ワイ「やろうと思えば何でもできる不思議パワーが使える種族に転生したから色んなモノ模倣してみるわ」 作:rikka
エルフの里、魔王軍に襲撃される。
その一大事は一夜にして各地に届き、そしてその顛末も含めて各地に広がった。
その結末を。長く聞くことがなかった朗報を。
赤の勇者、七崩賢『奇跡』のグラオザームを撃退。
魔王軍の侵攻が止まらぬ今において、明るい話題は瞬く間に広がる。
ましてや『七崩賢』の敗北ともなれば、人類側の諸国を勇気付けるには余りある。
(……勇者、ねぇ……)
だからこそ、どこの国もその最大の立役者を引き込みたくて仕方ない。
散々自分達魔法使いを、『魔族の技を身に着けた異端者』だと排斥してきた者達がこうして自分に金で依頼してくるほどに。
「このフランメ様を、はした金で使い潰せるとは思わねぇことだ。……前払いの分だけで済むと思うなよ、あのデブ共め」
エルフの里は基本的に隠れ里だ。
ただでさえ優秀な魔法使いが多いエルフの張る結界は極めて見つけるのは至難極まる。
――ハズだった。
(……おいおい、なんだいこりゃあ)
エルフの里があるらしいという方角へ歩く事七日。
なにかしらの生活や魔法の痕跡を見つけたら、魔力探知に専念するかと思っていた矢先だった。
大地が、
まるで巨大な隕石が直撃したかのように、一点を中心に木々は薙ぎ倒され、地層が露わになっている。
「……思った以上の化け物だな。赤の勇者」
魔王軍の結成と侵攻が始まって以来、人類は反撃らしい反撃に出られていない。
一時的に押し返すことはあっても、すぐさま塗りつぶされ、帝国は大きく後退することになった。
独立した中央諸国以南への影響力は更にガタ落ちとなり、魔族共の攻勢に加えかつての強者である帝国に対して周辺諸国は警戒を解く気配がない。
(だから勇者をってのも現金な話さね……)
勇者。
本来いずれかの王に認定されて得る称号の名。
それが実績のみで民衆からそう呼ばれ、その噂が一人歩きし、今や事実上認められるに至った謎の勇者。
そう、謎の――つまり
各国は防衛、あるいは反撃の手として赤の勇者を求めているのに比べて、帝国は周辺諸国を再び従わせるための実績と名声を求めている。
(……本当の勇者なら、協力するとは思えないがね)
噂が正しければ、『赤の勇者』が戦った場所はエルフの里の近くだという。
聖女が戦えない者達を守っている最中、魔族の魔手から逃げまどう女子供を救出した勇者が里へ駆けつけ、バザルトを始めとする将軍らを討ち取り、最後には女神へ祈る事で裁きの光を地に落とし『七崩賢』とその配下の魔族らを散々に打ちのめした――らしい。
裁きの光ってなんだ。
(最後の辺りはどうもホラ臭いが……『赤の勇者』が魔法使いだとしたら……)
今現在、魔法使いという存在は迫害されている。
魔族の術を使う連中という括りで白眼視されている。
とても、自分の夢にはほど遠い。
『誰もが魔法を扱える世界』には……。
(実績が必要だ。戦力としてはもちろん、より大きな発言力がないと魔法を人の社会に定着させることは出来ない)
魔法が日常に組み込まれた世界は、きっと今よりもずっと便利で、愉快な世界のハズだ。
……それこそ……。
あの
(……結局、戻って来なかったな)
あの小屋は結界を更に加えて保管しておいた。
去年一度様子を見に行ったが、誰かが立ち入った様子はなかった。
アイツが咲かせた花畑を元に戻して……そのまま戻った。
家の中に入ろうかとも思ったが、ノブに手を掛ける勇気がなくてそのまま引き返したのだ。
あの空っぽの小屋を直視することを、なんとなく避けてしまった。
あの小屋は、あのクソ魔族が何百年という時間を過ごした実家であり、故郷だった。
それを奪ったのは……自分だ。
自分が、あの時
「……人間がここに何の用?」
ボゥっとしていると、突然声をかけられる。
気が付けば、銀の髪を持つエルフの少女が立っていた。
「あ、あぁ……すまない。ある国から、ここで起こった戦いについての調査依頼を受けてここに来た者だ」
幸先が良い。
先の戦いの後、他の国や領主の多くがここらに調査隊を――『赤の勇者』の足取りを追うために派遣していた。
中には、魔法を使えるエルフを戦力として雇おうとした領主もいるそうだが成功したという噂は聞かない。
エルフ達はどこかへ里を移したのだろうというのが有力な話となり、調査隊は近隣を虱潰しに調べていると聞いていたが……。
「そう。何を聞きたいの?」
表情がない――というよりは関心がなさそうなそのエルフは、それでも応対はしてくれるようだ。
「『赤の勇者』についてだ。どこにいるか、とか知らないか?」
そう聞いた瞬間、エルフの顔に表情が出る。
驚き、疑念……それに嫌悪?
