ワイ「やろうと思えば何でもできる不思議パワーが使える種族に転生したから色んなモノ模倣してみるわ」   作:rikka

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「まぁ、隣村――クロウさんの所の!?」

「はい。……ちょうど旅に出ていて、それで……」

 

 あの後、お師様が出したいつもの屋敷で一度身体を休めてから、改めて話をする事になった。

 

 お師様は魔族だと言う事。

 だけど、魔王軍への参加要請を断った事で魔族に追われていた事。

 ある時期を境にパッタリと攻撃が止んで、隠遁生活を送っていた事。

 ある魔法使いに見つかってしまい逃走、そして再開された魔王軍の攻勢を凌いでいる時にミリアルデ様と出会った事。

 その中で骨や血管を改造して女神様の加護を得た事。

 

 ドン引きである。

 

 魔族であること以上にインパクトありすぎてドン引きである。

 

 いやでもそういやあの人、なにかと自分を改造しようとしてミリアルデ様に部屋に連れ込まれていたな。

 

「荒らしていた一団は私の師が討伐したんですが、一応こちらの様子を確認しておこうと思いまして」

 

 その後色々今後の事を話しあったりしたが、とりあえず近隣の村の様子を確認していく事で今後を決めるという事に落ち着いた。

 

 私としてはもうこのままお師様の旅に同行しても良かったのだが、お師様はまずは心を落ち着ける事が先決だと言って、周囲の環境を見て回ろうと言う事になったのだ。

 

「……そうだったの……」

 

 お師様の事をいうと、村のお婆ちゃん――母さんが生きていた頃は私達の村にいた面倒見の良かった人が、私が腰に提げている剣に目をやる。

 

 小烏丸。*1

 お師様から預けられた剣にして課題。

 なんでも、これで魔法に匹敵する何かを起こせたらこの剣を()()させるらしいが。

 

(この剣も、お師様の剣みたいにガシャガシャ形を変えたり、大きさを自由に変えられるようになるのかなぁ……)

 

「まぁ、そういうわけで皆の顔を見に来たんです。少し村を見て回ってもいいですか?」

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 モニカが住んでいた村から最も近く、だが相当に離れている村を見通せる高所に、セイバーが寝転がって、長い棒のような物を構えて、それに取り付けているやはり四角い小さな物を覗き込んでいる。

 

「セイバー」

「なにかな、マスター」

「……それ、何?」

「? この装備かい?」

「ええ」

「M16アーマライト変形狙撃銃*2だ。邪道であるのは重々承知でリコンスコープ*3も付けているので対象のマーキングも出来るし、サプレッサーも完備している」

「……さぷれっさー?」

「消音機能だ。まぁ、弾丸も含めて魔力で代用している試作品だが」

 

 そのライフルとやらを構えているセイバーは、いつもは好んで身に着ける赤い服を自らの意思で外して、落ち葉や枯れ枝が絡みついた網を被って姿を隠している。

 

「……それで、どうして貴女は隠れているの?」

「今の私はスナイパーだ。決して見つかるわけにはいかない」

「すぐ後ろで私、貴女が作ったチェアセットに腰を掛けてお茶をしているのに?」

「安心してくれたまえ。広域にステルス迷彩魔法(キョーレの隠れ蓑)*4を張り巡らせている。よほど精密に魔力探知を行なわなければ、ただの風景にしか見えない」

 

 じゃあなおさら君が隠れる意味は?

 

「それに、仮に魔王級の魔法砲撃が飛んで来ようとも、ATフィールド*5並びにディストーションフィールド*6の二層を三重に展開する事で防げることは実証済みだ。いざという時はミラーフォース*7やダウンサイズしたラミエル――いや、第六の使徒を展開しての即時反撃すら可能さ」

「………………………………そう」

 

 ……ラミエル? 使徒?

 月霊髄液と同じ時期に、形や大きさが変わる剣と一緒に大量の水銀で作ったあの青い礼装だろうか。

 空中でグルングルンと刺々しく形を変えていたのは覚えているが……。

 

「それで、そんなものを出してどうしてモニカの様子を観察してるの? 見るだけならば他にいくらでも方法あるじゃない」

「少し、気にかかる事があってね」

 

 私にお茶を淹れて、いつもとは違う大きなティーポットに多めに貯めた後からずっと地面に伏せているセイバーの、完全に周囲と同化している背中に声をかけると、ピクリとも動かないまま返答する。

 

 ……ちなみに、顔に所々泥を塗っているのはどうして?

