自機・星野アイで実績『クイズ王』解除プレイ   作:海毛虫

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6.離別

 

 

 雨宮吾郎 思考ログ 離別前夜

 

 

"端的に言って、俺はもうダメかもしれない"

 

"人として、男として、大人として"

 

"俺は、6歳の少女に何から何までお世話されてしまっているのだ"

 

"いや、断じて、最初からそんなつもりじゃなかった"

 

"親から虐待されているのに、それを隠していた少女に身勝手な共感と同情を覚えて、手を差し伸べた。珍しくはあるが、物語のストーリーとしてはありふれたお話だった"

 

"その子は、愛を欲していたし、同時に強く力を求めていた"

 

"在りし日の自分をその姿に少し見てしまったからだろうか"

 

"少しだけ、と魔が差したのが悪かったのだろう"

 

"それは、野生動物に一度だけ餌付けするような、悍ましい偽善であると気づいていたら、ここまで互いに破滅的な関係になることは無かったのかもしれない"

 

"結果から言えば、彼女は俺を決して逃さなかった"

 

"偽善を偽善のまま終わらせる事を許さなかった"

 

"家に帰ったら、『おかえり〜』と何気なく言ってくれる暖かさがあった"

 

"毎日、暖かい食事が振舞われた。最初こそ、料理を教えていたりしたが、いつの間にか追い越されてしまっていた"

 

"教えを乞われた。どんな事でも、教えられた事はスポンジのように吸収していき、自身の糧にする逞しさにやる気や気力を分けてもらえた"

 

"四季を共に過ごした。季節というものが、ここまで鮮やかだと思えたのは、笑っている彼女がいたからだろう"

 

"そして、───お別れの時が来た。再び一人に戻る、そう考えた時、俺の方が泣きそうになった"

 

"やはり、俺はもうダメかもしれない"

 

 

 ▲▲▲

 

 

 はい、前回、星野アイの魔性で善良なロリコン医大生を誑かし、金・時間・感情を搾り取り尽くしたところから再開です。

 

 とは言っても、もうお別れ。

 

 星野AI側が激しい抵抗を見せることもあるのですが、今回は割とすんなりイベントが進行しています。

 

 取り敢えず大きな操作は行わなくともよさそうなので(これはかなり稀であり、基本アイ側がメンヘラ、というか親への執着と同じようなものを拗らせるので、アタオカ選択肢を取らないように操作しまくらなければならない)ここで、現状の概略とこの後の大雑把な進行ルートをお話します。

 

 ゲーム開始から2年弱、来年度7歳になる星野アイはまぁ、当然ですが、4月から小学校です。星野アイにとっては、本当にストレスをかけるだけであって、現状の上振れ的に行く意味はありません。

 

 とはいえ、行く意味が無い程度で放棄できないのが、学校であり、義務教育であり、集団生活です。取り敢えず、内職(授業中や学校行事中に別のことをやること)する為の人生方針や蔵書、人間関係を取り揃える事になります。何らかの精神ダメージを負っていれば、入学から不登校かませるのですが、今のアイは心身共に健康そのもの。取り敢えずは登校するしかありません。

 

 ああ、集団生活と言えば、星野あゆみによる完全な育児放棄、そこから派生する施設への預け入れによる負荷も嵩んできます。本当に一ミリも向いていない集団生活を24時間強要する事で彼女の歪みは加速していったのでしょう。

 

 そんな感じで星野アイプレイでは、兎に角幼少期から思春期に入るまでは雌伏の時です。……苺プロ以外に入り、とっとと芸能界に行く、という選択肢もあるにはありますが、実質的に不可能となっております。アイは絶対に自発的に芸能人になる事はありませんし(斎藤壱護にスカウトされた時もそんなような事をぼやいていた)、斎藤壱護以外のスカウトの戯言ではまず靡きません。手動操作で無理矢理頷かせてもいいですが、モチベーションが皆無且つ現場から好かれない体質なのであっさり辞めるのがオチですね。

 

 これは星野アイと真っ当な人間関係を築ける人間が極々少数である事に起因します。

 

 原因は、彼女の固有パッシブスキル・『星の瞳』

 

