロッソとネクストによる大会:カラードマッチを合併させる布石らしい。

 今までは女性限定のISの世界(技術者などで少数であるが男性もいる)だったが、織斑一夏という一石が投じられて委員会は混乱しており、その混乱に乗じての行動らしい。

 交渉の結果、委員会は条件をつけた。それが「ISに関する実験を行うIS学園でテストすること」だった。

 企業連には問題があった。彼らが直接管理するリンクスで高校生程の年齢の者が少なく、その一部も遠回しに拒絶の意思でいるのだ。そこで若手のリンクスを抱えるアスピナ機関に話が回った。

 

「それで、誰にします? いつまでも愚痴を言ってられません」

「そうですね……まず人数は何人にします?」

「オーダーでは少人数とあります。これは企業連ではなくIS学園からです。まぁ編入の手続きが大変ですからね」

 

 時期にして入学式が終わって少しした頃だ。学園としては迷惑千万だろう。

 

「では三人程で、テストのパターンを考えれば最低でもそのくらいがいいかと」

「人数は三人、コレに異論は……ないようですね。では肝心の誰にするかです」

「ジェラルド君はどうかね? 彼は成績・人格共に優れている」

「賛成だ」

「同じく」

 

 真っ先に名前が上がったのはジェラルド・ジェンドリン。彼は厳密に言えばローゼンタール社所属のリンクスだが、アスピナ機関で留学扱いだ。高いAMS適性と安定した精神を兼ね備えることから、企業にとって最も理想的なリンクスとも言われる。

 

「だが彼は十六才だ。二年生として転入することになる」

「それが何か?」

「恐らく企業連は今回の特異ケースとの接触を考えているかもしれん」

 

 特異ケースとは織斑一夏のことだ。ACとは直接関係ないが今後、IS業界のキーマンになるのは確実だ。それを監視するツテを用意しようと言うのだろう。

 

「ならばあと二人を一年生……十五才から選べばいい」

「十五歳で選ぶとなると……」

 

 そこで一同、頭を抱えた。三人いるが、その誰もが問題がある。もっとも、問題が無ければこんなに悩むことがないのだが。

 

「ならば一つやってみますか?」

 

一同はその意見に賛成した。

 

 

 

 

アスピナ機関屋外訓練アリーナ

 

 

 

 

 施設で唯一屋外にあり、実機を使うことを許されたアリーナで三機のネクストが飛び回っていた。

 黒黄、赤、青白、の色が空を彩る。

 

「なんて無茶な戦い方を……」

 

 赤い機体レイレナード社の[アリーヤ]ベースの[クラースナヤ]を纏う少年、ハリが青白い機体を両手のライフルを撃って追い払おうとする。

 

「なんだぁ? この豆鉄砲は!? もっと近づかねぇと食らわねぇぞ!」

 

 青白い機体旧アクアビット社の[ランスタン]ベースの[アルビートル]を纏った少年クリストフはハリに肉薄する。

 彼の機体には左右の背、肩に合計三つの追加整波装置が搭載されており、PA(プライマル・アーマー)の展開を強化していた。

 PAはネクストに搭載された防御機構で攻撃を減衰させる効果がある。現にハリが撃ったライフル弾は彼に届くころには威力が大幅に殺され、彼の言う通り豆鉄砲だった。

 

「近づけますか!? そんな危ない物に!?」

「なっ!? 何が危ないだ! コジマの洗礼をしてやるってんだ!」

 

 ハリが恐れる物、それはクリストフの左腕に搭載されたコジマブレード:KB_O004だ。名称はブレードとあるが、レンジはゼロ。殴り武器なのだ。その為周りからコジマパンチと言われている。

 零距離武器は総じて威力が高いというモノ。ハリはそれを恐れて安易に攻めれれずにいた。

 

「なら俺が攻める!」

「おっ、さっすがジョルジュ! カッコいい~!」

 

 クリストフがハリに注意がいってるスキにブレードで攻撃したのは黒と黄色のカラーリングが施されたレイレナード社の[アリーヤ]ベースの[ジュスティス]を駆るジョルジュだ。

 

 クリストフは笑いながらジョルジュのブレード:02-DRAGONSLAYERをコジマパンチで受ける。ジョルジュのブレードは全ブレードで最短のレンジでありながら威力は抜群のモノ。短いが引っ掻かれたら手痛いのでブレードの名称から[ドラスレ]と呼ばれている。

コジマパンチとドラスレがせめぎ合う。ジョルジュは少しでも振るのが遅ければ、パンチをボディに貰い一撃で脱落。クリストフも少しでも反応が遅ければ大きなダメージを貰い、PAの再展開に時間がかかっただろう。お互いにギリギリであった。

 好機と見たハリはクリストフに接近しライフルを乱射する。近づけば減衰の影響が少ないからだ。

 

「へっ」

 

 [ランスタン]はPAの整波能力に優れているが本体の装甲は薄いためハリの攻撃で機体は大ダメージを受けていたが、ダメージを受けてもクリストフは笑っていた。それを見たジョルジュはクリストフから距離を取ることに全力を尽くす。

 その理由は、閃光と共に証明された。

 

「コジマ! バンザァァーーーーイィ!」

 

 AA(アサルトアーマー)、PAを攻撃に転用した全周囲攻撃である。PAを暫く喪失してしまう諸刃の剣だが、その威力は十分以上だ。

 

「!?」

「ちっ!? やはり……」

 