「皆が言うには、畑の種まきを終えてついこの間出ていったって。どこにいったかは知らない」
「畑、ね」
畑。種まき。
つまりどこかの集落に最近までいたという事だろうか。
(雪解けが一月前。土壌を起こすのに……いや、これだけの規模の破壊行動が出来るなら他に手段も持っているか。それよりも――)
「その、彼がいた場所を教えてもらってもいいか?」
「別にいいよ。ただの避難所だし、皆その内場所を移すって言ってたし」
こっち。と言って歩き出す彼女の様子は無関心そのものだ。
だが、ずっと何かを考えている。
こちらに対してではない。
「……お前は、赤の勇者の戦いを見たのか?」
エルフの少女の後をついていきながら、質問を投げかける。
「最後の所だけ。私、精神魔法で眠らされてたから」
「……グラオザームの『奇跡』か」
「見ていた夢は覚えていないけどね」
魔族との戦いの中で最も恐ろしいのは、対処が不可能な呪いの類だ。
解析不明の理屈で動く、極めて強力な魔法。
グラオザームの精神魔法は、高位の僧侶でも防御出来ない物と聞いている。
「起きたら、もう蹴散らしてたよ。訳の分からない、ピンクの魔力の弾丸……砲撃で片っ端から襲ってきた魔族を蒸発させていた」
「なるほど」
…………。
「………………………………蒸発?」
「蒸発」
……まぁ、あの破壊跡を見ればそうもなるか。
「しかし、やはり魔法か」
「……うん」
「あの大穴を見るに、その砲撃は曲射だったんだろう? どこら辺からどう撃ったとか分かるか?」
「曲射?」
「あぁ……だからその……遠くから高い所目掛けて撃った弾が曲がって落ちた結果があの更地じゃないのか?」
「違うよ」
エルフが一度、足を止める。
止めて、振り返り、数回口を開けたり閉めたりしてから――
「真っ直ぐだった」
「真っ直ぐ?」
「そう」
「――アイツ、空を飛んでたんだ」
その証言に、一瞬脳裏にアイツの顔が過ぎった。
――『魔族の住む小屋へようこそ。用件は?』
クソ魔族。
名前を知らないまま、半年を共に過ごした……同居人。
「顔を見たか?」
「いいや」
「アイツ、ずっと赤いフードを被って顔を隠してたから」
「……フード……」
……自分がいた時は、自分といた時は、アイツはそんなものを被ってなかった。
さっさと見せて、慌てて逃げてくれればそれでいいと。
だが、それはあの深い森の中だからの話だ。
外に出たのならば。
――『そう、あの時の迷子が原因か。一応フードは被っていたのだが……迂闊だった』
外に出ざるを
それから丸二日かけて、エルフの少女と歩いていた。
「お前は、赤の勇者は魔族だと?」
「他にいないでしょ。人の形で空飛べるやつ。なにか道具を使ってるって感じでもなかったし」
「……彼の事を、どう思っているんだ?」
「怪しい奴。正直、出ていってくれて
「……そうか」
「あと、彼じゃないよ」
「ミリアルデは、アイツの事を指す時に
「…………そ……うか……」
「そのミリアルデっていうエルフは?」
「最近……大体五十年くらい前にウチに来たエルフだよ」
「男か?」
「ううん、女。いつもお酒を呑んでばかりで何もしていなかった」
「クズじゃないか」
「あなたに似た感じがする」
「いきなり刺すな。なんだやるのか。暴力は得意だぞ」
確かにアイツにも色々叱られたが、少なくともそんなに酷くはなかった。
「それが去年の秋頃に、いつもみたいにふらっと姿を消したと思ったら、いきなり一番近い村で聖女扱いされるようになってた」
