ソラを繋ぐ翼   作:ホワイト・フラッグ

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まーた説明回。たぶん今回でおおかた終わるけど。


4.勢力図を説明していたら中国来た

「そういえば、そろそろクラス対抗戦だよな」

 

 一組に遊びに来ているクリストフが雑談の中でこう切り出した。

 

「それがどうかしたか?」

「いやさ、関係者のお偉いさんが視察? みたいので来るんだってよ」

「ISのだろ? 俺たちに何の関係がある?」

 

 クラス対抗戦で戦うのは八人のクラス代表だ。大半の生徒にとってお偉いさんが来ることなんてどうでもいいはずだ。確かに自分たちはACの関係者として何かしら見られるかもしれないが、対戦しない自分たちの何を見る? 容姿とかだったらお笑いものだ。人格か? だとしたら目の前の変態はガッカリされるな。

 

「そのお偉いさんの中にACの関係者も来るんだよ!」

「へぇ……誰だ?」

 

 IS学園の行事に参加できるようになるとは企業連も根回しをしたのだろうか? 大方、オーメルかインテリオルだろう。

 

「現地人だよ」

「? 現地……ああ、あの御仁か」

 

 それは意外でもあり、ある意味納得だ。企業連内で政治力が低いGAグループからIS学園に人をやれるなんて考えてみればあの御仁でしかありえない。

 

「でも、三グループの中から一人ずつって話だけどな」

「一番の大物はあの人だってことだろう?」

「ねぇねぇ、三グループって企業連内のこと?」

「そうだ」

「ねぇ詳しく教えてくれない」

 

 驚いた。クラスの女子達、特に相川が難しい話に乗ってくるとは思わなかった。

 

「ほ、ほら、貴方たちはアスピナ機関から来たんでしょ? なんでも企業連から要請があったとかで、そこら辺の話がよくわからなくってさ、その……ローゼンタールとかも絡んでいるんでしょう?」

 

 相川達の考えがわかった。ジェラルドが目的だ。転入当初は一夏がどうとか言っていたが同年代より年上の少し落ち着いた所謂[大人の男]の方がいいのだろう。話題を合わせる為にACの事を勉強しようというのだろう。

 

「構わないが、ややこしい話だぞ? それでも聞くか?」

「うん、聞きたい!」

「教えて教えて」

「なんたってジェ……じゃなくて、勉強のためだから!」

 

 念を押してみたが恋する女子(?)の行動力は強いようだ。まぁ聞かれて教えてやらない理由など無いし、アスピナからも「宣伝みたいのしとけやー」って言われているので、説明することにした。

 

 

企業・企業連

 

 俗にACの開発を行う組織とその連合。

 リンクス戦争終結からお互いの暴走を監視、商売仇であるISに対して協力するために企業連として結束。全ての企業が連合を組んでいる事になっているが、その内部でグループを構成している。

 グループは国家解体戦争が始まる前からあったが、今では情勢が変わって三つのグループに分かれて構成している。

 

●GAグループ

[GA(Global Armaments)社]

 GAグループの中心というべき企業で、環太平洋圏で最大規模を誇る総合軍事企業。スタンダード・ミリタリー・カンパニーを標榜し、実戦的で安定した兵器に定評がある。

 GAヨーロッパ(GAE)という子会社があったが、白い閃光事変にて離反・壊滅した。GAと言った場合はこの企業を指すと考えていい。

 

[MSACインターナショナル社]

 GAの完全子会社。電算機、各種センサー(FCSやレーダー)に加えてミサイルの製造なども行っており、特にミサイルについてはAC業界では特に優れている。

 GAグループの企業価値をかなり高めている優良企業と言える。

 

[クーガー社]

 ロケットエンジンにおいて高い専門性を持つGAの完全子会社。他社と比べてコジマ系ロケットエンジンで後れを取っていたが、近年ではコジマ技術が向上し他社に追いつきつつある。

 

[有澤重工]

 GAグループに所属し日本に本社を構える企業。軍用車両や炸薬に専門性を持ち、タンク型脚部の堅牢さとグレネードキャノンの火力に定評がある。

 

[BFF(Bernard and Felix Foundation)社]

 リンクス戦争において壊滅的な打撃を受けるが、GAの支援により復興した欧州の企業。精度と射程に優れた火器やそれを操る機体が特徴。

 

