「クソッタレぇ、裏切り者共がァァァ!!!」
ガソリンまみれで苦痛に顔を歪ませている俺に裏切り者二人が銃を突きつけている。
「てめぇも一緒だったとはな!!! マイケル!!! クッソ!!! 裏切り者だらけだ!!!」
二人は無言で俺を見下ろしていた。
「かかってこいよ!!! 殺したいんだろ!!! まがい物共!!! 殺ってみろよ!!!」
男達は俯きながら何かを考えていたが、意を決して彼らは俺に銃を発砲した。
ガソリンに着弾し、引火した炎が俺の全身を焼き尽くし始める。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」
全身を千本のナイフで切り刻まれる様な痛みの中で、ガソリンタンクに火が渡り爆風で俺は吹き飛ばされる。
「ガソリンは好きだろ!!! トレバー!!!」
かつて自分が父親を殺した方法で死に逝く中で、友だった男がそう叫ぶのが聞こえた。
「ハ──っ!!! はぁはぁはぁ……」
暗転していた視界から目を覚まし、朦朧としながら立ちあがり、
「クソが!!! 貴様ら良くもやりやがったな裏切り者共が!!! ぶっ殺してやる!!!」
怨嗟の込めた声を出し、愛用のショットガンを取り出し憎き野郎共へと銃口を向けようするが周囲に誰も居ない事に気がつく。
「ちくしょう、あの裏切り者共どこへ消えやがった!!!」
向ける場所の無い怒りが込み上げ、四方八方へと乱射をする。
「ハァハァハァ……、クッソ……クッソ……」
親友の二度の裏切りと可愛がっていた子分から銃を向けられた事による悲しみで徐々に全身のアドレナリンが引いていく。
「俺は、お前らの事本気で愛していたんだぜ……マイケル……」
足に力が入らなくなりフラフラしながら壁にもたれ掛かけながら座る。
俺は母からの愛情を受けた日やマイケルと初めて会った日の事や修羅場を潜ってきた日々を思い返していた。
だが、難関である連邦保管庫を達成した後にこの仕打ちだ、再び腹の虫の悪さが込み上げてくる。
思いをふけていると足音が聞こえ、誰かが近づいてくるのが分かる。
「(クソが……裏切り者が俺をトドメにさしに来やがったのか……返り討ちにしてやる)」
音のする方向へと銃を向け、有無を言わず発砲する。
「ギャァアグァガァァア」
「あ? なんだ? ありゃ」
俺の前に居るのはクソな裏切り者では無く、人の形をしているが異形の姿をしている化け物だった。
耳鳴りの悪い声を上げながら後方へと吹き飛び化け物は身悶えたが直ぐに立ち上がり再び俺へと近づいてきている。
「なんなんだよてめぇ、お前も俺の事を殺そうとするのか!!!」
怒りを爆発させ、ショットガンに込められている弾を全て化け物へと叩きつけ後頭部を木っ端微塵に吹き飛ばし、化け物は奇声も上げずにピクリとも動かなくなった。
俺は念の為と化け物の身体に足蹴りを入れ追い討ちをかけて完全に息絶えたのを確認する。
その時にようやく俺は周囲の状況を確認したが、十数年は経過したであろう朽ち果てたビルと車に大きな結晶の様なものがそこにはあった。
「なんなんだここは……、これがブラッドの言っていた地獄ってやつなんか?」
異形の化け物と荒廃した街、ロスサントスとはまるで別の場所にいたのだ。
ショットガンに弾を込めようとケツポケットをまさぐると、タバコと弾丸と携帯電話とゴムと裏切り共とチェイスをしていた時の所持品がそのまま残ってあった。
携帯電話を開くとフランクリンに呼び出された日付と同じであり、時間も数時間程しか経過していなかった。
「パトリシア……」
携帯電話の待ち受けに設定してある最愛の女を見つめた。
「ここが地獄なら俺はもう二度とパトリシアに会えないな、彼女は天国に行く女だ」
携帯電話を握り地面に叩きつけた後に踏み潰した、彼女の事を思い出すと頭がどうにかなってしまいそうだったから。
そして、これから地獄で暮らしていくのかと考えていたら腹の虫が鳴っていた。
食うものは無いかと探そうと思っていたが、荒廃した街では食い物は無いだろうと悟ると俺は横目に先程ぶちのめした化け物を見る。
「こいつ、食えんのか?」