「エアスト村の奇跡か? 失った手足が元に戻ったとか言う」
「らしいね。本当かどうかは知らないけど」
「その間、そのエルフは?」
「襲撃の前と、その前にも一回帰って来たかな。私物を取りに来たとか言って、すぐにまた出ていったよ」
「……その間ずっと赤の勇者と?」
「さぁ? 多分?」
「あぁ、そういえばミリアルデの服は全部ソイツが作ったって言ってたっけ」
「服?」
「凄い素材ばっかりだったよ。竜の飛膜とか、革とか」
「…………そういえば、アイツの服は自前の布製だったな」
「?」
「いや、何でもない。それで?」
「一着一着に保温や防御の魔法が込められていた。多分下手な対魔甲冑装備の十倍は頑丈かつ快適なんじゃないかな」
「……魔法が込められた……」
「そうだ。あとお弁当箱」
「弁当?」
「空にして、蓋を閉めたら綺麗になって、次に開けたらまた違う料理が詰まってるなんていう物だった。今にして思えば、あれやっぱり人間に作れる代物じゃなかったな」
「……なぁ、えぇと、フリーレンだったか」
「うん。なに?」
「その弁当、お前は食べたのか」
「鳥肉の
「…………そうか」
そして。
たどり着いた。
今のエルフの避難所。
赤の勇者が、自分の
「……この……結界の張り方は」
覚えがある。
忘れるものか。
忘れられるものか。
あの森だ。
あの森に張られていた結界が、より高度にこそなっているが基礎部分は変わっていない。
「あ、フリーレン!」
結界の向こう側から、同行していたフリーレンというエルフよりも幼く見えるエルフが走って来た。
「カルラ。……そっか、カルラもここにいたんだ」
「なんだかんだで、今年は残る人多いんじゃないかな。こっちの畑の収穫を待ってから南に行こうって話になってる」
結界――覚えのない物も混ざっていたが、計十層にも渡る綿密な対魔結界を通り抜けて足を運んだ先には、小さな村が出来ていた。
(……外側のは認識阻害の結界か。正確に場所を知っていないとたどり着けない。フリーレンが呑気に私を連れてくるわけだ。よほどの偶然に恵まれない限り、一度出たら戻って来れないな)
まず目を引いたのは一つ目の、人の三倍ほどの高さの一つ目のゴーレムだ。
ちょうど起動した所だったのか「グポォ……ォン」と一つ目を輝かせて動き始めると、その下の荒れ地を回転するランスのような腕で耕し始める。*1
その向こうには木の小屋が数軒立ち並んでいて、その軒先で若いエルフが魔法で木材を薪へと変えたり、縄を編んだりしている。
「赤の勇者とミリアルデが住んでたっていうのはあそこだよ。あの一番大きな小屋」
そして、その先に立っている、年季の入った小屋。
二階建てのそれは、明らかに古い故に出来たひび割れなどが補修されていた。
その一つ一つに魔法の痕跡がある。
酷く見慣れた魔法の痕跡だ。
「まさか……
あの魔族が研究していた魔法の一つ。
より広い範囲でおおよその物品――最終的には建造物すら修復するための魔法。
奴の魔法理論は意味が分からなかったし失敗の方を多く見ているが、その発動に見られる独特の魔力構成がかすかに残っている。
(あのトンデモ魔法を完成させたのか……)
ある意味で呪いに等しい、だが人類に極めて有益な魔法。
民間魔法の習得とその解析・改良に力を入れていた魔族が作ろうとしていたオリジナル魔法。
(だが、奴はどういうわけか料理やらお茶やらの研究にも熱心だった。一人だとまず手が足りない。魔族といえども数年でこれほどの魔法を完成させられるわけがない。……協力者。そのミリアルデとやらか?)
