俺は腹が満たされた後、荒廃した街の探索を始めていた。
ビルは崩れ道路は決壊し瓦礫ばかりの光景が永遠と続いていた。
薄汚れて塗料が剥がれ落ちている看板を見つけたが全く読めない言語だった。
しかし、他の見つけた看板の一部にアルファベットで書かれている物も複数見つけた。
「ほぉう、地獄ってのは色々な悪党が集まるから多言語ってわけか」
だが、一向に歩くけども地獄の住人は気色の悪い味のした化け物ばかりだ。
何度か途中で化け物と遭遇しその度に鉛玉をぶち込んでいっているが、自分と同じ人間は全く目撃しない。
これまで散々悪行をしてきた罰なのか、それとも俺自身が全て人間を虐殺する事を望んだ地獄の世界なのかと思っていた時に見慣れない物体が横切って行った。
長い耳のスカーフの巻いている太ったアライグマの様な動物が化け物に追われ逃げている様子が見える。
俺は新しい物を見つけた好奇心を抑えられず、ショットガンを構えながらアライグマへと追い駆け始めた。
追いかけること数十メートルほどでアライグマは止まり、俺は近くにあった瓦礫へと身を潜めた。
化け物達は勢いを止めずに襲いかかるが、アライグマは何かのスイッチを押すと地面が爆裂し数匹は粉々になっていた。
アライグマは満身創痍になっている残りの化け物達へと手榴弾の様な物を投げつけ木っ端微塵にぶっ殺していた。
爆風の砂塵が止み、アライグマをよく見てみると、顔にモニターが貼られていてそこには目の様な形が映っていた。
「マジでイカれた地獄だなここは、メリーウェザーの新型ロボット兵器か? 〇〇やってる時だってこんな幻覚は見なかったぞ」
何がどうあれあのアライグマは危険だ、そう判断し瓦礫から身を出し標的に向けショットガンのエイムを合わせ瞬時に発砲をした。
しかし、アライグマは間一髪銃弾を避けその場にあったスクラップ自動車の裏へと隠れた。
『一般人?! いや、ホロウレイダーか? どうして零号ホロウの深部なんかに……』
「あ? このアライグマ喋れるんか、メリーウェザーはとんでもねぇ化学兵器を作ったもんだな」
『アライグマ……? いや、待ってくれ! あなたはホロウレイダーか?! 僕はプロキシだ! 銃を撃ってくるのはやめてくれないかい?』
「プロキシ? 聞いた事ねぇな地獄のギャングメンバーか? とりあえず持っている食料や銃器があれば寄越しな、次いでにお前は穴があるのか?」
スクラップに向けて銃弾数発を放ち金属に風穴を開けていく。
『わ、分かった! 物資はあなたに譲ろう! けれどもこの子だけはどうか傷つけないでくれ!』
アライグマは手を挙げながらこちらに近づいてくる、どこから出てきたのか物資の入っているボックスを俺の足元にそっと置いた。
「それじゃ次に質問だ、この地獄はどんな場所だ? 人間のいる街はあるのか? 人口は? 勢力数は? 武器や弾薬をどうやって調達している?」
『ちょっと待ってくれ、そんなに多くの質問をされても困る』
俺は苛立ちを覚え、アライグマの足元の地面に銃をぶっぱなす。
「いいか、言葉選びは慎重に選べよ? お前の生殺与奪は俺の気まぐれにあるんだ次はその可愛い耳に風穴をぶち開けるぞ? 穏便にいこうじゃないか、俺は優しいんだからな」
アライグマは震えながら、
『こ、ここは零号ホロウだ。僕はプロキシと言いこの地域を調査しているんだ。そして、僕らが住んでいる場所は新エリー都と呼ばれそこには人類の生き残りが集い生活をしている……。新エリー都は市政が都運営しているが、TOPSと呼ばれる財政団体が事実上市場を占めているよ。君に渡した物資は、僕が参加している調査チームの軍からの物だよ』
アライグマによればどうやらここは地獄では無いらしい。
「次に質問だ、この何とかっていう場所はなんでこんなにぶっ壊れた街になってんだ? それと人類生き残りってのはどういう話だ?」
『あなたは何者なんだい……? ホロウ災害やエリー都の事も知らないなんて……』
俺は頭に血が上り、空へ向けて引き金を放ちまくる。
「てめぇ!!! 俺を無知だとバカにしてんのか!!! その可愛い身体をヤれるように風穴開けられたいんか!?」
『す、すまない! けしてバカにしている訳では無いんだ! あなたの質問にはちゃんと答える、だけれど君の言葉はまるでどこか違う場所から来たんじゃないのかって思っていたんだ!』
「あぁ! その通りだ! 俺はロスサントスから来たトレバー・フィリップスだ! トレバー・フィリップス工業のCEO! クソみたいな最愛の親友達から裏切られ大好きなガソリンを身体にかけられた後にハッピーキャンプファイアーだ! そして、この最高にクソッタレな化け物だらけの地獄へと来た男だ!」
これまで考えるのやめていた気持ちが一気に爆発した。
辺りに散らばっている化け物の肉塊を見つけ、何度も何度も踏みつける。
『……、あなたがどういう経緯でこの場所には来たのか分からないが、まずは僕に色々話してくれないか? もしかすると力になれるかもしれない』
アライグマは真っ直ぐ俺の目を見つめている。
なぜだろう周りがクソ野郎ばかりだったせいなのか、モニター映像のはずなのにこいつの目はとても純粋で綺麗なものに見えたのだ。
俺はここに至る経由を一通り話した、ロスサントスの事や裏切られた事それまでどこで何をしていたかを不思議な事にこのアライグマに偽り無く話していたのだった。
『そんな事って酷すぎる……、いくら選択を迫られた所で親友を犠牲にする事なんてあってはならないのに……』
同情を求めた訳ではない。
だが、このアライグマは俺の言葉一つ一つをよく聴いてくれていた。
こんなに俺と言う人間を偏見をせずに向き合ってくれたのはいつ以来だっただろうか。
「ここまで話を聞いてもらって怒りに任せて怖い思いをさせてしまったな。物資はお前に返そう、悪かった」
『いや、この物資はあなたが受け取ってもらって構わないよ。多分あなたがいちばん必要とするものだからね。それよりも提案があるのだけれどいいかな?』
「なんだ、言ってみろ」
『ここは詳しい話を聞くのには少し場所が悪いと思うんだ、いつ超危険度エーテリアスと遭遇するか分からないからね。とりあえずこのエリアから脱出するのが先決だと思う。それまでの脱出ルートの道案内を僕がするよ』
「ああ、こんなクソみたいな瓦礫の街にいても面白くもないからなそれでいいぜ。だが、こんなチンチクリンに道案内なんて出来んのか?」
『安心してくれ、これでも僕らは"伝説"と呼ばれるプロキシだからね』
「そうかい、じゃあ道案内頼むぜ。道中の化け物は俺に任せてくれ。ところで、お前の名前を聞いてなかったな、なんて言うんだ?」
『僕は『パエトーン』、よろしくねフィリップスさん』