 コマンドー?*8 筋肉はともかく技能と装備は模倣した?

 ……………………そう。

 

「周辺の村を襲っていたのがあの盗賊達なのは間違いない」

「そうね?」

「彼らは逃亡兵だった。逃げてしまったとはいえ、魔族や魔物との交戦経験はそれなりにあっただろう」

「ええ」

「そんな彼らが、隠密性を高めていたとはいえ対魔結界を素通りしてその魔力に気付かず、死体を偽装するための放置をするだろうか」

「…………」

「それに、漏れ聞こえた会話からすると、彼らは襲いながら移動していた」

「そういえば、そう言っていたらしいわね」

「ああ。逃亡兵として手配される事を恐れて、南を目指していたと」

「それで?」

「そんな彼らが――」

 

 

 

「連れて行くにせよ食べるにせよ手間のかかる家畜を、わざわざ一頭残らず盗んでいくだろうか」

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、モニカちゃんはこのまま旅に?」

「今の所はそのつもりですが……幸い、お師様も旅の最終調整までもう少しかかると言っているのでその間考えてみようかと」

 

 お師様曰く、お風呂を拡張したり増設したりしているらしい。

 展開できる場所が更に限られてくるけど、地下区画を大きく増設して工房からちょっとした家畜小屋まで一気に作るとか。

 

(生でも食べられる鶏肉を目指すとか無茶苦茶言ってたけど、卵の実例があるし出来るのかなぁ)

 

 お師様が飼ってる鶏は、その全てが卵を出す量がおかしい。

 ほぼ毎日卵を産むのはどうなっているんだろう。

 魔法で作ったのか聞いて見ると、長い時間を掛けて品種改良をしてきたとか言ってたし。

 

「……あれ? そういえば家畜増やしたんですか?」

「ええ。ここ最近の騒ぎで無くなってしまったけど、山向こうの村の人から分けていただいたの」

 

 こちらの村に来るのは久しぶりだ。

 お師様との旅は街道側の安全を確保するためのものだったので、山に近づくこちらは反対側だった。

 

 ただでさえこちらに行くには少し入り組んだ地形を越えなくてはならず、道こそ出来てはいるが草が生い茂っていて少々危うい。

 

 もう少し道が穏やかな村と交流した時に、まだここがある事は知っていたが……。

 

(そういえば、意外に栄えてるな)

 

 正直もっと寂れているかと思っていた。

 昔一度来た時は、家畜なんて牛と鶏しかいなかった。

 

(それが牛は増えて、馬までいる。…………ん?)

 

 その牛の中の一匹だが、見覚えがある……気がした。

 お師様達が村に来たばかりの頃。

 ふと、村に運搬に使える家畜がいなくて不便だと零した時だ。

 

 番の一組だけなら、なにかしらとの交換で渡してもいいと言って例の紅白のボール*9から取り出した二頭の牛。

 

 よく見る茶色い牛ではなく、白と黒の珍しい色合いの牛。

 曰く、運搬に使ってもいいが本来は乳牛だという。

 

 お師様が実際に、魔法の道具ありきとは言え連れて来たのだ。

 山の向こうの村人が持っていたとしても不思議ではない。

 

 だけど。

 

 背筋が、「警戒しろ」と冷たく囁く。

 魔物が周囲を取り囲んでいる時のような感覚に、身体が勝手に切り替わる。

 

「家畜は増えているけど、飼い葉なんかは大丈夫なんですか?」

「ええ。しばらくは青草なんかを食べさせるけど、そっちも直に広げるらしいわねぇ」

 

 単に気持ちを入れ替えただけで、行動に出すべきではない。

 お師様相手ならば身体の中の魔力の流れで読まれるかもしれないが、この老婆相手ならば不自然さは見せていないだろう。

 

「へぇ。あぁ、それじゃあ農具も大変でしょう。牛鋤とか使うんですか?」

「さぁ、どうだったかしら。私はもう農作は子供達に任せているからねぇ」

「そうですか。……ちょっとそっちの様子も見てみようかな」

 

 それとなく、確認してみる。

 お婆ちゃん――老婆におかしな所はない。

 昔出会った頃のまんまだ。

 

(……いや、それは私の希望か)

