「13時35分、XX市YY町に巨大生物を確認。体長約45m、現在市街地に滞留中。避難完了せず、住民多数残留。被害状況は、建物損壊複数、火災発生の恐れ。至急、災害派遣等の対処を要請。」
内閣危機管理センターに急きょ入った、前代未聞の援助要請。
これを受け、自衛隊への出動要請が出される。
指令室内で行われる緊急会議。スクリーンには、怪獣映画さながらの現場映像が映し出される。
ビルを積み木のようになぎ倒しながら進む巨大生物。トカゲをそのまま大きくしたような見た目とは反して、二足歩行で街を蹂躙している。
「スクランブル発進した戦闘機部隊が現着するまで約30分の見込みです」
「この進行ペースだと、100人ほどの被害は出るか...」
「やむを得ません。ここは被害を最小限に食い止めることが先決かと」
「そのしわ寄せは誰にくると思ってるんだ。上から目線でものを言うな」
張り詰めた指令室の空気。ぴりぴりした緊張感を切り裂くように、伝達されるもう一つの緊急報告。
「正体不明の飛行物体が二機、日本空域に侵入!ものすごいスピードです!」
サイドスクリーンに移される飛行物体の現在地。推定速度は驚異のマッハ9。航空力学的に考えて不可能なスピードだ。
「マッハ9だと!?レーダーのノイズじゃないのか?」
「長官、あれをっ」
補佐官が指さした先には、モニターに映り込む二機の飛行物体。レーダーが示していたのは、決してノイズではなかったのだ。
そして、怪獣に接近するや否や、飛行物体から怪獣めがけ発射されるレーザー砲。どの主要国家にも搭載されていないはずの兵器が、なぜこの国籍不明の機体に搭載されているのか。
「おい、あの戦闘機とコンタクトは取れてるか」
「ダメです。こちらの回線を全く受け付けません」
かろうじて映る、尾翼に付いたエンブレム。そこには『TPC』の三文字が。
「TPCだと?どの国の軍事器官だ?」
謎に包まれた2機の戦闘機。自衛隊の困惑なぞいざ知らず、華麗なアクロバティックで怪獣を翻弄していく。
バレルロール、ノーズダイブ、エリアルフリップ。
ベテランのパイロットでさえ再現性が低い飛行術の数々をたやすくこなし、それと同調したレーザー照射による空撃――
(こいつらが敵に回れば、日本が危ない)
言葉には出さなかったが、モニターを見つめていた面々はそう思わずにはいられなかった。
一方、猛攻撃の甲斐があってか、鈍くなっていく怪獣の動き。
グショアァァァァ!!!
しびれを切らしたように怒号を上げると、頭部の角のような突起物が光りだす。
その反応を見逃さなかった二機の戦闘機。すぐに攻撃を止め、回避フォーメーションに移る。
発射される紫の破壊光線。間一髪で戦闘機たちはその攻撃を躱し、事なきを得た—
かのように思えたが、それは怪獣の巧みなフェイントだった。
頭を大きく振りかぶり、光線の矛先を変えると、その先には町内の高等学校が!
「「「あっ」」」
思わず声が漏れる。
怪獣の光線の向きが変わったほんの数秒間—指令室にいた自衛隊員たちには、そのわずかな時間が途方もなく長く感じたのだった。