 

●オーメルグループ

[オーメル・サイエンス・テクノロジー社]

 オーメルグループの中心企業。西アジアを拠点とする総合軍事企業でコジマ技術など技術的独立性の高さで知られており、技術水準は極めて高い。

 

[ローゼンタール社]

 財閥系巨大資本グループの一翼を担う総合軍事企業。汎用的な兵器に定評があり、象徴性に優れたデザインで世俗的認知度も高い

 

[アルゼブラ社]

 旧イクバール社。リンクス戦争において大きな打撃を受けたため人事・社名を変更するなどして復興した。

 南アジア経済圏を拠点とする工業系総合企業。豊富な人的資源を背景に強固な量産体制と、特異な発想の兵器で知られる。

 

[テクノクラート社]

 ロシアの国営企業を母体としたイクバールの子会社。その技術水準は低く、イクバールの技術にかなりの部分で依存している斜陽企業。

 

[レイレナード社]

 超高密度水素吸蔵合金及び実用燃料電池の開発元であり、ACネクストの開発において重要な位置を占めていた。

 白騎士事件後に国家解体を宣言した企業。なおそれに賛同した企業は旧アクアビット、旧GAE、旧イクバール、テクノクラート。

 白い閃光事変にて主戦力たるリンクスを多く失い壊滅の危機にあったところで、GAから講和交渉を持ちかけられそれを受諾。当時最強と謳われていたベルリオーズ部隊の活躍によりホワイトグリントの撃破に貢献しその後の企業連に参加することが叶ったが、失った力を復興させる為にオーメルの傘下に降る事になった。

 

 

●インテリオルグループ

[インテリオル・ユニオン]

 旧レオーネメカニカ、旧メリアスが合併してできた企業でグループの中心企業。白い閃光事変以前から旧レオーネメカニカ、旧メリアス、アルドラの三社で連合していた。二社が大きな打撃を受けてしまうが合併することで立て直すことに成功、しかし、アルドラの独立を許すことになった。

 総じて高い技術力を誇り、特にエネルギー兵器の開発に定評がある。

 

[アルドラ(アルブレヒト・ドライス)社]

 重工業系軍事企業であり、アクチュエータ複雑系の開発元で、この分野については高い専門性を発揮する。ネクスト開発の重要な位置にあった。白い閃光事変での損害は軽微で旧レオーネメカニカから独立する。独立した後もインテリオルグループには参加しており、関係は悪くない。

 職人的精巧さに定評のある重火器に優れており実弾武装の開発にも着手している。

 

[トーラス社]

 インテリオル・ユニオンの下で旧GAE、旧アクアビットが合併して立ち上がった企業。両社の特徴を色濃く受け継いでおり、どこか浮世離れした雰囲気も漂う(変態)。

 

[旧GAヨーロッパ(GAE)]

 元GAの子会社で独自性を発揮することで知られ、GAグループの中でも特に異端と呼ばれる風潮があった。白い閃光事変にてアクアビットと同調したが壊滅した。

 

[旧アクアビット]

 コジマ技術に専門性を持ち、ACネクストの開発において重要な位置を占めていた。開発する兵器はコジマ技術を前面に打ち出したものが多いが、プラズマ系兵器やFCSにも強い。また、長所と短所のはっきりとした極端な性能のパーツが多く、若干癖が強い。

 

 

●カラード

 [COLLARED]企業連傘下のリンクス管理機構のことで、世界中のリンクスたちが登録されて管理されている。これは白い閃光事変で世界を揺るがしたネクストの脅威を管理するためである。企業から選抜された役員では不公平が出るという声があり、最高管理官はアナトリア機関から出向しているエミール・グスタフが務めている。

 カラードとは首輪で繋がれたという意味があり、リンクス達が首に着けているAMSコネクタが首輪という皮肉がある。

 

 

●研究機関

[アナトリア機関]

 ACネクスト開発の第一人者イェルネフェルト教授が所属する機関。主な研究内容はACネクスト、コジマ粒子について。コジマ粒子の発見・技術転用、ACネクストの開発、コジマ粒子の無害化などの成果を上げる。

 

 

[アスピナ機関]

 ACネクストの開発・研究を行う機関。AMSの開発元なため、その研究が盛んで被験体を募っているうちに教育施設のような面ができた。

 