 

 そうであってほしいという希望は、判断を間違った方に向かわせる。

 お師様の教えだ。

 

 状況を判断する時は、全ての情報を平ら(フラット)に精査し、取り入れる。

 どうしたって主観は入ってしまうからこそ、心がけろ。

 

 さりげなく、農具の保管場所を聞いてみる。

 貴重な鉄が使われてたりするからこういう蔵は目につきやすい場所に建てられている物だ。

 それはここも同じで、商店らしき小屋の前に建てられている。

 

 老婆が一緒にいる事で心配ないと思われたのか、店番の男に蔵の扉を指で指して入っていいか尋ねると、静かに頷かれた。

 

 そっと、扉を開ける。

 

 中には、村の規模にしてはやけに多い農具などが仕舞われていた。

 食料などはない。恐らく別に分けているのだろう。

 

 その農具。

 明かりはなく、暗いままの屋内から。

 

 かすかに、血の匂いがした。

 

 お師様との旅の中で、多くの遺体に関わらなければ気付かなかっただろう。本当に、微かに。

 

 腐った臓物の残り香が――したような気がする。

 

 農具をよく見る。

 

 普通の農具だ。

 普段使いの道具の為、汚れるのが当たり前の物が妙に綺麗に磨き上げられている。

 

 そこから、確かに。

 

 

モニカちゃん

 

 

 反射的に剣を抜きそうになる手を必死に押さえて、驚かせない程度にゆっくりと振り返る。

 

「どうしたの? お婆ちゃん」

「モニカちゃんは、このまま旅に出るのかい?」

「え、えぇ。そのつもりですけど……」

「そう……」

 

 敵意はない。悪意もおそらくない。

 分かってはいる。

 分かってはいるが、念のために蔵から出る。

 死角を作らないように、対処しやすい立ち位置に静かに、そしてさりげなく移動する。

 

「ねぇ、よかったら、このままこっちの村に住んでくれないかい?」

「ここにですか?」

「うんうん。若い人がここは少ないし、それに――」

 

 チラリと、老婆が私の腰に提げた小烏丸を見る。

 

「最近はなにかと物騒でしょう? 腕が立つ人がいてくれると、助かるわぁ」

 

 先日、この手を汚したあの瞬間を思い出す。

 敵意を以って人を刺した。

 その連中がやっていたことを――

 

 

 

「……すみません、お婆ちゃん。でも、やっぱり私は――」

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

「そうか……。私もスコープ越しに見ていた時にそれらしい物を発見していたが……やはり私の(ホルスタイン種)らしきものが……」

「どうなんでしょう、お師様。アレはやっぱり――」

 

 お師様はきっと、どこかに私が住み着く事を期待して村を回ろうと言ってくれたのだろうが、却ってお師様達の旅に付いて行く気持ちが固まってしまった。

 

 足早に村を立ち去り、お師様達の元にまで戻りあの場で見聞きした物を伝えると、いつも無表情なお師様が珍しく難しい顔をしている。

 

「……何とも言えないな。牛は襲撃の際に逃げた物を捕まえたのかもしれないし、不自然な数の農具は……直接調べればなにか分かるかもしれないが……村を襲ったという証拠にはならない」

 

 人間が私一人しかいない、異端の術を使うエルフと、人を喰らう魔族に囲まれた恐ろしい空間であるべきここが、あの村よりもはるかに落ち着き、安心できる場所になっている。

 

 お師様が淹れてくれたお茶で喉の渇きを潤す。

 ミリアルデ様も気を使ってくれて、洗面所からタオルを持ってきてくれて渡してくれて、今はお師様の隣で私の話を聞いてくれている。

 

「そして、血と臓物の匂いがしたというのはたしかに気にかかるが……あるいは襲撃したのではなく、襲撃された際の自衛に使ったのかもしれない」

「あ……」

「何か聞かなかったのかい?」

「すみません! 下手に刺激するような話題は避けていたので……っ」

「謝る必要はない。正しい判断だ。むしろ自らの安全を確保しようと冷静に立ち回った事は賞賛に値する」

 

 その可能性があったかと、あの時の自分の察しの悪さが情けなくて、立ち上がって頭を下げる。

 だけどお師様は、私の頭を撫でながら褒めてくれた。

 

「……モニカ」

「はい、ミリアルデ様」

「貴女はどうしたい?」

 