 これは、彼女と相対する人間の精神力を無条件且つ無差別に大幅に下げる代物で、パンピーは彼女と話しているとそのあまりにも歪で危険な魅力によりある種の発狂状態に陥ってしまいます。

 

 発狂してしまった人は、おおよそ排斥・執着の極端な二択を迫られて、どちらをとっても星野アイの人生にとってプラスにはなりません。アイドルになるまでは。

 

 故に彼女は芸能人/アイドルが天職であるにも関わらず、彼女の仕様に辛うじて耐えられる業界人が斎藤壱護くらいしかいない(尤も、彼もじわじわと精神を切り崩されて正常な判断力を失っていきますが)為、今回のプレイでも苺プロルートを採用しようと思います。

 

 余談ですが、今回の吾郎もこのスキルに削り倒された故の別れ話です。吾郎は中々に堅牢な精神力ステ(初期43)を持っていますが、心を擦り減らすイベントが多すぎるせいで、大体のプレイヤーにクソ雑魚メンタルだと勘違いされています。哀れ。

 

 折角話に上がったので、今後の吾郎について少しお話しを。

 

 彼はこの後、宮崎の病院にいき、天童寺さりな(6〜7才)と出会い、12才で死に別れます。原作だとさりなと出会ったのは12才の今際の際、最期の一年のみで、それ以外は東京で女喰いながら空虚に生きていました。この点は明確に原作との相違点ですね、折角魔性の女から逃げたのに、逃げた先にも心を壊すレベルの女がいるなんてヒドイ女難なんです。

 

 なまじ期間が伸びている分、さりなちゃんが逝った時の吾郎のダメージが原作の比では無くなりますし、さりながルビーに転生した時の雨宮吾郎への執着も重力5倍増しくらいの激重感情が発生します。

 

 ……推しの子最大の謎の一つに、アイと同い年で12才で死んださりながどうやって12才でデビューした地下アイドルのアイを見つけたか、という謎があります。

 

 このゲームでは、さりな(11才)が七夕の日のローカルラジオでデビュー三ヶ月のB小町(丁度アイが加入した時期)と出会い、ハマるという設定になっています。で、命日自体は2年後の1月のなので、おおよそ一年半程のファンということになります。

 

 同い年というのは、誕生日の関係で同い年になることもある、位の理屈でゲーム的に長期の時間スケジュールを確保しているのでしょう。

 

 因みに、余程のことがない限り、星野アイと天童寺さりなの生前の交流は発生しません。理由は単純、あまりにも残酷だからです。

 

 同年代の健康で絶世の美貌を備えた器用万能少女、なんて病に伏せて先の無い人間からしたら、視界にも入れたくありませんし、吾郎もその辺よく分かってるのでアイとの交流は徹底して隠します。

 

 まぁ、それでも非常に運が悪いとバレて、それはもうヒドい事になります。

 

 さりなは吾郎を盗られたと嫉妬に狂いこの世の全てを呪いながら死に、吾郎は罪悪感に耐えきれず後追い、アイは完全に精神がイカれてしまい、プレイヤーの操作が効かなくなり、ゲームオーバー。

 

 これにて実績・『(おし)の子』の達成です。

 

 これが、星野アイ幼少期雨宮吾郎接触チャートの最大にして最恐のリスク。この実績を達成してしまった時は体調を崩しました。初心者の方はだいたい良かれと思ってこの事故を起こしてしまうので、前の動画でも述べた通り、このチャートは初心者にはお勧めしません。

 

 そう、天童寺さりなは絶対に、アイドルとして星野アイに出会わないといけないのです。

 

 このルート最大の『嘘』はこの一点。吾郎がアクアになっても、アイがルビーの母親になっても、この期間の出会いは然るべき時まで隠し通す必要があります。

 

 ……と話していると、交渉内容が纏まりましたね。

 

 雨宮吾郎との話し合いのAI案はこんな感じになります。

・頼るべき相手の限定化

→星野アイの人の精神を狂わせる要素を考慮。一般的な児童相談所や保健/警察機関では手に負えない可能性が高いという二人の分析により。吾郎の母校の医学部がある程度の事情を汲んでいることからも、この方針に。