 

 全ての研究機関は基本的に企業連の傘下というかたちで管理されている。企業連がアスピナ機関に要請という名の命令をだしてきたのもこれが関係している。上記以外にもあり、企業の出資でそれぞれの研究を行う場所だ。その中でもアナトリア機関は企業連――全ての企業――から出資を受けている特別な研究所だ。

 アスピナ機関はオーメル社からの出資で運営されているが、ACネクスト運用において一番重要なAMSの研究をしているので知名度は高い(パーツは替えがいくらでも利くが、操縦者たるリンクスは希少なため)。

 

「大雑把に説明するとこんな感じだが、何か質問はあるか?」

「あーえっと……」

「そのー……」

「そう言えば知ってる!? 中国から代表候補生が転校してくるみたいだよ!」

「あー! 知ってる知ってる」

「どんな子だろうねー?」

 

 わからなかったのだろう。相川達は露骨に話を変えた。近くで別の雑談をしていた一夏やセシリアが話に加わって来た。

 

「あら、私の存在を今更ながら危ぶんでの転入かしら?」

「いいや、気にしているのは一夏じゃないか?」

 

 ジョルジュ達リンクスはISのモンド・グロッソとネクストのカラードマッチを合併させるテストケースとして送り込まれたが、企業連が世界で初めてISを操縦できる男性という特異ケースとの接触を考えないはずがない。同じ理由で各国が代表候補生や試験機を送り込んでテストをしたがるに決まっている。セシリアのイギリスは先に入学の手続きができただけだ。これからドンドン転校生が入ってくるだろう。

 

「そんなことよりも一夏はクラス対抗戦の準備はできているのか?」

「大丈夫ですわ! イギリスの代表候補生たるセシリア・オルコットが二人っきりで特訓して差し上げますから!」

「なんっ!? 私も付き合うからな!」

 

 セシリアの申し出に箒が食って掛かる。

 

「まぁ大丈夫じゃない。一年生でセシリアを抜いて専用機を持っているのは四組の子だけだし」

「しかもその子の機体はまだできてないって噂だよ」

「じゃあ楽勝じゃない」

 

 一夏が箒とセシリアに訓練のことをやかましく言われている横で他のクラスメイトが他クラスの状況を教えてくれる。専用機とは、量産機と違い一個人にあわせて特化、もしくは新兵装の試作を目的としたISだ。世界に467機しかないISコアを託されるということはそれを操る者は特に優れている事と同義だ。

 

「その情報古いよ!」

 

 一年一組の出入り口に立つ音源に皆視線をやる。小柄な体格、頭の側面から伸びる二本の髪、いわゆるツインテールの少女がドヤ顔で立っていた。

 

「二組も専用気持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」

 

 それを聞いた一夏は驚きのあまり思わず立ち上がり言った。

 

「鈴……? お前、鈴か?」

「そうよ。中国代表候補生、凰鈴音(ファン リンイン)。今日は宣戦布告に来たってわけ」

「何恰好付けてるんだ? すげぇ似合わないぞ!」

「な!? ほ、他に言うこと無いの!」

 

 どうやら一夏と転入生の鈴は知り合いらしいが、旧交を温める時間は無いようだ。なぜなら……この学園で最強にして絶対の教師が来たからだ。ツインテールの頭に出席簿が落ちる。

 

「なにすんのよ!」

「二組に戻れ」

「ち、千冬さん」

「ここでは織斑先生と呼べ。邪魔だ」

「あ、後でまた来るからね。一夏」

「あばよっと」

 

 鈴とクリストフが出て行きSHRが始まった。

 

 

 時間は昼休み。リンクス組は一夏達とは離れた席で食事をしていた。ジェラルドが一夏と鈴が幼なじみと聞いて久しぶりの会話に邪魔をしないようにと、気づかったからだ。

 

「相変わらずここの学食は美味いんだが、こう……なんか足りないな」

「どうせトーラス製のレーションじゃないとダメなんだろ?」

「学食はいいよ。栄養バランスがちゃんと考えられていて」

 

 アスピナ機関ではいつも企業からの試作レーションを食べさせられていたので、この学園の食事に違和感がある。美味いことはわかるし、満足はしている。だが、幼少からレーションを食べてきたので、習慣の違いに付いていけなのかもしれない。

 