小屋に着く。
奴が一から建てた物とは違う、元からあった小屋を改造したものなのだろう。
少しだけ覚悟して、扉を開ける。
「あれ? 人間のお客様? 誰か案内したのかな」
「私だよ、ノーメ」
「あ、フリーレン。こっちに来たんだ。ずっと前の里に残ってたから、こっちには来ないと思ってた」
「……案内しただけだよ。すぐに戻る」
フリーレンというエルフは、『赤の勇者』が魔族だと言っていないのだろう。
当然か。魔王軍――それも七崩賢率いる部隊を撃退した者が魔族かもしれないなど、口にしても信じはしまい。
それでも自分には零したのは自分が外の人間で、本人も誰かに不安――あるいは、不満を口にしたかったのだろう。
あるいはこの場で、私の口を使って報せたかったのかもしれない。
だが、今自分はそれどころではなかった。
布団を掛けた不思議なテーブルのその向こう。
やや低めのコーヒーテーブルの向こう側で、違うエルフが身体を沈めている、見たことのない――だが見覚えのある見るからに柔らかい不思議なイス。
「……人を駄目にする椅子……」
今でも覚えている。
あの小屋にあった試作品。
私が小屋で身体を休めている時に、いつも使っていた物とすごく似ている。
「なによ人間。この椅子はあげないよ?」
「ノーメ、来年の春にはここを
「分かってるよカルラ。でもこれだけは持っていくもん。嵩張りはするけどそんなに重くないし」
よほど気に入っているのだろう。
フリーレンより更に幼く見えるエルフが身体を埋もれさせたまま椅子にしがみ付く。
布団を挟んだテーブルの方を振り返ると、入った時は目に入らなかった台所が目に入る。
水場や不思議な石板――前にみたコンロとは違う、更に洗練されたキッチン。
「……システムキッチン」
「ここに入るのは初めてだけど、随分と物が揃った暮らししてたんだね」
棚にはどこから手に入れたのか分からない、大小さまざまな食器の数々。
壁には額縁に入れられた、おそらくこの辺りを描いた風景画がかけられている。
(この絵の雰囲気……タッチ……)
覚えている。以前のあの小屋にもあった絵に似ている。
奴が暇つぶしに描いたという絵に酷く似ている。
木彫りの皿も、カップも、家具の間取りも、椅子の背もたれの飾り彫りも――
「本当に……お前だったのか……」
「? フランメ……だっけ。どうしたの?」
ふらふらと、その場の空いていたダイニングチェアに腰を掛ける。
あぁ、同じだ。
相変わらず、人の座りやすさに合わせて作られた――
「なぁ、そこのアンタ。……赤の勇者は、もう出ていったんだよな?」
「え? うん。本当は一緒に来てほしかったんだけど、ミリアルデと一緒に行っちゃった」
「そうか。……そうか」
「お前は……お前は今……」
「一人じゃ……ないんだな……」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
私と彼女が半年少しを過ごした小屋を出発して一か月。
特に目的地のあるわけではない私達の旅はまず、旅の用意としてはあり得ない大掛かりな物を作る所から始まった。
「セイバー、本当に可能なの?」
「水場や汚水処理に関しては事前にマーキングして魔法で直結させておいた。後は最初からそのつもりの家を作れば……」
家造りだ。
旅に出るまでの間にテントやら食料やらを用意した上で、離れた場所にキャンプを張ってやる事が家造りだった。
それもただの家ではない。
「区分けした私の空間倉庫を用いて出し入れできる、増設すら可能な私達の家が出来る」