・星野アイの自立の支援

→子供ではどうしようもない部分は、雨宮吾郎が仲介しつつ、出来る限り親からの自立を目指し、一人で生きていく方針に。自身や相手を傷つけない為の施策。金策が最大の課題。

・連絡手段の確立

→週一で、文通を行うことに。固定電話などの手段もあるが、手紙という迂遠な手段が自身の咄嗟の嘘を軽減する手段として有用であるという星野アイの判断。

 

 と、こんな感じです。

 

 今回の別れ話は、吾郎が自身の精神力の限界を正直に自白した所から始まり、『俺がおかしくなって君を傷つける可能性がある』『俺は君の存在に寄りかかり始めてしまっている』という事を互いに解決する為のある種の誠実さ故に起こった事みたいです。研修が宮崎だったのは渡りに船だったという事でしょう。

 

 対する星野アイの反応は、『私の事好きすぎでしょ』という積み上げてきた信頼に裏打ちされた嬉しさと『吾郎センセが完全に身持ちを崩してもよくなっちゃう位、強く聡く、魅力的な人になろう』という先への展望がありました。

 

 因みに彼女の将来の夢はこれを以て『医師』で固定化され、今のところアイドルの『あ』の字もありません。

 

 彼女は『吾郎センセが壊れたら私が治して、私が壊れたら吾郎センセが治す』という誰にも邪魔されない無敵状態を夢見ているそうな。

 

 ……大丈夫かな、斎藤壱護が口説くの失敗する可能性も出てきちゃったな。

 

 閑話休題、母親に関してもスタンスというか結論を出せたみたいで『私が助けるべき相手』として認識したようです。『復讐者/未練』が『復讐者/和解』に変化しました。自身が愛を求めることへの諦めを、まず愛を無条件に捧げることから始めようと決めたらしいです。

 

 現在の星野アイの精神性は、原作の愛への執着をそのままに、他人から乞い貰うのでは無く、形や理由はどうあれ、たとえ裏切られたとしても、その愛の言葉に確信が持てなくとも、自身が先んじて与えるもの、という認識へ変化しています。

 

 原作でアイドルを始めた理由と似たような状態ですね。あちらとの相違点は、得られた知性により正確に、自身の心の欠陥を理解している点にあります。

 

 星野アイはもとよりある種のアダルトチルドレンを抱えていることは明白なことですが、今回はそんな自分の側面とも対話し、正しく『大人な子供』になろうとしているのでしょう。

 

 かくして、雨宮吾郎とはお別れ。

 

 最後にイベントログだけ見て、今回はおしまいにしましょう。

 

 

 

 対話ログ 雨宮吾郎

 

 

"駅のホームには、あの日彼と出会った時のような、春の陽気が差し込んでいて"

 

『……これでゼンブ、おしまいだね』

 

『あぁ、本当に済まない、アイ、俺が不甲斐ないばっかりに』

 

『もう、何回謝るのさ、センセ。別に一生の別れ、っていう訳でもないんだよ?……なんて、これ、センセが言わなきゃいけないセリフじゃない?』

 

『そうだな、本当にその通りだ。……君は本当に、強く優しい子だ』

 

『───』

 

"暖かい掌が、いつか私に差し伸べられた掌が、そっと髪を漉いた"

 

"相変わらずこの点だけはヒドい人だ、お別れ前なのにこんなことされたら、折角決めた覚悟が揺らいじゃう"

 

『───じゃあね、吾郎センセ!大好きだよ!』

 

"だから、すこし仕返し。全く、似たもの同士というのも困りもの。私達は善意で、魅力で人を傷つけ、破滅し合うのだから"

 

"閉まる電車のドア越しに、ギョッとするセンセの顔が見られたので、よしとしよう"

 

 

 

 ▲▲▲

 

 

 という訳で、今回はここまで。

 

 次回は星野アイ暗黒時代の小学生編。

 

 スーパー虚無期間ですが、この上振れに恥じぬようモリモリ実力をつけていきたいと思います。

 

 ご視聴ありがとうございました。

 

 

 




1/4 修正ログ
パッシブスキル名『一番星』→『星の瞳』に修正しました。
(一話の星野アイステータス参照、精神力を減らす方は星の瞳でした)
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