「それにしても中国か――あのご老人の陰を感じるね……」

 

 キツネうどんを食べるジェラルドが不意にこう切り出した。

 

「王小龍ですか?」

「あーあの腹黒そうな噂のある爺さんか」

 

 日替わり定食を食べる二人がジェラルドの言う人物を言い当てる。王小龍(ワン・シャオロン)、BFF社所属の老リンクスだ。リンクスでありながら政治的な手腕が高く、実際にはそうではないのだが、企業の重鎮として見られている。

 

「でも、あの方の力は欧州圏に集中しているのでは?」

「名前からして中華圏の人だからな、同郷にコネがあってもおかしくなくね?」

「僕はあの方に会ったことがある。恐らくコネが無いなら創る。それができる御仁だ」

 

 ジェラルドはローゼンタール社でトップの実力者だ。カラード内での会合や企業間の付き合いで王と交流がある。

 

「そう言えばこのテストで一番の適役であるリリウム嬢を出し渋ったのは気になるな。ウォルコットとオルコット、確か遠い分家に当たるんだったか?」

 

 ジョルジュは会話の流れで新たな疑念を浮かべる。リリウム・ウォルコットとは優秀なリンクスを輩出する名門のウォルコット家の令嬢でBFFが誇る"王女"だ。ちなみに王女という呼び名はリンクス戦争で戦死したメアリー・シェリーがかつて"女帝"と呼ばれたからだ。

 彼女は十五才のはずなので、年齢・AMS適性から今回のテストに最適な人材だった。だが、後見役の王からの圧力で彼女は選ばれなかった。

 

「まさかオルコットが既に学園にいるから、ウォルコットまで送る必要がなかったとか?」

「そこまではわからんよ。あくまで俺達の憶測だ」

 

 オルコットとウォルコットの関係は詳しくわからないが、BFF=王小龍の影響がどれ程あるかわからない。セシリアの振る舞いを見ていると一夏の行動を見張っているようにも見えるので、怪しいところだ。

 

「まぁ疑心に囚われることは無い。僕らの目的は今回のテストに実り良い物にすることだ。そう考えるとこの間の実演はなかなか良かったぞ。PA、QB、AA、OB――とネクストの性能をおおいに見せる試合だった」

「俺のコジマが全然活躍しなかったがな……」

「負け犬が」

「うるせえんだよ! 今度の模擬戦でコジマパンチ百裂拳を味あわせてやる!」

 

 クリストフは捨て台詞を残して食器を片付けに行った。

 

「片腕で百裂拳か……大変そうだな」

「たぶん大丈夫だろうがジョルジュ、君も相手の主義に勝たされたのは解っているよな?」

「勿論です。あんな奴も優秀なリンクスとして此処(IS学園)に送られたんです。次も勝てるとは思っていません」

 

 クリストフの機体はクセが強すぎて扱いづらいパーツで構成されている。そんな機体で前半は押していたのだ。まともな機体に乗られたらアイツに勝つことは難しいだろう。それだけの技量がアイツにはあるということだが、それとは正反対な困った友人がいる。

それは―――

 

 

「追いつけない!?」

「お行きなさいブルーティアーズ」

「なんだその太刀筋は!?」

「二対一なんだぞ!? 太刀筋もなにもあるか!?」

 

「あらゆる意味で機体性能が原因だな」

 

 放課後のアリーナで一夏がセシリアと箒に袋叩きにされていた。専用機を手に入れても一夏はこれまで普通に暮らしていたのだから、ISの操縦が下手だ。だから放課後の訓練でそれをマシにしようとしているのだが、

 

「一夏! 正々堂々と勝負を……」

「一夏さん! 逃げてばかりではいけませんよ」

「二人がかりで何言ってやがる!?」

 

「本当にな……」

 

 いきさつはこうだ。一夏は放課後に訓練をしようとする。模擬戦の相手に専用機を持っているセシリアが立候補。箒が学園から訓練用ISを借りて立候補。どっちと戦うか決められなかった一夏が二人から攻められる。

 

「量産とは言え近接型の[打鉄]と専用機で遠距離型の[ブルーティアーズ]か、理にかなった戦い方だが、誰の訓練だ?」

 

 打鉄は防御重視の近接機でクセが少なく扱いやすいISだ。ISに乗った経験の少ない箒でも安易に扱えて彼女の得意とする剣道も相まって新兵にしては上出来な動きをしている。