本当に彼女と共にいると、常識という物が遥か彼方に飛んでいく。
「別にテント生活でも良かったのだけど……」
「私はともかく、マスターはそうもいかない。マスターだけでも村や町の宿に泊まってくれれば問題ないのだけど」
「君のマスターが君を放置するわけにもいかないでしょう?」
「ならば、これは折衷案というものだ」
「……折……衷?」
というより、異次元に飛んでいく。
テント生活と私だけが宿を取る話のどこの間をとって『建築』という案が出てくるのか。
「一応しばらくは買い出しが必要なため、今は人里まで半日ほどでたどり着く場所にキャンプを張っているが……これさえ完成した上で各地に耕作地と管理ゴーレム、収穫物に保存魔法をかけて私の倉庫に放り込んでくれる仕掛けを作ってばら撒けば、道中での苦労はまずなくなるだろう」
「冒険者が知ったら怒鳴り込んできそうね」
「……まぁ、そうだね」
大量の木材――音を立てないように魔法で慎重に一本一本切り倒して枝葉を払い、乾燥まで終わらせた物を、目当ての大きさと形に切り裂いていく。
そこだけは、なぜか鋸での手作業だけれど。
例の見たことない暗号めいた文字四つを縁に黒いインクで書き記した、黄色くて軽そうな兜*2をかぶったセイバーは、事前に彼女が作った設計図を見ながら木材の長さを確認し、再び製材とその加工に移る。
「なにせ、『魔族の住む小屋』だ。殴りこみたくもなるだろうさ」
「家主はエルフよ」
道中、何度か領主軍――何かの討伐というよりも、捜索のためだろう軽騎兵隊と出くわしている。
セイバーの持つ、ソードブレイカーのように峰がギザギザした小剣に込められた《透明になる魔法》を使ってやり過ごしたが……。*3
一度表に出た以上、彼女は世界に関わらざるを得ない。
「……ミリアルデ」
「なに?」
「エルフの皆と合流しなくて本当によかったのか?」
「問題ないわ。最初から、君に付いて行くと決めていた」
暖かくなりつつある春先でも、しっかり中の気温を維持するテントに即席のかまど、そして即席のピクニックテーブル。
「心配しないで。君と同じよ、セイバー」
「……同じ?」
「君がこうして外に出る事になったのは、フランメという人間との出会いがあったからでしょう?」
恐らく、あの出会いがなければ彼女はずっと森にいただろう。
人と関わる事もなく、いつか魔王軍の勢力圏に入るか、あるいは人類が押し返すその時まで。
そして、その後恐らくどちらかに討ち取られていただろう。
「その出会いが切っ掛けになったように、私も君に出会って切っ掛けをもらったのよ」
具体的に何をしようというつもりはない。
欲求らしい欲求は未だにない。
しいていえば、彼女の作る生活環境の中で自堕落に生きて居たいというささやかな願い位だ。
それ以外にあるとすれば――
「君という変わり者の手綱を握ったのよ? せめて、その行く末をこの目で見届けたいわ」
「…………場合によっては、派手に暴れる事になるぞ」
「まぁ、なんとかなるでしょう」
最強クラスの精神魔法も、聖別した彼女と令呪を介して魔力を互いに供給し合っているためか私にも効かなかった。
防御に関しても、常に彼女が更新した装備と月霊髄液がある。
「と、いうかよ。セイバー」
「ああ」
「場合によってもなにも。つい先日、どこかの領主軍が竜に襲われているのを見るや否や透明化解除して飛び出したでしょう。もう今更よ」
「……………………」
「こちらを向いてちょうだい」
「今、刃物を持っているから少し待っ――」
「
「………………はい」