 ハリは直前で気付いたが、回避が間に合わず、閃光に飲まれた。その後、戦闘不能判定を受けた[クラースナヤ]が落下する。

 回避がギリギリ間に合ったジョルジュは再びドラスレを構える。今の[アルビートル]はPAを展開していないので如何なる射撃も通るのだが、できない。

 AAの閃光は副次効果として攻撃を受けた敵のカメラに悪影響を及ぼし、一時的にロックオンが不能になる。ロックオンができなければ、システムの偏差射撃補正がかからず命中率が落ちる。

 回復速度は頭部パーツのシステムリカバリー次第だ。[アリーヤ]のシステムリカバリーは優秀だが回復など待ってられない。

 クリストフが右腕に装備したコジマライフル:AXISをこちらに向けている。コジマライフルはエネルギーをチャージしなければ撃てないが、その威力は下手な機体を一撃で落とす。直撃は避けてもAAを食らったのだ。フルチャージでなくてもあんなモノを貰ったら負ける。勝つにはロックの回復を待たずにブレードに賭けるしかない。

 

「届けーー!!」

「ハッ! こっちだぁー!」

「なん!?」

 

 クリストフはコジマライフルのチャージを切ると、コジマパンチを構える。

両方とも凶悪な武装だが、対応距離が違う。フェイントをかけられた。そう気付いたが、もう近接戦の距離にあり、コジマパンチとドラスレが交差する。左腕に衝撃を感じる。

 

「あっ!? ぐぅ……」

「惜しかったな。ジョルジュ」

 

 判定はクリストフの勝利。

 最後の交差で武装の距離はドラスレが僅かだが勝っていて、あのまま交差すれば先に攻撃を受けるのはクリストフだった。だが、クリストフはジョルジュのボディではなく、左腕にパンチを当てて攻撃を反らしたのだ。その攻撃でジョルジュは敗北したが、クリストフは腕を弾かれて硬直するジョルジュの腹にパンチを当てている。あのまま戦いが続いていたらこの一撃で終了だと言いたいのだろう。

 

〈ハーイ、模擬戦終了。お疲れ様~。ピットに戻っておいで~〉

 

 スピーカーから緩い調子で指示が来る。

 ジョルジュ、クリストフ、ハリはピットに帰投する。そこで小柄な体躯で赤毛の職員と他数名の職員が拍手と共に三人を迎え入れる。

 

「う~ん、良い試合だったわね」

 

 研究員アンナ、アスピナ機関の若手のリンクスの指導と研究開発を担当している教員だ。

 

「相変わらず小せえなアンナちゃん」

「コラ、クリストフあんた勝ったからって調子に乗ってんじゃないわよ」

「きょ、今日もお美しいですね。アンナ先生」

「あら、ありがとう。ハリはいい子ね~」

 

 頭のおかしいクリストフが教師相手に軽口を叩き、アンナを挑発したが、ハリがフォローする。

 

「でもアンナちゃんは、こんなナリだけど実年齢……」

「ほ~う、何? それ以上言ってごらんなさい? どんなことが起きるでしょう?」

「わーー! 待った待った、ジョルジュも黙ってないでクリストフを止めてよ!」

「……何歳だろうとアンナ先生は美しい外見をしている。それが全てだ」

 

 ジョルジュの一言でアンナが固まる。

 

「ん~、一言多くない? ジョルジュ君?」

「大人の女は小さなことに固執しない。前に先生が言っていたはずだ。そんな事よりも俺は結果を聞きたい」

 

 ジョルジュの現実的な姿勢にアンナは「全くもう」と言いながら今回の模擬戦によって決まった結果を発表する。

 

「貴方たちの戦いを観ながら教師達で協議した結果。ジョルジュ・サンソン、クリストフ・ローエンの二名をIS学園へ転校させます」

 

「ヘッ、コジマの少ないあんな場所に押し込められるなんてな、地獄だぜ」

「安心しろ。お前はどこへ行っても地獄しかない」

 

 選ばれた二人は決定に嫌そうな顔をしながら渋々という様子だ。ハリは自身の首に付いたチョーカー型コネクタに触れながらアンナに問い詰める。

 

「僕が選ばれなかった理由はやはりAMSの問題ですか?」

「そうね最初はかなり良かったけど、後半あれではちょっとね」

 

 ハリのAMSは特異だ。ネクストと高い親和率を叩きだせるが、短時間なのだ。その時間も調子によって変わり三十分の時があれば十五分の時がある。そしてその時間を超えるとリンクが上手くいかず悪ければ適性C相当にまで落ち込む。

 今回の模擬戦でも前半はジョルジュとクリストフを圧倒していたのだ。それが落ち込み後半は適性の高いクリストフに追いやられてしまったのだ。

 

「でも、落ち込むことはないわ。彼らがIS学園でムフフな生活を送ってやがる間に限界時間を伸ばせるように訓練しましょう。先生が特別なじゅ・ぎょ・う、してあげるから」

 

 アンナは場の雰囲気を和ませるために……いや半分本気で言っている。

 

「そう言えばあの学園は女ばっかだな」

「おーい! 女がいてもコジマが無くちゃダメなんだよ!」

 

 ジョルジュとクリストフは再度げんなりする。そしてクリストフは嘆く内容が変わらない。

 

「まぁ、俺達にとって難しい所だが少し行ってくるだけだ。ハリ、少しの間お別れだな」

「次に会うときにはコジマ兵器を使いこなせるようにしとけよ」

「うん、二人も頑張って。でもクリストフ、コジマは使わないから」

「なんでだよ!」

 

 こうして交差する翼が選ばれた。

 




ハリのキャライメージは未使用ボイスから穏やかな感じを採用。ARMORED CORE for Embrasure読んだこと無いんだ。
コジマやISとACネクストの立場等を説明するのは次回に予定しています。

活動報告「ソラを繋ぐ翼」を投稿。
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