 セシリアのブルーティアーズはレーザー兵器を主体とした中・遠距離戦向きの機体で、一番の特徴は機体名と同じBT(ビット)兵器[ブルーティアーズ]だ。彼女のISはあの新兵器の試験を目的として開発されたようだ。先ほどから一夏が手こずっているのはそのビットで、セシリア本人から離れた全方位から攻撃され回避に専念しているからだ。ビットの数は4、箒の持つ刀は1、合計五つの攻撃を捌いているのだから一夏の動き――いいや、機体の機動性がいいのだろう。

 

「よく動くな、まぁ近接機が鈍足では話にならんがな」

 

 一夏の専用IS[白式]は一夏のデータ取を目的にしているが、基本スペックが高く、武装の[雪片弐型]は単一仕様能力(ワン・オフ・アビリティ)[零落白夜(れいらくびゃくや)]を持ち、その能力はシールド無効化能力、相手のシールドバリアを無効化→絶対防御が発動する→相手のシールドエネルギーを大きく削る。という高い攻撃性を持っている。欠点として自分のシールドエネルギーを消費する諸刃の剣だ。

 

「エネルギー管理が大変だろうな、初心者が扱うにはピーキーすぎる」

 

 ネクストにも大量にエネルギーを消費する武器・機動をするパーツはある。そういう物は熟練したリンクスでないと性能を発揮できない。初心者が使えば本当に何もできずに終わる。

 

「うわあああ」

「終わったか」

 

 箒の一撃で一夏のシールドエネルギーが0になり一夏の負けが決定した。ジョルジュは観客席から立ち上がると一声かけた。

 

「お疲れ、試合は予想通りの結果だが、お前の動きはまだマシだった。明日までにいくつかパターンを考えてやる」

「お……おう、た、頼むぜ、ジョルジュ」

「では、先に帰る。また明日な」

 

 ヘトヘトになって大の字に寝転がる一夏を置いてジョルジュは自室に戻る。元より今日は一夏の動きを見ることが目的だったのだ本格的な助言はよく考えてからだ。

 

「あ」

「転校生の凰か?」

 

 廊下を歩いていると鈴と鉢合わせした。

 

「鈴でいいわよ。あんた一夏と同じクラスの……」

「アスピナ機関から転入して来た。ジョルジュ・サンソンだ」

「そ、よろしく。一夏の訓練は終わり?」

「ああ、終わった。今は疲れて伸びている」

「その……強いかな?」

「素人だ。機体に助けられている」

 

 他の一組の生徒なら仮にもクラス対抗戦で戦う相手に情報を流さないだろう。だが、ジョルジュは簡単に答えた。

 

「古い友人の変化が気になるか?」

「まぁね、一年くらいだけど、離れていた分ね……」

「再会できて良かったな。世の中難しい事情で会えない人物もいるからな、四つ足のフクロウが飛んでいたりしてな」

「四つ足のフクロウ? 何ソレ?」

「戯言だ。聞き流してくれ」

 

 ジョルジュはそう言って鈴の横を通り抜ける。鈴はジョルジュの背中を不思議そうに見ていたが、一夏のいるアリーナの方向へ歩いて行った。

 

「BFFの老人の陰は無し……か? どうやら偶然なのかもな」

 

 四つ足のフクロウとは王小龍のネクスト[ストリクス・クワドロ]のことだ。ほぼ直球だったが、鈴と繋がりが無いか確かめてみたのだ。あの様子では本当に何を言っているのかわからなかったのだろう。IS関連の方から一夏を調べないとなれば、王は織斑一夏というキーマンに興味が無いのか、何か別の理由があってリリウムを送り込まないかが気になるが、一個人にすぎないジョルジュは調べる手立てが少ない。

 

「まぁいいや、それにしても一夏のコンバット・パターンは難儀だな」

 

 鈴は特に陰謀とは関係ないと解れば良し。ジョルジュは自室に戻りながら、「アレは? いやあの動きなら……」と一夏への指導を考えていた。

 




政治情勢をフロム脳するのは大変で、楽しい。なんとなくBFFは王小龍が仕切っているイメージが強い。戦闘だとプチプチ痛い。
あと今年の投稿はこれで最後です。
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