 お師様が焼いたという白磁のティーカップに口をつけて、ミリアルデ様が尋ねてくる。

 お師様と同様にあまり表情が変わらない方だが、今は気遣ってくれているのがよく分かる。

 

「……今は、一刻も早くここを立ち去りたいです……。あ! あの、ここってこの屋敷って意味じゃなくて!」

「分かってる。大丈夫だよ、モニカ」

 

 頭を撫でてたお師様が、今度は歩み寄って抱きしめてくれる。

 

「変なんです」

「うん?」

「人が、人の方が怖いんです」

 

 その気になれば、今抱きしめている腕の力だけで私を殺して食べてしまえるだろうに。

 

「魔族であるお師様や、魔法を使うミリアルデ様よりも……」

 

 この腕に安堵している自分がいる。

 

「……人は弱い。弱い、獣だ」

 

 ぽん、ぽん、と背中を撫でてくれる手に、どうしようもなく昔病死した母さんを思い出す。

 

「弱いが故に群れを作り、法を敷き、善悪を隔て、だがそれゆえに道理を違えてしまう」

 

 いつもと同じ淡々とした声に、どこか温かい物を感じる。

 

「そして、過ちを繰り返してしまう。自分達が悪だと断じたハズの行為を、理由を得た瞬間に実行し、それが成功すれば更に多くを求め、断罪されるその時まで繰り返してしまう」

「……お師様、あの村の人達は」

「先ほどああ言ったが、正直君の言う可能性が最も高いと私も思う。……想像だが、あの匪賊と化した逃亡兵達の行いを目にして模倣しようと考えたのだろう」

 

 やはり、そうなのだろうか。

 本当に、あの村の人達が。

 

「……他者を……同族を害してでも生き残りたい。そしてより豊かになりたいと終わりなき欲を繰り返すのは……恐らく逃れえぬ人の習性なのだろう。染みついた物だ」

 

 ……ふと、抱きしめられたまま辺りを見回す。

 家具を始め、火が簡単に点く台所に湧かさずそのまま飲める水道。

 

 これを手放すことが、自分に出来るだろうか。

 

「習性とは、その生物の根源にして在り方だ。それを内包した生物である以上、それを変えるのは難しいだろう。人は……人間は、他者の犠牲が無くては生を謳歌できぬ獣の名だ」

 

 この暮らしを作り出した()が、獣の視点から人を説いている。

 

「だが、君がそうであるように……それを醜いと思えるのも……(かえり)みる事が出来るのも人間だ。我ら魔族のような獣が持ちえぬ、人が持つ特性だ」

「……特性」

「そうだ。私には、それこそが輝かしい物に見える。だから、モニカ――」

 

 気が付いたら後ろにミリアルデ様も来ていた。

 お師様と二人で私を挟み込むように、後ろから抱きしめてくれている。

 

 

「人に失望しても……どうか、君達人間という種族に『絶望』しないで欲しい」

 

 

「たとえ自他が過ちを繰り返すのだとしても」

 

 

「時に愚かで、醜い道に走ってしまうのだとしても」

 

 

「それでも、果てしない時間をかけてジリジリと、美しい所へ進んでいくのが君達(人間)だ」

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 エルフの里を出た『赤の勇者』の跡を追って数年。

 目撃情報そのものはある。

 

 竜に襲われた所を、赤い大剣を担いだ少女が突然現れてぶっ飛ばしてくれた。

 

 魔物の群れに襲われ、住み着かれてしまった故郷を取り戻して魔法で元通りにしてくれた。

 

 護衛を依頼していた所、とてつもない数の魔物に囲まれたが長い剣の一振りで全て斬り倒した。

 

 道を塞いでいた巨大な岩に困っていた所、まるでスライムのように長さや形が変わる大剣を持って「チェェェェストォォォォォォ!!」と叫びながら両断した。

 

 城壁を破壊するような魔法を撃つ魔族を、通りすがりに斬り倒してそのまま去っていった。

 

(……例の神機らしき証言もあるがそれ以外にも……アイツ、どれだけ手札があるんだ)

 

「フランメ、本当にこっちで合ってるの?」

「先生だ。あぁ、目撃証言からするとこっちの方に向かっていたそうだからな」

「でも、こっち側は何もないよ? 山だけだ」

「……恐らく、旅そのものに目的らしい目的がないんだろう」

 

 あのエルフの里で出来た自分の弟子を連れて、彷徨う事もう三か月。

 

「ふぅん。目的がないのに、人助けだけはしてるんだ、あの魔族」

「確定ではないがな……」

 

 フリーレン。

 初めて取った、私の弟子。

 

 魔力量がとんでもないのもそうだが、向上心もある。

 

「……さっきの結界といい、相変わらずよく分かんない奴だな……ミリアルデの従者」

 

 あの襲撃。

 

 今も増え続けている『赤の勇者』の冒険譚の中でもっとも語られているだろう『奇跡』のグラオザームとの決戦。

 

 その場にいた当事者でありながら、七崩賢の魔法に成す(すべ)なく、戦うどころか見守る事すら出来なかった事をフリーレンは悔いている。

 

 もっと言えば、里で強かったハズの自分が何もできず、変わり者の魔族に助けられたというのが気に食わないのだろう。

 

 だからこそ、人間の私に弟子入りなんてしたのだろうが……。

 

「にしても、どこの村も酷いね」

「墓石ばかりの空っぽの村、か」

「魔物にやられたのかな」

「さてな。もし奴が通っているなら、目についた魔物は一通り狩ると思うんだが……」

 

 実際、山に入ってから戦闘は数回しか起こっていない。

 通常、こういった奥地は、長い時間を掛けて身体や魔力を大きく成長させたやっかいな個体がいるものだが、出会うのはどれも小型の物ばかり。

 

(……生活の痕跡はあった。さっきの村は、間違いなく奴の結界が張られたが……それで墓しか残っていないってのが気になるな)

 

 フリーレンは奴が立ち寄ったと知ると、本当に埋葬したのか確認するために墓を暴こうとするし……。

 よほど奴という存在が気に入らないようだ。

 まぁ、魔族を気に入るよりは万倍マシだが。

 

「フランメ」

「先生だ。もう忘れたのか?」

「……先生、変だよ」

「あぁ、分かっている」

 

 フリーレンが杖を取り出す。

 血の匂いがした。

 明らかにこの先で異変が起きている。

 

(だが、音がしないな……)

 

 あえて魔力を少しだけ展開して見るが、動きはない。

 魔族ならばまず出てくるだろう誘いだが、襲い掛かって来る馬鹿も姿を見せる馬鹿も出て来ない。

 

 そうして真っ直ぐ血の匂いの元をたどって歩く事十数分。

 たどり着いたのは、また一つの村だった。

 

 だが、これまでの村とは違う。

 

 墓石はなく、代わりに大量の()()()()()()()()()が転がっていた。

 

「……魔物だね」

「噛み跡からして小型。……群れていたんだろうな」

「厄介?」

「恐らく成長していない、弱い奴らだ。……だからこそ、隠れ潜んでいる可能性が高い」

「私達を狙って来たりしない?」

「私はともかく、お前はまだ魔力の隠蔽が苦手だからな。恐らくビビって出て来ないだろう」

 

 それなりに裕福な村だったのだろう。

 様々な家畜が多く、恐らく村人たちが咄嗟に手にとって武器にしていたのだろう農具も豊富だ。

 

「……村に食い物を貯め込みすぎたな」

「食べ物?」

「特に家畜だな。魔物は人を好むが、家畜や穀物だって食う奴も珍しくない。……壁か柵をしっかり作り込んでおけば、こうはならなかっただろうに」

「作物はたくさん作ったのに、そっちが間に合わなかったのか」

 

 子供から老人まで、はては家畜まで等しく食い殺されている。

 フリーレンが魔法で死体だらけの地面を整理すると、畑の面積にしてはやけに多い大量の穀物が入った樽が転がり、すでに血と臓物で汚れていた中身がさらにばら撒かれる。

 

 かなりの量だ。当面の間は何の心配もなく暮らせただろう。

 

「確かに……凄い量だ。こんなに蓄えが出来るまで頑張ったのに……」

 

 

 

 

 

 

「……残念だったね」

*1
東京アンダーグラウンド

*2
ゴルゴ13

*3
Falloutシリーズ

*4
京レの隠れ蓑/攻殻機動隊

*5
新世紀エヴァンゲリオン

*6
機動戦艦ナデシコ

*7
遊☆戯☆王

*8
シュワちゃん

*9
モンスターボール

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